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中央・城北地区 株式会社ハヤト・インフォメーション

株式会社ハヤト・インフォメーション 自動認識技術を駆使した製品づくりで社会をより便利で快適に

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自動認識技術を駆使した製品づくりで社会をより便利で快適に

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株式会社ハヤト・インフォメーション

自動認識技術を駆使した製品づくりで社会をより便利で快適に

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最先端技術開発ストーリー
自動認識技術を駆使した製品づくりで社会をより便利で快適に

 ICタグの草創期からその可能性に着目し、様々な形でシステムを開発してきたハヤト・インフォメーション。最先端技術にチャレンジしてきたスタッフの軌跡をたどる。

いち早くICタグに着目して自動認識ソリューションを開発

 通勤や通学で欠かせないSuicaやPASMOを知らない人は少ないだろう。しかし、多くの人が改札を抜ける時、ゲートにカードをタッチさせているのではないだろうか。実はこのカード、非接触ICカードといって、指定の位置にかざすだけでOKという優れものなのである。まさに魔法のような技の秘密はNFCタグというICタグ。そこには区間や期限をはじめとした様々な情報が書き込まれていて、自動改札機でかざすだけでICリーダーが読み取るという仕掛けなのである。
 こうした電波を利用した非接触型認識技術は、一般的にRFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれ、社会の様々な場面で使用されている。例えば、製造業では部品などにICタグを貼り付けて生産管理や在庫管理を行い、アパレル業界では洋服に貼ることで棚卸しに活用。以前のように洋服を一枚ずつ確認する手間が省けるようになった。さらにイベントでも紙のチケットの代わりに使用するケースも増えている。
 このRFIDのシステムをいち早く開発してきたのが、ハヤト・インフォメーションである。その発端は、同社のエンジニアである佐野誠一さんが大手カメラメーカーの仕事を受けたことに始まる。
 「お客様から『ICタグというものがあるらしいが、それを利用して何かできないか』という相談があったんです」
 ややもするとSEの仕事とはかけ離れているような感もあるが、佐野さんはその話に興味津々。早速、ICタグとリーダーを購入し試行錯誤を始めた。2003年のことだった。JR東日本でつぎはぎだらけのSuicaを導入したのが2001年だったことを考えると、この取り組みはかなり早い方といえよう。
 もっとも、開発にとっぷりという待遇が与えられたわけではなかった。あくまでも仕事の合間を縫いながらの開発作業。それでも足掛け4年、2006年にレンズ部品の在庫管理システム「MANICA」を完成させ、その後所在管理システム「MANICAトレイサー」を完成させた。これをわかりやすく家庭で例えると、印鑑は仏壇の引き出し、通帳類は和ダンスの一番上の引き出し、冬物の下着は押入れの右下ボックスとかの情報、つまり家のどこに何が保管されているかを管理するシステムということになる。
 「MANICAトレイサー」が活用されるのは部品などを検品する工場や倉庫。大型の機械ともなれば、部品はそれこそ万単位にものぼる。それら一つ一つをノートやパソコンで整理するのは煩雑極まりない。そんな悩みを抱える工場・倉庫の各部屋の入口にリーダーを取り付けると、いつ、何時、どの部品が収納されたかを記録してしまうのである。それだけではない。どの部品も組み立て前に検品という工程を踏む。「MANICAトレイサー」は検品前、検品済みの住み分けはもちろん、どの検品工程で部品が滞留しているのかも一目瞭然にしたのである。

body1-1.jpgICタグを利用した自社製品の生みの親である佐野誠一さん

メーカーからアパレルまで幅広い業種にRFIDを提供

 2006年の完成の裏にはもう一つの理由があった。電波法の縛りで、RFIDが利用できる周波数での通信距離は70㎝ほどでしかなく、離れた距離にある物体は認識できなかったのだ。それが2006年の電波法の改正によって「UHF帯」と呼ばれる周波数が使えるようになり、通信距離が5~10mと長くなり、離れた距離からもICタグの情報が読み取れるように進化したのだった。
 しかも、直進するだけだった電波が回りこめるようになったため、例えば、箱詰めの商品や棚の奥にある商品も正確に読み取れるようになった。
 「MANICAトレイサー」は、その後、「MANICA」シリーズとして発展していく。現在では店舗・物流管理パッケージの「MANICAリテール」、イベントに対応した「MANICAイベント」など、多彩な自社パッケージ製品がラインナップされている。同社のパッケージ製品を利用する業種も様々で、メーカーや大手アパレルメーカーだけでなくテレビ局、大学などでも導入している。
 「RFIDの可能性を信じて諦めずに開発をしてきたのが功を奏しました。ICタグやリーダーなどのハード製品を開発している大手メーカーは多いのですが、そうした機器を使ってシステムをプログラミングする会社は少ないのが現状です。その点、当社は多くのお客様のシステムを手がけてきたので、課題をヒアリングし、それを解決できるノウハウが蓄積されており、お客様に頼りにされています」
 そう語る佐野さんからは、ICタグが登場した当初から開発を進めてきたエンジニアとしての喜びが読み取れる。

