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城東地区
石原金属化工株式会社

石原金属化工株式会社 経営者の力には限界がある。社員の力を借りてこそ、可能性は無限に広がる

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経営者の力には限界がある。社員の力を借りてこそ、可能性は無限に広がる

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石原金属化工株式会社

経営者の力には限界がある。社員の力を借りてこそ、可能性は無限に広がる

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社員とともに歩み続ける経営者ストーリー
経営者の力には限界がある。社員の力を借りてこそ、可能性は無限に広がる

 自転車や飛行機、エレベーターなど用途の広いコントロールケーブルの製造で、名を馳せている石原金属化工。経営者と社員が一体となって、ともに成長を遂げる文化が根付いている。

手元の操作を離れた場所に伝える「コントロールケーブル」を製造

 江戸川区や墨田区は東京有数の町工場が密集するエリアでもある。全盛期だった高度経済成長期に比べればその数は減少傾向にあるものの、今なお日本のものづくりを陰から支える中小企業が多数、活躍している。
 石原金属化工もそんな下町に息づく町工場の一つだ。創業は明治期の1882年に遡る。実は発祥の地は大阪で、現在も当地に工場を構えているが、1962年五輪開催で活気付く平井で操業を開始。下町歴はすでに半世紀を超え、2010年には東京を正式に本社化している。
 そんな同社が得意としているのは「フレキシブルリモートコントロールケーブル(以下、コントロールケーブル)」の組立てだ。といってもピンと来る人は少ないだろうが、自動車のブレーキ用のケーブルだと言えば身近に感じられるのではないか。
 会社を率いる石原康裕社長は解説する。
 「自動車等の運転手が手元の操作で手の届かない場所のものに引く、押す、回転させるなどの動力を伝えていくのが、コントロールケーブルの役割です。他にも電動シャッターの非常用開放装置やエレベーターの非常ロック解除装置、建設機械の操作機構、自動車のタイヤチェーン、船舶のエンジンの船外機、ヘリコプターの操作機構など、実に多彩な場面で私たちのコントロールケーブルは活用されています」
 長きにわたって積み重ねてきた実績への評価は高く、異業種からの引き合いも少なくない。例えば、エアコンに付いている複数の吹き出し口を、一個のコントロールケーブルだけで制御するという難易度の高い技術にもチャレンジしたこともあったという。
 「一時期は名だたるメーカーのエアコンに次々と当社の製品が採用されていました。どの製品も自分たちの汗と努力の結晶ですから、世の中に認められて出ていくのは楽しかったですし、採用された製品を見かけると嬉しかったですね」
 小さい企業でも大きな影響力のある仕事が残せることを、石原社長は実感している。

body1-1.jpg同社はコントロールケーブルの製造を得意としている。自転車や自動車、飛行機、エレベーターなど用途は多岐にわたる

社員があってこそ、企業は成り立っている

 同社はコントロールケーブルを製造するメーカーとしてだけでなく、商社として韓国やフィリピンといった国々から自動車用のマフラーや油圧部品の継ぎ手などを輸入、国内の建機メーカーなどに販売している。また、近年は社内にNC旋盤を導入して、コントロールケーブル向けの部品の内製化にも着手。その過程で培った技術をもとに、輸入品として扱ってきた油圧の知識を生かした独自製品なども企画されている。チャレンジし続ける果敢な姿勢は、まさに自由度の高い町工場ならではだ。
 そんな勢いを支えているのが、「世界で一番元気で信頼される会社の実現を図ります」という企業理念である。これは1990年に社員たちとともに作り上げたものだという。今でこそ社員発の経営理念を掲げる企業が増えたが、当時の日本では社員とともに作るという発想はあまり類を見なかった。
 「経営者が頑張っても、一人で実現できることには限りがあります。しかし、五人の人間がいたとすれば、可能性は大きく広がります。単に頭数が5倍になるばかりではなく、力が“乗ずる”ことで5倍以上の効果があるものです。そのことを良く理解しているからこそ、当社では全員で進むべき道標を形にしてきたのです」(石原社長)
 社員がいてこその会社だというのは十分に承知しているだけに、有給休暇の充実や産休・育休制度の構築なども率先して行ってきた。入学式や運動会といった子どもの特別なイベントの際も休暇を後押しする。
 「会社は日々営業していますが、子どもの成長の瞬間はそのときだけしか見られません。プライベートな時間も大切にするべきだと思っています」(石原社長)
 地域貢献にも積極的で、江戸川区の中学校や高校向けに工場見学や職業体験などを開催。小さい会社ながらも確かな製造装置を駆使してものづくりをしている様子を見た地域の子どもたちは、大いに感銘を受けているようだ。こうした地道な試みが町工場の灯を未来に託すことに繋がるのだろう。

body2-1.jpg石原康裕社長は「経験者がほぼいない業界ですので、ゼロからしっかりと教えていきます。ひたむきさと人柄が備わっていれば誰でも成長できるはずです」と語る

子育てとの両立がしやすい職場

 同社は製造業には珍しく、男女比は半々程度といい、産休・育休制度の構築なども率先して行ってきた。外資系金融機関などを経て、同社に入社した営業部の山本美沙子課長は、会社の子育てへの理解の深さが転職の決め手となったと振り返る。
 「前職に就いていたときには、子どもがまだ幼く、仕事と子育てとの両立が難しいと感じていました。転職を決意していくつかの企業を見たところ、当社はフレックスタイム制度もあると聞いて、安心して働き続けられると感じました」
 周囲も協力的で子どもが病気になったときなどの急な休みにも、嫌な顔一つせず、仕事を代わってくれて、何度も助けられたという。そんな職場環境は制度を後押しするもので、それがまた制度となっていくという好循環が確かにあると山本課長は語る。
 子育てが落ち着いた山本課長は、長く担当していた営業事務から営業にキャリア転換。各メーカーとの交渉や社内調整、部下のタスクマネジメントなどを行っている。一つのケーブルは、ワイヤーやゴム、樹脂、切削品など、実に多彩な部品を使って組み上げられる。最初は分からないことが多かったというが、知れば知るほど、自社製品に魅了されていると話す。
 「さすがに知識面では足りないところが多いですが、石原社長が直接フォローしてくれますし、長い付き合いのあるお客様が多いですから、営業としては入り込みやすい側面はあります。だんだんと分かることが増えていきました」
 営業の社員自身が技術を深く知れば、提案の幅は広がると考えるようにもなった。現在は営業向けの勉強会や顧客先への見学会も企画中。山本課長たちの努力が実を結べば、同社の可能性はますます広がっていくはずだ。

body3-1.jpg山本美沙子課長(写真左)は、営業としては2016年8月にデビューしたばかり。キャリアや経歴を問わず等しくチャンスがつかめる会社なのである

信頼の最後の砦たる品質管理にチャレンジ

 女性社員の多くは、まずは品質管理担当として工場に配属される。完成したコントロールケーブルなどの製品に不具合がないか、厳格に最終チェックをしていくことで、同社の信頼性を担保する。まさに最後の砦を担うのが品質管理の役割だ。2016年秋に入社した磯脇春菜さんも、品質管理の最前線で活躍している。
 「図面通りにケーブルが組み上がっているか、本当に細かく確認していくことで、品質の高い製品をお客様のもとにお届けしようと頑張っています。知識も経験も足りず、今なお毎日が手探り状態ですが、分からないことを聞くと丁寧にサポートしてくださる先輩がそろっているので非常に心強いです」
 社内では勉強会なども開催。石原社長が講師を務め、コントロールケーブルの素材や構造について細部に至るまで知識を伝授している。おかげで磯脇さんも次第にできることが増え、自分で検査を完了させられるようになってきた。
 「一度教えてもらったことは確実に自分の中に取り入れていかないと、勉強会の講師役を買って出てくれる社長たちに失礼だと肝に銘じて、これからもスキルアップに励みたいと思っています」(磯脇さん)
 ちなみに磯脇さんはプライベートでは地域の楽団に入ってサックスを担当しており、今も休日には音楽を楽しんでいる。実は石原社長も別の楽団でトランペットを吹いているそうだ。オンオフを越えた繋がりも、同社の心地よい社風の醸成につながっているのかもしれない。

body4-1.jpg厳しい目で製品をチェックする磯脇春菜さん。充実のサポート体制があるから、経験が浅くとも不安なく頑張ることができているという

編集部メモ

文系出身の社長自らが貪欲に自己研鑽に励む


 同社では、会社を率いる石原社長自らが新人教育に携わるなど、人材育成にはとことん力を注いでいる。持てる専門知識を分かりやすく解説する石原社長の指導は、社員からも好評だ。実はその石原社長は文系学部の出身で、大学では法学を専攻していた。ここまで知識を深めたのは社会人となってから。仕事の中でゼロから学んでいったのはもちろん、31歳のときには墨田区の工業高校に編入して専門性を身に付けていった。同社には成長するために自己研鑽に励む社員が数多く集っているが、これも社長自らが知識の獲得に極めて貪欲な姿勢を貫いてきた賜物なのだろう。

edit-1.jpg経営者の周りに自然と社員の輪ができる。まさに風通しの良い組織である
  • 社名:石原金属化工株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 1954年
  • 資本金:1,800万円
  • 代表者名:代表取締役社長 石原 康裕
  • 従業員数:24名(内、女性従業員数10名)
  • 所在地:132-0035 東京都江戸川区平井7-6-10
  • TEL:03-3617-3121
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