城東地区 社会福祉法人愛寿会 特別養護老人ホーム紫磨園

社会福祉法人愛寿会 特別養護老人ホーム紫磨園
現場起点を徹底し、利用者に寄り添う職員がサービス向上を主導

社会福祉法人愛寿会 特別養護老人ホーム紫磨園
現場起点を徹底し、利用者に寄り添う職員がサービス向上を主導

現場主導のサービス向上ストーリー
現場起点を徹底し、利用者に寄り添う職員がサービス向上を主導
介護サービス利用率が定員に対して98%台後半に達する特別養護老人ホーム紫磨園。これほど厚い信頼を集める背景には、職員主導のサービス向上への取組がある。
現場の職員が予算の裁量を担い、多彩なイベントを企画・実践
長期入所をはじめ、1泊から利用可能なショートステイ、通所の利用者を受け入れるデイサービスなど、介護サービスを幅広く提供する愛寿会。運営する特別養護老人ホーム『紫磨園』の利用率は、2016年度に入ってからは4~9月の平均で98%以上の高水準に達している。施設マネジメントを担う手川隆幸統括主任は、その理由として、ハード・ソフト両面の充実があると語る。
2012年の大規模改修で個室を大幅に増設したことが要因の一つにあげられますが、ハードの充実のみならず、職員によるサービス向上への努力が実を結んだ成果。これに満足することなく、2016年度からは『フロア費』という制度を設け、さらなるサービス向上に努めています」
同会に限らず、多くの介護施設で利用者が楽しみながら心身状態の維持・向上を図れるように、食事会や遠足などのイベントを積極的に開催しているが、同会は昼夜問わず利用者に寄り添う職員たちの“現場目線”を重視し、イベント運営など経費運用も「フロア費」として各フロアスタッフの裁量に託し、利用者により喜ばれるイベントを企画・開催できるようにしたという。
「ご利用者様の声を丁寧に拾い上げ、意見を活発に交換した上でアイデアを捻り出すようになりました。流しそうめん大会、夏祭り、回転寿司店へのお出かけランチなど、趣向を凝らした催しに、ご利用者様だけでなくご家族の皆さんにも楽しんでいただいています」

チームみんなでアイデアを膨らませ、本格的なお茶会を開催
介護スタッフの鈴木博子さんが先輩と一緒に企画したのはお茶会だ。
「何気ない日常会話の中であるご利用者様が茶道に造詣が深いことを知り、その方にご指導いただき、本格的なお茶会を開いたら皆さんも喜んでくれそうというのがこの企画の始まりでした。職員みんなでアイデアを膨らませていくと同時に、フロア費を使って茶器一式を準備し、本番に臨みました。さすが先生役の方の手さばきは見事で、職員、利用者が一緒になってお茶を立て、美味しくいただきました」
毎日同じことの繰り返しではなく、こうしたイベントは利用者にとって楽しみな特別な日であることは言うまでもなく、「次のイベントはこんなのがいいな」などという意見が聞かれるなど、日々の活力の源になっているという。
そんな鈴木さんが大事にしているのはオンオフのメリハリ。プライベートの充実が仕事に反映し、いつも新鮮な気持ちで利用者にも向き合えているのだという。
「大好きなテーマパークを隅々まで楽しむには混雑の少ない平日に限ります。これこそが平日休みの特権とばかりに月に2、3回は通っています。女性の先輩には産休・育休を経て働いている方もいて励みになっています。私も長く勤めたいので、認知症ケア専門士の資格を取得するなど、ケアスキルアップを目指そうと思っています」

人気の体験型ゲーム機をレクリエーションに導入し、大好評
旅行や仕事などで一時的に在宅介護ができない時などに短期的に利用できるショートステイ。サービス向上の意識はこのショートステイを担当するスタッフにもしっかり根付いている。白石勇樹さんは、フロア費を活用しながらとりわけレクリエーションの充実に力を注いでいる。
「家に閉じこもってしまいがちな在宅介護では、レクリエーションを通じて運動を楽しみ、ご利用者の皆さんとの交流を深めあえるイベントはとても有意義なものになります。企画を立てる際には、お体の状態に配慮しながらも、お年寄りだからという先入観ばかりに縛られないようにしています。例えば、私の発案から始まった人気の体験型ゲーム機を使った運動やカラオケ。ご利用者の皆さんは想像以上に順応が早く、ゲーム機を器用に使って夢中になってくれています」
また、白石さんは自ら手をあげ、他施設の見学研修にも積極的に参加。そこで学んだ利用者の日中の活動量を増やす工夫などもチームに展開し、プログラムの充実につなげている。ゲーム機の活用やボール遊び、言葉遊びなど、そのアプローチは多種多様だ。
「イベントは気さくなお付き合いのきっかけにもなったりします。“あら、また会えたね”とご利用者の方々に孫のように接していただき嬉しい限りです。一人でも多くの方にそんな笑顔になっていただくことが、私の目標であり、やりがいです」

明確な評価制度やキャリアパスもモチベーションの下支えに
こうしたボトムアップによる施設運営に加え、職員一人ひとりが長くモチベーションを持ち続けるには、将来を見通せる明確な評価制度やキャリアパスの存在も欠かせない。その点においても同会の手厚さは際立っている。評価制度は利用者に対する日々の言葉遣いから、気配り、委員会活動など30項目にもわたりチェックし、昇給・昇格には直属の上司と施設長によるダブル評価を反映。主任、統括主任、施設長へのキャリアアップのチャンスにも余計なしがらみがなく平等で、資格を取得することで生活相談員やケアマネージャーとして活躍する道も拓ける。
こうした評価の公平さや待遇面の手厚さに手川さんはすこぶる満足気。
「特別養護老人ホームの介護スタッフ、ケアマネージャー、デイサービス主任などを経て、現在は統括主任として施設全体をマネジメントすることが私の職務です。経験を重ねるごとに大きな裁量を任されるやりがいを感じています。また、介護業界には待遇が悪いというイメージが付きまとっていますが、実際にはそんなこともありません。私もマイホームを購入し、子ども2人を育てる上でも十分に納得できる収入を得ています」
利用者の声や変化も敏感にすくい上げながらサービス向上につなげられるのは職員の仕事に対する前向きな姿勢があるからだ。満足度の高い職場だからこそ、仕事に対する姿勢も真摯になるという好例といえよう。

編集部メモ
現場で工夫し、実践し、学びあう
イベントだけではなく、日常の食事も利用者にとって楽しみの一つ。食べ物は人々の記憶の原点。お袋やふるさとの味は脳裏にしっかり刻まれているもの。そこで同会では職員の発案から各地の郷土料理をふるまっているという。
「先日は青森名物のせんべい汁を食卓に上げたところ、青森出身の方が『懐かしいねえ』と、思い出と一緒に噛みしめるように味わってくれたんです」と、手川さんもその輪に加わって大切な故郷の記憶を共有できたと感激する。もちろん、喜んだのは秋田出身者のみならず、旅の思い出や妻の味に思いをはせる利用者もたくさんいたという。
さらに同会では、フロアの垣根を超えて切磋琢磨しあえるよう、テーマ別委員会活動も実施。例えば鈴木さんは、同じ姿勢で寝たり座ったりすることで起こる褥瘡、いわゆる「床ずれ」を研究する委員会に所属し、専門医から褥瘡部位のケア方法などを学ぶ外部研修で専門知識も磨いているという。
このように、現場で工夫し、実践し、学びあう取組が、同会の利用者目線を徹底したサービスの源泉にあることが窺えた。

- 社名:社会福祉法人愛寿会 特別養護老人ホーム紫磨園
- 設立年・創業年:設立年 1989年
- 資本金:-
- 代表者名:理事長 朝比奈 照雄
- 従業員数:81名(内、女性従業員数34名)
- 所在地:121-0836 東京都足立区入谷3-3-6
- TEL:03-3857-4165
- URL:http://www.aijukai.com
- 採用情報:ホームページよりお問い合わせください