<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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多摩地区 株式会社メトロール

株式会社メトロール 求められるチャレンジ精神。困難の中に楽しさを見出し、夢を語る若手社員の奮闘記

株式会社メトロール

求められるチャレンジ精神。困難の中に楽しさを見出し、夢を語る若手社員の奮闘記

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東京カイシャハッケン伝!企業
多摩地区

株式会社メトロール

求められるチャレンジ精神。困難の中に楽しさを見出し、夢を語る若手社員の奮闘記

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若手活躍ストーリー
求められるチャレンジ精神。困難の中に楽しさを見出し、夢を語る若手社員の奮闘記

 新しいことにチャレンジし続ける企業では自然と若手が活躍する。ここ株式会社メトロールもその一つだ。高い精度が要求される工業用センサーをはじめ、機械・空圧・電気の測定3要素を駆使した他にはないオリジナリティの高いセンサーを数々開発。工場の自動化に貢献している。そんなメトロールの製品開発・海外営業で奮闘する若手二人の活躍に迫った。

固定観念を持たない若手を一から育成

 「当社のモットーは『真似はされても真似はしない』。他ではやっていない新しいことをやるんだから、固定観念のない若い人に活躍してもらったほうがいいでしょ」
松橋卓司社長は、力強くそう言い切った。株式会社メトロールは、工場の自動化に欠かせないセンサーを開発・生産している。モノづくりの現場では、様々なセンサーが活躍しているが、なかでも同社が得意とするのは「精密位置決めセンサー」といわれるもの。
 金型や自動車部品などの金属を図面どおりに加工するためには、縦・横・高さの基準が必要になる。たとえば、縦50ミリ・横50ミリ・高さ50ミリのものを削るとき、「どこから50ミリなのか?」位置が決まっていなければ、正確な加工ができない。単純な理屈だが、機械で加工をしているとだんだんとこの基準がずれてくる。それを正確な位置に補正するのが、精密位置決めセンサーなのだ。
 それだけに1ミクロン(1000分の1ミリ)単位の狂いも許さないという超精密さが求められる。機械油や金属片が飛び散る工作機械の悪環境下でも高い精度を発揮する技術が同社の強みなのである。
 センサーという精密技術の世界の話だけに、それを扱うのはさぞかし匠の技を持つ熟練技術者と思うところだが、社員の主力は20代の若手という。その理由が冒頭の社長の言葉というわけだ。
 常に新しいことに挑戦し、オリジナルの製品を開発するには、前職の経験による固定観念が弊害になるというのだ。まっさらな状態の若手に任せたほうが、自由な発想とチャレンジ精神で、新しいものができやすいというのは、確かに納得だ。

body1-1.jpg力強い言葉が魅力的な松橋社長

若手から匠まで。層の厚さで成長をサポート

 入社3年目といえば、社会ではまだまだ若手。しかし、同社の技術部で開発を担当する男性社員は、入社半年で新製品の開発を任されたという。
 普通であれば、尻込みしてしまいそうな任務だが、「ちょっとやってみて」という上司の言葉に、さしたる緊張もなく引き受けたという。しかし、すぐに自分に与えられた重要な任務に気づかされる。
 「新製品と聞いたとたん、急にプレッシャーを感じました。それでも新人の強みでしょう。社内間の相談しやすい雰囲気も相まって、なんとかなると思いました」と思い出し笑みをこぼす。
 話の通り、同社のオフィスはパーテーション一つなく、社長以下すべての社員が同フロアに集う。これも社員同士の風通しの良さの一助になっているのは間違いない。さらに、30代の若手先輩社員から、80代の熟練技術者まで幅広い層が揃っている。専門分野も機械・電気・空圧などさまざま。
 「経験がものをいうことはベテランに、実務的なことは30代の先輩にと、相談できる相手が幅広く、偏りなくアドバイスをもらえるのが心強いですね」
大ベテランがそばにいるからこそ、新しいことにも物怖じするこなくチャレンジできるのだ。
 さらに2年目には、現在も進んでいるプロジェクトの機構担当に任命された。同社技術の中でも新しい空圧式センサーの製品開発で、暗中模索の基礎実験からスタートした愛着のあるプロジェクトだという。
 「基礎実験は、図面を引いて、試作して、実験しての繰り返しです。当然、企業として製品開発をめざす以上、大学の研究と違いスピードが求められます」
仕事の難しさを語るが、やりがいと思い入れが支えになっているという。
 地道な基礎実験の次は、製品化のための設計を考えなければならない。実験は単なる原理開発だが、製品化となればたくさんの複雑な要素が絡み合う。
 機械の設計だけでなく、デザイン、大きさ、材料、コスト、量産に適しているかどうかの検討から幅広いマーケティングまで、幅広い技量が求められる。
 「難しさはそのまま醍醐味でもあります。製品開発は機械・電気・プログラミング・マーケティングなど幅広い分野の知識を複合的に学べる場です。ゆくゆくは、お客様から直接ニーズを汲み取り製品開発に生かしていきたい。蓄積した知識を詰め込んだオリジナル製品を生み出したいですね」
 難題を目の前にしても、さらに高い目標をいきいきと語る男性社員。これまでの経験から、メトロールなら目標を達成できることを確信しているようだ。

body2-1.jpg実験を繰り返し、製品開発に励む日々

新人に与えられた重責。ASEAN開拓に悩む新人を救ったもの

 チャレンジ精神が求められるのは製品開発だけではない。海外営業でも市場開拓に新人が投入される。入社3ヶ月でASEAN地域の新規開拓を任されたのは現在入社4年目の女性営業社員。
 「憧れの海外営業に就けたのもつかの間、同行していた先輩が担当を離れることになり、『これからは一人でやっていかなければならないんだ…』という不安とプレッシャーに押しつぶされそうになりました」
 現地での営業は月に一回の海外出張とはいえ、夜も寝つけないほどつらい時期もあった。並みの新人なら心がくじけてしまってもおかしくない場面だが、1年半の苦しみを乗り越えて、仕事を続けられたのは、社長や上司のサポートのおかげだったという。
「社長や上司が話を聞いてくれたのが支えになりました。泣き言もたくさん聞いてもらい、つらい時には『少し休んでもいいよ』と仕事をセーブしてくれました。そこでちゃんと恩返しをしなければと自分を奮い立たせたんです」
社長もまた、営業マンとしてインドや中国の市場を開拓してきた経歴を持つ。同じ境遇を経験しているからこそ気持ちを理解して寄り添うことができたのだろう。
 また、メイドインジャパンの製品品質も彼女の支えになったという。実際に製品を採用した現地顧客の反応を肌で感じるにつけ、これだけ自信を持って紹介できる製品を扱える営業はめったにない。そんな思いが彼女のモチベーションになっていた。

body3-1.jpg海外での新規開拓にかかるプレッシャーは想像以上

積み重ねた努力が形になり、仕事の楽しさを知った

 右も左もわからないまま挑戦した海外市場開拓。現地で出展した展示会に訪れた顧客との縁を地道につなぎ、仕事を楽しむ余裕が生まれてきたという。
 そんななか、中小企業基盤整備機構によるタイと日本のモノづくり交流会で一つの出会いがあった。参加企業の一社に機械代理店があり、「ぜひメトロールの製品を扱いたい」と申し出てくれた。もちろん、同社としてもそれは願ってもないこと。何度も交流を重ね、正式に代理店契約を結ぶまでに至ったのだ。
 そして昨年、同社としては初めてタイの企業とのコラボレーション展示会の出展にこぎつけた。専用のパンフレットも企画し、ブースにはしっかり「メトロール」の名が刻まれた。
 「ちょっとした出会いが、大きな商流を生み出したことがうれしかったです。東南アジアは、弊社では誰も手をつけていなかった地域。そこで、人とのつながりを一から作り、がんばってきたことがひとつのカタチになったことが自信につながりました」
 次はASEAN地域を、会社の主要マーケットに成長させたいと語る彼女の言葉には、困難を乗り越えた自信と説得力が感じられた。
 若手がいきいきと夢を語れる職場はやはり活気に満ちている。この新しいことに挑戦する姿勢、「精神的自立心」が松橋社長の最も重視する採用ポイントなのだという。面接で一人ひとりの資質をきちんと見極めているからこそ、入社したあとは信頼して任せることができるのだ。若手の更なる活躍に期待したい。

body4-1.jpg困難を乗り越え、海外営業をバリバリこなす

編集部からのメッセージ

東京都ベンチャー技術大賞 優秀賞受賞

 2015年、同社の開発した「エアマイクロセンサ」が、『東京都ベンチャー技術大賞』で、優秀賞を受賞した。これは、東京都の中小企業が開発した技術で、世界に通用する革新的な技術・製品を表彰するもの。同製品は、従来の10倍の精度を誇るという。
 「マネはされても、マネはしない」開発ポリシーが、世界に通用する技術を生み出していることの一つの証だ。

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 松橋社長から若手・就活生にメッセージ

 失敗を恐れずどんどんチャレンジしてください。20代のうちは質を求めるより、量をこなさないとダメ。20代で経験した失敗や成功が、30代・40代で飛躍する糧になります。
 就活する上で大事なことは、自分自身の強みは何なのかを知っておくことです。自分はどういう人間で、何がきっかけで、どういう目標を持ち、将来、どうなりたいのか? これまでの生き様を見つめ直してみると、自分のオリジナリティが見えてくるものです。それをしっかり発信できれば、きっと企業の人の目にも止まるでしょう。

  • 社名:株式会社メトロール
  • 設立年・創業年:設立年 1976年
  • 資本金:4,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 松橋卓司
  • 従業員数:128名(内、女性従業員数82名)
  • 所在地:190-0011 東京都立川市高松町1-100 立飛リアルエステート25号棟5F
  • TEL:042-527-3278
  • URL:http://www.metrol.co.jp/
  • 採用情報:こちらからご確認ください。