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中央・城北地区 株式会社白川プロ

株式会社白川プロ 報道の最前線で働く映像ジャーナリスト達。映像に込めた情熱と伝えたい思い

株式会社白川プロ

報道の最前線で働く映像ジャーナリスト達。映像に込めた情熱と伝えたい思い

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株式会社白川プロ

報道の最前線で働く映像ジャーナリスト達。映像に込めた情熱と伝えたい思い

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報道のやりがいストーリー
報道の最前線で働く映像編集者達。映像に込めた情熱と伝えたい思い

 白川プロはニュースやドキュメンタリーの編集を手掛ける映像制作会社である。仕事内容ややりがいを紹介する。

報道に携わるやりがい

 朝の定番番組「おはよう日本」や「首都圏ネットワーク」「ニュース7」「ニュースウォッチ9」など誰しもが見たことがあるであろうニュース番組の映像編集を手掛ける白川プロ。ニュース編集に携わって30年の大ベテラン、榎本秀男さんは同社の業務内容をこう説明する。
 「カメラマンや記者が国内外で撮影した事件や事故の映像が、放送センターのサーバーステーションに送られてきます。各ニュース番組の責任者がその中からどのニュースを取り上げるか決定。私たちの仕事は、担当ディレクターと打ち合わせをして、ニュース番組に流せる長さに編集することです」
いわれるまでもないが、事件・事故は世界のあちこちで発生している。サーバーには毎日膨大な件数の映像が届くが、大きな事件が起きるとさらにその倍ほどの数が送られてくるという。
 「ニュースですから視聴者にとってわかりやすく正確な情報を届けるというのが基本です。また数十分、ものによっては数時間の映像をいつ、だれが、どこで、なにをといった5W1Hが分かるように編集しなくてはなりません。加えて一つの事件でも空撮もあれば、現場の生々しい映像や記者会見、目撃者証言など、映像素材が複数あることもあります。放送時間ぎりぎりに素材が届くこともままありますから結構しびれる仕事ですね」と編集現場の臨場感を説明する榎本さんが心がけているのが、災害やスポーツでもリアルな雰囲気を伝えること。現場の状況が伝わるのはどの映像なのか、どの画を入れれば視聴者の心に訴えかけられるか。そうしたことを考えながら編集に当たっているという。
 もともと8mmフィルムが好きで映像の専門学校に通っていた榎本さんが同社に入社したのは1985年。フィルムの編集ができると聞いて白川プロに入社を決めたのだという。
 「当時はまだVTRへの移行期でしたからテレビの映像記録もフィルムで行うことが少なくありませんでした。現像されたフィルムをワンカットごとに切り分けるのが私の役割。あとは上司が使えるカットをスプライステープという接着テープで繋げていくのですが、先輩は感覚とセンスで映像の尺が分かっていたようです。いつか私もそんな風になりたいと思っていたのですが、急速にVTRに移行していっちゃって、先輩の技は身につきませんでしたね」
 そんな榎本さんに印象に残っているニュースを聞いてみた。
 「昭和から平成にかけて、30年ほど歴史を見続けてきました。入社した年には日航機墜落事故やその後、昭和天皇の崩御などもありましたが、記憶に残っているのはやはり東日本大震災です」
 震災があったその日、榎本さんはたまたま休みで渋谷区松濤の病院で健診を受けていたのだという。大きな揺れが起こり病院の指示のもと避難すると、左右に大きく揺れる放送センターを見た。すぐさま放送センターに向かったという。
 「到着した時は津波の第一波がくる前でしたが、間もなくして津波の映像が送られてきました。見たこともない映像で、みんな声を失っていました。が、交通網も麻痺していたのでなんとか現場にいる人間で報道しなければならない。とにかく気を奮い立たせて放送を出し続けていました」
 入社11年目、当時はスポーツニュースの編集を担当していた今井章文さんも急遽、召集され震災のニュース編集に当たったという。
 「被災地は停電していましたから情報を届けなければならないところに本当に届いているのかわからないというジレンマを抱えていましたが、それでも少しでも有益な情報が流せるよう編集作業に当たっていました。それに支援に動いている人がこんなにたくさんいるという状況を被災地の方々に伝えたい、被災地ではないところへ現状を伝えることで、動くきっかけにしてほしいという気持ちもありました」
 普段ニュースを見る時に意識することはないが、ニュースにも作り手の思いが込められている。

body1-1.jpg現在は人事を担当している榎本秀男さん

編集の面白さ

 今井さんが主に担当しているのは全国放送のニュース番組だ。入社当初は一本のニュースを編集するのも一苦労で1分という時間が長く感じたという。
 「おそらく編集というものがわかっていなかったんだと思います。このシーンをクライマックスに持っていって、そのための前フリをここに作ってと構成を考えていくと今度はだんだん時間が足りなくなってきます。もう少し尺があったらもっと前フリが効いてクライマックスが活きるのにと思うことが何度もあります」
 こうした編集の構成や見せ方を考えるのがこの仕事の面白さと言葉を継ぐ。
 「同じ映像素材でも編集する人が違えば全く違うものが出来上がることがあります。例えば、野球なら勝った方の話なのか負けた方の話なのか、あるいは打たれたピッチャーなのか、打ったバッターなのか。何をどのようにして伝えるのかを考えるのが、この仕事の一つの面白さです」
 ニュース編集をする傍ら、ドキュメンタリー番組の編集にも携わることがあるという。テレビ局や制作プロダクションのディレクターが企画を考え取材し、そのテープを編集する。制作期間や放送時間によって変わるが1本40分のテープが100本でも66時間以上の映像を編集する計算になる。
 「企画や取材した人が編集もやると、そのテーマを誰もがわかっている前提で話を進めたり、思い入れが強すぎたりして偏った作品になることがあります。やはり、第三者目線は欠かせないので、取材が8割方終わった頃合いで、私達のような編集マンが入って、話し合いを重ねながら編集するということもあるんです。時にはこういう話がもっと欲しい、この人にこんな話を聞いてみたらどうかといった提案をすることもあります」
 もともとスポーツニュースやスポーツドキュメンタリーが好きだったという今井さん、好きなことに携われる充実感があるという。
 「とりわけ刺激を受けたのが、横浜高校対PL学園の延長17回の熱戦を取り上げたドキュメンタリーだったんです。その編集に携わった人が同じ部屋で仕事をしているというのを知った時は感動でした。いつかこの作品に憧れて業界を目指したんですという後輩に、それ作ったの俺だよと言えるぐらいの番組を作ってみたいですね」

body2-1.jpg編集の面白さを話す今井章文さん

充実した福利厚生制度

 映像編集の仕事というと休みはなく、徹夜も当たり前といった激務のイメージがある。が、白川プロでは完全シフト制で残業があっても前後の引き継ぎぐらいのものという。加えて有給休暇の他に夏期休暇と冬期休暇も設けられている。
 「週休二日制で連続して休みがとれます。私は火曜日と水曜日。家庭を持つと優先的に土日休みにしてくれる等、融通がきくので勤務体系についての不満はないですね」と話すのは入社5年目、首都圏管内のニュース編集を担当している遠目塚文乃さん。メンタルヘルスケアにも取り組んでいて、ストレスチェックを行い、結果をフィードバックしてくれるセミナーも実施しているという。
 「育児休暇を取得している社員も少なくありません。先日も復帰してきてバリバリ働いている女性社員もいますので、そうした前例があると今後のライフプランを立てやすくなりますし、働く上での安心感があります」
 男女の隔てなく活躍できる環境が整備されている白川プロ。平成28年には「仕事と介護の両立推進部門」で東京ライフ・ワーク・バランス認定企業となった。プライベートも仕事も充実させたいという人にとっては申し分ない職場ではないだろうか。

body3-1.jpg「現場で活躍している女性がたくさんいます!」と話す遠目塚文乃さん

編集部メモ

信念を持って働く映像ジャーナリスト


 「私はニュース編集部に所属しているのでテレビ局のニュースセンターに出勤し、仕事が終わればそのまま直帰しています。放送前はぎりぎりまで緊張した話し合いが続きますが、オフの時間は和気藹々としていますし、少しでも良いものを放送したいという一体感もいいですよね」(遠目塚さん)
 現場には信念を持った映像ジャーナリストが大勢いるという。こうした最前線の職場で報道の仕事に情熱を傾けたいという学生には興味深い会社といえよう。

edit-1.jpg編集する目は真剣そのものedit-2.jpg編集作業に当たる遠目塚さん