<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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城南地区 株式会社ニッポンダイナミックシステムズ

株式会社ニッポンダイナミックシステムズ 蓄積されたノウハウで就業・勤怠管理システムの自社パッケージ製品を開発

株式会社ニッポンダイナミックシステムズ

蓄積されたノウハウで就業・勤怠管理システムの自社パッケージ製品を開発

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城南地区

株式会社ニッポンダイナミックシステムズ

蓄積されたノウハウで就業・勤怠管理システムの自社パッケージ製品を開発

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製品開発ストーリー
蓄積されたノウハウで就業・勤怠管理システムの自社パッケージ製品を開発

 社会にITが果たした役割は計り知れない。株式会社ニッポンダイナミックシステムズも様々なカタチでITを提供して社会に貢献。さらに、自社製品パッケージの「就業・勤怠管理システム」を開発して、多くの企業で就業時間や残業の見える化を図るとともに、作業効率の向上などに寄与している。その製品開発の軌跡をたどった。

社員のハッピーな働き方を考えて製品開発に挑む

 ひと口にIT企業といっても、情報を扱う企業からソフト開発会社、システム提供会社とそれこそ枚挙に暇がない。とりわけ大規模な情報システムの構築には多くのSEを必要とすることから、クライアントやSI企業に人材を派遣する企業は多い。しかし、派遣事業を展開するIT企業は自社内に技術的なノウハウが蓄積されづらいという側面がある。かつて人材派遣業務を行っていたニッポンダイナミックシステムズ(以下、NDS)もそんなジレンマに陥った時期があった。
「システム構築はそれぞれの企業の要請に応じたものに仕上げていくものですから、クライアントに赴いてという働き方になるのが一般的です。しかし、ある企業のシステムが完成すれば、次の日からは違うクライアントに出向いて、全く異なるプロジェクトに取り掛かるということになります。つまり、腰を据えて仕事ができる環境ではありませんから、組織への帰属意識が低くなり、ノウハウが本社機能として蓄積しづらいという問題をはらんでいる上に、社員もモチベーションも持ちにくくなりがちです。それでは会社にとっても、社員にとってもあまりハッピーな働き方とはいえません。そこで社員がより良い環境で働け、ノウハウが蓄積できるように、自社でシステム構築を請け負う受託化を進めることにしたのです」
 と語るのは平山武司代表取締役社長。主に航空や放送などの公共分野から民間企業の基幹分野を受託。なかでも人事給与システム分野におけるノウハウの蓄積は当社の強みとして知られるようになった。
 この信頼を武器に同社が事業化したのが、パッケージ製品の開発だった。人事・給与システムの構築で培ったノウハウを駆使して就業・勤怠管理システム「e‐就業」の開発をスタートさせたのだ。
「元々は社内の就業・勤怠管理システムとして開発したものなのですが、大手はどこも人事・給与全般を管理するシステム製品でしのぎを削っている。ならば、従業員の就業管理に特化したニッチな市場なら十分戦えるのではということで売りに出してみたんです」
この製品はタイムカードや出勤簿に記録された出勤・退勤時間を、担当者が手作業で集計しなければならない負担を、自動集計し的確に管理できるようにしたシステム。さらに勤務時間の自動化だけでなく、プロジェクトに参加している従業員が、その業務にどのくらい時間を費やしたかがわかる機能も付加している点が大きな特徴である。こうしてNDSの新しい挑戦がスタートした。

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新しい技術への挑戦によってより導入しやすい製品へと進化

 就業・勤怠管理システム「e‐就業」の開発に当初から携わってきた佐伯琢也さんは、このシステムの特徴を次のように説明する。
「従来だとタイムカードから把握した出勤や遅刻の有無、残業時間などから給与を計算するわけですが、これを自動化することで人事の業務負担はかなり軽減できます。もちろん、従業員もICカードをタイムレコーダーにかざすだけで打刻できるので手間がかかりません」
 取引先に直行する場合なども、携帯電話やスマートフォンを利用して打刻できる機能を搭載している。さらにプロジェクト管理では、勤務報告と同時に作業内容別に工程数の入力を行うことで、従業員が「どの業務に」「どのくらいの時間従事していたか」を把握することもでき、また、プロジェクトや業務ごとに経費の入力も可能なので、人件費や経費などのコスト管理に役立つというものだ。
 すでに開発から約15年が経過しているが、つねに改善も加えてきた。中でも同製品の価値を大きく向上させ、利用対象を拡大したのがインターネットを利用したASP(Application Service Provider)サービスの開始である。これによってソフトウェアを購入してインストールという手順が不必要になるとともに廉価な価格で提供することが可能になったのだ。中小企業でも導入しやすくなったのはいうまでもない。
 とはいってもASP版の開発現場では、従来の開発方法とはまったく異なるためにゼロからWeb関連の知識や技術を覚えながら開発に当たったと佐伯さんは振り返る。
「ASP版の開発は約12年前でした。それから約2年を費やして完成しました。それまでは保有していた知識とはまったく異なるため、私を含めて開発スタッフは試行錯誤の毎日でしたね」
 無事ASPサービスを完成した後は、2010年には労働基準法の改正への対応が待っていた。改正に合わせてシステムを組み直すなど、技術的あるいは法律改正などの社会状況の変化に対応しながらNDSの「e‐就業」は進化してきた。

body2-1.jpgつねに改善・改良を加えながら「e‐就業」を進化させた佐伯琢也さん

就業時間の見える化と業務効率の向上で企業を支援

 NDSにとって自社製品を開発するのが初めての試みなら、それを販売するのも初めての経験だ。それまでのシステム受託のための営業と自社製品販売では同じ営業でも、対象も販売方法も異なる。
 現在、NDSでは、直に企業に販売する方法と販売代理店を通した販売という2つの方法で営業活動を展開している。
「当社のホームページをご覧になったお客様やお付き合いのあるSIなどを通じて引き合いのあったお客様への直販が大部分を占めています。また社会保険労務士から取引のある企業に勧めたいというニーズも多いですね」
 と語るのは「e‐就業」の営業を担当する久保章人さん。導入企業の業種はメーカーからサービス業まで幅広く、規模的にも中小企業から大企業まで幅広いが、メインターゲットは従業員数が300~500名の中小・中堅企業で、すでに導入している企業は200社を超えているという。エリア的には首都圏が中心だが、今後は地方への販売も強化していくと抱負を語る。
 また、このところ話題に上る機会が増えているブラック企業に見られないためにも、「e‐就業」は就業時間の見える化に有効とあって社会的ニーズにも合致する。そこで就業管理する企業と働く従業員の双方から就業時間が一目瞭然になるシステムという特徴を前面に出して、「あなたの会社はブラック企業になっていませんか?」というキャッチコピーを用いたインパクトある広告も展開し、狙い以上の実績をあげている。
「企業として法令順守するのは当たり前ですから、人事コストの削減やプロジェクト型の仕事では業務の効率化が図れることから、今後は企業価値を高めるシステムとして販売していきたいですね」
 と今後の営業戦略を話す久保さん。ASP版だと数万円の導入コストと、月々1万円以内のサービス料で利用できるといった導入のしやすさを、中小企業にアピールしていくという。

body3-1.jpg企業の業務効率化に貢献できる点をアピールして販売する久保章人さん

使用する顧客目線からカスタマイズを心がける

 中小企業の就業管理に役立つ「e‐就業」だが、パッケージ製品をそのまま利用する企業ばかりとは限らない。
「企業によって残業時間の捉え方、その他の社内規程などで一律の機能のパッケージ製品では対応できない場合もあります。そこでパッケージ製品をベースにしながら個々のお客様に合わせてカスタマイズしています」
 と語るのは佐伯さんとともに製品開発に携わる澤田瑠泉さん。顧客から社内規程や要望を細かくヒアリングした営業と打ち合わせをしながら、新たに設計変更するなど、ニーズにあった機能を付加させるのが澤田さんの仕事である。
例えば、残業時間の計算のしくみや画像の見栄え、新しくボタンを加えるなど、カスタマイズ化は様々。こうした顧客のニーズに対応するために澤田さんは、システムを使う立場になって、「どうしたら使いやすいか」を常に考えながら開発に当たるという。ただし、ここには厄介な問題も潜んでいる。カスタマイズ化することで基本設計に支障を来す可能性があるというのだ。
「パッケージ製品のカスタマイズという作業は、簡単に言えばパッケージの基本設計の上にカスタマイズする部分を乗せるというイメージでいいと思います。時にはカスタマイズした部分が基本設計に影響を与えることもあるので、そうした事態にならないように様々なリスクを想定しながらプログラミングしています」
入社7年目を迎え、すでに「e‐就業」に精通した澤田さん。自分のミッションを、「お客様が使いやすい製品にすることがブランド向上につながると思いますので、つねに改善・改良を加えて完成させたい」と言う。自社製品に愛着をもつ澤田さんの言葉から、平山社長の人材派遣からの事業転換という経営判断が正しかったことを物語っている。

body4-1.jpgリスクを想定してカスタマイズ化に臨んでいるという澤田瑠泉さん

編集部からのメッセージ

システムの目的を明確にする「要求開発」で顧客の信頼を得る

 NDSでは自社製品パッケージだけでなく、情報システム構築の受託を数多く手がけている。通常、情報システム構築の流れは、顧客の要望をヒアリングして実装する機能や満たすべき性能を絞り込む作業、業界用語でいうところの要件定義から始まる。そこでどんなシステムにするかが決まり、基本設計、実際にプログラミングする製作、テスト、本番というのが一般的な流れ。NDSが一味違うのが、これら一連の作業の前に「要求開発」という工程を加えているところ。その意図を平山社長はこう説明する。
「要件定義では、他社との差別化を図りたいといった抽象的な要望が出るなど、目的を明確化していないことがよくあるんです。そこで、要件定義の前段階に『要求開発』という工程を組み込んで、システムの目的の明確化を図るわけです。これでクライアントの要望との齟齬もなく喜ばれています」
もちろん、これを実現するには、顧客の経営戦略や業務内容をしっかり把握しておく必要がある。この目的を導き出すために同社のSEなど窓口担当者はファシリテーターとしての役割を担い、より良い情報システム構築を目指している。こうした業務に対する真摯な取組が、顧客の満足度につながっているといえよう。

  • 社名:株式会社ニッポンダイナミックシステムズ
  • 設立年・創業年:設立年 1969年
  • 資本金:9,600万円
  • 代表者名:代表取締役社長 平山武司
  • 従業員数:123名(内、女性従業員数22名)
  • 所在地:154-0015 東京都世田谷区桜新町2-22-3NDSビル
  • TEL:03-3439-2001
  • URL:https://www.nds-tyo.co.jp/recruit
  • 採用情報:こちらからご確認ください。