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多摩地区 システムコミュニケーションズ株式会社

システムコミュニケーションズ株式会社 会社は“メンバー”のためにある。メンバー全員が楽しく働ける環境づくりを目指して

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会社は“メンバー”のためにある。メンバー全員が楽しく働ける環境づくりを目指して

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多摩地区

システムコミュニケーションズ株式会社

会社は“メンバー”のためにある。メンバー全員が楽しく働ける環境づくりを目指して

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人間味あふれる会社ストーリー
会社は“メンバー”のためにある。メンバー全員が楽しく働ける環境づくりを目指して

 社員の半分以上が未経験からのスタートで、ここ5年の正社員の離職率はゼロ。IT企業の常識を打ち破る会社が大事にしていたのは、人間味だった。

メンバーのための会社を作ろう

 「衣・食・住、仕事、遊び。すべてが揃う会社を作りたいと言ったら、たいてい冗談だと思われるんです。でも僕は本気です」
 システムコミュニケーションズの佐橋正行社長の目は真剣そのもの。同社は、システム開発を事業の中軸に据えるIT企業。それ以外にグループ会社で不動産を賃貸経営し、飲食店も2店舗経営している。さらに昨年からは太陽光発電事業にも乗り出している。社員数137人の会社でここまで多角化している会社は稀といえよう。
 「メンバーのための会社を作ろう、そう考えたんです。ですから、仕事の対価として給料を払うというより、メンバーが安定して暮らしていける生活を提供できる会社を目指して創業しました」
 佐橋社長いわく、1日の半分、ひょっとすると家族よりも長い時間を一緒に過ごす社員は、人生を共にする仲間。であれば、メンバーという呼称がふさわしいとそれを実践する。言うまでもなく、呼称だけが一人歩きしているわけではない。メンバーに対しての待遇も手厚い。グループ会社で所持する不動産は社員寮として格安で貸し、人付き合いを濃厚にするお花見や社員旅行、忘年会といったイベントも盛りだくさん。月に一度の帰社日全体ミーティングとその後の懇親会は、創業以来欠かしたことがなく、普段はそれぞれ別の現場で働く全社員が一堂に会して、大いに交流が図られるという。

body1-1.jpgシステムコミュニケーションズの“メンバー”たち

誠心誠意取り組む大切さ

 こうした考えには、高校卒業後、リフォーム会社や自動車ディーラー、そしてホストとITとは縁遠い業界を転々としてきた佐橋社長のユニークな経歴が少なからず影響しているようだ。運命の転機を招いたのは新聞の求人広告だった。「SE・プログラマー募集」という字面に「なんだか、格好良さそうな職種」と心惹かれ応募。それがどんな仕事なのか知らないままに面接に臨んだというが、それでたやすく受け入れられるはずもない。ところが、半年後、面接に対応してくれたその会社から営業兼プログラマーとして採用するという電話がかかってきた。与えられたチャンスに即決。入社するとウェブ制作の仕事を徹底して身につけたという。
 「猫の手も借りたいような状況だったのでしょう。おかげでスキルを身につけることができた。当時の先輩社員方には本当に感謝しています」
 がむしゃらな日々が続き、気づけば6年の歳月が流れていた。仕事を熟知してくるに従って、IT業界の特異な働き方に違和感を覚えるようになっていた。
 「変化の激しいIT業界では40歳定年説なんて言葉もあって、システムエンジニアは使い捨てのような感覚が歴然としていました。そういう状況を見るにつけ、社員が人として尊重され、社員の幸せのために活動する組織であるべきだと考えるようになったのです」
 そう考え始めたらもう止まらなかった。退職届を出すと間もなく、自身が思い描く理想の会社を立ち上げた。
 顧客に対する姿勢も独特だ。ITと名のつく仕事はウェブ制作でもネットワークの設計でも、基本的に断らない。顧客の困り事を解決に向けて誠心誠意取り組み、また、自分たちでやりたいことがあれば臆せず取り組むという社風のもと、次々と事業の枠を広げていった。

body2-1.jpg「“メンバー”が楽しく働ける会社であり続けたい」と佐橋正行社長

未経験でもやる気次第でどんどん成長できる

 採用面接では、佐橋社長自身の思いと、それをどう実現しているかの説明に半分以上を費やすという。そこでフィーリングが合った人間が採用されることになるが、やはり佐橋社長同様、ユニークな経歴の持ち主が少なくないようだ。
 通信会社の海外向けヘルプデスクでリーダーとして働く齋藤友哉さんもその一人に数えられるだろう。
 齋藤さんは高校卒業後、一旦は自動販売機にドリンクを補充する仕事をしていたが、20歳のとき一念発起してアメリカに留学。英語は全くと言っていいほど喋れなかったが語学学校を卒業後、大学を卒業し、27歳で帰国。就職を目指した。
 新卒とはいえ20代の後半に差し掛かっていた齋藤さんを採用しようとする企業はなく、ほとほと疲れ果てていたとき、人づてにシステムコミュニケーションズというおもしろい会社があるという情報がもたらされた。さっそく面接を受けたみたところ、経歴が買われ採用となった。
 「タイミングも良かったのでしょうが、毎日いろんな刺激があって、個が活かせる会社で仕事をしたいと考えていた私のビジョンにぴったりと感じたのが大きかったですね」
 齋藤さんはITは未経験だったが、ちょうど顧客から海外担当のヘルプデスクを探しているという問い合わせが同社にあり、その第一号として働くことになったのだった。右も左もわからないところからのスタートで最初は必死だったが、その姿勢が評価され、8年が経ったいま、部署は25人を超えるまでに拡大、リーダーを任されるまでに成長した。
 「いまは生き生きと楽しく仕事をしていますし、こここそ僕の居場所だという実感があります。これからは会社のブランド力を上げていくことに貢献して、社内ベンチャーを育てる会社の制度を活かして、新規事業を立ち上げたいです」と目を輝かせる。

body3-1.jpg「自分らしく働けるのがうれしい」と齋藤友哉さん

頼りにされる存在になりたい

 今年入社したばかりの総務の鈴木寿里亜さんの入社経緯もユニークだ。アルバイトで働いていた飲食店に同社の役員たちが打ち合わせに訪れたことがきっかけで、同社に興味を持ち、説明会に足を運んでみたのだという。
 「大学でいろいろな会社の説明会にも参加してみましたが、どれもピンとくるところがなかったんです。そんなとき、佐橋社長や役員のみなさんの打ち合わせを見て、ギスギスしたところがなくて、いい雰囲気だなと感じてこの会社を志望しました。それで、会社を訪問してみると、社員の方が次々と声をかけてくださって、やっぱりいい雰囲気。その場で心を決めました」
 それまでのアルバイトなどの経験から「人が良ければどんな仕事でもがんばれる」と考えていた鈴木さん。社会人1年目で、現在は覚えることが多くて大変だが、生き生きと働けているという。
 「みんな本当に仲が良い。一歩一歩成長して、いつかみなさんに頼られる存在になりたい」と抱負を語る。
 同社のスローガンは、「100年後も皆で笑っていられる会社になろう」。効率ばかりが優先される業界にあって、キラキラと輝いて見えるこのスローガンの実現も、一体感を醸成する取組や生き生きと働く社員の雰囲気を見れば、決して夢物語とは思えない。

body4-1.jpg総務として社員が安心して働ける環境づくりをサポートする

編集部メモ

忘れてはならない思い

 折しも取材当日は会社設立10周年の日。数えて119回目(東日本大震災の月以外、毎月開催)の帰社日全体ミーティングの日だった。その席上、佐橋社長は全社員を前に頭を下げた。
 「10年で上場すると言っていたのに、できなかった、僕の力不足です」
 事業には不測の事態はつきもので、まして上場となれば、さまざまな要素が絡み合って、なかなか計画通りにいくものでもない。それは社員も理解しているだろう。だが、佐橋社長は格好をつけることなく、社員と約束していた目標を達成できなかったことを心から詫びていた。
 「会社は誰のものかと聞かれれば、間違いなくメンバーのものでしょう。数では圧倒的にメンバーが多いわけですから、その幸せのために働くのが僕の役目。その姿勢を貫けば、みんな付いて来てくれるはずです」
 顧客に対する誠意はよく聞くところだが、それと同じくらいの誠意を社員に向ける佐橋社長の姿勢から、忙しい世の中でともすれば忘れられがちな、人として最も大事な思いが伝わってきた。

  • 社名:システムコミュニケーションズ株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 2006年
  • 資本金:1,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 佐橋 正行
  • 従業員数:157名(内、女性従業員数24名)
  • 所在地:194-0013 東京都町田市原町田6-17-11ISビル2F
  • TEL:042-710-6656
  • URL:http://www.sys-coms.jp
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください