<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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多摩地区 アイキャンディ株式会社

アイキャンディ株式会社 仕事も育児も両立させたい。デザイナーとしても女性としても輝きたい。女性のパワーが活きる会社

アイキャンディ株式会社

仕事も育児も両立させたい。デザイナーとしても女性としても輝きたい。女性のパワーが活きる会社

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多摩地区

アイキャンディ株式会社

仕事も育児も両立させたい。デザイナーとしても女性としても輝きたい。女性のパワーが活きる会社

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女性がイキイキ働くストーリー
仕事も育児も両立させたい。デザイナーとしても女性としても輝きたい。女性のパワーが活きる会社

 女性比率100パーセントというだけあって、アイキャンディが掲げる「女性活躍」は細かなところまで行き届いている。そこで活躍する2人の女性社員の働き方に迫った。

デザインにとどまらない「目のおやつ」を世の中に

 アイキャンディは、広告の企画・デザイン、いわゆるグラフィックデザインを得意とするが、平面なデザインにとどまらず店舗のデザインやイベントの企画、女子力アップセミナーなど、仕事内容は多種多様。領域にこだわらない企業コンセプトは、その社名に込められていた。
 「アイキャンディというのは、『目のおやつ』という意味で、目に楽しいもの、美しいものを世の中に送り出していこうというのが会社のコンセプトです。人の見せ方という意味では、女子力アップセミナーも目に楽しいもの。もともとはデザイン会社ですが、さまざまなことにチャレンジしています」
 会社の指針を語るのは福森加苗社長。前社長から会社を引き継いだときに、社名を変更して、現在のコンセプトをはっきりとさせた。それと同時に、徐々に増え始めた女性が活躍できるような環境づくりにも力を入れ始めた。ポイントはただ単に「働ける、働きやすい」というだけではなく、「イキイキできる、輝ける」というところだ。
 産休・育休、No残業デー、各種福利厚生といった一般的なものだけでなく、教育制度やスキルアップ補助といったキャリアアップのための補助や、「身だしなみ研修」「浴衣Day」「プロフ写真撮影」「女子のわがまま休暇」「ランチ支給」など女性ならではのモチベーションアップの工夫もなされている。もともと社内の女性向けに始めた、こうした取組を社外向けにアレンジしたものが女子力アップセミナーというわけだ。
 2015年には女性活躍推進法が可決され、国や社会全体で女性の活躍を推進していく時代、女性の視点でつくられた女性がイキイキできる働き方の提唱が果たす意義は大きい。

body1-1.jpg福森加苗社長。明るくサバサバとしたキャラクターで社員から慕われる

スキルアップの果てにたどり着いたアイキャンディ

 女性活躍を謳うアイキャンディの2人の女性社員の働き方を追跡した。一人目は営業やイベント企画を担当する吉住悟子さん。15歳と2歳の子を持つワーキングマザーであり、同社にたどり着くまでの経歴は実に波乱万丈。
 学生結婚と出産を経験し、卒業後3年は育児に専念していたが、同世代の友人が働く姿に刺激を受けて働きたい気持ちを強くする。そこで近所のコンビニのバイトを始めるのだが、ここから怒涛のキャリアアップを果たしてくことになる。
 まずコンビニに同世代の会社員が買い物に来るのを見て、事務職に憧れを持ち、パソコン教室に通い始める。ワードやエクセルといった基本ソフトの使い方を覚えて事務職に転職するも、単調な作業ではすぐに物足りなくなり、今度はより専門性の高いソフトを使えるようになろうと、CADを扱う設計会社に転職。 CADを一から覚えながら、フォトショップやイラストレーターといった画像ソフトも扱えるようになっていった。子どものアルバムを作るなど、プライベートでも画像ソフトを使ううちに楽しさを覚えると、次第にデザインに関わる仕事をしたくなり、自宅の近所にあったアイキャンディに行き着いた。
 「デザインを専門的に勉強したわけではありませんが、お客様からヒアリングしたイメージを自分なりに噛み砕いてデザイナーと共有し、上がってきたものをさらに揉んで、お客様の要望通りのものが仕上がったときは、自分も制作に携わっていることを実感できます。それで『集客が増えたよ』とお客様から喜んでもらえれば、最高ですね」(吉住さん)
 デザイン会社の営業には高度、かつ全方位的な知識が求められる。特に同社のようにポスターからポップ、野立て看板、名刺といったグラフィックデザインに加え、イベント企画など幅広い分野を扱っていればなおのこと。媒体ごとそれぞれに適した紙質や印刷の手法、工程管理、マーケティングなどの知識が必要になるのだ。しかし、勉強好きだという吉住さんは、そんな現状に充実感を覚えているという。
 「作業が簡単すぎたり、単調だったりするとすぐに飽きてしまいますが、ここは毎日新しいことが起きるので充実しています。やっと満足できる仕事に出会えました」(吉住さん)

body2-1.jpgデザイナーとのやり取りする吉住悟子さん(右)。制作に携わる実感を味わえる貴重な時間

自分なりの生活サイクルで仕事と育児を両立

 子育てと仕事を両立させバリバリ働いている吉住さん。その秘訣は、家族との役割分担をしたうえで、自分なりの生活サイクルを組み立てることだときっぱり。
 「どんなに仕事が残っていても保育園の迎えの時間は決まっています。その為、夜は子どもと一緒に早めに就寝し、朝の時間を有効活用するように工夫しています。朝の段取り次第で一日が左右されますからね。前日に残した仕事は朝にすっきり終わらせるようにしています」(吉住さん)
 子どもの身支度は何かと時間がかかるもので、自分の朝時間をつくるには、5時半に起きないと間に合わない。早朝から夜遅くまで、子どもの世話と仕事に追われては疲れきってしまうが、そこは夫との役割分担。夜は子どもの世話を夫が担当することで、夜は楽しく子どもと接せる時間になるのだという。
 また、実家の母親も夕食の支度を引き受けてくれるなど心強い味方。吉住一家はそれぞれの仕事や学校が終わると、実家に集まり一家団欒の時間を過ごす。帰宅後の夕食の支度と片付けを省けるのは、大助かりますと笑みをこぼす。頼れるところを頼ることで、ワークライフバランスを保つ生活のサイクルがつくれるというわけだ。
 「子どもの都合で突然、病院や三者面談に行かなければならない場合でも、言えば気軽に仕事を抜けさせてもらえる会社の雰囲気にも感謝しています。家庭と仕事を両立させる生活は家族との役割分担と、会社の理解があって初めて成り立つものです。もう少し余裕が出たら、趣味の時間も取れるようにしたいですね。以前習っていた空手を再開したいです」(吉住さん)

body3-1.jpg女性同士、打ち合わせも明るく楽しく盛り上がる

デザイナーとしても女性としても輝ける会社

 二人目は若手デザイナーの寺井めぐみさん。デザイン学校に在学時、会社説明会で目にした社長や先輩社員の姿に、働く女性のかっこよさを感じ、入社を決めた。
 「社長や先輩社員が憧れられる女性たちだったことに加え、仕事に関しては厳しそうだったのも決め手になりました。はじめは厳しい会社で鍛えられたいという思いがあり、ここならデザイナーとしても女性としてもレベルアップできると感じました」(寺井さん)
 現在はアミューズメント業界をメインにチラシやポスターなどの制作物を担当している。一般にデザイン会社では顧客とデザイナーの間に営業が入って互いの要求を整理することが多いが、寺井さんは直接顧客とやり取りすることも少なくない。
 「お客様は頭の中に伝えたいイメージがあっても全て言葉で伝えられないこともあります。いわば片言の言葉で会話をしているような状態です。その伝えたいメッセージをお客様とのコミュニケーションの中から聞き取って形にする、つまり翻訳するのがデザイナーの仕事だと思います。相手の気持ちをうまく表現できて『こういうことだったんだよ!』と言ってもらえると幸せですね」(寺井さん)
 デザイナーというと、黙々と作業をしているイメージがあるが、核となるのはこうしたコミュニケーション能力。寺井さんは人前で話すことも好きだといい、毎年地元の小学校で職業講演を行い、また、企業向けのデザイン講師も予定されているなど、デザイナーという仕事を発信していくことにも積極的だ。デザイナーの存在は普段、あまり意識されることはないが、人に親しみを持ってもらえるような身近なデザイナーを標榜する。それを後押しするのが、育児をこなしながらもバリバリ働く先輩社員の姿。自分も同じようにやっていけるという希望を抱いているという。
 目標とやりがいをもって仕事に臨むイキイキとした姿が印象的な吉住さんと寺井さん。女性比率100パーセントのアイキャンディが作る女性活躍の環境は、制度だけを整えた言葉だけの女性活躍とは一味違った。こうした踏み込んだノウハウが広まれば、もっと日本社会を明るく盛り上げてくれそうだ。

body4-1.jpg寺井めぐみさん。デザイナーとして働ける幸せを感じながら、日々勉強

編集部メモ

吉住さんの仕事の心がけ

 営業はデザイナーの進捗管理も仕事のうち。つまり、営業の采配次第でデザイナーが定時に帰れなくなることもあり得る。加えて、子育てをしていると、急な事情で仕事を休まなければならなくなることも珍しくない。それを上手にさばくには、より綿密なスケジュール管理が必要になる。
 「一日前行動に尽きますね。折込日等の決まっているチラシの案件では、デザインの校了日と印刷所への入稿日が同日になることが多いのですが、それでは何かしらのトラブル発生時に対応が間に合わない可能性があります。1日前に仕上げておくことで、余裕をもって確認の時間を取れますし、何か緊急の用事が入っても慌てずに対応できるようにしています」(吉住さん)

デザイナーのやりがいとは?

 顧客とデザイナーが直接やり取りをすると、反応がダイレクトに返ってくる。それが喜びになることもあれば、反省の念に駆られることにもなるという。
 「一番ショックだったのは、寝る間も惜しむくらい気合いを入れてつくったデザインをお客様に見せたら『疲れてる?』と。作品を通して疲れを見抜かれるなんてプロ失格だと、思わず涙がこぼれてしまいました。しかし、泣いていても仕方がないので気持ちを一気に切り替え、まずはいろいろな本や作品からインプット。そしてこれだと思うアイデアを翌日に持っていったら『最高!』と言ってもらえて感激しました」(寺井さん)
 もう出ないと思ったところから絞り出せた瞬間に、デザイナーとしての達成感に浸れるのだという。そんな醍醐味に満ちた環境に身を置けば、自ずとステージはアップするに違いない。

  • 社名:アイキャンディ株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 1993年
  • 資本金:2,000万円
  • 代表者名:代表取締役 福森 加苗
  • 従業員数:15名(内、女性従業員数15名)
  • 所在地:193-0832 東京都八王子市散田町3-4-19
  • TEL:042-664-8347
  • URL:https://eye-candy.co.jp
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください