<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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中央・城北地区 株式会社オレンジボード

株式会社オレンジボード 従業員は全員女性。西荻窪に根ざすアットホームな不動産屋

株式会社オレンジボード

従業員は全員女性。西荻窪に根ざすアットホームな不動産屋

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株式会社オレンジボード

従業員は全員女性。西荻窪に根ざすアットホームな不動産屋

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女性活躍ストーリー
従業員は全員女性。西荻窪に根ざすアットホームな不動産屋

 西荻窪に根ざして45年、街の不動産屋さんという表現がぴったりな会社、オレンジボード。家庭的な社風や不動産営業の面白さを紹介する。

仲介業務だけでなく物件管理も手掛ける

 不動産業者の数はコンビニよりも多いという。確かに、ちょっと寂しげな駅であっても、周辺を少し歩いてみると1、2軒の不動産屋が見つかる。店先に物件を張り出した不動産屋の佇まいは、どの町でもお馴染みといっていいだろう。生まれながら実家を離れたことはないという人は別として、多くの人が1度や2度はお世話になったことがあるはずで、その仕事内容もある程度はイメージできるだろう。同社で取締役兼統括店長を務める木村裕美子さんはその仕事内容をこう話す。
 「賃貸や売買をご希望のお客様を繋ぐ仲介業がメインの業務です。リピーターのお客様が多くいらして下さるので、訪問販売などはございません」
 同社では電気や水道の故障といったトラブルの受付窓口、定期的な清掃、家賃徴収といった、いわゆる管理業務も行っている。そうした業務に加え、同社では中古物件を購入し、改装を行い販売するリノベーション事業も手掛けている。

body1-1.jpgこれからも西荻窪に貢献していきたいと話す木村裕美子さん

生活者や女性目線で物件紹介ができる

 こうしたさまざまな業務を手掛けるようになったのは、バブル崩壊以降のことと話す木村さんが入社したのは1989年。日経平均株価が史上最高値をつけた、まさにバブル絶頂期だったと振り返る。
 「将来役に立ちそうだからと今で言う宅地建物取引士の資格を学生のうちに取ったんです。でも、不動産業界をターゲットに絞り就職活動をしてみると、当時、女性が安心して活躍できる職場がなかなか見つからず、ようやく見つけたのが弊社だったんです」
 今でこそ横文字の不動産屋は珍しくないが、当時は○○不動産といった紋切り型の名前が主流。その中にあってオレンジボードという名前に親しみを感じたという木村さん。何より店長のほか従業員のほとんどが女性だったことで俄然、就職意欲が高まったという。
 「利益よりも地域密着を第一に掲げる弊社には、大きな取引を望みがちな男性的な働き方より、コツコツ地道に働く女性型が合っていたのでしょう。事実、現在では女性スタッフしかいません」
 また、結婚などの家庭事情がある場合は別として、基本的には、社員全員が西荻窪に住んでいる。つまり、地域の生活者が不動産の仲介をしているわけである。
 「物件の良し悪しが分かっているのは常にそこで生活している住人ではないでしょうか。それにあそこの八百屋さんは有機栽培にこだわっているとか、病院の評判など生活者ならではの目線も持っています。それに、子育てをした経験から保育園や学校についてのアドバイスなんかもできるんですよ」
 確かに地域環境を知り尽くしている住人が物件紹介をするというのは理にかなっている。同社には木村さんのように主婦業をこなしながら働く女性が少なくない。西島めぐみさんもその一人だ。

body2-1.jpg現在は子育てをしながら時短勤務で働いている西島めぐみさん

社員全員で子育て

 「10歳、5歳、3歳の子どもそれぞれで育児休暇を取りました。仕事をしながらの子育ては毎日が戦争のようですが、それでもいつかはいい思い出になると思って頑張っています」と明るく話す西島さんだが、一人目の育児中には不安は少なからずあったと振り返る。
 「とりわけ乳幼児は世話にかかりっきりになりますから、人と話す機会も少ないので、とにかく社会からの疎外感がありましたし、復帰した時にきちんと仕事がこなせるのかという不安もありました。でも、復帰してみると案ずるより生むが易しで、全員が女性というのもあって積極的にフォローしてくれたり、子育てに関するアドバイスをしてくれたり、本当に心強かったですね」
 その経験から自分も子育て中の社員をフォローしてあげたいと西島さん、統括業務などで帰りが遅くなりがちな木村さんの子どもを自宅で預かることも少なくないという。
 「社員全員で育ててもらっている感じです」と木村さんが話すように西島さんのみならず多くの社員が助けあって子育てをしている。

body3-1.jpg竹原晶子さんの仕事風景。素敵な笑顔が印象的

不動産営業の面白さ

 30歳ながら西荻窪南口駅前店の店長を務める竹原晶子さんも先輩社員の子どもを迎えに行くなどして社員の子育てに参加しているという。そんな竹原さんは不動産営業の面白さをこう話す。
 「お客さんととことん付き合えるところです。私も西荻窪に住んでいますし、お客さんも住むことになるのでいい加減な仕事はできませんからね。10件、20件見ても中々決められないお客さんもいますが、それだけ真剣に考えているということですので、その気持ちに寄り添って私たちも真剣にアドバイスします。それが実ったときはやっぱり嬉しいです」
 物件を紹介したお客さんと道端で会うことはしょっちゅうで、世間話に花咲かすのもこの仕事の面白さ。中には結婚や出産の報告をしてくれる人もいるという。
 「利益にこだわらず、地域の人たちの役に立って、社員全員が気持ちよく働いてくれることが一番ですので、変わらずのんびりやっていけたらと思っています」と話す木村さん。浮き沈みの激しい不動産業界にあって、地域密着というコンセプトを掲げ地道に業績を伸ばしてきた同社。45年という歴史は50年、さらにその先へと末永く続いていくに違いない。

body4-1.jpg「職場の人たちは家族のようなものです」と話す竹原晶子さん

編集部メモ

和太鼓の稽古

 毎週月曜と木曜に従業員全員参加で和太鼓の稽古をしている同社は、会社を挙げて地域の祭りに参加するだけでなくコンサートまで開いているそうだ。
 「練習はつらいことも正直ありますが、舞台に立って色々な方に喜んでいただけるとだんだん太鼓が楽しくなってきます。演奏で色々な所に行けるのも、楽しみの一つですね」(木村さん)
 家庭的で団結力のある同社の社風は、こうした取組でより強固なものになっているのだろう。

edit-1.jpg同社の和太鼓チーム「華鼓」の演奏風景