body2-1.jpg幅広い業種にRFID関連のシステムを提供するハヤト・インフォメーションの受付

子ども向けの普及活動など便利で快適な生活に寄与する

 RFIDの一形態であるNFCタグもさらなる飛躍の可能性が期待されている。
 「これまでNFCタグは、B to Bでのニーズが多かったのですが、最近はB to Cのニーズも高まっています。例えば、NFCタグを冷蔵庫の扉につけるマグネットに貼ると、スマホをかざすだけでネットスーパーの画面に飛ばすことができたり、洗濯機に貼れば同製品の取扱説明書ページに飛ばすこともできます。いちいちWebサイトにつなぐ手間がなくなるわけです。どれもNFCタグに所定のURLを書き込むだけで簡単にできます」
 生活の中でのNFCタグの利用方法を説明するのは同社の大坂泰弘さんだ。佐野さんが開発のキーパーソンなら、大坂さんは営業部門の中心的な役割を担っている人物。展示会への出品やセミナーを開催して、NFCタグを利用した快適な生活スタイルの提案を行っている。家電での使い方以外にも、傘に貼っておきスマホで読み込めば、忘れた時に知らせてくれるといった使い方も可能だという。
 「まだまだ一般に知られていないNFCタグの可能性を広く知らせることで、今後の需要の拡大を狙っています。子供向けのイベントでは、自由研究のテーマになるよう簡単なNFCタグが通信する仕組みを利用してLEDが点灯する装置を作るなどNFCタグが通信する仕組みをわかりやすく紹介しています。当社の製品を通して、子どもたちがテクノロジーに興味を持ってくれるとうれしいですね。」(大坂さん)

body3-1.jpgNFCタグの活用方法を広める活動を精力的に行う大坂泰弘さん

ビッグデータの活用で、新たな領域に挑戦

 身近な生活用品におけるNFCタグの活用も進めているハヤト・インフォメーションが、今後の事業として期待しているのは「MANICAビッグデータ分析サービス」だ。例えば、社員の洋服にNFCタグを装着すれば人の動きも把握でき、人手が不足している工程に速やかに人員を補足するといった各工程における人と部品の「見える化」が可能になり、より効率的な工程管理ができるようになる。
 同様に複数のブースを設けたイベントでも、NFCタグを組み込んだリストバンドがチケット代わりに使用されている。このNFCタグが各ゲートを通過することで、各ブースの集客人数、入場ゲート後の人の流れ方、各ブースの滞留時間など様々なデータが収集できるようになる。
 「これらのデータを分析すれば、イベント会場でのブース配置改善などのコンサルティングもできます。NFCタグの可能性はまだまだ広がると考えています。今後はビッグデータを利用した分析サービスにも力を入れ、新たな領域に挑戦し続けていきたいです。」
 そう佐野さんが語るように、RFIDのさらなる可能性に挑戦するハヤト・インフォメーション。小さな企業がICタグの可能性を信じて地道に開発を続けた努力が、今、大きな実を結ぼうとしている。

body4-1.jpgビッグデータを活用したサービス内容について同僚と打ち合わせをする大坂さん

編集部メモ

チャレンジ精神を発揮して新たな製品づくりに挑む

 ICタグの登場と共にシステム開発に乗りだし、現在では数多くの自社パッケージ製品を販売するハヤト・インフォメーション。その間、幅広い業種のニーズを吸い上げて新しいシステムを世に送り出してきた。そして今、新たな課題に挑戦している。それがアパレル店舗の「万引き防止装置」である。
 「万引き防止のために洋服にICタグを貼って、来店したお客様が洋服を手にしたらわかるようにチャレンジしています。現段階では風が吹いても電波が揺らいで反応するために実用化までは至っていませんが、今後は人工知能を利用した実証試験をしながら、認識精度を上げて導入まで持っていきたいですね」(佐野さん)

「社員こそ最大の財産」を有言実行する風土

 ハヤト・インフォメーションの本社は東京だが、ラボと開発センターを沖縄に開設している。実は佐野さんも大坂さんも大半は沖縄勤務。
 「将来的には東南アジアに進出する拠点として機能させたいという会社の方針と、たまたま沖縄好きの社員が多く快適に働けるようにという会社の配慮もあって拠点を作りました。自由な雰囲気の中で、新しいアイディアや発想が生まれています。」(大坂さん)
 技術開発型の企業であるだけに「社員が最大の財産」という考え方を貫くハヤト・インフォメーション。そんな社風も同社の魅力の一つといえよう。

  • 社名:株式会社ハヤト・インフォメーション
  • 設立年・創業年:設立年 1983年
  • 資本金:1億円
  • 代表者名:代表取締役社長 本間 隆
  • 従業員数:19名(内、女性従業員数2名)
  • 所在地:160-0008 東京都新宿区四谷三栄町12-5ライラック三栄ビル
  • TEL:03-5925-8088
  • URL:http://www.hayato.info
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください