<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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城東地区 株式会社ピーアール・デイリー(DACグループ)

株式会社ピーアール・デイリー(DACグループ) 農業体験、海外研修、富士登山…。 未知の体験・冒険が人間力を育てる

株式会社ピーアール・デイリー(DACグループ)

農業体験、海外研修、富士登山…。 未知の体験・冒険が人間力を育てる

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城東地区

株式会社ピーアール・デイリー(DACグループ)

農業体験、海外研修、富士登山…。 未知の体験・冒険が人間力を育てる

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研修が育む企業理念ストーリー
農業体験、海外研修、富士登山…。未知の体験・冒険が人間力を育てる

 多彩にしてユニークな研修を充実させるピーアール・デイリー。企業理念を浸透させ、企業の発展のカギを握る人材育成の手法とはいかに――。

めまぐるしく変わる時代に、世界に通用するリーダーを育てる

 就職活動に興味を持てば誰でも一度は目にする求人サイト。企業と求職者をつなぐメディアとして、採用活動に不可欠な存在となっている。ピーアール・デイリーは、新卒・中途・アルバイトなどあらゆる人材募集の広告を扱う求人広告代理店としてスタートした。徐々に活動領域を広げ、現在では人材紹介や採用関係のホームページ制作、イベント装飾など、採用に関わるビジネス一通りを扱う。
 「採用業界がめまぐるしく進化し、採用形態も変化する中で、ただ広告の枠を売るだけの代理店では衰退が目に見えています。世の中のニーズをキャッチして、新しいビジネスを創出していかなければなりません。そのためには一人ひとりが創業者精神を持って、活発にアイデアを出し合える環境が不可欠です。当社ではそうした人材育成に力を入れています」
 人材育成の意義を語るのは、ピーアール・デイリーのグループ会社・DACグループの人事を担当する滝本洋平部長。グループ全体で研修に力を入れ、「世界に通用するリーダー」の育成を目指しているという。
 「世界に通用する」というのは、小さな価値観にとらわれることのない多様な物差しを持つということ。同社の研修内容を見ると、田植えに稲刈り、りんごの花摘み、りんご狩りといった農業体験から、富士登山、ハーフマラソンなど、普段の生活の中ではなかなか体験できないようなものばかりが並ぶ。こうした多彩な体験を通して、視野を広げるとともに人間的な成長を促すというわけだ。確かに、農業体験は人間的成長を促す目的で、私立中学などでも取り入れられている教育機関お墨付きの手法。その効果に異論を挟む余地はなさそうだ。
 「当社の企業理念に『人のため、世界のため、地球のために何ができるか考えよう』という言葉があります。つまるところ仕事というのは、お役立ちなんです。研修は、チームで協力し合う中でお役立ちの精神を育くみ、自主的に行動することで自らを高めていけるような内容にしています」(滝本部長)

body1-1.jpg会社の未来を見据え、人材育成の意義を語る人事部部長 滝本洋平さん

農業体験は気づきの場

 グループ全体で行われる研修は大別すると年代別研修と役割別研修の2種類。入社1年目~3年目に年代別研修を受け、それが終わるころには各人、チームリーダー補佐、チームリーダーやグループリーダーといった役割を持つようになっている。役割別の研修はそれぞれの役割に応じて行われる研修だ。
 「1年目は同期とのディスカッションを通して仕事の意義を考え、2年目は自ら考えて行動する力を養います。3年目になるとチームリーダーになる人も出てきますから、自分の仕事をこなすだけではなく、組織の中で自分の仕事がどういう役割を担っているかまで考えられるようになるのが目標です」
 年代別研修の狙いをそう明かすのは、同社の教育体系の設計やカリキュラムの考案を担当するDACグループ人事の小田部彩香さん。農業体験などは年代別研修に属するもので、那須や盛岡の契約農家のもとを訪れて2泊3日で実施される。
 たとえば、りんごの花摘みは一つの枝にたくさん咲いた花のうち一番元気なものだけを残して間引きをしていく作業だ。1本の木に途方もない数の花が咲いているが、残せるのは1本あたり50個程度。200本の木を40人ほどで作業していくというから、かなりの重労働になる。それだけに「安易に食べ物を残せなくなった」という声も多く聞かれるという。その気づきが大切なのだと小田部さん。
 「当社の人材育成の核となっている考え方は、『世界に通用するリーダーを育成する』こと。リーダーとは仕事や自己の成長に責任を持ち周囲をより良い方向へと導いていく先導者であるということです。そういった能力や素質を伸ばして育成する“機会”をつくるのが私の基本的な仕事です。また自分のためだけでなくほかの誰かのために仕事に臨むことの重要性も伝え、『人間力』の高い人材を育成していきたいと考えています」(小田部さん)
 同社の研修で重要なのは自己完結させないこと。ことあるごとに「自分がどう思ったのか」「相手にはどういうバックボーンがあって、どういう心境だと思うのか」「自分の言葉が正しく相手に伝わっているのか」を確認させるという。それによって、自分のことを理解し、相手のことを理解した上で相手に伝わるように発信する能力が身につくのだという。こうしたリーダーとしての基礎力を磨くのも年代別研修の大きなテーマなのだ。

body2-1.jpg花摘み体験のあとだと、りんご狩りも一味違った楽しみを発見できる

成長を感じられる瞬間が、人材育成のやりがい

 小田部さんは人事部に配属され4年目を迎えた。はじめの年に年代別研修に参加した新入社員たちもそろそろ年代別研修を卒業し始める年になった。3~4年目ともなると具体的な行動にもさまざまな変化が表れ始める。例えば、ランチタイムに交わす会話が、自分の仕事の大変さから、後輩指導の悩みに変わる。日常の一コマではあるが、確かに成長ぶりが見て取れるというわけだ。
 「人材育成は短期的に手ごたえを感じられる仕事ではありませんが、花摘みをしているときの穏やかな表情や、被災地研修で心を痛めながらも自分にできることを探している姿にそれぞれの成長ぶりが見てとれた時にはやはり感動を覚えますね。3年間共に研修期間を戦ってくれた新人が育っていくのはうれしいものですね」(小田部さん)
 こう人材育成のやりがいを語る小田部さんは、人事に携わる中で自分自身の課題もはっきりしてきたという。
 「上の役職を目指すほどに、圧倒的な個人力と人間力が求められるようになります。それには私が経験してきた営業と教育と採用のスキルだけでは足りません。5年以内に労務や経営企画に携わる仕事を始めたいですね。また、当グループは、出産から復帰までのサポートが充実しているので、結婚・出産も経験して、公私ともに次のステージへステップアップしていきたいです」
 同社では、積極的に手を挙げればチャンスを与えられるが、それは後継者を育ててからというのが鉄則。つまり目下の目標は、教育体系を確立し、小田部さんがいなくても社内での研修・教育がまわっていくような仕組みづくりというわけだ。

body3-1.jpg新人の成長を見守りつつ、自身のキャリアアップも目指す小田部彩香さん

全国の仲間とのつながりができる同期研修

 ピーアール・デイリーの研修はこれだけではない。これまで紹介してきた新卒者を対象としたグループ全体の研修のほかに、中途採用者向けの同期研修や、ピーアール・デイリーが独自に行うものなどが存在する。
 中途入社で3年目を迎えた吉岡健人さんは、採用にかかわるソリューションを提案する営業職。グループで行う海外研修のほか、中途者向けの研修やピーアール・デイリー独自のものなどいくつかの研修に参加している。
 「中途入社だと同期がいないのですが、中途向けの同期研修はその年に入社した全国のグループ会社の社員が一堂に会するので、横のつながりが広がります。年齢もバックボーンも扱う商材も違いますが、全国の人と情報交換できるのは刺激になりますね」(吉岡さん)
 独自の研修というのは月一で開かれる勉強会のようなもので、就職情報誌などの媒体スタッフを招いて、営業トークの切り口やテレアポのやり方など具体的なテクニックを学んでいるという。次の日から使えるような具体的なものが多く、スキルアップに大いに役立っていると喜ぶ。
 「中小企業のお客様が多いのですが、世間的にはあまり名の知られていない企業の魅力を発信し、発展に寄り添っていけるやりがいのある仕事だと感じています。一方、営業は成績もモチベーションの一つですので、誰にも負けないくらいの成績を上げて、レッドカーペットを歩きたいですね」(吉岡さん)
 レッドカーペットというのは、半期に一度、全社員が集まって行われる表彰式で、成績優秀者が赤じゅうたんの上を歩いて祝福を受ける式典のこと。昨年末にはレッドカーペットを歩き、今年から主任に昇格した吉岡さんは、今度は主任として歩きたいと熱意を燃やしている。
 ピーアール・デイリーの社員は、さまざまな個性やものさしを持っていながらも、一体感を醸し出している。これも体系化された教育システムを使って、じっくり時間と手間をかけて企業の理念と行動指針を浸透させているからだろう。いま社会で求められているのもこうした長期的な人材育成だろう。

body4-1.jpg吉岡健人さん。「同期の誰にも負けたくない」と負けず嫌いな一面を見せる

編集部メモ

役割別研修ではどんなことを?

 年代別研修から移行する形でスタートする役割別研修では、チーム補佐・チームリーダー・グループリーダー・事業運営者・経営担当者などの役割別に行われる。例えばチームリーダー研修は、営業職に対して行われるもので、これまで自分が営業を通して修得してきた経験則や暗黙知を言語化するというプログラムを実施している。
 「新しいスキルを修得するというより、自分の中に隠れている暗黙知を形式知にしていくことが目的です。役割別で一番反響が大きかったのがこの研修です。研修の後、チームメンバーを集めて自分が講師役で研修をしました、という声がたくさん聞かれました」(小田部さん)
 人に伝えられる形にすることで、社内で知識・経験の共有が図れるうえ、自分自身の再確認にもなるというわけだ。こうした連鎖が個々の力を伸ばし、ひいては会社の底力をも伸ばしていくことにつながるのだろう。

  • 社名:株式会社ピーアール・デイリー(DACグループ)
  • 設立年・創業年:設立年 1987年
  • 資本金:5,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 石川 和則
  • 従業員数:74名(内、女性従業員数38名)
  • 所在地:110-0015 東京都台東区東上野4-8-1 TIXTOWER UENO 15階
  • TEL:03-6895-1601
  • URL:http://www.prdaily.jp
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください