<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

文字サイズ

城東地区 彌生ヂーゼル工業株式会社

彌生ヂーゼル工業株式会社 若手が新風を吹き込み、ベテランが技術を伝授。老舗企業の新たな挑戦

彌生ヂーゼル工業株式会社

若手が新風を吹き込み、ベテランが技術を伝授。老舗企業の新たな挑戦

yayoidizel
東京カイシャハッケン伝!企業
城東地区

彌生ヂーゼル工業株式会社

若手が新風を吹き込み、ベテランが技術を伝授。老舗企業の新たな挑戦

main_yayoidizel

技術習得に挑む若手活躍ストーリー
若手が新風を吹き込み、ベテランが技術を伝授。老舗企業の新たな挑戦

1946年の創業以来、トラックやトレーラーといった大型車の車検や整備・修理を手掛ける彌生ヂーゼル工業。2013年度から工業高校のインターン生を受け入れ、半年間の実習を経て社員として採用している。その狙いと若手の活躍ぶりを伺った。

新卒入社の若手が加わることで、社内全体が活性化

 戦後間もない1946年、復興ののろしとともに創業した彌生ヂーゼル工業。物流の大動脈を担う大型自動車のメンテナンスを専門に70年以上もの歴史を重ね、現在は1日1万トン以上の貨物取扱能力を持つ葛西トラックターミナル内と、海運の重要拠点である大井埠頭の近隣に整備工場を構える。取引先は日本を代表する運送会社・海運会社をはじめとした100社以上にも上り、「大型車の整備なら彌生ヂーゼル工業」と真っ先に名が挙がるほどの実績を誇る、文字通りのリーディングカンパニーである。
 確固たる地位を確立した背景には、「彌生学校」と形容される人材育成力があり、同社で技術を磨いたメカニックたちは業界内で一目置かれる存在だという。もっとも、この10年来、業界は人材不足が著しく、自動車整備学校の学生たちの奪い合いが年々激化、同社も新卒採用に苦戦を強いられたと、細田健社長は振り返る。
 「一時期の人手不足にはずいぶん悩まされましたが、起死回生となったのが2013年に工業高校から頂いたインターン生受入れのお話でした。会社の未来を考えると若手の力は必要不可欠であり、業界を目指す高校生にとっても、早い段階から第一線のメカニックの仕事ぶりやその技術を肌で感じ取れる、またとない機会になるというまさに相思相愛の試みですし、社会貢献の一環としても価値がある取組だと快諾させていただきました」
2013年度から毎年1名ずつインターン生を受け入れ、これまで3名が同社への入社を果たしているという。将来有望な若手を迎え入れられたことはもちろん、若手の入社によって先輩社員たちの意識の変化も見られるなど、細田社長は確かな手応えを感じている。
 「平均年齢が40代半ばだった職場に10代の若手が加わるのですから、おのずと活気づきますよね。ベテラン陣には“若手の手本になろう”という意欲も芽生え、新卒採用を継続することで“先輩と後輩”の関係もでき、互いに切磋琢磨し合っています。インターン生の受入れは、今後も継続していきたいですね。

body1-1.jpg「社会貢献ができてこそ本当の経営者」をモットーにする細田健社長

任される領域が少しずつ広がり、確かな成長を実感中

 2015年新卒入社の高橋翼さんは、インターン2期生。子どものころから車が好きで、工業高校進学後も自動車メカニックの仕事への憧れを抱き続けていたという。高校3年生でインターンシップコースを選択し、数ある候補企業の中から彌生ヂーゼル工業を実習先に選んだ。
 「大型車の整備はダイナミックで面白そうだと感じたからです。実習では班長のもとで大型トレーラーの台車を整備したり、板金や溶接の仕事を手伝ったり、先輩たちの働きぶりを目の当たりにすることで、自分もここで技術を磨きたいという思いが強くなりました。先輩たちが優しく手ほどきしてくれたことにも、安心感がありました」
 入社して2年間は、2人1組の整備チームに補助として加わり、整備の基本である“足回り”、つまりタイヤ交換や車輪のディスクブレーキ等の点検を担当し、腕を磨いた。3年目からは2人1組の一角として、エンジン回りの点検・整備にも幅を広げたという。
 「『これやっておいて』と、先輩からポンと任せてもらえる場面も増え、徐々に認めてもらえているんだと実感しています。もちろん、力不足のところもまだまだありますが、同じくインターンから入社した一つ上の先輩が日ごろから声を掛けてくれて、分からないことが出てくるとどんどん相談させてもらっています。僕の成長は心強い先輩あってのことと感謝しています」
 実務と並行して、入社1年目には3級自動車整備士の資格を取得した高橋さん。次なる目標は2級取得かと思いきや、資格取得よりも実践の技術を磨くことに重きを置いているという。
 「3級を取得できたのは嬉しかったのですが、取得後も実際の現場では分からないことばかりでした。もちろん座学で学ぶ知識も大事ですが、現場でできることを増やさないと資格も名ばかりになってしまう、そんな気がしたんです。ですから、今は現場でのスキルアップを最優先に考えています。自分の技術に自信を深めた上で上位資格の取得にも挑み、大型車の整備全てを自分で完結できるメカニックを目指します」

body2-1.jpg入社後にマイカーを購入し、休日には友人たちとのドライブを楽しんでいるという高橋さん

新しい知識をどんどん吸収し、アウトプットしたい

 整備工場併設の本社で経理を担う國武真美子さんも、新しい風を吹き込む期待の若手社員の一人である。出入金業務や仕訳入力、請求書作成などを担い、仕事を終えると日商簿記の資格取得に向け、ビジネススクールに通い勉強しているという。
 「上司・先輩のサポートのおかげで時間内に仕事を終えられ、週3回のペースでスクールに通っています。資格取得の勉強を通して経理の仕組みを体系的に学べますから、この数字の意味はこうだったんだと、実務の理解を一層深めています」
 さらに國武さんは、空いた時間を使ってExcelやデータベースソフトの応用力を独学で磨いているところだという。
 「入社時に比べてデータベースの抽出・加工などをスピードアップでき、入力のテンプレートも自分なりに作ってチームで活用するなど、業務効率化にも役立てています。固定概念に縛られず、新しい知識や手法を柔軟に取り込んでいけるのが私たち若手の持ち味ですから、アンテナを広く張り、「こうしたらもっと良くなる」をどんどん社内にアウトプットしていきたいですね」
 そんな國武さんは小学5年生から日本舞踊を続け、現在も毎週2回練習に通っているという。入社2年目には名取になり、有休休暇を活用して大きな舞台にも立っている。
 「仕事とプライベートを両立できるのも、上司・先輩の理解があってこそ。当社は家族的な雰囲気で、社員のプライベートも大切に考えてくれるので、公私ともに充実した毎日です」

body3-1.jpgベテラン整備士も気さくで話しやすく、可愛がってくれています」とは國武真美子さん

編集部メモ

ベトナム実習生の受入れもスタート


 彌生ヂーゼル工業は、外国人技能実習制度を活用したベトナム人実習生の受入れにも取り組んでいる。2016年4月に同制度の対象職種に自動車整備が追加されて以降、細田社長自らがベトナム現地で実習生たちと面談を行い、2017年10月から3名の実習生が同社で学んでいる。「技術を身に付けた彼らが母国に戻り、私たちのビジネスパートナーとなれば最高ですね」と話す細田社長。こうした新しい風を柔軟に取り入れる取組が、同社の100年企業に向けた力強い歩みにも繋がっていくことだろう。

edit-1.jpg部署の壁を越え、若手とベテランが気さくに話を弾ませる彌生ヂーゼル工業の社員の皆さんedit-2.jpg現在、葛西と大井埠頭の2か所に整備工場を構え、陸運・海運の安全を支えている
 
  • 社名:彌生ヂーゼル工業株式会社
  • 設立年・創業年:設立年 1946年
  • 資本金:1,300万円
  • 代表者名:代表取締役社長 細田 健
  • 従業員数:38名(内、女性従業員数3名)
  • 所在地:134-0086 東京都江戸川区臨海町4-3-1葛西トラックターミナル内
  • TEL:03-3686-1261
  • URL:http://yayoidizel.co.jp