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アカオアルミ 株式会社

アカオアルミ 株式会社 1円玉の元をつくる。50年近く製造を担当してきたアルミ製品メーカー<br><br>「1枚=1グラム」の1円玉を寸分違わず実現する技術力と、小ロット・短納期の対応力の良さで差別化を図る

アカオアルミ 株式会社

1円玉の元をつくる。50年近く製造を担当してきたアルミ製品メーカー
「1枚=1グラム」の1円玉を寸分違わず実現する技術力と、小ロット・短納期の対応力の良さで差別化を図る

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輝く技術 光る企業

アカオアルミ 株式会社

1円玉の元をつくる。50年近く製造を担当してきたアルミ製品メーカー
「1枚=1グラム」の1円玉を寸分違わず実現する技術力と、小ロット・短納期の対応力の良さで差別化を図る

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  • 社名:アカオアルミ 株式会社
  • 設立年月:1947年5月
  • 資本金:1億円
  • 従業員数:221名
  • 代表者:代表取締役 安藤 清志
  • 社員平均年齢:41歳
  • 初任給:220,000円(大卒) 180,000円(高卒)
  • 主な勤務地:東京都練馬区、栃木県足利市、群馬県館林市
  • 休日:土日祝日(但し、月1回程度土曜出勤有)、夏期・冬期休暇、有給休暇、特別休暇
  • 本社所在地:東京都練馬区旭町3-33-1
  • 電話番号:03-3930-4133
  • 公式HP:https://www.akao.co.jp/
  • ・整髪料の缶などの元になるスラグ材等に加え、自社でキッチン用品も製造
  • ・高品質で対応力も良い。小ロット・短納期の対応は大手をはるかに上回る
  • ・産休を5回取った女性社員も! チャンスに恵まれ、女性が働きやすい職場
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業種

アルミニウム素材の製造・製品加工

事業紹介

アカオアルミ株式会社は、都内で唯一のアルミ圧延メーカーです。


当社で製造されたアルミ素材から、皆さんの周りにある身近な商品が毎日作り出されています。ひょっとすると、あなたが毎日手にしている携帯電話やデジカメ、AV機器、化粧品容器にも練馬生まれのアルミが使用されているかも知れません。練馬生まれのアルミがどのような製品に変身し、皆さんの周りで活躍しているのか是非とも確かめに来てください。


練馬生まれのアルミからこんな製品が出来ています。

【スラグ製品】
・化粧品容器・エアゾール缶・チューブ・コンデンサーケース・リチウム電池ケース・自動車、バイク用品・パソコンハードディスクのハブ

【コイル製品】
・自動車、バイク用品・化粧品容器

【丸板製品】
・キッチン用品(業務用、家庭用、給食用)・空調器具、照明器具

【アルミ繊維製品】
・高速道路の裏面吸音材・公共施設の防音壁・業務用厨房用フィルター・電磁シールド材

【角板製品】
・化粧品容器・照明反射板・ネームプレート、パネル・AV機器の化粧ケース

【光輝、光沢アルミ製品】
・化粧品容器・照明反射板・ネームプレ-ト、パネル・AV機器の化粧ケース

【円形製品】
・1円貨幣

何を作ってる?

財布の中に入っている1円玉。その図柄が刻印される前の円形(えんぎょう)を製造しているのがアカオアルミだ。 同社はアルミニウムを固めた地金を輸入。自社の溶解炉で溶かしてスラブ(鋳塊)を製造し、圧延機を使って圧力を掛けながら板状に延ばす。延ばしたアルミ板は、プレス機で打ち抜くなどして、1円玉の円形、角板・丸板やスラグ材(最終製品の寸法に合わせて加工したアルミ塊)などに加工。納品先の企業によってさらに手が加えられ、整髪料・制汗剤の缶、医薬品を入れるチューブ、自動車のナンバープレート、家電製品のケースなどに形を変えていく。 そうしたメーカーに納める分だけでなく、自社でもアルミを使ったやかん(湯沸し)や鍋などのキッチン用品を製造してもいる。中でもやかんは有名で、ラグビー部等の運動部が使っているのを見掛けた人もいるのではないだろうか。アルミ製のやかんを見掛けたらぜひ1度、同社のやかんではないかと確認してみてほしい。

03.jpg 自社ブランドで製造しているキッチン関連用品 04.jpg アルミの特性を新用途で活かそうとするアルミ繊維製品

会社の強み

1円玉は「1枚=1グラム」と言われている。それだけ1円玉の原形になる円形には高い精度が求められ、厚さ・外径・重量については小数点第3位まで厳しく定められている。 そんな厳しい要求に応えられているのはアカオアルミだけ。アルミ素材の製造を手掛ける企業は同社を含めて国内に10社あるが、1円玉の円形は1964年から同社が受注し続けている。 もっと大規模な企業もある中で、同社が強みにしているのは小規模な注文の単位(ロット)から対応できて、しかも短期間で注文の品を納品できるところ。大手企業がロットで5トン、納期は2カ月を最小単位として仕事を選んでいるのに対して、300キロ・納期3週間以内の注文から対応できる。 製品品質の高さと対応力の良さが相まって、冒頭に挙げたように幅広い分野の企業から仕事を受注。今後はますます小ロット・短納期にも対応できるようにしていくことで、他企業との差別化を図っていく考えだ。

05.jpg 06.jpg スラブ(鋳塊)を製造し、圧延機で延ばしていく

職場としての魅力

アカオアルミの赤尾由美代表取締役は女性社長(取材当時のもの)。「あくまで能力主義で評価した結果なのですが、女性で管理職に昇進した社員もいますし、技術職や現場のスタッフとしても女性は活躍しています」と語る。 女性社員の割合は約2割。モノづくり企業としては多めだ。女性にとっては働きやすい職場で、産休を5回取った女性社員もいる。 「いつも誰かが産休を取っていますね。特別な制度で支援しているわけではなく、本人の努力と周囲の協力のたまものです。産休を取れば周囲のフォローが必要になりますが、“お互い様”の精神で助け合う。そんな良い雰囲気が社内にはあります」(赤尾氏。以下、同) そして小ロット・短納期への対応力が会社の強みになっているのと同様に、組織としても小回りが利きやすいことが働く魅力になっていると赤尾氏は言う。 「『やりたい』とさえ言ってくれれば、そのチャンスはやってくる環境です。大手企業よりも融通はききやすいですから、自分から意志を示してくれれば、やりたいことを実現しやすい職場だと思います」

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社長メッセージ
自分のためではなく、家族のため、会社のため、日本のために働ける人と一緒に働きたい

代表取締役
赤尾 由美さん(取材当時のもの)
――アルミメーカーとして持っている技術力は、どんなところで違いとして表れるのでしょうか。 板の厚さなどの寸法や重量を、お客様の求めるとおり、高い水準で形にできるかどうか。そこも一つ挙げられますが、アルミの表面をきれいに仕上げられることが大切です。溶解炉で溶かしたアルミを圧延する工程で傷が付きやすいのです。「いかに傷を付けず、きれいに仕上げられるか」に技術力の違いが出ます。 当社の現場には若手からベテランまでさまざまな世代の社員がいて、新卒入社の社員もいれば中途入社の社員もいます。さまざまな背景を持った社員の総合力が当社の技術力の源泉です。 まじめな企業風土でもあります。「この工程を省けば楽になる」と手を抜かず、愚直に品質を守るために手間を掛ける。かといって「新しいことに取り組まない」「改善をしない」という意味ではなく、さまざまな改善策が出てきています。そうした社員のまじめさが会社の強みになっていると感じています。 当社の特徴としてはほかに、輝きの強い光輝アルミ製品を大手よりも安価に提供することができますし、アルミを綿のように加工したアルミ繊維製品を手掛けてもいます。アルミ繊維には吸音性や耐熱性、水はけの良さといった利点があり、パリ銀行の会議室の壁面や、横浜国際競技場の大屋根裏面などで使われています。 ――社長として、普段からどんなことを社員に伝えようとしていますか。 モノづくりの“川上”を担当するわれわれ材料メーカーは、日本のモノづくり全体が元気になってくれないと、苦しい現状を打開できません。社長としてはアルミの話をするのではなく、大局的に日本のモノづくりの大切さを社員に伝えています。すばらしい日本のモノづくりをもう1度見直して元気にするため、当社はもっと小ロット・短納期にも柔軟に対応できるようになり、お客様の困っていることを減らしていこうという気概を持ってほしいのです。 そのためには多能工が必要です。社員にはさまざまな機械を扱えるようになってもらい、より柔軟な生産体制を敷けるようになっていきたいと考えています。 ――多能工になることのほかに、若手社員に求めることは? 素直で明るい性格であることですね。素直で明るければ、大切なことをすんなりと覚えていってくれます。ダイヤモンドの価値があると思います。 あとは学生のうちは家族や学校が守ってくれますが、社会人になると180度変わり、誰かを守る立場になります。自分のためではなく、家族のため、会社のため、地域のため、日本のために働くという価値観を共有できる人と一緒に働きたいですね。 他人のためにやったことは、巡り巡って自分のところに戻ってきます。「この仕事は自分にとって損なのか得なのか」と選り好みするのではなく、目の前にある仕事に対して自分を捨て、他人のため、会社のため、公のために尽くしていく。それが巡り巡って自分のためになるのです。人生の仕組みがそうなっていると自分自身の経験から本当に実感しています。

09.jpg 代表取締役 赤尾 由美さん(取材当時のもの)

先輩メッセージ
給料や休日の数字で会社を選ぶのではなく、自分の気持ちを大事にしてほしい

圧延製造部 特品課
松田さん
――アカオアルミに入社を決めた理由は? 大学では金属について学んでいまして、就職活動でも金属関連の企業を中心に回っていました。いろいろな企業の会社説明会に参加したのですが、どの会社に行っても何となく雰囲気が硬く、担当者の人に対しても「厳しそうな人だな」と感じてしまうことが多かったのです。 それがアカオアルミに初めて来た時には「アットホームな雰囲気の会社だ」と感じられました。この会社なら、緊張せずに素の自分を出しながら働ける。入社したいと思うようになりました。 ――担当されている業務について教えてください。 お客様から指定された寸法どおりに形作っていくスラグ材の担当です。アルミ板をプレス機で打ち抜くのに使う金型を設計したり、完成したスラグ材の品質に問題があった時に原因を分析したりしています。 スラグ材は整髪料の缶や医薬品チューブを作るのに使われます。最近では、自動車部品を担当することも多くなってきました。自動車部品になりますと形状が複雑になってきますから、金型の設計が大変ですね。 難しい注文であっても、何とかお客様の注文どおりの品物ができるように工夫しているのですが、スラグ材の板厚が厚めで指定された時は苦労します。プレス機できれいに打ち抜くのが難しく、アルミの肌面が荒れてしまうからです。金型を一緒に作っている取引先の人と相談して、金型を改良することで上手く打ち抜けるように創意工夫しています。大変ですが、ほかの会社の人と協力をしながら進める仕事は楽しいですね。やりがいを感じます。 ――働いていて感じる会社の魅力は、どんなところでしょうか。 女性に対する偏見がないところですね。先輩社員からは「産休が取りやすい」という話をよく聞きます。 私は女性でありながら理系に進んだのですが、「工場は汚いから女性に向かない」「力仕事が多いから男性が適している」と散々言われてきました。 確かに、女性は男性と比べれば力強くはありません。けれど、男性には気が付かないようなところにも細やかな配慮ができます。当社には、そうした男性の良さと女性の良さを互いに尊重しながら働ける職場があると思います。 ――今後の抱負は? まだ仕事の中で分からないところがたくさん出てきます。金型の設計にしても、品質問題の分析にしても、上司から助言をもらいながらでないと前に進められないところがあります。できるだけ早く、自分の力だけで疑問を解決して、仕事を進められるようになりたいですね。 ――就職活動を控える後輩に向けて、何かメッセージをお願いします。 就職先は自分が直感的に「ここだ」と思えた企業に決めるのが良いのではないでしょうか。 「給与がいくら」「お休みが何日」といった数字上の条件で会社を選ぶのではなく、実際に足を運んで企業を見て、会社の人と話してみましょう。「この会社ならがんばれそうだ」と感じられたのなら、その自分の気持ちを大事にすれば間違いはないと思います。

10.jpg 圧延製造部 特品課 松田さん

先輩メッセージ
厳しさがありながらも困った時には手を差し伸べてくれる。そこがこの会社の魅力

製品製造部 足利工場
秋田谷さん
――さまざまな企業がある中で、アカオアルミをどうやって見つけたのでしょうか。 最初は専門学校の求人票で企業の情報を調べていたのですが、「入社したい」と思える会社が正直なところ見つかりませんでした。それで就職情報サイトを使っていろいろと検索してみたところ、アカオアルミを見つけました。 就職情報サイトでは「アルミの製造業」と紹介されていました。僕のイメージは「製造業=鉄」。アルミでどんな製品を作っているのかと興味を持ち、「ちょっと会社を見てみたい」という好奇心から会社見学を申し込みました。 本社工場で、アルミを溶かして鋳造し、圧力を掛けて延ばしていく工程を見学しました。「大きな機械を使っていて、迫力がある」というのがその時の印象です。大きな機械を自分も操作できるようになりたいと思いましたね。 ――足利工場勤務と伺いました。どんな製品を作っているのですか。 「パンカー」という工場や厨房の換気に使う空調機器を作っています。いくつかの部品を組み合わせて作る球状の製品で、球面の一部に吹き出し口があり、そこから換気を行います。 パンカーは1枚の薄いアルミの丸板から作っていきます。丸板を回転させながらヘラを当て、徐々に球体にしていきます。ヘラ絞りはちょっとした力の加減や材料によって変形具合が違ってきますから、少しでも間違えると丸板が途中で切れてしまったり、しわができたりして不良になってしまいます。加減の難しい加工ですね。 パンカーを仕上げるまでに、5種類の機械を使います。1工程目でロケットのような形状を作り、2工程目で球状の金型を使って球体にし、3工程目で下側、4工程目で上側を加工、5工程目で吹き出し口になる穴を開けます。加工時間を短くするためには各工程の機械について操作方法を学び、「どの工程をどう改善すれば良いのか」と考えなくてはいけません。難しいですが、工夫しがいのある面白い仕事だと思います。 僕はパンカーを5年間担当してきました。ある程度は経験を積んだことで加工した製品が不良になることも少なくなってきましたが、上司は僕よりもずっと知識が豊富。少しずつでも向上していくことで、いつか上司に追いつき、追い越していきたいです。 ――5年間働いてきて、印象に残っていることは? 入社してしばらくは失敗ばかりして、上司によく怒られました。そこで挫折せず、あきらめないで仕事を続けられたことを誇りに思いますし、努力を積み重ねていくことで不良は減ってきました。努力は報われると実感できましたね。 怒られはしましたが、上司には本当に感謝しています。間違っていることを「間違っている」と叱ってくれる上司がいる。そして本当に困っている時には救いの手を差し伸べてくれます。1年目からずっと面倒を見てくれている上司がいたからこそ、今の自分があるのだと感じています。 そうした厳しさがありながらも助け合えるところこそが、この会社の魅力なのではないでしょうか。 ――最後に社会人の先輩として、学生に伝えておきたい心構えを伺えないでしょうか。 僕は専門学校を卒業するまで、ずっと実家から通っていました。それが会社に入って足利工場勤務になって、初めての一人暮らし。家に帰っても「おかえり」と言ってもらえませんし、ご飯も出てきません。今まで育ててくれた親のありがたみを痛感しました。 そうした普段は「当たり前」と感じてしまっていることのありがたさをあらためて意識し、感謝の思いを忘れないこと。その気持ちを大切にしてほしいですね。

11.jpg 製品製造部 足利工場 秋田谷さん