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北王流通株式会社 女性も若手もチャレンジできる制度で働きがいのある職場を実現

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女性も若手もチャレンジできる制度で働きがいのある職場を実現

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女性も若手もチャレンジできる制度で働きがいのある職場を実現

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働きやすい制度充実ストーリー
女性も若手もチャレンジできる制度で働きがいのある職場を実現

 関東圏約50万人の食生活を支える、物流会社の北王流通。トラックドライバーと倉庫内の管理を担う社員たちがより働きがいを感じる職場づくりに挑戦する。

円滑なコミュニケーション環境の創出で社内に一体感を醸成

 レストランやカフェ、学校やオフィスの食堂に、いつものメニューが当たり前のように並び、提供されるのはそこに確かな物流があるからである。北王流通は、そんな外食産業の日常を支える食品専門の物流会社である。1980年に先代社長がトラック一台で運輸業をスタート。ていねいな仕事ぶりが評価されて順調に事業を拡大し、10年後の1990年には法人を設立。二代目として古瀬一英社長(取材当時)が経営を引き継ぐと、営業所を増設し1都6県の関東全域をカバーするとともに、冷凍冷蔵倉庫などを備えた物流センターも整備するなど、成長の一途をたどった。現在は顧客のニーズに応えるべく、倉庫内の業務を担う庫内職のスタッフが仕分けや箱詰めを指示通りに出荷し、ドライバーが顧客に荷物を届ける業務に当たっている。いわば完全分担制ではあるが、それぞれが自分の仕事をきちんとこなしていればいいというわけではないと古瀬伸幸人事室室長は指摘する。
 「安全かつ確実に商品を運ぶためには、社内の連携が不可欠です。例えば、庫内作業のスタッフは、配送中の商品破損率を下げるよう意識して箱詰めをしたり、トラックに積み込みやすいよう荷物を並べておくなど、前後の作業工程や周りの人たちのことを考えて仕事をする必要があります」
 そのためにも、それぞれの工程にどんな人が携わっているのかを把握しておくことも欠かせない。そこで大事なのが社員同士のコミュニケーション。ところが、同社は24時間365日体制でフル稼働しており、勤務形態は、時間ごとに担当者が入れ替わるシフト制。そのため、同じ職場にいても、顔も見たことがない、あるいは、すれ違ってもあいさつをする程度で、会話を交わしたことがないというケースが一般化。この状態を放置しておけば、社内はバラバラになり、連携を図ることなど望むべくもない。
 実は10年前までの同社は、そんな状態だった。急激に規模が拡大し、売上げも20億円を突破するまでに成長したが、その分、社内の意志疎通を図ることに四苦八苦するようになってしまっていた。当然ながら、社員同士のつながりが希薄で、そんな職場に帰属意識も湧きづらかったのか、離職率も高くなる一方だったという。
 経営の難しさに直面した古瀬社長は、一時は分社化し、自身は引退することまで真剣に検討するほど悩み抜いたという。しかし一念発起して経営を学び直し、社内改革へと乗り出した。

body1-1.jpg会社が成長する過程で、社員のために制度を整える大切さに気づいたと語る古瀬伸幸室長

社員同士のコミュニケーションの場「ありがとうサークル」を発足

 社員に少しでも長く勤めてもらうためには、働きやすい職場づくりが不可欠だ。そこで初心者向けのトレーニング研修や管理者向けの研修制度を導入して成長の機会を設けた。また、「ありがとうサークル」という名の社内勉強会もスタート。これは全従業員を4~8人ずつのグループに分け、月に一度、グループごとに集まって仕事に関する課題や意見、要望を話し合うというもの。そのような場作りを通して、社員同士がコミュニケーションを図る機会が増えた。
 「導入当初は反発も多かったと聞いています。しかし、続けることで、徐々に社内のコミュニケーションがスムーズになっていきました。『ありがとうサークル』ですばらしい業務改善案がたくさん出て、実際に採用したものも少なくありません」(古瀬室長)
 会社の思惑とまた違った効果も表われた。川崎浮島事業所で庫内職のディレクターとして、作業内容に応じたアルバイトやパートタイマーの人員配置の調整を担当する新入社員の金澤健介さんはこう証言する。
 「『ありがとうサークル』で経営について学ぶことで、コスト感覚が身についてきたと感じています。例えば、仕事量が多いからといって安易に作業員たちに残業をお願いしてしまうと、その分、残業代が発生し、会社としては損失となります。そのため、いかにコストをかけずに作業を終わらせるかに知恵を絞るようになりました」
 自身の成長を実感できてうれしいと、金澤さんの表情は明るい。

body2-1.jpg「仕事をどんどん任せてもらえるのが、やりがいになっていますね」と語る金澤健介さん

仕事を効率化すると手当てが支給される画期的な制度「効率改善手当」

 実は金澤さんが強くコストを意識する背景には、もう一つの制度の存在がある。同社では昨年、仕事の効率を高め成果を出した人に手当てを出す「効率改善手当」という業務手当制度を導入したのだ。この制度は、簡単に言えば、短時間で仕事を終わらせた人ほど手当てが多くもらえるというもの。ドライバーであれば、「ルートの工夫などで配送時間を短縮した」、庫内作業であれば、「より短時間で作業を終わらせた」など、数値で客観的に判断できる業務効率の改善が認められた場合に、手当てが支給されるのだ。
 「労働時間だけでは仕事の質は測れません。しかも、昨今では仕事もプライベートも充実させたいという声が増えて、過剰な長時間労働は敬遠される傾向にあり、それが人手不足にもつながっています。工夫して仕事を早く終わらせた人がきちんと評価される制度を導入しました」(古瀬室長)
 ありそうでなかったこの制度、一生懸命働きたい、社会や職場に貢献したいという思いを持つ一方で、プライベートもしっかり充実させたいと考える若手社員を中心に大変好評だ。

body3-1.jpg古瀬室長は、仕事に熱心に取り組んでくれる社員をきちんと評価する仕組み作りに取り組む

管理職公募制度を利用し女性管理職が誕生

 同社ではさらにやる気のある社員を管理職に登用していこうと、4年前から「管理職公募制度」を導入。いわば管理職の立候補制度で、川口事業所のドライバー職だった鈴木みゆきさんも昨年、この制度を利用し、ドライバー職20数名の運行管理を担うユニット長に就いた。ドライバー歴14年というキャリアを看板に12年前に中途採用されて以来、2トントラックを駆使して、配送業務に携わってきたベテランとはいえ、男社会を彷彿とさせる配送業にあって女性が名乗りを上げるのに躊躇はなかったのか。
 「たしかにドライバー職は、男性の仕事とのイメージが強いかもしれません。しかし、当社には私が入社する以前から女性ドライバーが働いていて、男女区別なく働ける職場環境が整っていたので、男性に遠慮するというのはありませんでしたね」
 と胸を張る。その言葉を裏付けるように、同社では女性ドライバーの活用に積極的だ。その一例として、専属の女性ドライバーが低公害タイプの天然ガストラックで配送する⑤「クローバー便」をお客様にご提案している。その理由を古瀬室長が解説する。
 「配送はサービス業です。荷物をきちんと届けるのは当たり前、さらにお客様に荷物を気持ちよく受け取っていただくための細やかな配慮も欠かせません。その点、女性に利があるのではないでしょうか。しかも、同僚に対しても気配りができるため、職場も明るく和やかになります。正直、1回で運べる荷物の量は男性の2~3割ほど少ないのですが、それを補って余りある長所が女性ドライバーにはあるんです」
 同社では女性社員をもっと増やしたいと、産前産後や育児、看護、介護にまつわる時短・休暇制度を整えるとともに、物流センターによっては、女性専用休憩室を設け、また、女性ドライバー専用の車内そうじセットや無線通信用のイヤホンを配布するなど、女性がより働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでいる。
 「ドライバー職の使命は、安全に、かつ少しでも早くお客様に荷物をお届けすることにあるため、日々の仕事の目標が立てやすいですし、達成感も味わえます。当社では、生涯現役を掲げてドライバー職をまっとうすることもできますし、管理職にチャレンジすることもできます。何より、男女の区別なくきちんと評価してもらえるのがありがたいですね。女性にとって、これほどやりがいのある職場はないと思いますよ」
 ドライバー職が大好きだという鈴木さん、「管理職として同僚たちが働きやすい環境を整え、一人でも管理職を目指す人が増えるよう応援したい」と目を輝かせる。

body4-1.jpg働きやすい職場づくりを実現するために管理職になったという鈴木みゆきさん

編集部メモ

社員の幸せのために改革を続行

 社員が「ここに掲載されるのが目標です」と口をそろえるのが「北王HEROESカレンダー」。職場ごとに投票で優秀社員を選出し、その仕事中の姿の写真を掲載するオリジナルのカレンダーだ。こうした仕事ぶりをさりげなく評価する仕組みがいくつも用意されていることで、社員の帰属意識を醸成し、やる気も引き出すことに成功している。目指すは「物心両面で業界ナンバー1」。同業他社より給料も休みも10%多く、チャレンジができる場とそれを温かく支える雰囲気、そしてやりがいを感じられる仕事がある会社になりたいと意気込む。「社員の幸せのために、これからもどんどん制度を整えていきたい」と真摯に語る人事室室長の姿に、必ずや業界トップ企業へと成長するに違いないと強く感じた。

  • 社名:北王流通株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 1990年
  • 資本金:4,250万円
  • 代表者名:代表取締役 黒田 英則
  • 従業員数:245名、女性従業員数23名)
  • 所在地:114-0002 東京都北区王子2丁目30-2井門王子ビル7F
  • TEL:03‐3913-8400
  • URL:http://www.hrg.co.jp
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください