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城南地区 山田建設株式会社

山田建設株式会社 マンション建設の現場最前線から社長が語る。トータル力はいかにして磨かれるか

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マンション建設の現場最前線から社長が語る。トータル力はいかにして磨かれるか

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マンション建設の現場最前線から社長が語る。トータル力はいかにして磨かれるか

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熱血社長ストーリー
マンション建設の現場最前線から社長が語る。トータル力はいかにして磨かれるか

 土地の仕入から企画、設計、施工、販売までマンション建設をトータルプロデュースする山田建設株式会社。昨年6月に就任した山田照社長は、自ら先頭に立って現場へ赴き、顧客・協力業者・社員の声に耳を傾ける現場主義を実践する。会社の方針や若手の育成法にも独自のポリシーを持つ。

真の強みは、三代にわたる職人とのネットワーク

 「お客様が抱えている問題に対して、解決策を提案するだけでなく、お客様が気づいていない問題も提案することを心がけています」
 山田建設のポリシーを語るのは、山田照社長。昨年6月に社長に就任した後も、事業部長を兼任し、自ら率先して現場へ赴く現場主義を貫いている。
 目の前の問題に対して解決策を提案するのは、いわばプロとして最低限のライン。しかし、マンションは一生モノの買い物だ。長期的な視点で、家族の状況や環境の変化により、将来的に起こりうる問題を見越して、あらかじめ対策できることはしておきたいというのが、顧客のプラスアルファの要望である。同社ではそれに応えるべく日々、研鑽を積んでいるというわけだ。
 いま目の前にない諸問題を想像するにはまず豊富な経験が必須。それから、しかるべき対策を講じるための多面的な専門知識が不可欠となる。その上で、同社は土地の仕入れから設計、施工、販売までマンション建設に関わる全ての部署を自社内に備えていることが強みになっている。
 だが、山田社長に言わせれば、その解釈は教科書的で、本質をついてはいないのだという。
 「私は当社の三代目社長ですが、工務店や設計事務所、不動産業者をはじめ協力業者さんの中には三代にわたって付き合いのある方も少なくありません。祖父の時代からの付き合いですから、電話一本で相談に乗ってくれたり、お願いを聞いてくれたりと、小回りを利かせてくれます。時に『これは直した方がいいよ』と注意してくれるありがたい存在です」
 長年かけて築かれた職人とのネットワークこそが真の強みなのだという。トータルプロデュースを請け負う幅広い視点。そして各分野に精通した職人とのネットワーク。これらが同社の知識や経験となり、積極的な提案を可能にしているのだ。

body1-1.jpg若手集合!

役所との交渉も設計の仕事

 建設の頭からお尻まで、その中核をなすのは設計の仕事だ。建物を設計して、図面に起こし、積算図・施工用の図面・販売資料を作成、完成後の検査の立会い、引渡しまで、建設のすべてに関わる。設計の仕事としてあまりイメージがないが、各自治体を回って、建物を建てる許可をもらうための打ち合わせや調整、資料提出などを行う「役所調査」も重要な職務だ。
 「外観の色味や形など、建築基準は自治体によって協議内容はさまざま。担当者によっても対応が変わってくることもあるので、一辺どおりのノウハウでは通用しません。社内でよく話し合っていくなど、事前の準備が欠かせません」
 役所調査の難しさを語るのは入社15年目の鮎沢まりさん。最初に関わったのが役所調査の仕事で、重たい図面を一式持って役所に通うのは女性の体力では大変だったと述懐する。
それでも、仕事をがんばれたのは日に日に大きくなっていく現場を見るのがうれしかったから。もともと、大きな建築物を建てたくてマンション建設の業界に飛び込んだ。現場に行くことが鮎沢さんの励みになった。
 そして、内覧会に立ち会ったとき、建物の向こうにいる人がいることを実感。一つひとつの仕事を、マンションを買ってくれるお客様の満足を考えるよう意識が変わった。
 「一つひとつの作業を丁寧にすることは常に心がけていますが、経験を積むとどうしても“慣れ”が出てきてしまいますから、気を引き締め直す時期だと思っています」(鮎沢さん)

body2-1.jpg役所調査に奔走する鮎沢さん

資格取得で専門知識を身につけろ

 これから知識・経験を積み重ねていかなければならない若手社員に山田社長は、資格取得を口すっぱく勧めている。
 「たとえば、お客様の要望を聞いただけで設計しようとすると、法律的な問題があったり、クレームのつきやすい物件になってしまったりすることがあります。一度、会社に持ち帰って、設計し始めてから問題が発覚して、再びお客様と交渉。これでは信頼されません。その場でズバッと明快に意見を出すためには、専門知識を多面的に理解している必要があるのです」
 そのために有効なのが、各種資格取得というわけだ。社長の呼びかけに加え、資格の難易度に応じて支払われる「お祝い金」制度の効果も相まって、社内には資格取得を目指す雰囲気が醸成されているという。
 「来年、2級建築施工管理技士試験の受験要件の一つである『実務経験2年以上』がクリアになり次第、資格を取得したいです」と目標を語るのは、入社1年半の若手、野田憲太さん。入社以来、現場担当者として施工管理の経験を積んできた。
 文系出身で、学生時代は経済を勉強していたというが、やる気次第・能力次第でなんでも挑戦できる同社の社風にひかれて入社。建築関係の資格は、大学で建築の勉強をしていると受験資格が緩和されるものが多く、文系からの転向は少なからずハンデを負うことになるが、面接で「やる気次第でいくらでも追いつける」との言葉をもらい、決意を固めたという。
 現場担当者は、職人への指示出し、材料や機材の手配、安全管理など任される仕事は責任重大。新人にはいささか荷が重いのでは?とも思うのだが、野田さんにその不安はなかったという。
 「私の上に現場所長という役職の人がいて、『責任はこっちが持つから君は自分の思うようにやればいい』と言っていただいたのが心強かったです。ちゃんと仕事を見てくれて、フォローもしてくれるので不安はありません」
 1年目といえば、上司にくっついて仕事を見て覚えるのが相場。そこをどんと仕事を任せ、やって覚えるのが同社の社風。自分で考えて、主体的に取り組むことで得られる知識・経験は、ついていくだけとは桁違いだろう。さらに、野田さんは細かいことでもまめにメモを取り、週末に良い点・悪い点を見直すなど、努力を怠らなかった。
 来年から取得を目指す2級建築施工管理技士試験は、これまでやってきたことの成果を試す絶好の機会となりそうだ。

body3-1.jpg野田憲太さん(右)、図面を見ながら打ち合わせ。

新人育成で能力を底上げすれば組織は強くなる

 資格取得にとどまらず、山田社長の新人育成には独自の方法論がある。
 「土地の仕入れの計算や役所調査の方法、国会図書館の使い方まで、自分と同じことができるようになるくらい教え込みます。新人に十分活躍してもらわないのはもったいないですし、新人だっていわれたことだけやるのではつまらないでしょう?ちゃんと理解して、能動的に仕事をしたほうが彼らも楽しいはずですから」
 若い社員の吸収力は高く1年経てば見違えるように成長するのは、野田さんの例からも明らか。若手がベテランに劣るのは、リスクへの対応能力と失敗しやすいケースの経験くらいだから、そこだけフォローすれば、新人でも十分成果を上げられるのだという。事実、ベテランでも1年に1件決められれば御の字といわれる昨今、土地の仕入れを決めてくる営業1年生の活躍も目覚しい。
 個々の能力が伸びれば、全体として連携も取りやすくなる。たとえば、「娘の運動会で休みたい」「家族が熱を出したから早退したい」といった突発的な事態が起きたとき、全員が同じレベルで仕事ができれば引継ぎは楽だ。逆に一人の突出したスーパープレイヤーに仕事が偏っていたら、その人が休んでしまったら、社内の連携はガタガタになってしまう。全員の能力を底上げすることで組織としても強固なものになっていくのだ。

body4-1.jpg陣頭指揮を執る山田照社長

自ら動く。それが社員を引っ張る原動力

 山田社長が新人教育に力を入れだしたのは、設計部で主任を務めていた時代のこと。3人の部下の面倒を見ることになったのだが、この3人が言われたことしかしない。このままだと、自分ですべての仕事をしなければならなくなり、大変だと感じた社長は、一から教えることを決意した。
 役所調査に出かける朝は8時20分に新人と待ち合わせ。役所が開く8時30分に合わせて集合したというわけだ。
 「直行だからといって、9時、10時に行ったらダメですね。役所調査は区役所や都庁などいくつもの役所を回らなければならないため、役所が開いている時間をフルに活用しなければ回りきれません」(山田社長)
 事実、その日は8時30分からスタートし、すべてを終えたのは午後4時50分だった。もし9時スタートだったら間に合っていなかったことになる。
 役所調査の仕方をやってみせ、注意点を言って聞かせると、次は新人一人で行かせた。それでもきちんとこなしてきたという。「やってみせて、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」という山本五十六の格言があるが、まさにこれを実行しているのだ。
 教えるならまず自分で理解していなければいけないし、部下の仕事に付き添うのは億劫なことでもある。ともすれば「一人で行ってきて」と野放しにしてしまってもおかしくない。その手間を惜しまず、率先して動けるのは、並々ならぬバイタリティを持ち併せる山田社長ならではのなせる技に違いない。
その徹底した“現場主義”は社長になってから一層磨きがかかったとご本人。営業会議・販売会議には毎回出席。土地を仕入れる際も必ず自分の目で見に行くという。社長の席も、他の社員と同じ大部屋内にあり、社員との距離が近いのも特徴だ。
 「会議をやると若手社員からも忌憚なく意見が出てきますね。どんなに突飛なものでも、最後まで聞くようにしているので、発言しやすい雰囲気になっていると思います」
 社長が誰より熱心に仕事に取り組む様を、社員は目の当たりにしているのだ。これがモチベーションにならないわけがない。バイタリティあふれる社長の下で若手社員がどう成長するのか楽しみだ。

body5-1.jpg山田建設の躍進はまだまだ止まらない

編集部からのメッセージ

知識の先には知恵がある

 身につけた知識をうまく使うには知恵が必要だというのが山田社長の持論。その知恵は遊びの中で身につくのだという。それを実感したのが、あるマンションの建設で、バルコニーの設計をした時のこと。
 「最近は、バルコニーが広すぎても需要がないので、何か別の使い道がないか考えていたんです。そこでヒントになったのが、たまたま旅行で訪れた神戸の萌黄の館でした。バルコニーの半分を使って、サンルームとして設計したらこれが大当たり。ヒントは遊びの中にあったのです」
 よく学び・よく遊べ。昔から言われていることではあるが、忙しい生活の中でおろそかにしてしまいがちだ。同社では、納会で“ちょっといい店”に連れて行くなど、忙しい日々の中にあっても遊びを忘れないよう工夫している。


夢を持って社会に出てほしい!

 山田社長に、就職活動に臨む人にメッセージを頂いた。
 「学生生活が終わって社会人になると、朝から晩まで働かされ、まるで人生の楽しいときも終わってしまうかのように考えている人もいると思います。しかし、自分のしたいことをできるのは、実は社会人になってからのほうが圧倒的に多いのです。ですから、夢を持って社会に出てきてください。
 もちろん、時に挫折することもありますが、再挑戦するチャンスはいくらでもあります。めげずに社会人生活を楽しみ、大いに成長してください」

  • 社名:山田建設株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 1963年
  • 資本金:資本金 1億円
  • 代表者名:代表取締役 山田照
  • 従業員数:71名(内、女性社員数4名)
  • 所在地:145-0062 東京都大田区北千束1-11-3
  • TEL:03-3724-8211
  • URL:http://www.yamada-kensetsu.co.jp/
  • 採用情報:こちらからご確認ください。