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中央・城北地区 株式会社サンプラント

株式会社サンプラント 人材こそ財産という経営姿勢を貫き若手社員を育てる

株式会社サンプラント

人材こそ財産という経営姿勢を貫き若手社員を育てる

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株式会社サンプラント

人材こそ財産という経営姿勢を貫き若手社員を育てる

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若手育成ストーリー
人材こそ財産という経営姿勢を貫き若手社員を育てる

 空調、給排水などの設備施工を請け負うサンプラント。多くの顧客から信頼を獲得しているが、その背景には人材が最大の財産という経営方針があった。

高品質の設備施工は優秀な人材から生まれる

 建築物は、鉄筋やコンクリートなどの躯体だけでは単なる箱に過ぎない。そこに電気・ガス、空調、給排水など様々な設備を備えることで、初めて快適な空間が生まれる。これらの設備は人間の身体に例えれば、体内の隅々まで酸素や栄養を供給する血管のようなものかもしれない。
 サンプラントは、いわば建物に命を通わせる空調設備、給排水設備などの専門施工会社として、これまでに研究機関や学校、病院・福祉施設、商業・文化施設、米軍基地内の各種施設などの施工に携わってきた。
 「約75年間、つねに時代のニーズを捉えた高い技術力で空調、給排水、さらにはスプリンクラー設備等の消防設備まで手がけてきました。その実績が評価され、今日ではゼネコンなどと一緒になって提案を行い、数多くの受注を獲得しています」
 そう自社の強みを説明する鎌田兄己社長(取材当時)いわく、品質の高い施工を実現するには優秀な人材が不可欠。設計図一つで自分たちに求められることを読み取る能力はもちろんのこと、現場で関わる異業種スタッフとのコミュニケーション能力も問われる。さらに言えば、同社が手がける米軍関係の案件では、設備関係の専門知識だけでなく、英文の仕様書を読解する語学力も求められる。そんな事業背景から取り組んできたのが人材育成への積極的な取組である。鎌田社長(取材当時)は人材に対する基本的な考え方を次のように話す。
 「現場で仕事を覚えるのが一番の成長につながります。ですから若手社員は必ず上司や先輩がいる現場で、工事の最初の段階から完成までを体験させています。そうした経験によって、キャリアが浅いうちから工事の全体像や流れを把握できるだけでなく、達成感も先輩とともに味わいます。この価値観の一体化が現場でのコミュニケーションを円滑にするのは言うまでもなく、達成感は確実に若手社員のモチベーションにつながります」
 言うまでもなく、できるだけ少人数で現場に当たった方が利益は上がる。しかし、同社では目先の利益より、まずは人材育成に重きを置いて利潤を追求するという姿勢を貫いているというのである。

body1-1.jpg人材こそが会社の最大の財産と語る鎌田兄己社長(取材当時)

充実した新入社員研修など社員の支援体制に注力

 現場で先輩について仕事を覚えるのがサンプラント流の人材育成だが、手厚い研修も実践している。その皮切りとなるのが3か月にわたる新入社員研修である。ここで施工に欠かせないCAD操作や積算の基本知識、設備機器メーカーの見学、現場研修などを行い、設備施工の基本をみっちりと仕込む。
 「新入社員でも当社の事業を理解し、収益を上げるためには何が必要なのかを理解できる研修を導入しています。それが将来、現場代理人になった際に求められるスキルですから、早い段階から俯瞰して事業や仕事を考える習慣を身につけられるようにプログラムを組んでいます」
 そう語るのは総務部部長の熊谷雅和氏。こうした社員のスキル向上を図る一方で、職場環境を整備することで社員の健康増進や仕事に対する意欲も高めている。例えば、年2回の健康診断やワークライフバランスへの取組もそのひとつ。中央区のワークライフバランスの認定を受けるなど、仕事と子育ての両立が図れるように環境整備にも余念がない。産休・育児休暇も早くから導入し、すでに数名の女性社員が利用している。今年度からは男性社員も育児のための休暇が取れるように特別休暇を導入したという。社員が働きやすく成長できるよう常に環境を改善する。これも社員の成長を促す大きな要因となっているようだ。

