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城東地区 能田電気工業株式会社

能田電気工業株式会社 電気工事一筋で85年、ニューリーダーの牽引で100年企業を目指す

能田電気工業株式会社

電気工事一筋で85年、ニューリーダーの牽引で100年企業を目指す

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城東地区

能田電気工業株式会社

電気工事一筋で85年、ニューリーダーの牽引で100年企業を目指す

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仕事のやりがいストーリー
電気工事一筋で85年、ニューリーダーの牽引で100年企業を目指す

 能田電気工業は南千住に拠点を構える創業85年の電気工事会社。下町の老舗中小企業だけあって、人情味あふれた社風が特徴的だ。

社員に寄り添う経営者

 一般的な電気工事の仕事は、街中や地中に張り巡らされた電線から戸建て、集合住宅、あるいは大型の施設などに線を延ばし、さらに各部屋、スペースにコンセントや照明用ソケットなどを設置するといった一連の作業。能田電気工業はそうした電気工事を請け負っている一方で保守、点検といったメンテナンスも担い、誰もが一度はその名前を聞いたことがあるであろう大型商業施設での常駐業務も手掛けている。
 「照明、電動シャッター、あるいは火災報知器といった電気系統のメンテナンス業務やテナントが入れ替わる際の照明器具の付替え工事などが主な仕事です」と説明するのは井上有子代表。他にも同社では特殊な場所での電気工事も手掛けていると言を継ぐ。
 「宮内庁内の電気工事のお仕事もいただいているんです。宮内庁というと皆さんさぞかし門戸が狭いのではと驚かれるんですが、これは私の兄である先代の代表が飛び込みで宮内庁の門を叩いてお仕事をいただいてきたんですよ。もちろん、最初のうちは門前払いされたんですが、それでも足繁く通っているうちに、ちょっとしたコンセントの付替えなど入札にならないような少額の工事を任せてもらえるようになったんです」
 そのほか警視庁や拘置所の仕事も手掛けているという。その行動力から推察できるように、先代の代表は思い立ったら一人でも猪突猛進のいわゆるワンマンタイプだったという。その先代の代表が病に倒れ、妹である井上代表に代替わり。当時、井上代表は子どもを3人抱えるごく普通の主婦。祖父が創業した会社だけに、若い時分から何かと手伝いはしていたというが、それも事務作業レベル。電気工事の専門的知識はないに等しかったと振り返る。
 「始めは代替わりという大げさな話ではなく、週に2、3回手伝ってくれればいいからということだったんです。ところが、予想以上に兄の病状は思わしくなく、それでいよいよ私がこの会社を引っ張っていかなければならないという状況に追い込まれていったんです。それまで専業主婦だった私に果たして会社を引っ張っていけるのか、とても不安でしたね」
 そんな弱気を払拭するきっかけとなったのが、新卒高校生の採用面接に立ち会ったことだったという。
 「こんなに若い子がうちの会社に来てくれて、入社したいと言ってくれている。嬉しいと同時に責任の重さも痛感し、なんとかこの会社をきりもりしていかなければならないという覚悟が決まりました」
代表に就任したのは2016年の6月とまだ日も浅いが、一つのポリシーがあるという。
 「専門知識のない今の私にできることといえば、社員の声に耳を傾けること。それが礎となって社員が存分に力を発揮できる働きやすい環境ができていく、そう信じています」
 そう語る井上代表を母のように慕う社員は少なくない。入社4年目、この業界では珍しい女性の現場代理人である横岸澤由加さんもその一人だ。

body1-1.jpg「弊社は創業85年。社員を守る意味でも100年企業を目指します」と話す井上有子代表

現場代理人のやりがい

 横岸澤さんは高校卒業後、同社に入社。現在の業務について教えてもらった。作業員として現場の電気工事をすることもあるが、主に現場代理人の業務に携わっているという。
 「一言でいえば受注した仕事を滞りなく進めるために施工全体を管理するのが現場代理人の仕事です。電気工事をする職人さんや工事で使う材料の手配から、指示通りに工事が進んでいるかのチェックは基本として、施工図の作成もすれば、クライアントや同じ現場に入る業者さんとの打ち合わせなど、仕事に追われっ放しです」
 そんな現場代理人の仕事の面白さを横岸澤さんはこう話す。
 「取り付けた照明器具などにきちんと電気が流れているかを点検する時に、次々とスイッチを入れていくんですが、全ての照明器具に煌々と明かりが灯った瞬間に立ち会うたびにこの上ない達成感に包まれるんですよね」
 そんな喜びの瞬間を話す横岸澤さん、入社2年目にして難易度が高いとされている第一種電気工事士の資格を取得した。もちろん、現場で学ぶことはまだまだたくさんあるといい、これからも知識や技術を高めていきたいと抱負を語る。そんな横岸澤さんの直属の上司が桜井圭介さんだ。

body2-1.jpg「入社後は先輩が丁寧に教えてくれるので、不安なく現場に出られました」と語る横岸澤由加さん

なくてはならない電気工事の仕事

 工事グループの課長補佐を務める桜井さんは、入社6年目の転職組。前職は地方でフリーペーパーの制作に携わっていたが一念発起、千葉職業能力開発促進センターの電気設備科で訓練を受け、能田電気工業に就職したという。
 「もともと文系だったので、電気関連の道を歩むとは夢にも思いませんでした。ところが、いざ電気工事の作業をやってみると大変さより楽しさが先に立って、手を動かすことが好きなんだなと実感させられたんですよね」
 現在は横岸澤さん同様、現場代理人の業務が主な仕事。
 「現場代理人の仕事は、工期が決められていて、その工期内にいかにして工事を完遂させるのかを算段するのが主な役目。いわば自分の裁量で工程は組んでいくわけですから、現場代理人としての技量がはっきり出てしまうんですね。ですから、桜井の現場はやりやすいと職人さんに言ってもらえることが、やりがいになりますよね」
 桜井さんが初めて担当した現場は下水道局の施設。照明器具や施設内の外灯の改修工事だったという。
 「入社半年で初めて任された現場でしたから試行錯誤の連続でした。正直、苦い思い出しかないんですが、それでも、たまにその前を通った時に、自分が立てた外灯が点いているのを見ると、また頑張ろうという気になるんです」

body3-1.jpg「いかにして滞りない工程を組むか。それを考えるのがこの仕事の面白さです」と語る桜井圭介さん

編集部メモ

社員のスキルを見える化


 井上代表は社員の育成にも力を入れているといい、その一つが能力の見える化である。
 「現場代理人が行う図面の読み込み、材料の仕入れネゴシエート、さらには役所に提出する資料の作成といった業務を全て洗い出し、それぞれの業務に対してどの程度こなせているのか、そしてこれからどのようにレベルアップしていくのかを査定するために一人ひとりと面談するようにしました」
 こうすることで現在の自分の位置が分かれば目標も立てやすくなり、仕事のモチベーションにも繋がる。さらには切磋琢磨する環境も生まれるだろう。能田電気工業は100年企業を目指し、着々と歩みを進めている。

edit-1.jpg社員同士のコミュニケーションが盛んで風通しが良いというedit-2.jpg「後輩指導はまずやらせてみることが大事」と語る桜井さん

  • 社名:能田電気工業株式会社
  • 設立年・創業年:創業年 1931年
  • 資本金:1,275万円
  • 代表者名:代表取締役 井上 有子
  • 従業員数:従業員数 18名(内、女性従業員数5名)
  • 所在地:116-0003 東京都荒川区南千住 5-25-9
  • TEL:03-3806-1161
  • URL:http://www.no-da.co.jp
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください