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城南地区
スターヒューズ株式会社

スターヒューズ株式会社 「製品を売る」から、「情報を提供」にシフトその結果から新商品が誕生!

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「製品を売る」から、「情報を提供」にシフトその結果から新商品が誕生!

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スターヒューズ株式会社

「製品を売る」から、「情報を提供」にシフトその結果から新商品が誕生!

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電気の安全を陰で支え続けるストーリー
「製品を売る」から、「情報を提供」にシフトその結果から新商品が誕生!

 ヒューズといわれてもピンとこない人が多いかもしれない。電子機器などに組み込まれ、必要以上の電流が流れないようにするための電子部品である。スターヒューズはヒューズ一筋に1世紀。そのパワーは確かに伝承されていた。

電気回路の保険ともいえるヒューズの市場は計り知れない

 表に姿をさらしている部品ではないだけに、ヒューズの存在はとても地味に思える。しかし、ヒューズは意外と身近な存在で、テレビや電子レンジ、車など数多くの電気製品に組み込まれている。実はかつては家の配電盤にもこれが使われていたので、ある年齢層にとってはとても馴染み深いものである。同社が創業した1916(大正5年)年当時、工業国を標榜する我が国の電化は著しく、ヒューズ市場は活況を呈していた。昭和から戦後へと、まさに天井知らずの勢いで成長していったのだ。
 ところが1970年代後半になると、ブレーカーが誕生するなど業界に逆風が吹き始めた。同社にも危機感は走った。しかし、災い転じて福となすの諺を地で行くが如く、自然淘汰が同社の経営を安定させた。
 「ライバルとなるメーカーが次々と倒れ、これはいかんという流れもありましたが、業界が整理された分、市場は安定したんですよ」と語るのは営業部の柳田覚次長。
 しかし、動力といった主要部品でもなければ、頻繁に換えなければならない部品でもないヒューズだけで、経営は成り立つのだろうか。
 「確かにヒューズの寿命は非常に長いんですが、そこがミソなんです。例えば、いざヒューズを交換しようとしても、古い製品だとそのヒューズのメーカーがなくなっていたというケースが珍しくないんです」(柳田次長)
 なにより電流をコントロールするヒューズはとても繊細なもの。適当な代用品で済ますということもできない。火災などのリスクを考えると専門家に相談ということになる。そこで救世主となるのが歴史と経験を持ち合わせた同社で、企業からの引き合いはあとを絶たないという。当然、問合せがきた企業はそのまま顧客となる。
 「古い電気回路には設計図がないということが多々あります。その場合、回路を丁寧に分析調査して適正なヒューズを選び出し、その代用品を提供するというのが、今では仕事の大半を占めています」と柳田次長は言う。
 そもそも、ヒューズとは、一定の熱を感知すると、ヒューズの核ともいうべき合金部分が溶けることによって電流を遮断するという仕掛けの部品。当然、使われる機械や機器、部位によって合金の仕様は異なる。顧客先からは、その仕様にあったヒューズの製造が求められ、同社はそうした多種多様の要望に応えられる数少ない企業だ。
 「機械や製品は日進月歩ですが、その多くがヒューズを必要としています。そういったことも含め、この先に業界不安は感じませんね」(柳田次長)

body1-1.jpgヒューズは電気回路や設備機器の保険の役割を担っている

モットーは、面白そうな仕事作り

  同社にはもう一つの強みがある。金属の調合など、微妙な試行錯誤が強いられる根気の要る地道な作業の中で思わぬ副産物が誕生したのだ。それが、「ダンパー用温度ヒューズ」である。ダンパーとは、扉の開閉によって空気の流れを調整する設備。同社の製品が使われているのは、火災時の延焼や熱い空気の噴出を防ぐために、ダクトに取り付けられる防火ダンパーだ。電気熱を感知するヒューズのメカニズムを応用し、温度熱に反応して、ダンパーの開閉ができるものを開発した。
 これもまた目立つ存在ではないが、まさに時代の求める申し子、建築業界でなくてはならないものの一つと数えられている。今では同社の売上シェア50%を占めるまでになっている。
 「防火のためのヒューズが世の中にあまりなかったのが不思議です」(柳田次長)。
 このように既成の概念にとらわれない開発に巡り合うのは、その背景におもしろそうな仕事づくりという社風があるからだ。
 「ヒューズはいわば縁の下の力持ち。決して目立つものではありません。扱う上でのハデさもありません。しかし、そのままじゃおもしろくないじゃないですか。だからどんな些細な開発の中にもおもしろさを発見しようというのが企業のモットーなのです」と柳田次長は語る。
 おもしろそうな仕事づくりという考え方を会社が持つと、そこに集う社員も自然におもしろそうな仕事を探すようになるという。100年を超す社歴の中に積み重ねられたノウハウを活かし、バラエティーに富んだ製品を生み出すことが今後の企業としての課題であり、社員一人ひとりのそうした気持ちが未来を切り開いていくんだという強い思いをのぞかせる。

body2-1.jpgダンパー用温度ヒューズの将来性を熱く語る柳田覚営業部次長

自社ブランドを持っているのは、何よりもの強み

 技術開発と設計を担当する小峰勝取締役生産統括部長は、技術畑一筋を歩んできた。しかし、学生の頃は生粋の文系だったという。そんな門外漢がヒューズに欠かせない合金を扱う部署に配属されたのだから、その道程は茨の道だったに違いない。
 「ヒューズとは異常な電流が流れた時に、それを遮断するのが役目。つまり過度な電流があるとヒューズの一部の金属が溶けて切れるという仕組み。当然電気回路それぞれで必要な電流値は異なる。そこでカギを握るのが金属の特性です。私の仕事はそれぞれの機器に適した金属を作る、つまり合金製造です」
 素材となる金属の数が増えると、それぞれの熱反応を探り、全体の熱感反応温度を下げるための共晶点、すなわち熱を感知する温度を探らなければなりません。試行錯誤の繰り返し、それだけに目的を達成した喜び、爽快感は何度味わってもいいものと笑みを浮かべる。
 スターヒューズは自社で合金を作る施設を持っているため、顧客のニーズに合わせて自前で作り出せるのが強み。使用目的によって異なる合金をとことん探れるというアドバンテージがあったからこそダンパー用温度ヒューズも生まれたのである。
 目立たずともいまだヒューズにとって代わるものは出現していない。そして、今後とも色々な形でヒューズは求められ、それを供給していかねばならない。
 「若手にはぜひとも新時代の中でヒューズの新しい用途を積極的に模索していってほしいですね」と小峰部長は次世代に期待を寄せる。

body3-1.jpgヒューズの要となる合金の奥深さを語る小峰勝統括部長

若者が成長できる環境を目指して

 以前はプラントメーカーに常駐し、海外でも活躍していたという水野英男営業部長。同じエンジニアリングでも大型設備と電子機器では大きく異なる。特にヒューズに関しては全くの素人だったというものの、今では自社ブランドはじめ、他社製品や海外製品など、顧客のニーズに応じたヒューズをそろえるのが仕事。
 「プラントメーカーにいる時は組織対組織だったが、ここでは個人対個人。立場、役割などそれぞれで異なりますが、要求にこたえるという目的は同じです。そこで大事なのが同じ会社、同じ業界で働くという共存意識。これが成立すれば多くのことを円滑に進めることができますね」と水野部長。
 そう語る水野部長の目標は、若い世代にとって働きがいがあり、働きやすい会社作りだという。社員の能力を伸ばす外部研修の機会を設けるなど、人材育成にも注力しているそうだ。
 「若い時代の経験はとてつもなく人を成長させるものです。グローバル化時代なのですから、若者には業界の枠にこだわることなく飛躍してほしいですね。そのためには私たちシニア層は持てる知識を伝承し、全面的にバックアップしていきますよ」とエールを送ってくれた。

body4-1.jpg人と人の繋がりが人も企業も大きくしてくれるという水野英男営業部長

編集部メモ

熱感知のヒューズメカニズムの応用性は多様である


 ヒューズという単純な仕組みの製品をただ右から左に動かすだけでなく、そこにおもしろさを見出そうという姿勢を貫いてきた同社。そのマンネリを嫌う姿勢が、ダンパー用温度ヒューズ誕生へと繋がった。安心安全が声高にいわれる時代、ダンパー用温度ヒューズへの注目度は高い。それに伴い市場も拡大するであろう。スターヒューズには、こうしたニーズに応えるべき施設とノウハウが脈々と受け継がれてきた。今後の時代をどうおもしろがっていくのか、大いに楽しみだ。

edit-1.jpg製品を売るより情報を提供するのがモットーだという
  • 社名:スターヒューズ株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 1916年
  • 資本金:2,200万円
  • 代表者名:代表取締役 柳田 道康
  • 従業員数:17名(内、女性従業員数4名)
  • 所在地:150-0011 東京都渋谷区東2-22-7
  • TEL:03-3400-5528
  • URL:http://www.star-fuse.com