<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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城南地区 株式会社エフスタイル

株式会社エフスタイル 理系学生の新たな働き方。医療、科学分野で活躍するメディカルチーム

株式会社エフスタイル

理系学生の新たな働き方。医療、科学分野で活躍するメディカルチーム

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城南地区

株式会社エフスタイル

理系学生の新たな働き方。医療、科学分野で活躍するメディカルチーム

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女性活躍ストーリー
理系学生の新たな働き方。医療、科学分野で活躍するメディカルチーム

 紙やWebを問わず、多くのコンテンツや広告物を手掛けるエフスタイル。中でもメディカルチームの制作物は他社と一線を画すクオリティを誇る。

命や健康に携わる仕事

 ポスターやパンフレットといった広告物は、広告主から広告代理店に発注され、コピーライティングやデザインといった制作物は制作会社が作成する。制作に当たっては代理店も深く関与するが、制作会社の力量に頼るところは大きく、取り上げる製品の特性を理解することはもちろん、クライアントの要望や代理店の意向をしっかり把握して制作に当たる必要がある。いくら綺麗なポスターを作ったとしても、そこに広告主や広告代理店の意向が反映されていなければ、次がないといったこともあるシビアな業界。その中にあってクライアントからの厚い信頼を得て多くの制作物を世に送り出しているのが南青山に本社を構えるエフスタイルだ。これまでに大手企業や官公庁・大学などの案件も数多く手掛けているが、群を抜いて多いのが製薬会社や医療機器メーカーといった医療分野。これには理由がある。同社には生命科学で修士や博士を取得した人や日本メディカルライター協会の会員、あるいは歯科衛生士の専門学校で講師をしていた女性など、医療や科学のバックボーンを持つ人材で構成された専門のメディカルチームがあるのだ。
 「その分野で権威のある先生に取材をしたり、学会に出席したりしますし、時には裏付けとなるエビデンスを探すために英語の論文を精読することも求められますから、とても付け焼き刃で対応できるものではありません」と話すのはチームリーダーの関本さん。自身も学生の頃には化学を専攻していたいわゆる“リケジョ”で、医療系の広告には15年以上携わってきた。
 「特に多いのが製薬会社の案件です。これには一般の方向けのものと医療従事者向けのものがあります」
 一般向けというのは病院のラックに置かれる冊子やWebサイトなどで、例えば骨粗しょう症や高血圧といった病気の予防を啓蒙するようなもの。一方の医療従事者向けは、製薬会社のいわば営業であるMRが医師に渡すパンフレットなどである。
 「薬は言ってしまえば単なる化合物。使用方法や効果効能といった基本情報、それに臨床試験結果などのエビデンスが付いてはじめて医薬品になるのだと思います。万が一にも間違ったことは書けませんから神経を使いますが、その分、達成感はひとしおです。何より人の命や健康に貢献できることにやりがいを感じています」
 そう話す関本さんは同社の創業メンバー。関本さんをはじめとする創業メンバーと宮田社長が出会ったことがきっかけでこの会社は誕生したのだという。

body1-1.jpg取材をする関本さん

決められた道を進みたくない

 石川県金沢市生まれの宮田社長は自らの子ども時代を「ちょっと変わっていた」と振り返る。聞けば周りの女子生徒がアイドルに夢中になるなか、宮田社長が心奪われたのは豊臣秀吉。女子にしては何とも渋い趣味だが、男子生徒と戦国時代や三国志について話すのが楽しみだったという。そんな宮田社長の心にはいつしか、決められたレールを進むような人生は送りたくないという思いが生まれていたと話す。
 「就職活動は東京で行いました。地元に残って結婚して子どもを生んでという道もあったのでしょうが、ずっと同じ所にいるよりも、もっと色んな世界が見てみたいと思ったんです」
 電子部品メーカーに就職しプレスリリースなどの仕事をしていたというが、かねてからの希望だった出版業界への憧れが募り、大手広告代理店に転職。そこで編集制作の仕事に邁進していたが、出産を機に代理店を退職した。
 「出産後、勤めていた会社に子どもの顔を見せに行ったら、暇なら手伝ってよと言われたんです。それから自宅で原稿を書いて週に1回、会社に納品しに行くいわばフリーライターになったんです」
 ライターとしての仕事をこなす傍ら、同じように在宅ワークをしている、あるいはこれからやろうとしている人に役立つ情報を発信したいと在宅ワークに関するホームページを立ち上げた。これが運命を大きく動かした。メディアに取り上げられたことも幸いしたちまちのうちに多くのアクセスがあり、2002年にはフリーとして活動している人を支援するフラウネッツという特定非営利活動法人を立ち上げるまでに発展したのだ。
 ここに参加したのが関本さんだった。もともと医療やサイエンス系のコピーライターをしていたが、出産を機に専業主婦になっていたという。それから10年ほどのブランクがあったが、フリーとしての活動を模索。しかし、フリーといっても仕事が簡単に見つかるはずがない。そこで見出したのがフリーの活動を支援するフラウネッツだった。時間をおかず宮田社長と一緒に仕事をするようになった。仕事は右肩上がりで、2007年にエフスタイル設立に至ったという。関本さんは社長との出会いをこう話す。
 「私は一番上に立って人を先導するタイプではないんです。宮田は頼りがいがあって道を示してくれるタイプ。私は示された道を実現化に向けてあれこれ考えるのが得意なんです」
 出会うべくして出会った二人といえよう。そんな同社のメディカルチームでは入社2年目の新人社員も活躍している。

body2-1.jpg創業の経緯を語る宮田社長

この仕事を多くの人に知ってほしい

 メディカルチームで製薬会社のパンフレットやさまざまな病気の啓蒙記事を執筆・編集する社員の方。同社を「社長とも普通に世間話ができるアットホームな会社です」と話し、「やりたいことがあったらどんどんやらせてくれるのでやりがいは十分」と意欲満々に語る。原稿を書く上では読者の違いによって表現を変える工夫をしているという。
 「医療従事者向けであれば専門用語を使っても通じますが、一般の読者には通じません。ですから読み手によって使う言葉を選んだり表現を柔らかくしたりしています。また、啓蒙といっても、『こうしなさい』と上から押し付けるよりも、『こういう悩みがありますよね』という風に寄り添うような立場で書いたほうが読者に届くと思うので、書くときの姿勢にも気をつけています」
 そんな社員さんは大学院時代には再生医療の分野で研究を行っていた。学んだことを仕事に活かしたいという思いが強く、研究職を中心に就職活動をしていたが、なかなか決まらなかったという。
 「大学院で取り組んでいた研究は、すぐに結果に結びつかなくても将来役に立つであろうというものでした。それだけに、利益を追求する企業には理解されにくかったんです。そうした研究のギャップに悩み、就職活動へのモチベーションが落ちていたのも確か。そんな時に出会ったのがエフスタイルです。ここには学んだことを活かせる仕事があり、情報を発信することで多くの人の健康を守れると思ったんです」
 分からないことが分かるようになると嬉しいという根っからのリケジョだ。取材や学会などで各方面の最先端医療に触れられるのも、この仕事の楽しさの一つと話す。前述の関本さんは「理系のバックグラウンドを活かして情報を発信するというこの仕事はまだまだ知られていません」と話す。学生時代に研究室に所属していても就職先が見つからず他分野の仕事に就く学生は少なくない。この仕事は、そうした理系学生たちの新たな働き方になるかもしれない。

body3-1.jpg「この仕事には、知らなかったことを知る喜びもあります」と話す社員

編集部メモ

子どもがいるから日々が輝く

 宮田社長は女性のキャリア支援活動も行っている。
 「将来、結婚や子どもができたら仕事が続けられなくなってしまう、あるいは続けられても大変だろうと考えている人が多いと思います。私もそう思っていましたが、実際は違いました。子どもの顔を見れば嫌なことを忘れますし、子どもがいるから毎日楽しい。子どもがいるから働けるんです。発想の転換をして、結婚や出産といったライフイベントを楽しみにしてほしいです」
 同社には育児をしながら働いている従業員が少なくない。こうした理解ある職場であれば将来の不安なく働いていけるに違いない。

edit-1.jpgメディカルチームの研修風景edit-2.jpg社員旅行は子どもの同伴OK
  • 社名:株式会社エフスタイル
  • 設立年・創業年:設立年 2007年
  • 資本金:1,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 宮田 志保
  • 従業員数:16名(内、女性従業員数16名)
  • 所在地:102-0073 東京都千代田区九段北1-14-16PILE KUDAN 5階
  • TEL:03-3478-0365
  • URL:https://www.fstyle-ltd.jp/
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください