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城南地区
株式会社ヤシマ

株式会社ヤシマ 製造工程の自動化によって 国際競争力を勝ち抜いた バッテリーの部品メーカー

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製造工程の自動化によって 国際競争力を勝ち抜いた バッテリーの部品メーカー

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製造工程の自動化によって 国際競争力を勝ち抜いた バッテリーの部品メーカー

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自動化工程を創出して荒波を越えるストーリー
製造工程の自動化によって 国際競争力を勝ち抜いた バッテリーの部品メーカー

 取引先のメーカーが海外進出し、受注量が激減したヤシマ。徹底した製造工程の自動化で起死回生を図った。その決断の軌跡を追う。

海外製との競争に勝つために製造工程の自動化に着手

 日本の製造業が大きな転換期を迎えたのは、プラザ合意によって円高基調となった1980年代半ばのこと。追い打ちを掛けるように起こった90年代初頭のバブル経済崩壊で1ドル80円台まで急騰。この円高で輸出産業は国際競争力を一気に低下させた。その結果、多くの製造業が国内生産に見切りをつけて人件費の安い中国などに進出。取引先が海外転出する中、多くの中小企業が生き残りをかけた過酷な選択を強いられることになった。
 戦前に工業用ゴムを製造し、戦後は樹脂成形品やプレス抜物器械加工品、更には時計用電池や携帯電話の小型バッテリーの部品作りをしてきたヤシマも、その荒波に揉まれた1社である。取引先のメーカーが次々に海外進出していく中で導き出された答えは、製造製品の特化と製造工程の完全自動化だった。
 「残念ながら当社には取引先と一緒になって海外に転出する資本力はありませんでした。そこで決断したのが、それまでの多品種小ロット受注の見直しでした。多品種ではなく自動車バッテリーの液口栓だけに絞り込み、自動組立て、自動検査、自動梱包という生産体制で生き残りを図ったのです」
 そう当時を振り返るのは、経営方針の一新化を決断した箕浦裕社長。満足できる品質のものが自動生産できる機械を開発するために、強い決意を持って挑んだという。幸運にもヤシマの本社がある大田区には製造業を営む中小企業がひしめく。日ごろから付き合いのあるものづくりに携わる企業は多い。複数の企業に声を掛けて自動生産装置の開発に着手した。

body1-1.jpg取引先が海外に製造拠点を移す中、製造工程の自動化を決断して危機を脱した箕浦裕社長

何よりも重視したのが安全性を確保する高い品質

 自動生産機械開発で箕浦社長が掲げた目標は、中国などのものと同価格でありながら優れた品質のものを作れる機能を備えることだった。何しろ自動車バッテリーの液口栓は自動車の安全性に関わる部品だけに、品質の信頼度は重要だった。
 「製造している部品は、消費者にとってもメーカーにとっても最重要安全部品です。それだけに品質保持には徹底的にこだわっています」
 何十万個中に一つの欠陥品も許されない生産装置にするための試行錯誤に多くの時間を費やし、ようやく自動組立て、自動検査、自動梱包ができる自動生産機械の開発に成功。稼働後もより高い品質を求め、改善を繰り返しているという。
 当初は1社への供給から始まった事業だったが、価格的にも品質的にも海外製を凌ぐという評判が評判を呼び、複数の自動車バッテリーメーカーに採用されることになった。
 現在では24時間フル稼働して、月に500~600万個もの部品を生産する。この数はバッテリー液口栓の国内市場シェア6~7割にも上り、トップシェアメーカーに上り詰めた。
 2013年にはタイに工場を建設。こちらでは現地人を雇用して、タイを始めASEANで生産をする日本の自動車メーカーのバッテリー部品として供給している。

body2-1.jpg24時間稼働の完全自動化を実現した本社工場の製造ライン

細心の注意を払って高い品質を維持する

 生産工程を自動化したことでヤシマの生産現場では重い材料を扱う作業が少なくなり、女性でも無理なく業務ができるようになった。そして女性社員の活躍が目立つようになり、その数は全社員の約7割を占めるという。入社9年目の望月ひろみさんは、その中心的なメンバーの一人だ。
 「私が担当するのは、組立て工程の機械管理です。これまでに医療系やオーディオ機器の製造現場で働いてきましたが、ここまで自動化ができる装置を担当するのは初めてです。組立て機械の操作、掃除、メンテナンスを行いながら、社員やアルバイトの業務ローテーション、更には納期スケジュールの管理なども行っています」
 いうならば組立て工程の総合的なマネジメントを担当しているわけだが、こうした幅広い業務ができるのも完全自動化というヤシマならでは仕事の特徴といえるだろう。そんな望月さんが仕事で配慮しているのは安全確認と機械や従業員の変化に早く気付くということ。機械なら動作や音に変わりはないか、人なら顔色や表情がいつもと同じかを観察することで不具合や不調を早い段階で見つけることに注意を払う。「おかしい」と感じたら、機械であれば、すぐさま原因究明に取り掛かり、従業員に異変を感じたら、声掛けをし、アドバイスを送る。それが大きな事故を防ぎ、品質の高い部品作りをする秘訣だという。

body3-1.jpgモニターを見ながら不具合がないか細心の注意を払う望月ひろみさん

任される仕事が増えるのが何よりも嬉しい

 入社2年目の矢田愛美さんはホープ的な存在。地元の工業高校で学んだ後、アルバイトを経て正社員として採用された。現在、担当しているのはバッテリーの液口栓を作るための原料の発注、搬入作業に加え、各メーカーの仕様に準じた原料の調合。
 「働き始めて日が浅いので、まだまだ分からないことがたくさんありますが、先輩達の仕事を見ながら学ぶように心掛けています。製造現場というと男性が多いイメージを抱くかもしれませんが、当社の場合は女性が多いので馴染みやすかったですね。しかも、私のお母さんの年代から若手まで幅広いので、色々な話が聞けて楽しいですよ」
 そう話す矢田さん、最近、バッテリー液口栓を形作る射出成形機の操作を少しずつ任されるようになったという。機械の清掃をしながら、各部の仕組みや機能を覚えてきた矢田さんの日ごろの努力が評価されてのことだ。努力が報われた矢田さんの表情は明るい。

body4-1.jpg射出成形機の操作も任されるなど、確実に周りの信頼を獲得する矢田愛美さん

編集部メモ

社員の成長を積極的に支援


 製造工程の自動化を図ってきたヤシマは、社員のスキル向上にも熱心に取り組む。まず社員がどんなスキルを身に付けるべきかを分かりやすく提示したスキルマップを作成。これによって社員は目標を定めやすく自主的に学べるようになった。更に業務に関係ないスキルでも社員が望めば、金銭的支援を惜しまない。これまでも英会話やペン字を習いたいという社員をバックアップしてきた。機械の自動化が進んだ現在も、それを見守り適切なメンテナンスをするのは“人”。そんな“人”中心の経営方針が随所に表れている。

edit-1.jpg徹底した自動化の製造ラインで活路を見出したヤシマの社員の皆さん
  • 社名:株式会社ヤシマ
  • 設立年・創業年:設立年 1934年
  • 資本金:5,000万円
  • 代表者名:代表取締役社長 箕浦 裕
  • 従業員数:25名(内、女性従業員数17名)
  • 所在地:144-0056 東京都大田区西六郷 4-28-15
  • TEL:03-3732-7726
  • URL:http://k-yashima.com
  • 採用情報:ホームページよりお問い合わせください