<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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城南地区 株式会社クラップ・ネットワーク

株式会社クラップ・ネットワーク 仕事を通して成長し生涯にわたって活躍できる会社に。

株式会社クラップ・ネットワーク

仕事を通して成長し生涯にわたって活躍できる会社に。

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城南地区

株式会社クラップ・ネットワーク

仕事を通して成長し生涯にわたって活躍できる会社に。

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人と人とが繫がるストーリー
仕事を通して成長し 生涯にわたって 活躍できる会社に。

 多くの専門業者が連携して成り立っているイベント産業では、「人との繫がり」や「女性の視点」が重宝される。その特徴を社員の「成長」に繋げている企業に迫った。

スキルアップとプライベートの充実を促す仕組み

 多くの企業が自社製品の有効性やサービスの充実ぶりを広く知ってもらおうと宣伝・広告にコストを割いている。テレビやラジオ、新聞といったメディアでの宣伝広告はよく知られるところだが、実際にモノを見て、売り手とコミュニケーションを取りながら商品選びができるイベントや販売促進キャンペーンといった、いわゆる「ライブもの」の訴求力は画像や動画とは桁違いと、その注目度は非常に高い。
 そうしたイベントは、広告代理店を中心に企画・制作・運営など、それぞれの専門家が連携して作り上げるのが一般的で、クラップ・ネットワークはその中で受付や案内業務を行うスタッフの配置計画から案内内容の検討など運営業務全般や現場の運営管理業務を得意としている。展示会だけでなく、2005年に愛知県で開催された「2005年日本国際博覧会(愛・地球博)」や、2010年に上海で開かれた「2010年上海国際博覧会」など一般の人が来場する博覧会も数多く手掛けてきた。
 同社の企業理念は「社員ひとりひとりの成長を大切にする会社を」「女性の視点を活かした仕事を」「出会いを丁寧に育む気持ちを」という三つの言葉で表されている。1つ目の言葉の背景には、「人はいくつになっても成長し続けられる」という荒木敬子社長のポリシーに基づくもので、それを実現できる環境を整えることにエネルギーを注いできたと話す。
 制度的なところで言えば、スキルアップ奨励金やリフレッシュ奨励金といったサポートが挙げられる。スキルアップ奨励金とは、英語や簿記など自身の能力を磨くための書籍購入・講座受講・資格試験の受験などにかかる費用を全額、あるいは一部会社が負担するというもの。資格取得に限らず、話し方講座やメンタルトレーニングなど、幅広い範囲で認められている。
 一方のリフレッシュ奨励金は、映画やコンサート、テーマパークでの遊興費などプライベートでリフレッシュに使った費用を月1万円を上限として負担するというものだ。社員からは「こういうサポートに女性的なきめ細やかさを感じて嬉しい」と好評で、利用率も高いという。荒木社長は「身近なところから始めて、社員に働きやすさを感じてもらえればいい」と笑みをこぼす。

body1-1.jpg経営理念は荒木敬子社長の経験から生まれた

女性が生涯働き続けられるサポートの充実

 2つ目の「女性の視点を活かした仕事を」は、20名中19名が女性という女性比率の高さからくる同社の強みを表している。女性ならではの視点がどのように活かされているのかを荒木社長はこう解説する。
 「複数の専門家がチームを組んで進めるプロジェクトでは、必ずどの専門家が担当するのかが、あいまいな領域が出てきます。あいまいなところにいち早く気づき、進んでフォローしていける、そういうチームへの気遣いは女性の強みだと思います。」(荒木社長)
 また、荒木社長は、様々なイベントがある女性の一生の中で、生涯働き続けられるような環境づくりを意識しているという。結婚・出産・育児に伴うキャリア形成に関して語ってくれたのは、今年5月に育休から復帰した山下博子さん。2008年に入社して「2010年上海国際博覧会」の運営などに携わり、産休に入る前は国の補助金事業の事務局に常駐して取り仕切っていた。
 「出産も職場を離れるのも初めての経験なので『勘が鈍るんじゃないか』『状況が変わってしまうんじゃないか』と不安はありました。しかし、社長もまた出産や育児を経験してきた人なので心強かったです。気軽に相談できますし、産休に入る前に『自分の仕事や子育てのスタンスを考えて、好きなタイミングで復帰していいよ』と言ってもらえて、気持ちが楽になりました」
 様々な検討を重ねた結果、2016年いっぱいで産休に入り、2月に出産。出産から2か月強で復帰を果たし、同じ事業、同じ役職にフルタイム勤務で働いている。もちろん、もう少し長めに育休を取ったり、復帰後の雇用形態を時短勤務や在宅勤務、週3日勤務、時差出勤などにしてもいい。社員の生活にとって最も良い形で復帰できるようにサポートしているから、出産や育児で一時的に仕事にかけるボリュームが減っても、キャリアを途切れさせずに続けられるというわけだ。
 これからの山下さんには、仕事に育児にと忙しい生活が待っている。それでも「うまくサイクルを作って、手がいっぱいにならないように回していきたい」と前向きだ。更に今の持ち場をきっちりこなせるようになって、次の目標へ向かっていきたいと意気込みも語ってくれた。

body2-1.jpg社員はほとんど女性。それが同社の強みになっている

人との繫がりが不可能を可能にする

 3つ目の「出会いを丁寧に育む気持ちを」には、荒木社長がこれまで会社を経営する中で学んできた思いが込められている。
 「これまで一番強く感じたのは、人との繫がりが大きな力になるということです。もともと私が会社員時代に築いた人脈で仕事をもらうことが多かったのですが、クライアントがクライアントを呼び、新しい人脈ができることで不可能だったことが可能になる。そういう経験をたくさんしてきました。ですから、従業員、クライアント、協力会社など関わるすべての“人”を大切にしたい、という思いが込められています」(荒木社長)
 それを象徴するような出来事が、6月~9月にカザフスタンの首都アスタナで開かれる「2017年アスタナ国際博覧会」のプロジェクトで起こったという。体験者は同プロジェクトに企画書段階から携わる石黒絢子さん。2013年に入社した若手社員だ。
 同社が担当するのは、博覧会に出展する日本館アテンダントの募集・採用・雇用管理などの業務。現地での案内役とあって、現地の言葉は必須のスキルだ。日本での知名度は高くないが、カザフスタンは中央アジアの一国で、ロシア語とカザフ語を公用語にしている。
 そこで石黒さんに与えられたミッションは、ロシア語のスキルがあり、アテンダント業務を任せられる人材を集めること。それだけでも大変なことだが、さらに応募者の語学力をテストするための試験を作り、評価しなければならない。もちろん、石黒さんも社内スタッフもロシア語に堪能ではなく、暗中模索の中で人探しが始まった。
 「大使館やロシア語学科のある大学など思い当たるところに電話連絡を取るところから始めました。そこから紹介を繋いでいき、スタッフにはどのレベルの語学力が必要なのか、それをどうやって試験したらいいのかといったアドバイスをもらえる人に巡り会い、採用できたのです」(石黒さん)

body3-1.jpg成長を実感できる環境に、前向きな表情を見せる石黒絢子さん

成長を実感し、目標が現実味を帯びる

 1年前に企画が動き出した時点では、企画書作りも初めてだったという石黒さん。全く先の見えない未知の世界でも、人が繋がっていくことで形になっていくという確かな手応えを感じたと力強く話す。
 「大学で舞台美術を専攻していたので、いつかはこの会社で舞台関係の仕事に携わりたいと、入社の時から目標を立てていました。今のところそのような機会はないのですが、今回の経験を通して、人との繫がりを大切にしていれば不可能ではない、と確信しました。だからチャンスがあれば積極的に行動していきたいです」(石黒さん)
 そのためにはまず目の前のアスタナ国際博覧会の成功だ。5月中旬から現地入りし、開催期間を終える9月まで現地に滞在するという石黒さんだが、その表情からは難題を1つクリアしたことによる自信が感じられた。
 同社ではこの3つの理念に基づき、女性が生涯にわたって活躍し続け、仕事とプライベートを両立させていくことを一番に考えた職場環境が作られている。
 「それには給料水準を上げられるようにすることも考えています。そのために必要なのは、いかに効率良く仕事をこなせるか、です。社員一人ひとりがスキルアップし、全員の動きが効率化されれば、さらに業績を伸ばすことも可能です」(荒木社長)
 よりよい環境で働くことで個人がスキルアップし、そのスキルアップが更に労働環境を良くする。すべての取組が一本に繋がっている。

body4-1.jpg一人ひとりの仕事が繋がった先に成長や成功がある

編集部メモ

“NO”と言わない姿勢が成長の秘訣


 とある顧客から、似顔絵をプリントしたTシャツを作りたいと要望があった。
 似顔絵は1枚書くにもそれなりの時間がかかるもので、それが十数枚も業者に発注するとなれば1週間や2週間でできるものではない。
 「そこであるスタッフが、会社から近い東京タワーの下に似顔絵屋さんがいたことを思い出し、頼んでみたらどうかとひらめきました。そして、すぐに駆けつけてお願いをして、無事に納期に間に合いました。うちのスタッフはフットワークが軽く、柔軟に対応できるところが強みです」(荒木社長)
 一見、難しそうな依頼であってもすぐに“NO”とは言わず、まずは何らかの解決策を示す。そうしたチャレンジングな姿勢が成長を促しているのだろう。

edit-1.jpg社名には社員一人ひとりの“実り”(CROP)を社会の“実り”に繋げるという思いが込められている
  • 社名:株式会社クラップ・ネットワーク
  • 設立年・創業年:設立年 1996年
  • 資本金:1,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 荒木 敬子
  • 従業員数:19名(内、女性従業員数 19名)
  • 所在地:106-0044 東京都港区東麻布 1-10-12
  • TEL:03-6459-1520
  • URL:http://www.crop-net.co.jp