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多摩地区 成友興業株式会社

成友興業株式会社 建設と環境という2つの事業を融合させ相乗効果を生み出す

成友興業株式会社

建設と環境という2つの事業を融合させ相乗効果を生み出す

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多摩地区

成友興業株式会社

建設と環境という2つの事業を融合させ相乗効果を生み出す

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事業創出ストーリー
建設と環境という2つの事業を融合させ相乗効果を生み出す

 日々、日本のいたるところで行われている建設工事。何気ない日常の風景かもしれないが、これからはその意味合いは変わってくるかもしれない。ラグビーW杯での日本代表の活躍は記憶に新しいところだが、その熱狂が4年後日本にやってくる。そしてその翌年は東京オリンピック・パラリンピック。さらには2027年にはリニア新幹線が開業する予定だ。それに向けて、国立競技場をはじめとする建築物、圏央道・外環道といった高速道路などのインフラが続々と整備されていく。首都圏は大きく変わろうとしている。その中で、道路工事をはじめとした建設事業と、工事現場から出る産業廃棄物を建設資材に再生させる環境事業を展開する成友興業。建設業の新しい姿を標榜する。そんな事業創出の軌跡とそこで活躍する若手社員の働き方を追った。

東京の街並みを変えたい

 成友興業株式会社の設立は1975年。細沼順人代表取締役の父親が砂利や砂を販売する会社として立ち上げ、二代目は両親の他界を機に引き継ぐ格好になったというが、バブル経済崩壊にあえぐ1996年、29歳の若さでの就任だった。
 しかし、若き新社長は臆することなく新たな時代に挑んでいった。その頃は砂利などを販売する建材事業がメインだったが、街づくりに深く関われる建設事業にシフトし、地元自治体からの道路工事を積極的に受注するなど、順調に業績を伸ばしていった。
「私はこの多摩地区で生まれ育ちました。この地元の街並みをよりよくするため、ひいては東京をもっといい街にするために、建設分野で貢献したいと考え、事業展開してきましたし、これからも拡大し続けていきたいと思っています。そのため、自治体からの工事を積極的に受注するだけでなく、業界団体の活動・地元の社会貢献活動も進んで参加しています」
 ただ、それだけでは信頼は得られない。成友興業では座学・現地実習といった社員教育を徹底し、かつ最新装置の導入で工事の精度をミリ単位レベルに高めるなど、工事の品質向上に余念がない。2001年5月には国際標準化機構が発行する品質マネジメントシステムISO9002(2003年6月にISO9001へ移行)、2009年2月には同じく環境マネジメントシステムISO14001を取得し、品質・環境面の国際基準を満たした。そのような活動が認められ、平成27年度東京都建設局優良工事等表彰(建設局長表彰)を受けるなど、数々の優良工事表彰を得ている。

body1-1.jpg「勉強でもスポーツでも熱中できるもの見つけて打ち込んで欲しい」(細沼代表)

若手社員に責任ある仕事を任せてくれるから成長も早い

 そんな成友興業に魅力を感じ入社し、活躍しているのが入社2年目の中澤貴博さんである。多摩西事業所に所属し、地元あきる野市などの道路の舗装工事に携わっている。
 中澤さんの主な役割は、現場代理人を務める先輩のサポート。施工の品質管理に結びつく工事工程の写真撮影や路肩の高さなどを測定する丁張り、さらには資材や重機の手配などを受け持つ。
「弊社は若い社員が多く、先輩も同年代なのでわからないことがあれば気兼ねすることなく聞けるなど、働きやすいのが一番の魅力ですね。しかも若いうちからどんどん責任ある仕事を任せてくれるので成長も早いと思いますよ」
 そんな中澤さんの一番の喜びは自分が作った「道路を味わう」ことだ。休日は好きなバイクでツーリングするのが趣味の中澤さんは、携わった現場が地元に多いだけに、自ら工事した道路をよく利用する。舗装路面や路肩の仕上げを見るだけなくバイクで走る際に出来栄えを確かめるそうだ。
「いい道路はバイクで走るだけでわかります。専門用語で『平坦性がいい』と表現するのですが、路面が均一でタイヤが道路に吸い付くような走りが体感できます。自分が手掛けた道路がいい出来栄えだと、やはり嬉しいものです。ついつい友達にも自慢しています(笑)」
 と屈託のない笑顔で話す。1年目は先輩の指示に従って動くことが多かったが2年目の今は道路工事の流れを把握し、先の工程を見越して資材などの調達なども早めに手を打つ。仕事への自信を深めた中澤さんの目標は、早く現場代理人になること。多くの先輩が3、4年目で現場代理人として活躍するらしいが、そう遠くない将来、現場を取り仕切る中澤さんの姿が見られそうだ。

body2-1.jpg少しでもいい道路を建設するために日々仕事に打ち込む中澤さん

「e Synergy System」で新しい建設業のあり方を確立

 一方で、工事で出てきた廃棄物として適正に処理しなければならないが、すべてを廃棄物としてしまうと膨大な量になる。当然環境にいい影響は与えない。
 そんな問題を一気に解決したのが成友興業の技術だ。工事で出た廃棄物をほぼ100%リサイクルする技術を実現。各種廃棄物を適正処理して砂利や砂を取り出し、また建設現場に再利用できる循環システムを創りだした。
 その優れた技術によって、2011年に東京都で初めて汚染土壌処理業許可を取得した成友興業の強みは、自ら請負った道路工事などの工事現場から出た廃棄物を自社プラントで再生して、工事現場で使用するという循環型の事業を展開している。時代はリサイクル・エコ・再生へと加速。同社への工事発注は右肩上がり、自社だけでなく同業他社から出た廃棄物も再生工場で受け入れている。
「建設事業と環境事業をつなぐシステムを弊社では『e Synergy System』と呼んでいます。2つの事業をつなぐことで循環・共生・成長し続けるという相乗効果が生まれています。それが弊社の強みであり、多くの建設会社と一線を画する特徴です」
 と独自の会社方針を語る細沼代表。環境への負荷が大きい建設業界にあって、成友興業のe Synergy Systemの効果は絶大だ。例えば成友興業が取り扱う廃棄物だけで、年間で東京ドーム半分くらいの量になる。それをリサイクルして新しい建設現場に利用できるのだから、環境保全に与える影響は計り知れないといえるだろう。
「建設事業に携わってから、次第に現場から出てくる廃棄物を再生できないかと考えるようになりました。同時に建設資材の砂利や砂などのコストも削減したいという思いもあり、そこで思いついたのが自社プラントを建設して工事現場から出た廃棄物を再利用する方法でした」
 とはいえ、廃棄物再生の知識があったわけではない。文字通り一からの取組となった。大手メーカー・ゼネコン主催の廃棄物再生技術を研究する会や、産官学の連携活動に、細沼代表自ら参加させてもらえるようにアプローチ。その熱意が通じて複数の研究会や連携活動に参加が叶い、再生技術を蓄積していったのだった。

難関の資格取得を果たしてプラントづくりに挑戦したい

 同社に集められた廃棄物はセメントの原料やコンクリートの材料などに再生される。そこで懸念されるのが再生品への有害物質の残留。その検査を担う女性社員は城南島事業所のホープの一人。
 「汚染土壌というと工場跡地から出てきた土壌をイメージするかもしれませんが、地中深く掘った土壌なら場所に関係なくヒ素や鉛、フッ素などの有害物質が含まれています。こうした有害物質を除去して再生品を創り出しますから、検査は品質を保つために重要な役割を担っています」
 与えられたミッションは検査だけではない。廃棄物のリサイクルを広く知ってもらうための広報の役目も担っている。
 広報というと今どきはネットを利用しての啓蒙をイメージするが、同社はリアリティー路線で、都民や子供達に廃棄物のリサイクルがどのように行われているかを知ってもらおうと、工場での社会見学を開催。そのコーディネイトまでも担当しているという。
 「一般の方が理解できるよう工夫した資料を作成したり、子供向けプログラムとして、コンクリートづくり体験を開催したところ、とても好評でした」
 子どもたちが楽しそうにコンクリートをつくる姿をみるのが何よりも楽しいですねと笑みをこぼす。プラントづくり全体に関わるという目標を掲げ、公害防止管理者と環境計量士の資格取得に向けて勉強中という。とくにプラントづくりには欠かせない環境計量士は、環境関連の法律や物理、さらに科学分析にも精通しなければならない難関。この資格を取得して、成友興業の再生工場の建設に貢献したいという。

body4-1.jpg「将来的にはプラントづくり全体に携わりたい」と話す女性社員

編集部からのメッセージ

建設事業と環境事業の融合が内外から高く評価されている

 東京オリンピック・パラリンピック、リニア新幹線開業に向けて、今後、東京ではいたるところで建設工事が行われることが予想される。また、コンクリート建造物は、一般的に寿命が50年前後といわれているが、それは先回の東京オリンピックの経過年数と一致する。すなわち、それらの改修工事も数多く見込まれ、ぼう大な廃棄物が生まれることになり、廃棄物処理を考慮した工事が求められる。
 そんな状況を考えると成友興業の『e Synergy System』は大きな使命を秘めているといえるだろう。今後の建設業のあり方を変える大きな可能性をもっているといっても過言ではない。
 成友興業の先進的な建設事業と環境事業を融合させた事業は、関係各所から高く評価されている。数々の受賞歴はそれを物語るひとつの顕れといってもいいだろう。しかも、本年度のリデュース・リユース・リサイクル推進協議会で、「都市再生プロジェクト ~都市鉱山のがれきをふたたび高層ビルの建物に使用する~」で城南島営業所が国土交通大臣賞に輝くなど、現在進行形というから、同社の伸び代は計り知れない。無論、受賞歴はそのまま社員の誇りとなっているのは間違いないだろう。

  • 社名:成友興業株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 1975年
  • 資本金:2億9,377万円
  • 代表者名:代表取締役 細沼順人
  • 従業員数:225名(内、女性従業員数27名)
  • 所在地:197-0802 東京都あきる野市草花1141-1
  • TEL:042-558-4111
  • URL:http://www.seiyukogyo.co.jp/
  • 採用情報:こちらからご確認ください。