body2-1.jpg充実した新入社員研修など数々の仕組みを導入する熊谷雅和部長

失敗を糧に成長させる。現場が若手の成長の場

 設備統括部の宮原秀和さんは、入社15年目で、同社のエース的存在だ。これまで現場代理人として数多くの建築物を手がけてきた実績を持つ。大学の就職課で先輩が勤めるサンプラントの求人票を目にしたことが、入社のきっかけだったと振り返る。
 「その求人票に、設備の施工管理はオーケストラのコンダクター(指揮者)のようなものと書かれていたんです。その言葉に惹かれて入社を決意しました。実際に働き始めるとコンダクターという表現は言い得て妙だと感じています。何十人もいる協力会社のスタッフ一人ひとりの個性を把握し、スキルを活かしながら高品質な建物の完成という目標に向かってリードするのが現場代理人の役割。そのことに大きなやりがいを感じています」
 現在、現場代理人として活躍する宮原さんには高品質の設備施工の責任者以外にも役割がある。後輩たちの育成である。経験豊富な宮原さんは大きな現場を任され、若手社員が部下につくケースが多い。そんな宮原さんの若手育成方法はひと言でいえば失敗から学んでもらうということ。
 「取り返しのつかない失敗は事前に防ぎますが、小さな失敗は若いうちにした方がいいという考え方です。できるだけ仕事を任せて、自分自身で考えさせ、仕事を進めさせる。経験値が少なければ、失敗を招くことになりますが、そうした経験が、仕事を覚えさせるのです」
 まさに現場で仕事を覚えるの真骨頂といえる教育方法である。

body3-1.jpg優秀な現場代理人である上に後輩の良き先輩である宮原秀和さん

常にメモを忘れずに。入念な準備を心がける

 サンプラントは各種研修や現場でスキルを磨く環境を整えているため、入社に当たって専門知識の有無は不問。建築や設備を学んでいない学生にも広く門戸を開いている。今年の4月に入社した大河原克也さんも経済学部を卒業した門外漢の一人である。
 「地図に残る仕事がしたくて大学の専攻とはまったく関係のない当社に入社しました。入社後の新入社員研修ではCAD操作をはじめ、業界の基本知識を学び7月に現場配属になりました。言うまでもありませんが、研修で学んでも仕事に精通できるほど設備の施工管理は甘くはありません。わからないことはその場で先輩に聞くなど、毎日が一人前の現場代理人になるための勉強です」
 はつらつと仕事に対する姿勢について語る大河原さんは、メモ魔としても知られ、ご本人も先輩のアドバイスは細かくメモして、同じ質問は二度しないよう心がけ、また、先輩からどんな仕事を頼まれても「できません」とは口にしないときっぱり言う。
 現在は、段取り8割と言われる工程に合わせた資材調達や人材の手配を担当している。準備が重要な設備施工の世界で日々成長を感じると大河原さん。その目の輝きが充実ぶりを物語っているかのようだった。

body4-1.jpg誠実でまじめな性格で周囲から信頼される大河原克也さん

編集部メモ

社員の人間性を磨く人材育成が顧客の信頼を得る

 サンプラントは6年前まで、建築設備とプラント部門の2事業部制を敷いていたが、プラント事業が親会社に吸収されたのをきっかけに、1事業部制として再スタートを切った。これが思わぬ副産物を産んだという。それは社内の一体感である。
 「建築設備とプラントは顧客も仕事内容も異なるので、一事業部制になったことで目に見えない一体感が生まれたような感じがするんです」(鎌田社長 取材当時)
 無論、日常的な職場は現場が多いため、どうしても社員同士のコミュニケーションは希薄になる。それを少しでも解消しようと各種スポーツ大会や忘年会など全社的なイベントを多数開催しているという。
 サンプラントは、仕事に対する誠実な姿勢で顧客の信頼を獲得してきた歴史がある。いうならば社員の人間性が同社の強みのひとつ。鎌田社長(取材当時)は人材育成の基本を「信頼される社会人としてどこでも生きていける力を養うこと」と人間教育を標榜する。そんな人間性を大切にする企業姿勢は、いつの時代も輝きを失わない、そう思える取材になった。

  • 社名:株式会社サンプラント
  • 設立年・創業年:設立年 1941年
  • 資本金:2億1,600万円
  • 代表者名:代表取締役社長 鈴木 秀介
  • 従業員数:106名(内、女性従業員数16名)
  • 所在地:103-0004 東京都中央区東日本橋一丁目1番7号
  • TEL:03-5825-0921
  • URL:http://www.sunplant.co.jp
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください