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多摩地区 杉並電機株式会社

杉並電機株式会社 手厚いフォローで若手を育て ものづくりに欠かせない「金型」を製造

杉並電機株式会社

手厚いフォローで若手を育て ものづくりに欠かせない「金型」を製造

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多摩地区

杉並電機株式会社

手厚いフォローで若手を育て ものづくりに欠かせない「金型」を製造

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手厚いフォローで若手を育て ものづくりに欠かせない「金型」を製造

設立以来一貫して、機械部品などの生産に欠かせない精密金型の製造や、精密部品のプレス加工を手掛ける杉並電機。金属材料に100分の1ミリ単位の微細加工を施す技術で顧客からの信頼を得てきた。培った技術を若手に継承するために、オリジナル動画教材を用いるなど、先輩が後輩を育てる社風がある。

超精密金型を 効率的に製造

 家電や携帯電話、自動車などの電子部品、プラスチック部品などを大量に製造するには、「金型」が欠かせない。1956年設立の杉並電機は、自動車やスピーカー、ゲーム機器などの部品製造に用いられる金型やその金型を用いた金属部品を製造してきた。
 技術革新が著しい昨今は、部品の小型化、薄型化が進む。同社は、最新の加工設備と職人技術を生かし、爪の先ほどの小さな材料に緻密な加工を施す精密金型や、金属部品の製造を得意とする。更に、価格競争に打ち勝つ手段として、精度に加えて生産効率を追求し、2000年から生産設備の自動機械化を進めた。1分間に数千回転する加工機などを24時間自動で稼働させ、効率的に製品を製造し、短納期化を実現している。
 「100分の1から1,000分の1ミリ単位で金属を切る、削る、曲げるなどのプレス加工品を毎月100種類ほど生産しています」(福田社長)
 また、金型の修理業務にも注力。金型の状態によって処置が異なるため、自動工作機は使えないという。習得に10年は掛かるという職人技術と専門知識で、摩耗状況を見極め、適切な加工を施し、機能を回復させる。正常な状態の金型を維持することで、不良品の生産を最低限に抑え、納期通りに製造することができる。こうした高い技術力が評価されていると福田社長は胸を張る。
 「加工方法の選択から、緻密な加工まで、熟練の技が求められます。職歴が10年以上ないと担えない職人技です。おかげで誰もが名を知るゲームや家電、自動車などのメーカーから多数注文いただいています」(福田社長)
 近年はステンレス、チタン合金といった高強度材料を用いた自動車や産業機械などの製品開発が進み、同社でも、ダイヤモンドの次に硬い超硬合金用の加工機導入を画策している。
 「強固な材料に複雑な加工を施し、他社には担えない金型を手掛けたいです」と福田社長は展望を語る。

body1-1.jpg「精密金型と金属部品を製造し続けて64年。生産設備と職人技術が強みです」と福田社長

動画教材などで 一から若手を育てる

 同社では技術継承に向けて若手育成にも積極的に取り組んでいる。入社するとまずは、外部研修を通してビジネスマナーなどを身に付け、その後、部品の検査部門で仕事や職場環境に慣れ、入社1年ほどでプレス加工機を用いた部品製造を担当する。機械の操作方法などは、先輩社員たち手作りの動画教材を通して理解を促している。
 入社2年目、製造部の松岡さんは「動画で工程全体の流れがわかり、スムーズに理解できました。また、製造する部品の種類によって作業が異なり覚えることが多いですが、先輩が丁寧にフォローしてくれます」と笑顔を見せる。
 入社14年目、製造部の乙幡さんは金型の製造に携わってきたが、昨年から修理業務に挑戦中。
 「金型の損傷状態に応じた加工法の見極めや、1ミリに満たない微細加工は奥が深く、いくらでも技術を深めていけるのが魅力です」(乙幡さん)

body2-1.jpg「初歩的な質問にも丁寧に答えてもらえ、安心して仕事を覚えられます」と松岡さん

業務の効率化を徹底し 社員のプライベートを確保

 社員のプライベートも尊重する同社。例えば、毎年12月24日はノー残業デーと定め、全社員にホールケーキを手渡している。
 「家族や友人、恋人と過ごしてほしいとの考えから30年続けてきました」(福田社長)
 また、生産業務の自動化は残業削減にも貢献し、月平均残業時間は10時間程度まで減ったという。
 「ほぼ定時に退社し、趣味のゲームや友人との食事を楽しんでいます」(松岡さん)
 上下なく誰とでも気軽に話せる、風通しの良い社風も社員から評判だという。

body3-1.jpg広々とした生産現場。20代の若手をはじめ、幅広い世代が切磋琢磨し、技術を高め合っている

ここがポイント!働くやりがい!

職人技術を一から身に付け、難易度の高い加工を成功させる


 金属加工や部品製造には、材料や機械、電気に関する専門知識と技術が求められる。同社では、先輩の指導のもと一から勉強を重ね、4~5年で一通り担えるまでに成長できるという。徐々にステップアップし、より難易度の高い形状に挑戦する毎日は大変ながらも楽しいと若手社員は口にする。更に経験を積めば職人技が求められる修理業務にも携われる。自らの知識や経験を生かして困難な加工を成功させる達成感は大きい。

edit-1.jpg同社が製造した精密部品。突起1本1本に微細な加工が施されている