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城南地区 アルファテックス株式会社

アルファテックス株式会社 当たり前を疑う。顧客目線が産んだワークフローシステムALFA-Palette。

アルファテックス株式会社

当たり前を疑う。顧客目線が産んだワークフローシステムALFA-Palette。

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アルファテックス株式会社

当たり前を疑う。顧客目線が産んだワークフローシステムALFA-Palette。

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システム開発ストーリー
当たり前を疑う。顧客目線が産んだワークフローシステムALFA-Palette。

 財務会計や債権管理といった経理系システムの開発を得意とするアルファテックスは、受託開発のみならず、社内のあらゆる申請や稟議をクラウド上で一括管理できるALFA-Paletteなどの自社製品の開発にも力を入れている。このALFA-Paletteを一言で表すなら徹底した顧客主義だ。開発やサポートに携わるふたりの社員に話を聞いた。

顧客のためになれば、システムを作らないという提案も行う

 1980年代のコンピュータ普及に伴って急速に発展した情報通信産業は、90年代のインターネット普及やIT業界の台頭によりさらに市場は拡がり、現在では全産業の中でも最大規模のマーケットにまで発展している。それだけに雨後の筍のごとくシステム・ソフトウエア開発業者が誕生しているが、IT業界の競争は激しく、2006年以降、毎年100社以上のペースでシステム・ソフトウエア開発業者が倒産しているという。そうした市場の中でアルファテックスは顧客からの信頼を勝ち取り、安定した経営を30年近く続けてきた。その背景には、他のシステム開発会社と一線を画すビジネスモデルがある。
 「弊社はシステム製造業ではなく、システムサービス業を標榜しています。サービス業ですからお客様の満足や発展が何よりも大切で、システムはそのためのツールという位置付けです。したがって、お客様から新たなシステムを作ってほしいとご依頼を受けても、コストやパフォーマンスを勘案した結果、市販のシステムで十分対応できる場合は、そちらをご提案することもあるくらいです」
 と同社の方針を話すのはビジネスソリューション事業本部の平本剛グループリーダー。当然ながら既存のパッケージシステムの導入よりもオーダーメイドによるシステム開発のほうがはるかにコストはかかる。システムの開発側にとっては喉から手が出るほど欲しい案件。ところが、顧客のメリットを最優先し、ケースによってはコストを抑えられる既存システムを進めるというのだから、利益優先のビジネスの場においては奇異にも映る。しかし、そうした顧客本位の姿勢、つまり目先の利益を捨ててでも顧客からの信頼を勝ち取る方針こそが、めまぐるしく変化するIT業界において息の長い経営を続けてこられた最大の理由だというのである。

body1-1.jpg「お客様の満足や発展が何よりも大事です」と話す平本剛さん

経理とシステムに精通した専門スタッフ

 顧客の役に立つのであれば、システムの開発にはこだわらない。そうした考えのもと同社で打ち出しているサービスのひとつが、経理などのバックオフィス業務のアウトソーシングである。例えば企業の経理部門を丸々、引き受けるといったもので、同社ではその専門スタッフを多く抱えている。そのスタッフは経理に精通しているだけでなく、経理系システムの運用にも長けており、顧客にとっては業務の効率化やコストダウンといったメリットが望めるという。
 「それだけではありません。自社内で経理を回していると、良くも悪くも自分のところのやり方しか知らないことになります。そこにいくつもの企業経理を経験してきた弊社スタッフが入れば、今まで気づかなかった新たな問題点や改善点を見つけられることもあるのです。さらにいえば、女性の多い傾向のある経理部門は、結婚や出産といった事情で経験を積んだ人材が流失してしまうことが珍しくありません。その点もアウトソーシングであれば常にレベルの高いスタッフを供給できるというわけです」(平本剛グループリーダー)
 専門スタッフは業務を請け負った企業に常勤し、月に一度は課題や問題点などの改善事項を企業に報告しているといい、そうした経営改善に積極的な姿勢もあって多くの企業からアウトソーシングの引き合いがあるという。

body2-1.jpg社内には女性も多く、和気あいあいとしている

顧客主義を貫くALFA-Palette

 顧客目線に立ったサービスはアウトソーシングだけにとどまらない。同社が開発したワークフローシステムALFA-Paletteにも徹底した顧客主義の理念が息づいている。これは簡単にいえば紙で行っていた申請を全て電子化できるというシステム。つまり、交通費の経費決済から上司の承諾が必要な稟議まで、あらゆる申請をインターネット上、つまりクラウドで管理できるというすぐれものである。このシステムの最大の特徴ともいえるのがExcelデザイナーという機能だ。これは、それまで使用していたExcelの申請書をこのシステムに取り込めば、その様式そのままのシステム入力画面が作成されるというもの。申請すべき事柄や申請書の項目や様式は、その会社によってまちまち。その申請ごとにシステム画面を作成していては開発費用がかさんでしまう。その点、このExcelデザイナーを使えば、自在に申請画面が作れてしまう。つまり、既存の紙の申請書も簡単にテキスト化できてしまうのだ。この機能は同社の社員の声がきっかけで生まれたのだという。
 「システム開発の仕事はお客様から、こういうことができたら便利とかこんな画面がほしいといった声に応えていく仕事です。大抵はひとつのシステムを開発して終わりではなく、やっぱりこんな画面が良かったとか、これも追加したいといったやりとりをしていくのですが、その度に対価として当然、追加料金が発生していくわけです。それがシステム開発会社の収益にもなるわけですが、そうしたことを繰り返していくうちに、『これっておかしくない?』と社員たちが疑問に思い始めたんです。これまで当たり前だったビジネスの流れに疑問を持ち、なるべく追加料金が発生しないような根本的な改善が必要だと考え、生まれたのが、誰でもシステム画面を作成できるExcelデザイナーだったのです」
 と開発の舞台裏を語るのはビジネスソリューション事業部の内藤亜紀さん。こうした顧客目線の機能が好評を博し、ALFA-Paletteのユーザー数は1万人以上にも上ると内藤さんは胸を張る。内藤さんは5年目の中堅社員でALFA-Paletteのスタートアップや導入後の操作説明といったサポート業務をこなす傍ら、顧客とのコミュニケーションの中で浮かび上がってきたニーズやシステムの改善点を吸い上げる役割も担っている。その内藤さん、最初は契約社員の事務員として同社に入社し、課せられた業務も簡単な操作説明のみだったと明かす。
 「私が就職活動していた2011年は景気も悪く、できれば正社員としてやりがいのある働き口を探していたのですが中々見つかりませんでした。縁あって弊社に入社し、一事務員ながら、お客様の声を開発部に上げるなどして積極的にシステムのブラッシュアップに携わっていました。その姿勢を会社が認めてくれたのでしょう。正社員として働けるようになり、念願だったやりがい十分の業務に携われるようになりました」
 プログラミングなどの専門的な知識はないものの、パソコンが好きだったという内藤さん。顧客と開発との橋渡し的な役割を通じて、システム開発に携われていることが嬉しいと笑みを浮かべる。
 「これまで規模の大きな会社の事務員をしていたこともありましたが、それぞれがそれぞれの業務を淡々とこなしていくだけで、やりがいを見いだせたことはありませんでした」
 とこれまでを振り返る内藤さんは、サポート業務ながら、今後も積極的に顧客周りをしてシステムのブラッシュアップに貢献していきたいと抱負を語る。こうした顧客周りなども全て個人の裁量に任されているという同社。内藤さんのような積極的な女性にとっては、やりがい十分の会社といえよう。

body3-1.jpgコミュニケーションも活発で新人でも働きやすい職場だという

編集部からのメッセージ

社員の指針となるコアバリュー

 同社には「自分に素直(誠実・正直・謙虚)でいよう」、「仲間のために時間を作ろう」、「自分たちの可能性にチャレンジしよう」といった働く上での指針であるコアバリューが定められている。こうしたスローガンは往々にしてトップが敷くものであるが、コアバリューは社員が自発的に制定したものだという。とりわけシステム会社は、与えられた業務を粛々とこなしていくイメージが強い。その中にあって、こうした社員の前向きな姿勢は、異彩を放つ。社員自らが決めたからこそ浸透しており、とりわけ同僚間の助け合いの精神は社内に根付いているという。

edit-1.jpg社員たちが自主的に決めたというコアバリュー
  • 社名:アルファテックス株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 1988年
  • 資本金:4,040万円
  • 代表者名:代表取締役 森本潤一
  • 従業員数:105名(内、女性従業員数46名)
  • 所在地:108-0014 東京都港区芝5−3−2
  • TEL:03-5419-4431
  • URL:http://www.alfa-teccs.co.jp/
  • 採用情報:こちらからご確認ください。