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株式会社ふらここ

株式会社ふらここ お客様が本当に求めているものは何か。可愛らしい顔にかけた伝統文化継承の思い

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お客様が本当に求めているものは何か。可愛らしい顔にかけた伝統文化継承の思い

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お客様が本当に求めているものは何か。可愛らしい顔にかけた伝統文化継承の思い

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伝統文化継承ストーリー
お客様が本当に求めているものは何か。可愛らしい顔にかけた伝統文化継承の思い

 思わず顔がほころんでしまうような柔和な丸顔に、パステルカラーの淡い衣装。ふらここが手掛ける雛人形と五月人形は、伝統文化に関心の薄い若い世代をも魅了する。

商人の創意工夫が伝統文化を守る

 季節の節目を祝う節句。中でも3月の桃の節句と5月の端午の節句は、それぞれに雛祭り、こどもの日として知られ、雛人形、五月人形を飾って子供の成長を祝う風習は多くの家庭で受け継がれている。雛人形は源氏物語や枕草子にもその記述が見られ、五月人形も奈良・平安時代が起源とされている。古くから受け継がれてきた伝統だけに、その人形も格式高い伝統的美意識を取り入れたものが一般的だが、ふらここが作る人形はそれらと一線を画す。まん丸としたほっぺにつぶらな瞳とはにかんだような口元、ちりめんや金襴などの伝統的な織物をパステル調の淡い色合いで仕上げた衣装、インテリアとの相性を考慮し、優しい形と色目にこだわった台座。赤ちゃんをモチーフにしているというその小さな人形は、とりわけ若い世代の母親から絶大な人気を獲得している。
 伝統への挑戦ともいえる人形を生み出したのは、人間国宝である人形師の祖父と人形作家の母を持つ原英洋社長だ。老舗人形店の3代目として生を受けた原社長は、その人形店で販売員として店頭に立っていたが、2008年に一念発起し独立。顧客が本当に求めているのは何かを追求した。
 「雛人形や五月人形は一昔前まで祖父母が孫に送るのが主流でした。ですから高級感があって格式高いものが好まれたのですが、近年は若い母親が決定権を持っているケースが顕著で、手に取るのは可愛いものや愛らしいものなんです。そこでより可愛らしい人形を作ろうと提案していたのですが、伝統を重んじる社風や職人さんのプライドもあって中々意見が通りませんでした」
 2008年4月に独立した原社長は、その年の11月の販売シーズンに合わせて人形作りに取り掛かった。顔のイメージはすでに持っていた。あとはそれを人形職人に伝えて形にしてもらうだけだった。ところが中々注文通りの試作が上がってこなかった。
 「従来の人形は繊細な目鼻立ちが特徴的で、その彫りの造形に職人さんはプライドを持っています。しかし、私が目指したのは赤ちゃんのような柔らかい表情ですのでできるだけ凹凸をなくしたかった。彫りを取ってください、もっと取ってくださいと何度もやりとりして、『これ以上取ったら顔じゃなくなるよ』と言われても妥協するわけにはいきませんでした。その頑固な姿勢を貫いた末にやっと理想の顔に辿り着いたんです」
 可愛らしい顔と淡く優しい色調の衣装、加えて昨今の住宅事情や片付けやすさを鑑みて、十五人飾の大きなものでも横幅50cm前後のコンパクトサイズで売り出すことにした。きっとお客様は喜んでくれると思うときもあれば、もしかしたら自分の思い込みかもしれない、そう思うこともあった。揺れ動く心情のままに迎えた11月。用意したのは雛人形200セットと五月人形100セットだ。
 「本当にありがたいことに完売しました。私がやってきたことは間違いではないのだと、お客様が望むものを作れば手に取って頂けるのだと確信した瞬間でした」
 全て職人の手作りなので急激な増産はできないというが、創業以来増産し続け、今年の11月には雛人形2500セット、五月人形1500セットを用意。毎年、全ての商品を完売しており、今年は11月1日の販売初日に550件以上の注文が入ったという。つまり、販売を待ちわびるふらここのファンが大勢いるというわけだ。
 「桃の節句も端午の節句も1000年以上続いているといわれている伝統文化です。伝統文化は生活に根ざしてこそ文化といえるのであって、それなくしては形骸化していると言わざるをえません。文化を人々の生活に浸透させるその役割を担うのは、私は商人ではないかと思っています。これからもお客様の声に耳を傾け、望まれるものを作り、人形文化を後世に繋いでいきたいと思います」
 伝統を受け継いでくれる若手社員の採用も積極的に行っているという。

body1-1.jpg創業からの軌跡を話す原英洋社長

製販一体で消費者の声を反映させる

 全くの異業種で働いていた製造部商品企画課の一人は、メーカーのようにものづくりに携わる仕事をしたいと考えるようになった。そこで、未経験でも製作に携われるふらここに入社したのだという。
 「新作の製作が主な仕事です。衣装から屏風、台座まで企画をします。お客様の声が貴重なヒントになりますね」
 人形業界は職人が作った製品を販売店が仕入れて店頭に並べるというのが一般的な図式という。つまり製販が完全に分離しているため、消費者の声が届きづらい仕組みになってしまっている。その点、製造から販売までを一貫して手掛けるふらここでは、ニーズに即したものづくりができるというわけだ。
 「例えば今年はガラスケース付きの雛人形を製作しました。ケース付きのものは今まであまり作っていなかったのですが、ペットを買っているお客様や埃が気になるというお客様から、ケース入り商品に関するお問い合わせが増えているように感じました。」
 そうした声をヒントにイメージを膨らませ形にしていく。その過程がこの仕事のやりがいと話す社員。同社にはこのようにやりがいを持って働く女性が少なくない。

body2-1.jpgガラスケース付きの雛人形

従業員と作成した社内制度

 顧客からの注文や問い合わせ対応、ホームページのリニューアル作業などを担当している販売部販売管理課の一人は、ふらここの良さをこう話す。
 「社員同士の仲が良いので、人間関係で悩んだことがないことですね。従業員全員で作成した社内制度の効果も大きいと思います」
 この社内制度がじつに従業員本位。まずは、どんな会社であればやりがいを持って働き続けられるかという質問を全員に投げかけ、そこで集まった声をベースに、原社長と外部アドバイザー、そして従業員が1年以上をかけて、「職務資格制度」、「評価制度」、「給与制度」、「研修体系」、「福利厚生体系」の 5つの柱で構成された社内制度を作り上げたという。それだけに中身がとても明確。たとえば、昇給や昇進がどのように決まっているのか不明確なので、具体的な評価基準を設けてほしいという要望を受け、「担当する仕事の流れと大切なことをほぼ理解できている」、「ふらここ全体の仕事を熟知し、全社的な視点で複数部門の仕事の改善・改革を行っている」といった細かな評価基準を明確化している。
 「これまではこぢんまりとやってきましたが、次第に社員数も増えてきているので、こうした社内制度や情報共有のための社内ネットワークも整備していきたいです。良い製品をどんどん生み出すのも大切ですが、従業員の方々がストレスなく働ける環境づくりも大切だと思うんです」と話す社員。誰に言われたわけではなく、自主的にそう考えているのだという。社員が自発的に会社を良くしたいと思えて、会社もその意見に耳を傾けてくれる。働きがいのある会社づくりは着々と進んでいるようだ。

body3-1.jpg社員同士のコミュニケーションが活発に行われています。

編集部メモ

値引きをしない理由

 値引きをする人形店がある中で、原社長は創業当初から値引きを行わないと決めていたという。
 「最初から値引き前提の価格設定であるとすれば、それは何よりもお客様に対する誠意に欠けます。言ったもの勝ちで、そうしたことが言えないお客様が損をするなんていうのは明らかに間違っています。だから、弊社は創業以来、掛け値なしの正札主義を貫いているんです」
 こうした誠意ある姿勢が多くのふらここファンを生んでいるのは間違いない。

edit-1.jpg可愛らしい顔が特徴のふらここの雛人形edit-2.jpgふらここの人形は一つひとつ手作り