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城南地区 株式会社スポーツマリオ

株式会社スポーツマリオ 若手社員に裁量を託し、ボトムアップによる店作りでニーズをつかむ!

株式会社スポーツマリオ

若手社員に裁量を託し、ボトムアップによる店作りでニーズをつかむ!

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城南地区

株式会社スポーツマリオ

若手社員に裁量を託し、ボトムアップによる店作りでニーズをつかむ!

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“全社員参加型経営”の実践ストーリー
若手社員に裁量を託し、ボトムアップによる店作りでニーズをつかむ!

スポーツマリオは、野球、サッカー、ランニングやフィットネスなどのジャンルに特化したスポーツ用品店を次々と立ち上げ、独自性で勝負してきた。
その成長を語る上で欠かせないのが、「全社員参加型経営」である。

成長の原動力は全員の経営者意識

 スポーツマリオは、「ベースボールマリオ」「サッカーマリオ」「ラン&フィットネス」といったジャンルに特化した店舗展開を行い、顧客のハートをがっちりつかんで成長の一途をたどっているスポーツ用品店だ。
 「スポーツ用品店というと、広く浅く、様々な商品を取り扱うのが一般的です。しかし当社は『お客様の関心事は何なのか』に焦点を絞ってジャンルを見極め、店舗の演出やサービス、商品ラインアップに反映し、他社との差別化を図ることで成長してきました。それを支えてきたのが、社員の声を経営に反映する『全社員参加型経営』です」
 そう語るのは、菅原孝夫取締役。キャリアの浅い若いスタッフにとって、経営はまだまだ無縁の次元の話に映りかねない。同社ではそんなイメージを払拭すべく、自社のクラウドシステムに、店長会議の動画や各店の収支状況などを随時アップし、社員がスマートフォンなどで自由に閲覧できるようにしている。経営陣の動向を目の当たりにすることで、経営の何たるかが肌感でつかめるようになるとの狙いがそこにある。さらに、同システムの日報欄は社内SNSとして活用できるようになっており、社員たちが店舗での棚作りの事例やスポーツ用品メーカー主催の展示会の様子、店舗キャンペーンの成功例などを写真付きで積極的にアップ――これが経営者意識の共有化に繋がっていると菅原取締役は説明する。
 「日報に書き込まれた事例を参考に『うちの店舗でもやってみよう』という広がりが自然発生的に生まれてくるんですよ。事例のみならず、その結果売上げにどう結び付いたのかという数値データも共有していますので、経営的な視点や収支への責任感も磨かれていくのです」
 こうした仕組みを活性化するためには、社員の工夫やアイデアがスピーディーに反映されなければならない。同社では年齢や社歴を問わず、店舗運営や仕入れなどの権限を与え、現場の声をリアルタイムに反映。上層部はそのフォローに回るという構図を作り出し、若手の経営者意識を醸成している。

body1-1.jpg「どんな仕事も自分主体で臨むと、面白さが深まっていくものです」と菅原孝夫取締役

バイヤー業務と並行し、自社ブランドの商品開発チームにも参画

 24歳の芹澤愛恵さんも、大きな裁量を与えられている一人。店長代行として店舗運営を担いながら、レディース部門のバイヤーとして全店に展開するアイテムの仕入れを担当する。小売店にとって、売れ筋商品を見極めるバイヤーは、売上げを左右するともいえる重要なポジション。芹澤さんは何と入社1年目からバイヤー業務に携わってきたという。
 「店舗に毎日立ち、どんな色やデザインのトレーニングウェアが女性に人気なのか、どんな機能が求められているのか、お客様のニーズに最前線でアンテナを張っています。そうしたお客様の生の声を仕入れに反映し、棚の演出も自ら手掛け、その成果がお客様からの好反応や売上げアップに結び付いたときの喜びは格別です。うまくいくことばかりではありませんが、失敗事例も次に繋げるための大切な要素と割り切り、仕入れの精度を高めています」
 こうした経験を早くから積み上げてきた芹澤さんは、入社3年目には女性向けフィットネスウェアの自社ブランド「INFIT(インフィット)」の商品開発チームにも大抜擢された。同開発チームは、若手メンバーが主体となって、アイテムの生地や機能、デザイン、サイズ感などを一つひとつ検討し、デザイン・製造を委託する協力先とともに形にしているという。
 「お客様のニーズに沿った商品を自分たちで作れることに、大きなやりがいを感じています。まだまだ始まったばかりのブランドで、リリースしたアイテムも少ないですが、これから随時ラインアップを拡張し、ブランドを大きく育てて認知度を高めていきたいですね」

body2-1.jpgメーカーから招待を受けてロサンゼルスマラソンに参加し、完走したという芹澤さん

フィットネスジムと提携し、ランニング教室を企画・開催

 芹澤さんと同期入社の奈須日向郎さんも、1年目からメンズアイテムのバイヤーとして活躍している。現在は実店舗に展開するアイテムのみならず、自社ECサイトで取り扱うアイテムの仕入れも一括して託されているという。
 「実店舗ではベーシックなアイテムが好まれ、ECでは奇抜なデザインが売れるなど、販売チャネルによってニーズは異なるという下地はありますが、立地によってお客様層も様変わりしますから、これを仕入れたら間違いないという答えはありません。そのため、クラウド上にアップされる各店の売行き状況やコーナー展開の事例などをヒントにするなどして、店舗の特性に応じたきめ細かな仕入れを心掛けています。工夫のしがいがあるからこそ、面白いんですよ」
 さらに、国分寺マルイ店の店長を兼任する奈須さんは、地域のフィットネスジムに提携を持ち掛け、プロのインストラクターによるランニング教室を企画し、開催したという。フィットネスジムにとって、この企画は会員誘致に繋げられる、まさに両社にとってWin-Winの取組になったと、奈須さんは誇らしげに語る。
 「モノの提案のみならず、イベントを通して『コト』も提案し、スポーツの楽しみを広げていきたいという思いを形にすることができました。この取組もクラウド上にアップしたところ、店舗の垣根を越えて『うちではヨガ教室を開いてみよう』といった新しい動きも始まっています。今は、こうした地域イベントを会社全体の仕組みとして展開していきたいと意気込んでいるところです」
 芹澤さん、奈須さんのような若手社員が主体となって、会社全体を巻き込みながら事業を推進する同社。「全社員参加型経営」がどんな新たな躍進を生み出すのか、今後が楽しみだ。

body3-1.jpg「手を挙げればどんどん新しい仕事にチャレンジできる会社です」と、奈須日向郎さん

編集部メモ

上司・部下が評価し合う「360度評価」

 同社では評価制度においても、「全社員参加型」が貫かれている。上司が部下を評価するだけではなく、部下も上司に対して「チームコミュニケーション」や「他部署との連携」といった項目ごとに評価を行い、それらをフィードバックすることで互いの課題の抽出・解決に繋げているという。「当社ではこの仕組みを 『360度評価』と名付け、積極的に取り組んでいます。社員が受け身になるのではなく、主体的に自覚を持ってチームと関わる姿勢が育まれています」と、菅原取締役はその効果に自信を見せる。

edit-1.jpg社員の8割以上がフルマラソンを完走し、その実体験を接客に生かしているという
  • 社名:株式会社スポーツマリオ
  • 設立年・創業年:設立年 1988年
  • 資本金:1,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 桐原 裕輔
  • 従業員数:158名(内、女性従業員数89名)
  • 所在地:151-0072 東京都渋谷区幡ヶ谷1-1-1 ニッコービルディング1階
  • TEL:03-6304-2336
  • URL:http://www.sportsmario.co.jp
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください