<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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城南地区 リベラルソリューション株式会社

リベラルソリューション株式会社 経営理念に基づいて社員が誇りとやりがいを持てる職場の創出に努める

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経営理念に基づいて社員が誇りとやりがいを持てる職場の創出に努める

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リベラルソリューション株式会社

経営理念に基づいて社員が誇りとやりがいを持てる職場の創出に努める

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社員が活躍できる会社作りストーリー
経営理念に基づいて社員が誇りとやりがいを持てる職場の創出に努める

 社員に向き合った経営を実践するリベラルソリューション。トップから中堅、若手社員がどのような思いを共有しているのか伺ってみた。

社員を第一に考えた経営理念を策定

 松下幸之助や稲森和夫といったビジネス界に大きな影響を残した先人たちは、得てして会社としての在り様をまとめた経営理念の遵守に重きを置いてきた。トップが驚異的な経営手腕を発揮するだけでは、企業の成長には限界が生じる。理念を通して一丸となった組織にこそ、多くの問題を乗り越える力が宿ることを、名だたるビジネスパーソンたちは熟知していたのである。
 昨今は「理念経営」などと言われることもある。再生可能エネルギー事業の推進を生業とするリベラルソリューションの下田穣代表取締役も、先人たちにならって理念経営に着手したという。
 同社の経営理念を引用すると『全社員が仕事にやりがいと誇りを持ち、企業の成長とともに自身も成長できる組織。全社員の幸せと持続可能な企業になることを追求し、地域社会に貢献する。そして関わる全ての人に『ありがとう』という言葉と笑顔をいただける企業になる』とある。何より先に社員という言葉が前面に出ているのが印象的な理念である。だが、下田代表によれば、2007年の創業当初はここまで明確ではなかったという。きっかけは東日本大震災。自然を前にいとも簡単に社会の基盤が崩れたのを目の当たりにして理念の見直しを痛感させられたのだという。
 「どんな状況にあったとしても、会社を続けていく、続けられることが大切だということを思い知らされましたね。そのためにトップはどう行動すればいいのか、会社経営の大先輩の書籍などを読み漁った結果、社員がやりがいを感じられる組織という結論に辿り着きました」(下田代表)
 今どきの経営者の中には、利益をもたらしてくれるお客様の次に、出資者である株主を大事に扱う者も少なからず存在するようである。しかし、サービスや物を提供する者たちが心ここに在らずの状態だったら顧客は確実に離れていく。やはり、働き手が活き活きとしていれば、顧客の共感を得ることに繋がり、結果として利益が高まるもの。当然の帰結として株主への配当も大きくなるはずだ。事実、多くの成功者が、社員の働きやすさ、働きがいを高める経営理念を記している。下田代表もそれにならい、社員に向き合った会社づくりに尽力した。

body1-1.jpgオール電化や太陽光発電などの再生可能エネルギーを扱う。社会に有用なモノを広げる使命感が社員たちのモチベーションだ

トップの背中が伝えるもの

 社員への熱い思いは顧客にも向けられている。同社が得意とするのは、オール電化に関わるエコキュートや太陽光発電システム、蓄電池の販売である。オール電化は約15年、太陽光発電は約30年という長期的なスパンを想定して顧客は導入する。商品特性上、ただ商品を納入すればいいというものではない。メンテナンス等で長い付き合いになる。それだけに顧客の業者選びはシビアだ。そこで不可欠なのが誠意。同社では、“買ってください”と闇雲にアプローチするのではないという。顧客にとって必要でなければ、売らないという営業方針を取っているのだ。
 「お客様の声に耳を傾ける人間、信頼されるに足る人間であれば、自然と『この人から買いたい』と選ばれる存在になることができるはずです。そのためには社員一人ひとりに人間としての魅力がなければなりません。そこで人間的成長を促していく場を数多く用意しました」(下田代表)
 下田代表の言葉を裏付ける取組の一つに新人を対象にした研修がある。これは社内外で取り組むもので、人としての在り方を徹底して追求する。一方、ベテラン社員を対象とするのがビジネスマナー研修。見本となる社員がいなければ若手のためにならないからと、社会経験豊富な社員に向け、名刺の受け渡し方や電話での話し方といった基本をおさらいする。基本を再確認することで、新たな気付きが得られるのだという。
 そして、何よりも説得力のある手本となっているのが、下田代表自身の存在だ。
 「行動指針、社員心得十ヶ条を率先垂範の精神で意識をしています。そして人とのご縁を大切にしています。まず自分が相手を信頼しなければ、相手から信頼される存在にはなれないと思いますから」
 今の理念経営を導入してから中途採用の離職率が30%から10%に減少。業績も上向くなど目覚ましい効果が得られているという。何よりも社内の議論が活発化し、組織が安定したという。人間としてあるべき姿を背中で見せるトップがいるという事実が、こうしたプラス効果を生む原動力になっているのは間違いない。

body2-1.jpg風通しの良さも抜群。役職や世代を超えて活発な意見が交わされている

1年目の社員にも企業理念が浸透

 下田代表の経営理念や思いがいかに社員たちに浸透しているかは、2016年4月に入社したばかりの澤口美穂さんの仕事ぶりからも窺い知ることができる。澤口さんは理系出身ながら営業に挑戦したいと同社の扉を叩いた。入社動機のポイントはずばり企業理念だという。
 「そもそも環境に貢献する製品を扱っている会社で、世間に喜ばれる存在というのに心惹かれ応募したのですが、企業理念にある、お客様、社会、そして社員と、関わるすべての人が、win-win-winとなるために事業を進めるという考え方に心動かされましたね」
 3ヶ月間の新人研修を経て営業に出たという澤口さん。先輩が横にいない不安もあったというが、電話をすればすぐさま先輩が的確なアドバイスを授けてくれた。そんな先輩の手厚いフォローのおかげで早々に成約に漕ぎ着けたという。販売したのはオール電化向けのシステムだ。
 「15年間にわたり保証が継続することから、お客様とは長期的なお付き合いとなります。『15年間、澤口さんの成長を見られるのが楽しみだよ』という言葉をいただいたときは素直に嬉しかったですね、」
 自分という人間の成長が、お客様の喜びとなり、社会の発展につながる。まさに企業理念に通ずる道を澤口さんは歩んでいる。

body3-1.jpg「お客様に成長する自分を見せ続けられるように頑張りたい」と澤口美穂さん

小形風力発電に注力

 同社の企業理念には「地域社会に貢献する」との一文がある。再生可能エネルギーをさらに普及していっそうの社会貢献を果たすべく、風力、水力、バイオマスなどへの進出も視野に入れている。
 新分野の領域で特に力を入れているのが「小規模風力発電」だ。一般的に風力発電用の風車は高さ60~70mに達し、ブレードの長さを足せば100mに達することもある。設置には当然、手間やコストがかさみ、安全上の問題も考慮しなくてはならない。一方、小規模風力発電は高さ26m程度。設置がしやすく、台風などの影響が起きにくいことから、風力発電の普及の起爆剤として期待されている。
 事業開発部の矢島弘貴さんは、2015年秋に入社後、翌16年春から小規模風力発電のプロジェクトに参加した。
 「エネルギーを得意とする当社ですが、風力発電に関するノウハウはゼロ。しかも次々と強力なライバルたちが名乗りをあげていますし、時にはスピーディな決断を下さなければならない場面に立たされることもあり、プレッシャーを感じることもありますが、難しいからこそやりがいが大きいと感じています」
 社員に働き甲斐を感じてもらうことを企業理念に掲げている以上、主役はあくまでも現場に立つ人間。若手であろうが徹底して任せる姿勢を貫く。それが成長を促すのである。同社の理念、考えが垣間見られる実例といえよう。
 そんな矢島さんは社員の人間性に魅力を感じ同社への道を選んだという。
 「魅力あふれる先輩がそろっていると実感しています。当たり前のことを当たり前に行うことができる人間性が優れた方ばかりですし、何よりもすべてにおいて全力投球する先輩たちの熱い姿勢は、自分自身、大いに刺激を受けています。これも企業理念が浸透しているからこそ実現できることなのでしょう」(矢島さん)

body4-1.jpg大きな決断を下す場面を数多く経験して、ずいぶん自分が成長したと矢島弘貴さんは感じているという

編集部メモ

市場性の高い事業と、確かな職場環境を併せ持つ

 下田代表がリベラルソリューションを創業した当初は、不動産事業を生業としていたという。2009年ごろからオール電化住宅に注目が集まったことから、そのシステムや太陽光発電の提案を事業化、不動産事業はグループ会社に譲った。
 東日本大震災後、太陽光発電エネルギーの固定買取制度がスタートしたことから、太陽光に重点を置いた時期もあったが、現在はオール電化と太陽光発電、蓄電池を軸に、風力発電なども模索するなど、再生可能エネルギー全般で活躍の場を広げようとしている。住宅リフォームや工事会社の内省化などの新しい試みも積極的に展開。会社としての基盤をさらに強固なものにして、将来的な上場も視界に入れている。
 新卒に関しては2014年から採用を本格的に開始した。もともと若い社員が多い会社だったが、おかげで20~30代が社内の8割を占めるようになり、さらに活気がみなぎる組織となったという。じっくりと時間をかけて育てる一方で、若い人材にどんどんチャンスを与えて成長を促していく企業風土は、意欲あふれる人材の成長の場となるに違いない。

edit-1.jpg社員にとって働きやすい環境を実現するべく、福利厚生や社内イベントの充実化にも力を注ぐ