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中央・城北地区 佐藤興業株式会社

佐藤興業株式会社 日本一の塗装技術。 創業100年のプロ集団

佐藤興業株式会社

日本一の塗装技術。 創業100年のプロ集団

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佐藤興業株式会社

日本一の塗装技術。 創業100年のプロ集団

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技術の探求と伝承ストーリー
日本一の塗装技術。創業100年のプロ集団

「技術でつながる」を理念に掲げる佐藤興業は、まさにほかには真似できない特殊塗装をはじめ、卓越した技術力で100年の歴史を紡いできた。

創業100年 老舗を支えてきた技術力

 佐藤興業が手掛けるのは、オフィスビルやマンション、商業施設やテーマパークなど、大規模施設の塗装工事。今年で創業100年を迎えるというから、戦前戦後の日本の発展と復興を支えてきた老舗企業の一つに数えていいだろう。バブル崩壊など、建設業が大きなあおりをくらう時期をも乗り越えて成長を続けてきたのは、高い技術力があったからだと、佐藤東平取締役は説明する。
 「会社の理念は『技術でつながる』。1918年の創業以来、技術の探求と、一人ひとりの技術力向上をモットーにしてきました。それがお客様からの高い評価に繋がったのだと思います」
 紙に絵の具を塗っていくだけでも、色が重なったりかすれたりとむらができてしまうもの。壁や天井全体を均一に仕上げるのがいかに難しいかは、容易に想像できるだろう。塗装は建築の仕上げ工程だけに、前の工程に押されることもある。さらに、大規模施設ともなれば、「1つの現場で複数の業種が同時施工する」ということも少なくない。そんなときは現場監督と打合せをしながら、工期までに仕上げられるようにスケジュールを調整していく必要がある。
 「早くても質が低い、質は高いが間に合わないというのでは、意味がありませんよね。いかに時間をかけずに美しく仕上げるか、それが塗装の技術力であり、当社が育んできたものです。自分の技術を生かして誰かに喜んでもらえたら、それほど嬉しいことはありませんよね」

body1-1.jpg仕事のやりがいについて語る佐藤東平取締役

世界が認める 特殊塗装

 大規模施設を中心に施工を行っている同社だが、壁や天井を均一に仕上げる、いわゆる「一般塗装」は売上の95%。残りの5%は「特殊塗装」と呼ばれるもので、これが同社の大きな特徴にもなっている。
 「透過性のある塗料を塗り重ねて、木や岩、大理石の質感を再現したり、デコレーションしたりするのが、特殊塗装です」と佐藤取締役。
 同社が特殊塗装に本格的に乗り出したのは、1991年のこと。それまでも技術を持つ職人はいたが、途絶えた技術を復活しさらに技術力をアップし顧客に提案していくために「ペイントマジック事業部」を立ち上げた。そして、海外企業や個人ペインターとも提携し、さらなる技術力向上に力を注いできたという。
 それが大きな実を結んだのが、2000年ごろ。国内最大規模のテーマパークの建設に携わることになったのだ。しかし、それも一筋縄で受注できたわけではないと、佐藤取締役はいきさつを語る。
 「初めはお客様に営業に行っても、『塗装業者は足りているから』と断られたんです。でも、諦め切れない。口で説明しても分かってもらえないならと、今度はアメリカに留学して特殊塗装を学んできた社員が出向き、そこで実演してみせたんです」
 筆を巧みに操り、ただの紙を本物の大理石のように仕上げていく。その光景に周囲からは驚きの声が上がり、それが受注に繋がったのだ。そのテーマパークでの施工は開発時に留まらず、現在も新規プロジェクトの特殊塗装工事に携わっているという。同社の力が認められているということの証左だろう。

body2-1.jpg特殊塗装の技術で描かれた木目や大理石。紙に描かれているとは信じ難い

伝承していくことが 歴史を作る

 「世界中の人が見に来る場での仕事は、やりがいですよね」
 こう話すのは、テーマパークの現場にも携わった松川裕司さん。高校を卒業してから職業訓練校で塗装を学び、同社に入社。現在11年目の中堅社員だ。職業訓練校で学んだこともあり基礎的なスキルは持っていたが、現場に出て初めて学べることが思った以上に多かったと当時を振り返る。
 「学校との一番の違いは、お金をもらってやっている仕事だということ。それだけで背筋が伸びましたし、今まで以上に技術を磨かなければと感じました」
 父が塗装関係の仕事をしているという松川さん。その雰囲気を知っているだけに、入社当初は「見て覚える」のが当たり前だと思っていたが、その予想は見事に裏切られたと笑う。
 「昔ながらの職人気質の人が多いというイメージがあったのですが、説明してくれたり、やってみせてくれたりと丁寧に教えてくれました。だからこそ、それに応えなければと思いましたし、自分が後輩を引っ張る立場になってからも、その経験が生きています」
 松川さんが体験したように、同社では技術の向上だけでなく、伝承にも力を注いできた。30年以上継続して若手を採用し、丁寧に指導してきたのもその一つ。さらに、2015年にはそれらを制度化し、「技術技能委員会」を立ち上げた。そこでは、リーダーシップを育てるための「1・2年目研修」や、塗装技能士資格取得を目指す対策、特殊塗装の研修など、社員育成のために様々な取組が行われている。
 「100年間、技術を伝承し続けて今がある。自分もその歴史に加わるためにも、さらに技術を磨いていきたいですね」と松川さんは意気込みを語る。

body3-1.jpg「後輩の指導、育成にも励んでいきます」と松川さん

全国トップクラスの 塗装技術

 入社17年目の髙橋淳一さんは、中学卒業と同時に同社に入社。右も左も分からない状態から、道具の使い方、現場の補助、塗り方と徐々に力を伸ばしてきた。
 「入社3年目くらいまでは現場に出ても塗ることはなく、先輩の手伝いをしたり、教えてもらったりという日々でした。初めて現場で塗装したときは、嬉しいというより緊張でいっぱいでしたね」
 そんな髙橋さんが昨年挑戦したのが、一般社団法人日本塗装工業会が主催する「全国建築塗装技能競技大会」。その名の通り、日本一の塗装職人を決める大会で、同社では全社的な取組として、毎回数名が出場している。
 「前回も出場したんですが、予選で敗退してしまいました。だからこそ、今回は佐藤興業の社員として結果を残さなくてはと、練習に励みました」
 そのかいあって2017年大会では無事に予選を通過し、全国大会に駒を進めた。ほかの2名の社員とともに一層精進を重ねた結果、社員の一人はなんと全国1位、髙橋さんは2位に輝き、もう一人の仲間も4位に入賞したという。
 「正直、結果を聞いたときは驚きました。それがだんだんと喜びに変わっていった感じでしたね。一緒に練習した仲間がいて、お互いに技術を高め合うことができたからこそ、こうした結果に繋がったんだと実感しています」
 こうした実績にも証明されるように、高い技術力を誇る同社。その技術はこれからも脈々と受け継がれていくのだろう。

body4-1.jpg「自分の手掛けたものが残るのが、この仕事の喜びです」と髙橋淳一さん

編集部メモ

次の100年に向け、進化を続ける

 建築物はどれも、それぞれ形が違う。ゆえに、塗装は人の手でなければできないと、技術者たちは腕を磨いてきた。そんな塗装業界において新たな波を起こせないかと、佐藤取締役は考えている。
 「スマートフォンや無人小型飛行機(ドローン)と新しい技術が登場しています。これを応用すれば、新しい技術や管理方法が生み出せるのではないかと、まだ構想ではありますが思い描いているところです」
 次の100年に向け、さらなる進化を目指す同社。未来に向け、どう発展していくのか楽しみだ。

edit-1.jpg特殊塗装に使う道具は、仕上げの表現によって手作りしていくedit-2.jpg技術を育て、伝えていくことで、次の100年を作っていく
  • 社名:佐藤興業株式会社
  • 設立年・創業年:創業年 1918年
  • 資本金:9,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 佐藤 周平
  • 従業員数:84名(内、女性従業員数10名)
  • 所在地:101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-10
  • TEL:03-3294-1981
  • URL:https://www.p-sato.co.jp
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください