<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社 エース

株式会社 エース 価格以上の価値がある“モノづくりの顧問役”<br>自社だけでは不可能でも、協力会社と力を合わせれば。複数の工程を一手に引き受け、高品質な製品を納期どおりに

株式会社 エース

価格以上の価値がある“モノづくりの顧問役”
自社だけでは不可能でも、協力会社と力を合わせれば。複数の工程を一手に引き受け、高品質な製品を納期どおりに

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輝く技術 光る企業

株式会社 エース

価格以上の価値がある“モノづくりの顧問役” 自社だけでは不可能でも、協力会社と力を合わせれば。複数の工程を一手に引き受け、高品質な製品を納期どおりに

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  • 社名:株式会社 エース
  • 設立年月:1974年6月
  • 資本金:1,600万円
  • 従業員数:12名(2019年1月現在)
  • 代表者:代表取締役 西村 修
  • 社員平均年齢:45歳
  • 主な勤務地:本社
  • 休日:完全週休2日制、有給休暇、夏期・冬期休暇
  • 本社所在地:東京都大田区城南島2-5-1
  • 電話番号:03-3790-5500
  • 公式HP:http://www.ace-tech.jp/
  • ・複数の工程を一手に。さまざまな技術をつなぎ価値を生む
  • ・複数企業に頼む手間が省け、納期どおりで高品質と評判
  • ・下町ボブスレーの舵取り役を務める。本業に好影響も
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業種

産業用機械・自動化機械の製造、ユニットの加工およびASSY、各種治具製作、機械加工全般

事業紹介

材料調達から特殊表面処理まで一貫した管理体制を確立。

青森から鹿児島まで全国およそ300社あまりの協力メーカーとのネットワークを確立し、鋳物から樹脂部品、製缶からゲージまで、あらゆる加工に対応します。
各工程毎に社内にて検査をすることにより品質・納期管理を徹底し、「喜ばれるものづくり」を目指しています。また大田区の地の利を生かし、焼入れ→研磨→メッキ処理等、短納期の対応も可能です。
また、以前の技術を生かし、加工冶具・組立冶具などユニットの組立も行います。

【事業内容】 複数の工程を一手に。さまざまな技術をつなぎ価値を生む

1つの部品が完成するまで、削って、熱処理して、磨いて、めっきを掛けて――と多くの工程が必要になる。「切削だけ」「めっきだけ」と得意分野を掘り下げて強みにする企業もあるが、エースはそうした強みを持つ企業をつなげることで価値を生む。 同社が主に手掛けるのは、自動車部品・タイヤなどの製造装置。顧客から「この図面どおりの部品が欲しい」と頼まれたら、自社にできない加工があっても断らない。鋳物や特殊表面処理など、専門的な技術が必要な加工は協力会社に依頼して、複数の工程を自社で裁いてみせる。 そうした事業を展開していると、自然とモノづくりに関する幅広い知識が身に付く。それこそが同社独自の強みになっている。

03.jpg 自動車関連の製造装置で使用する部品を製作

【独自戦略】 複数企業に頼む手間が省け、納期どおりで高品質と評判

エースよりも安く仕事を引き受けてくれる企業は何社もある。それでも顧客が同社に仕事を頼むのは、そこに価格以上の価値を感じているからだ。 同社に頼めば、複数の工程を任せられて手間が省ける。さらに同社は工程ごとに、加工する際の注意点を依頼先に伝達して不良を防ぐ。そして設計図どおりに仕上がってきたかと各工程で必ず検査し、不具合があれば自社で修正。高品質な製品が納期どおりに届くと評判だ。 それができるのも、同社にモノづくりに関する幅広い知識があるから。「ここの設計をこう変えると費用を下げられる」と設計者に助言することもあり、そうした“モノづくりの顧問役”としての価値も、顧客から支持される理由の1つだ。

04.jpg 協力会社に届いた加工品が届いたら、必ず自社で検査

【プロジェクト】 下町ボブスレーの舵取り役を務める。本業に好影響も

幅広い分野のモノづくりに精通している強みは、「大田区の町工場でオリンピックに使うソリを作ろう」と立ち上がった「下町ボブスレー」プロジェクトでも大いに生かされた。 同プロジェクトに参加したのは約60社。ソリを作るまでに必要な加工を把握し、どの企業に何を頼むのか、舵を取る人が必要になった。その役割を任されたのが同社だ。 まずは1社1社に足を運び、各企業の得意分野を確認。得意とする加工を担当してくれないかと各企業に掛け合っていった。 そうして生まれたつながりから、得られたものもある。これまで対応できなかった加工を、引き受けてくれる先が見つかったのだ。その分の仕事が増え、本業にも好影響を及ぼしている。

05.jpg 「下町ボブスレー」プロジェクトで各社との調整・交渉役を
西村社長が務めた

社長メッセージ
価格以外のところで勝負したい。納期を厳守して高品質な加工にこだわってきた

代表取締役
西村 修さん ――事業の特徴について、詳しく教えてください。
最近になってお客様から、「切削だけでなく、全部の工程をやってくれるなら発注する」と言われることが増えてきています。 われわれくらいの規模の企業では一般的に、自社にある工作機械で可能な範囲の加工しか引き受けられません。けれど当社は昔から、自社にできない加工であっても、他社に依頼することで可能にしてきました。 1つの部品であっても、完成するまで、何工程も掛かります。例えば材料が鉄なら、焼入れをして強度を増したり、鉄のすり減りを防ぐためにめっきをしたりといった作業も必要になります。当社に仕事を頼んでいただければ、それだけの工程を1社で裁けます。そこが最大の特徴なのではないでしょうか。 実は、同じようなことをやってくれる商社も、探せば見つかります。商社が窓口になって、複数の加工企業に仕事を頼み、製品として仕上げるのです。 けれど、商社にはモノづくりのことが分かりません。当社なら不具合があったときでも、自社内で作り直したり修正したりできます。当社では工程ごとに必ず設計図どおりに加工できているかと検査していますし、「次の加工は、ここに気を付けないと不良が増える」と注意点を依頼先に伝えるように心掛けてもいます。そうすることで、完成したときの精度が、まるで違ってくるのです。 また、当社のお客様は、大企業で働く設計者の方がほとんどです。モノづくりの現場と縁がないので、お客様にとっては「どう加工すれば設計図どおりに部品がうまく仕上がるのか」と考えを巡らすことが難しいようです。 そこで当社の営業担当者が、「ここの形状を少し変えるだけで、加工がずっと楽になって、もっと安くできますよ」「近ごろ、こんな新素材が出てきました。それを使えばいくつかの工程を省けて、価格を何割か安くできて納期も短くなりますよ」と提案する場面も増えてきています。 そのような形で事業を展開するようにしているのも、価格とは別のところで勝負したいからです。人件費の高い日本、東京都でモノづくりを続けるには、価格以外のところで勝負しないと事業を続けられません。そこでここ数年は、複数の工程を当社1社で引き受けて、納期を厳守して高品質な製品を顧客に提供することを特に心掛けるようにしてきました。それが次第に、当社の強みになってきているのです。 目を見て話せる人ですね。「この会社で働きたい」と本当に思ってくれている人は、目を見て話せるかどうかで分かります。 当社ではこれまで、中途採用が中心でした。今後は新卒採用にも力を入れていきたいと考えています。できれば、学歴よりも豊富な経験を持っている人を採用したいです。 というのも私自身、大学には行かずに専門学校を卒業して、ある大手企業に就職しました。同期を見ると、大卒ばかり。そんな中で私は営業に配属され、一定の成果を出してきました。そうした経験を通じて、社会に出れば学歴よりも、多彩な経験を積んでいることの方が大事になると感じたのです。 ですから当社としても、豊富な経験を積んだ人に入社してきてほしいと考えています。 これまでの取り組みを継続しつつ、会社の規模を拡大したいですね。 新しい発想を持っている人に入社してもらえたら、現在の事業内容とは異なることでも、その発想に投資してみたいとも思っています。 とにかく興味があればやってみて、3年は我慢してください。楽しさや向上心が芽生えるまで、3年は必要だと思います。 また会社を選ぶときには、規模の大小は気にしないでください。小さな会社なら、「自分がこの会社を変えてやろう」というくらいの気概を持って、がんばってほしいです。

06.jpg 代表取締役 西村 修さん
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先輩メッセージ
図面はあっても、加工方法はさまざま。最適な加工方法を見つけようと、苦闘の連続

製造部
菊田さん
――どのような縁から、この会社で働くことになったのでしょうか。 もともとはある会社で営業職をしていました。それなりに成績はいい方でしたが、働いていて達成感が得られず、同僚たちと成績を比較されるばかりの日々に、疑問を感じるようになりました。 そんなときにふと求人情報誌を見てみたら、製造業の求人情報を見掛けました。製造業だったら、達成感を得られるようになるかもしれない。そう思って応募してみた先が、当社だったのです。 今年で6年目になります。入社したばかりのころは、前職とは異業種・異職種に飛び込んできたこともあって、「すごく難しそうな仕事だが、自分にできるのだろうか」という不安が強かったです。 最初の1年間は、とにかく大変でした。覚えることが山ほどありましたね。それでも、加工現場の上司・先輩から教わったり、会社が用意してくれた研修を受けたりすることで、少しずつ加工のやり方を習得してきました。 まだまだ半人前だと思っていますが、それでも3~4年目ごろから、自分なりに納得できる仕事もできるようになってきました。加工が難しい製品を初めてうまくできたとき、上司に褒めてもらえたことがうれしくて、そのときのことははっきり覚えていますね。 今もまだ、自分自身との戦いの日々が続いています。先輩たちの仕事ぶりを見て、それを自分なりに吸収しているのですが、最終的に加工するのは自分自身。自分の腕を磨くよう、日々努力しています。 当社の場合、加工する製品は毎日違うものです。過去に加工した製品の仕事が来ることもありますが、ほとんど毎日、新しい加工の仕事に立ち向かうことになります。 加工するための図面はあっても、最終形に至るまでの道は1つではありません。プラモデルを組み立てるにしても「頭を作って、腕を作って、最後に組み合わせる」といったように工程を考えますが、同じように加工の進め方もさまざま。どうやって加工すれば最適なのかと、毎日頭を悩ませています。 営業と現場との関係が良好なところです。製造の方から、「この設計図どおりだと時間がかかる。形をこう変えてもらえれば、もっと短納期で納められる」と提案したら、営業担当者が快くお客様に掛け合ってくれます。一方で、営業から「厳しい納期だけれども、何とかがんばってくれ」と頼まれたら、製造ががんばって納期どおりに仕上げてみせます。そんな風に、お互いに支え合いながら働ける職場の雰囲気が好きですね。 最終的には1人前にモノづくりできるようになって、いつかは個人事業主として独立できるような実力を身に付けたいです。 社員でいる間は、会社に対して甘える気持ちを持ってしまいます。もっと何事に対しても、自分で責任を負えるようになっていきたいですね。 最近の若い人は、少し気持ちが弱いように思われます。 失敗してもいいから、まずは「自分が何をやりたいか」と目標を立てて、好きなことに挑戦してみてください。 私自身も、最初に選んだ仕事が違うなと思って転職してみた結果、伸び伸びとした気分で働けるようになりました。皆さんも怖がらずに挑戦してみて、失敗したら修正すればいいのです。

08.jpg 製造部 菊田さん
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先輩メッセージ
難しい仕事でもうまく調整できたとき、「これが自分の役割だ」と充実感を得られる

営業部
増田さん
――入社したきっかけと、入社後の会社に対する印象を教えてください。 私はもともと自動車の修理をやっていまして、「もっとモノづくりに直接携わる仕事がしたい」と思うようになり、転職を考えました。 転職先として当社を選んだのは、自動車関係の製品を作っていたからです。前職との関連性もあり、これまでの経験を生かせると思いました。 当社で働くようになり、以前に働いていた会社と比べて、営業と製造の部署の壁がほとんどないことに驚きました。「営業は営業、製造は製造」と部署内だけで仲よくするのではなく、営業と製造が力を合わせて「いつまでに納品できそうか」「図面のここの指示は、どういう意味か」と活発にやり取りしている職場で、働きやすいです。 過去に作ったことがある製品の加工を依頼されることもありますが、新しい製品加工の仕事を頼まれることの方が多いです。 お客様から「こんな製品を作ってほしい」と図面が届いたら、分からないところを質問して、加工にかかる金額、納期について回答します。まずは電話で受け答えしますが、直接会って話さないと伝わらない場合、図面を持ってお客様先に訪問して打ち合わせするようにしています。 そうして依頼内容について私なりに把握できたら、「この加工は自社でできる。その加工はあの会社に頼もう」と依頼先を考え、私から協力会社に依頼・調整します。 どの加工はどの協力会社に頼めばいいか、各社の得意な技術を把握するため、協力会社とは親密な関係を築けるように普段から気を配っています。時間が取れたら、帰り際にふらっと立ち寄って雑談するなどしていますね。 時には、金額や納期の面で、無理をお願いしなくてはいけない場面も出てきます。そんなときは協力会社を直接訪れて、納得していただけるまで、話し合います。そうした難しい仕事でもうまく調整できて、お客様の要望に応えられたときにはすごくうれしいですし、「これが自分の役割なのだ」と充実感を得られます。 仕事では、売上をもっと増やすことです。もっと会社に貢献したいですね。それがずっと自分の中にある目標です。 私が担当しているお客様は、大手企業が多いです。ただ、ある部署とは取引があっても、別の部署とは取引がないなど、まだまだ入り込める余地はたくさんあります。最近は、当社の仕事に満足いただいて、別部署の担当者を紹介していただける機会も増えてきました。そのように紹介してもらえる機会を、もっと増やしていきたいです。 そのためにも、お客様にはもっと満足していただくことが大切です。製品の精度をはじめ、納期や見積額など、仕事の水準を全体的に上げていく必要があると思います。 社会に出ると、学生のころと比べて環境が大きく変わります。上司との関係にしても、部活・サークルの先輩との関係とは違います。慣れないことが多くて、悩むこともあるでしょう。誰でも最初は苦しい思いをするはずです。 それでも、苦しさに負けず、踏ん張ってください。壁を乗り越えられれば、「仕事は楽しい」と思えるようになるでしょう。仕事の楽しさを、少しでも多くの人に実感してほしいですね。 注)掲載している情報は、取材日(2014年7月)時点のものです。

10.jpg 営業部 増田さん