<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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城南地区
株式会社エンファクトリー

株式会社エンファクトリー 時代を先駆けるワークスタイル「専業禁止」が社員を成長させる

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時代を先駆けるワークスタイル「専業禁止」が社員を成長させる

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株式会社エンファクトリー

時代を先駆けるワークスタイル「専業禁止」が社員を成長させる

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社員の成長ストーリー
時代を先駆けるワークスタイル 「専業禁止」が社員を成長させる

 専属バイヤーによって選び抜かれたファッションアイテムやインテリアなどを約1万点揃えるオンラインセレクトショップ「スタイルストア」や、士業から恋愛アドバイザーまで130職種以上の専門家とユーザーをマッチングさせる「専門家プロファイル」など、さまざまな自社サービスを展開しているエンファクトリー。ニーズを捉えたコンテンツはさることながら、副業禁止ならぬ専業禁止を標榜し、複数の仕事を掛け持つパラレルワークを推奨するというユニークな会社ポリシーを打ち出している。残業減に業績アップ、なにより人材育成にもなる、良いこと尽くめの取り組みだという。

個人の主体性を尊重する人材育成ポリシー

 ガイドと呼ばれる専門家が知見を活かした記事やコラムを発信する人気情報サイトを運営するAll About。同社のメインビジネスは広告事業だが、同時にオンラインショッピング事業「All About スタイルストア」や専門家マッチングサービス「All About プロファイル」なども手掛けてきた。それらの事業を独立展開する形で誕生したのが、株式会社エンファクトリーである。2011年の創業と同時に取締役として舵取りの重責を担ったのはAll Aboutの創業メンバーのひとり、加藤健太氏。財務や総務などのエキスパートとして知られる人物である。「社長になったのは、たまたま」と謙遜するが、確固たる信念に基づいて会社をリードしてきた。
 「大学を卒業して会社に勤めたのが1989年。まさに世はバブル経済崩壊前夜で、社会人1年そこそこで銀行や証券会社の倒産を目の当たりにしました。終身雇用神話が崩れ、巷にはリストラの嵐が吹き荒れました。それこそが、不安定な時代を生き抜くには、個々人がスキルや人脈を持って自立する必要があると痛感させられた一幕でもあったわけです。エンファクトリー創業時に、個人を応援する会社にしたいという強い思いに駆られたのはそんな経験があったからに他なりません」
 その思いは、同社が展開する専門家のマッチングサイト「専門家プロファイル」はじめ、若手デザイナーや職人が自由に出品できる「スタイルストアマーケット」などに如実に現れている。双方とも、企業という集団に組みすることなく、個人が自らの持てる力を存分に発揮できる仕事を発見できるサイトで、満足度の高いマッチングを実現できることで評判となっている。
 「個人主体の考えは、事業内容だけでなく当社の人材育成ポリシーにもなっています。それを象徴しているのが、パラレルワークの推奨です」(加藤社長)

body1-1.jpg「自分の人生は自分でデザインするものです」加藤健太社長

社員の複業をすすめることで本業にも大きなメリット

 一般的に企業は、社員の複業を認めない。それを認めたら本業に専念できない社員が出現し、組織に悪い影響をもたらすからである。ところが、同社ではあえて複業をすすめている。実際、本業のスキルを活かしてWebプランナーをしている社員もいれば、防災に関する講演や執筆を行っている社員など、複業を持つ社員は全体の半数にも上るという。しかし、いくら個人主義の考えに基づいたものとはいえ、本業が疎かになってしまうのではないかと心配にもなる。
 「パラレルワークを推奨してからは、メリハリがついて残業が減りましたし業績も上がりましたね。何より、コストのかからない人材育成にもなるんですよ」(加藤社長)
 なるほど、複業をこなすには、自ら時間を捻出しなければならないというのが、仕事の効率化に結びついているというわけだ。加えて、複業を通して一から事業を起こす苦労や経営者感覚を身を持って知ることにもなる。これにより、社員教育にかかる莫大なコストもセーブできるという副産物もあるという。
 このパラレルワーク制度のもとで大きな成長を遂げているのがカスタマーサポート担当、入社3年目の山崎俊彦さんだ。この山崎さん、以前勤めていた会社で倒産という辛酸を舐めた、いわゆる苦労人。
 「倒産を知らされたのはわずか1か月前のことですよ。突然、勤め先がなくなってしまうというのを経験すると、何もかも信じられなくなりますよね。結局、信じられるのは自分だけ。そんな思いを抱えて就活する中で、弊社のパラレルワークという制度に興味を持ったのです」(山崎さん)
 もっとも、その時は複業ができるのは心強いなという程度で、具体的な考えがあってのことではなかった。とりあえず、前職で身につけたカストマーサポートのノウハウを活かせると同社への入社を決めた。パラレルワークを具体的にイメージするようになったのは、入社1年目のこと。突き動かしたのは周囲を取り巻く同僚たちの働く姿勢だった。 
「社員一人ひとりのスキルが高いのはもちろん、プロとしての意識が高い方たちばかりだったんです。それを目の当たりにして私も一人前にならなくてはと触発されました。そんな人は決まって副業を持っていたんです。そんな仕事人たちに刺激され、自分でもやってみたいという気持ちが大きくなっていったんです」(山崎さん)
普通なら、何かをやりたいと思っても、大抵は考えるだけで終わってしまうもの。事実、それまでの山崎さんもその典型だったと吐露する。まさに環境が変われば人も変わるという好例。職場環境が山崎さんの背中を押したのだ。

body2-1.jpg「私と妻とペットの次郎、家族三人で経営しています」と副業を語る山崎さん

パグの洋服のネットショップをオープンした山崎さん

 起業の題材はごく身近にあった。飼っていたパグの服を、妻と手作りしたことにヒントを得たのだ。思い立つとすぐさま行動を開始した。カスタマーサポートという職業柄、山崎さんは、最低限のプログラミング知識は持っていた。しかし、実際に一からサイトを構築してみると分からないことが次々に出てきた。参考書と首っ引きになりながら、2013年の12月、ついにパグ専門のオーダーメイドアイテムを販売するネットショップをオープンした。言わずもがな、中々注文は入らなかったが、それは覚悟の上のこと。サイトをまめに更新し、メルマガの配信や独学でネットショップの検索性を上げるSEO対策も講じた。次第に注文が入るようになるが売上は2~3万円。それでも、妻とふたりで生地を選び、デザインした手作り商品が売れたことに、これ以上ない喜びを感じたと振り返る。
 やがて、パグ専門という珍しさや手作りの温かみが受け入れられはじめ、売上は微妙に右肩上がりを続け、現在では月に平均して25万円ほどの売上という。副業としてはまずまずといいながらも、売上以上に大きなものを得たと山崎さんは笑みをこぼす。
 「ある飼い主の方に、パグのアレルギーが酷くて困っていると相談されたんです。写真を見たらハーネスにこすれる部分の毛が抜けていて痛々しい状態になっていました。なんとか肌に合ったハーネスを作ってあげようと夫婦で試作品づくりにチャレンジ。肌に触れる部分を柔らかい素材にしてみたり、腕を通す部分にオーガニックコットンを使うなどして、試行錯誤の日々でした」
 でき上がったハーネスを送ると、間もなくお礼のメールと写真が届いた。そこには綺麗な毛並みのパグが写っていた。
 「その方とは今でも交流があります。副業を通じて広がった人との縁は、貴重な財産になっています」(山崎さん)
 本業のカスタマーサポートはいわば、つくり手とユーザーの繋ぎ役だが、複業ではつくり手にもなる。つくり手の気持ちを知ることで、カスタマーサポートに一層、身が入るのはいうまでもない。さらに、本業では、相手は見えない。しかし、この複業経験が電話や画面の向こうの顧客の姿をイメージさせるきっかけになった。それがサービス向上につながっているのはもとより、パラレルワーク制度が人材育成に役立っていることを証明する好例といえよう。

body3-1.jpg迅速かつ丁寧を心がけている、カスタマーサポートの仕事

編集部からのメッセージ

ローカルプレナー


 エンファクトリーの事業目的は「ローカルプレナー」の活躍の場をつくることである。ローカルプレナーとは専門家やフリーランスはもちろん、企業に勤めながらも副業やNPO活動などの自己実現に向けた活動をする人たちのこと。ただ会社に勤め、淡々と日々の業務をこなすのではなく、どう生きるべきかを自分なりの価値観のもと確立し、それに向かって行動できるローカルプレナーの時代が来ると加藤社長は話す。

edit-1.jpg社員と同じオフィス内で社長自らも働くedit-2.jpg

独立したらビジネスパートナー。フェローという働き方


 個人の主体性を尊重する同社では独立する人が少なくない。しかし、会社との関係がゼロになるのではなく、ケースバイケースでビジネスパートナーになるフェローを選択できるという。例えば、日本の伝統的なものづくりを体験できるワークショップなどを展開する会社を立ち上げたケースでは、つくり手の情報を相互に共有し、ときには取引先を紹介することもあるという。会社に縛られない新しい働き方のひとつといえる。

  • 社名:株式会社エンファクトリー
  • 設立年・創業年:設立年2011年
  • 資本金:1000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 加藤健太
  • 従業員数:23名(内、女性従業員数11名)
  • 所在地:150-0034 東京都渋谷区代官山町20-23
  • TEL:03-6869-6801
  • URL:http://enfactory.co.jp/
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください