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アトセンス株式会社

アトセンス株式会社 自働車技術者の開発・実験手法を変えさせる製品を提供する計測器メーカー<br><br>性能だけを追い求めるのではなく、製品品質を保証できて、技術者の負担を減らせる計測器の開発を目指す

アトセンス株式会社

自働車技術者の開発・実験手法を変えさせる製品を提供する計測器メーカー
性能だけを追い求めるのではなく、製品品質を保証できて、技術者の負担を減らせる計測器の開発を目指す

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輝く技術 光る企業

アトセンス株式会社

自働車技術者の開発・実験手法を変えさせる製品を提供する計測器メーカー
性能だけを追い求めるのではなく、製品品質を保証できて、技術者の負担を減らせる計測器の開発を目指す

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  • 社名:アトセンス株式会社
  • 設立年月:2005年10月
  • 資本金:7200万円
  • 従業員数:12名
  • 代表者:代表取締役 細渕 信子
  • 本社所在地:東京都新宿区西五軒町6-10 秋山ビル
  • 電話番号:03-5206-8641
  • 公式HP:http://atsense.jp/
  • 2005年10月の設立と、創業からまだそれほど日が経っていないアトセンス株式会社。だが、既に自動車メーカーの中でも、エンジン部分を研究開発する技術者にとっては、なくてはならないパートナーになっている。「ある水準までのことはやり尽くされた」と言われ、後発企業の入り込む余地がないように思われた計測器業界で、アトセンスはどのようにして自社の立ち位置を見出したのだろうか。
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事業紹介

主に自動車業界を中心とした研究用の計測器・装置などを製造販売しているメーカです。

そのほかに汎用製品としてパネルメータやPIDコントロールユニット等を製造販売をしています。


【主な製品】

・燃料ブレンダ  ・燃料流量計 ・高圧流量計 ・インライン密度計 ・クランクポジションパルス逓倍器 ・エンジンタコメータ ・トルクメータ ・ツインパネルメータ ・PIDコントローラ ・分周機能付アイソレータ

お客様の声を真摯に聞くことから始まった計測器メーカ

「計測器の業界で活動をする中で守りに入ってしまい、お客様との距離が遠くなってきたと感じていました」とアトセンス株式会社の細渕信子代表取締役社長は起業に至った背景を語る。そして「お客様のために役立つ仕事をしたい」と思って設立したのがアトセンス。自動車メーカーを訪問し、「何かお困りのことはありませんか?」と真摯に質問を投げ掛けるところから同社の事業は始まった。 その中から登場したヒット製品の一つが、クランクポジションパルス逓倍器。アトセンスの目指す方向性を象徴する製品になったと細渕氏は胸を張る。 「エンジンは360度のどの角度の時に燃料を爆発させると最良なのか、角度を1度ごとに燃焼圧などをチェックしています。 従来のやり方では、大変な工数をかけてエンジンを加工してセンサーを取り付けても、耐久性が良くありませんでした。実車での性能を計測できないという問題もありました。 『別の方法でどうにかならないか』と当社で開発したのがパルス逓倍器です。自動車には必ずエンジンをコントロールするECUという電子制御ユニットがあり、そこに自動車部品のセンサー信号が入力されています。その信号をパルス逓倍器に入力して角度1度の信号を逓倍しました」 苦労の末に開発した製品は、「この領域では世界で一番優れている製品だ」と高い評価を受け、多くの自動車メーカーで採用されるようになっている。

03.jpg 代表取締役社長 細渕 信子 さん

企業の成長に必要なのは世界に誇れる分野を持つことと、お客様との価値の共有

アトセンスの目指す方向性を象徴する製品はもう一つある。ガソリンとエタノールなど、2種類の燃料を任意の割合で混合できる燃料ブレンダだ。 「世界的にバイオ燃料車の研究開発が進んでいます。開発の第一線では、各国のさまざまな混合比率の燃料で実験する必要があるのに、、燃料の調達や設備の整備などで実験開始まで月単位での待機が発生して開発が滞ります。また混合燃料は、アルコールが水を吸収して変質してしまうと、かなりの量を廃棄しなくてはならなくなっています」(細渕氏) 実際に必要な分だけ、その場で作れないだろうかということで開発したのが燃料ブレンダ。それなりに高価な装置だが、現状で廃棄される燃料代がかなり高くついてしまっているため、導入から1〜2年程度で投資額を回収できるとアトセンスでは試算している。 「企業として成長していくためには二つの方向性があって、一つは『この分野では世界一です』と胸を張れる分野を持つこと。もう一つはお客様にとっての価値、目指していることを理解して、それを実現できる製品を開発する企業力を持つこと。 お客様を見ないで、製品の性能だけを高めようとする姿勢は、重箱の隅をつつくことに似ています。パルス逓倍器や燃料ブレンダが受け入れられたことで、『アトセンスは性能がいいのは当然でお客様の負担を減らせ効率を上げるお客様が喜ぶ製品開発を目指すのだ』と明言できるようになりました」(細渕氏)

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第二創業期を迎える今、自分の意思・思いを持って仕事に取組む仲間に来てほしい

現在は自動車メーカー相手に、しかもエンジン関係という非常に狭い領域で事業を展開しているアトセンス。今後はもっと事業領域を広げていきたいと細渕氏は意欲を示すが、そのためにはこれから迎える第二創業期を共に支えてくれる仲間が必要だと考えている。 「自分としての意思や思いを持って仕事に取り組む人材に来てほしいですね。技術を突き詰める姿勢も重要ですが、当社のような会社で求められるのは、タフさや『押してだめなら退いてみる』という柔軟性。常に新しい局面に立ち向かうことになりますから、誰でも不安を感じるでしょうが、一方で新しい局面を『おもしろい』とワクワク感じられる人材が向いているのではないでしょうか」(細渕氏) 社員が働きやすい環境を作るために、自分自身、勉強して産業カウンセラーの資格を取ったという細渕氏。事業領域を広げ、第二創業期を乗り越えていけるよう、真剣に組織作りに取り組もうとする姿勢が伝わってきた。

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先輩メッセージ
市場に出すまで不安だったが、評価されたことで初めて「これで良い」と実感

技術部
笠井さん
――業務内容について教えてください。 入社以来、設計開発を担当しています。ですが小規模な会社ですので、業務は設計開発だけではありません。仕様を固めて、製造して、出荷するところまで携わっています。 仕事の内容としては、土台になる製品があってカスタマイズする仕事よりも、まったく新規の製品を開発することが多くなっています。 ――貴社の看板製品の一つであるクランクポジションパルス逓倍器の開発にもかかわられたそうですね。 開発当初の製品は、対応できるエンジンの数もごく一部でしたし、お客様が望まれるような精度で計測できるのか不安に思っていました。何かを計測する装置ではなく、「次はこうなるだろう」と予測して動作させる装置ですので、設計どおりになっているかが把握しづらかったのです。 でも、実際に市場に出してみると、お客様に評価していただけました。「これで良いのだ」と初めて実感できましたね。 それ以降、足りないところはお客様からその都度「こういう機能を付けてくれ」「こういうエンジンのパターンに対応してくれ」とご要望をいただいて、1件ずつ対応して完成度を上げていきました。 ――パルスのパターンは、エンジンごとにかなり違いがあるものでしょうか。 特許の関係でメーカーによっても違いますし、エンジン制御に対する要求水準は年々高まっていますから、時代の流れによっても違いが出てきています。 また、「エンジン」と言っても自動車だけではなく、バイクやタンカーなども対象になります。二輪のエンジンなら自動車と比べて径が小さく、高回転域まで回りますし、タンカーで使われている大型のエンジンは非常にゆっくり回るという特徴があります。 ――業務の中で、どのようなところにやりがいを感じられていらっしゃいますか? お客さまと直接やり取りすることが多く、そこにおもしろさを感じています。 お客様にはいろいろと協力いただけますから、新しいことを学べる機会も多いです。 クランクポジションパルス逓倍器については、今のところ、同等の性能を持った製品は世界で探してもありません。今後もトップを走り続けられるようにしたいですね。 ――同じ職場で働くことになるかもしれない若者に向けて、貴社で働く魅力を語ってください。 大企業であれば、「製品のこの部分の設計をしました」「生産でここを担当しました」と全体の中の一部分しか任せてもらえないかもしれません。ですが当社のような会社なら、最初から最後まで自分自身で責任を持って、製品ができあがっていく過程を自分で担当することができます。そして、お客様の評価を直接聞くこともできるので、それが魅力だと思いますね。 既に「これをやろう」と決めている人もいるかもしれませんが、いろいろなことに興味を持って、視野を広く持って物事を見ていくことも大切です。「やろう」と決めたことが自分に向いているとも限りませんので、できるだけ視野を広く持って、「やれる」ところを探すという考え方も大切だと思います。

kasai.jpg 笠井さん

設計、検査、製造の業務に加えて、展示会の出展まで幅広く経験できる

技術部
深瀬さん
――どのような経緯でアトセンスという会社のことを知られたのですか? 就職先を探して大学の就職課に足を運んだところ、ちょうどそこに弊社の社長がいたのです。 正直、名前を聞いたこともない会社でしたが、自動車業界を代表する企業にも使ってもらえる計測器を手掛けているところに、興味を持ちました。私自身、大学でセンサーを直接学んでいたわけではありませんが、電子工学を専攻していましたから、方向性は合っていました。小さな会社ですが、だからこそ一つの業務を集中してやるのではなく、いろいろと幅広い仕事をさせてもらえそうなところも、おもしろく感じました。 ――現在はどのような業務を? 技術部として、設計、検査、製造の業務に携わっています。最初は簡単な組み立ての仕事から始まり、設計や製造も経験させてもらいました。ほかに展示会の企画や設営など、幅広く担当しています。 任せてもらえる仕事はきっちりと任せてもらえますし、学ぶ必要がある仕事は先輩の横に付いて教わりながら取り組んでいます。社内の打ち合わせは、自分の意見を言える雰囲気ですし、「決められたことだけをやれ」と一方的に言われることはありません。 ――研修など、どのような形で業務を覚えていきましたか? 基礎的な技術や仕事の進め方は、入社してから最初に教えてもらいました。その後は、OJTが中心です。新しい技術の習得については社外研修で学ぶこともあります。 入社当初の研修で、検査の業務を見せてもらって、どんな時に不具合が発生するのか、不具合を出さないためにはどう改善していけばいいのかを勉強しました。 たった1カ所でも接触不良がありますと、お客様から見れば「壊れた製品」になってしまいます。小さな会社ですから、私が見落とすとそのままお客様のところにまで届いてしまうのです。本当に細かいところまで注意しなければいけないと強く感じましたね。 ――今後に向けての抱負を教えてください。 今までと同じように、広い範囲の業務に携わりたいという気持ちもありますが、技術者としてレベルアップして、設計など、1人でできる業務の幅を広げていきたいと考えています。

fukase.jpg 深瀬さん