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分光計器株式会社

分光計器株式会社 太陽電池評価装置のパイオニアとして確固たるポジションを築く <br>次世代太陽電池評価装置はカラー放送用撮像素子の評価研究がスタートラインでした。

分光計器株式会社

太陽電池評価装置のパイオニアとして確固たるポジションを築く
次世代太陽電池評価装置はカラー放送用撮像素子の評価研究がスタートラインでした。

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輝く技術 光る企業

分光計器株式会社

太陽電池評価装置のパイオニアとして確固たるポジションを築く 次世代太陽電池評価装置はカラー放送用撮像素子の評価研究がスタートラインでした。

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  • 社名:分光計器株式会社
  • 設立年月:1977年9月1日(昭和52年)
  • 資本金:3,500万円
  • 代表者:天野 高
  • 所在地:【本社・工場】東京都八王子市高倉町4-8
    TEL:042(646)4123(代)
    FAX:042(644)3881
    【東日本営業所】東京都文京区湯島3丁目23-1天神弥栄興産ビル4階
    TEL:03(3837)1021(代)
    FAX:03(3837)1023
    【西日本営業所】大阪市東淀川区豊新3-24-5クリスタルビル2F
    TEL:06(6323)4502(代)
    FAX:06(6323)4902
  • 公式HP:http://www.bunkoukeiki.co.jp/
  • 分光計器の太陽電池評価装置は30年程前にスタートしました。その頃は、ある企業のカラー放送用の撮像素子を評価したいという依頼を受けて分光感度測定装置を開発しました。光を素子に当てて電流電圧変換をした結果を評価するという点では、現在の太陽電池評価装置の原理とも言える装置だったのです。栗原常務は当時のことを振り返りました。「カラー放送用の撮像素子に、様々な色の光を当て、どのように素子が反応するかを調べていきました。分光器を通じた単色光を当てたわけです。その結果、可視光も含め紫外線・赤外線領域で種々の素子の分光感度を測定できました。この測定法が現在の太陽電池開発の一助となったことはいうまでもありません。」その後、太陽電池評価装置の標準機をつくりたいという、ある研究所からの相談に応え、開発が本格的に開始したのです。

業種

分析機器・科学計測機器・光計測機器・公害計測機器の製造販売

事業紹介

太陽電池評価装置(シリコンや色素増感型太陽電池の分光感度測定)、
分光応答度測定装置(シリコンフォトダイオードや放射温度計の値付け)、
光学素子測定装置(レンズやプリズムなどの透過、反射測定)、単色光照射装置、
真空紫外分光光度計など、世界に1台しか存在しない装置を数多く製造。

太陽電池評価に必要な2大課題をクリアした技術を確立しています。

太陽電池評価には、2つの大きな課題があります。栗原常務はそのことを分光計器では技術的にクリアしていることを説明いただきました。 「太陽光というのは、平行光線で均一できれいな光です。ランプなどで人工的につくられた光はムラがあり、しかも平行な光線ではありません。当社では、ある範囲内においては、太陽光と同様の均一できれいな光をつくりだす技術を確立しています。次に、太陽電池を評価するうえで欠かせないのが、照射する光のエネルギーを正確に制御していく技術です。当社独自のリアルタイム光量モニター制御システムというのが、それにあたるものです。これは光源や分光器が独自に持っている分光特性を一定にしていく制御技術で、当社独自の技術です。」 この2つの技術によって、分光計器の太陽電池評価装置は、技術的な信頼性を確立するとともに、その中で分光感度を測定する装置として独自のポジションを築いていくことになりました。 太陽電池と一口に云いますが使用される材料などにより種々のタイプがあります。もちろん波長による感度もそれぞれ異なります。色々なタイプの製品が開発され従来は逃していたエネルギーも今後は電気エネルギーに変換されて利用されるのではないでしょうか。この過程の一環に弊社の製品が使用されていることになります。

bunkokeiki_ph01.jpg 栗原 耕一常務
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多接合型や色素増感型、有機薄膜型等太陽電池向けの分光感度測定装置を開発しています。

太陽電池評価は、最近大きく進化しています。それは、可視光からもっと幅広い光を活用できる太陽電池の開発にむけた評価測定です。 「確かに最近では、可視光だけではなく、赤外線領域にまで至る幅広い波長領域にまで広げた太陽電池の測定は非常に増えてきています。また、最近では、多接合型太陽電池というものが出てきました。これは太陽電池の波長感度域の異なる素子を積層したものです。多接合型の登場によって、これまでは1〜1.2μmあればよかったのが、1.7μmまで必要だといわれるようになりました。この他にも色素増感型太陽電池や有機薄膜型太陽電池等も開発しました。これは結晶系と同じ装置では測定ができません。お客様の開発ニーズに対応した装置を順次開発していくことが必要となってきます。」

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顧客の要望に応えて1台で1億円以上もする高額な一品一様の製品開発もしています。

分光計器は、1977年に日本分光株式会社から分離し、関連会社として設立されました。 「日本分光は、光分析機器が中心です。それは、比較的量産品であり、製品の開発方法・製造方法もこれらを考慮したものとなります。一方、分光計器は、研究開発型・特注品が中心でいわば計測関係のオーダーメイド品、一品一様の製品が中心です。したがって、モノづくりの取り組み方におのずと乖離が出てきてしまいます。それで、製造部門を分社化することになりました。更に後には市場のフィールドも異なることから営業部門も誕生しました。」 栗原常務にこれまでの中で印象深い実績をご紹介いただきました。 「分光計器の主なお客様は、大学や官庁、さらには企業の研究開発部門です。しかも顧客の要望に応える一品一様の測定装置となれば、納品価格は高額なものが多くなります。研究開発ということなので、常に世界に1つしかない装置を造ることが求められると言っても過言ではありません。お客様と共に初めて挑戦しなくてはいけないという事案に遭遇することでもしばしばです。私個人が一番印象深い納品物は、一億一千万円もする装置である『真空紫外分光システム(光度計)』です。納品先はある民間の研究所でした。これは、1つ1つの当社の計測系のパーツを使って組み上げていきました。大きさは307cm×205cm×120cm(このほかに制御ラック2式あり)とかなりの大型のものです。そして、ステンレス製の真空チャンバーがあるので、総重量は4・5トンぐらいありました。」 これまでは一品一様の製品開発を主体としてきましたが、今後の販売戦略については、栗原常務は海外展開も視野に入れた活動を展開していきたいと考えておられます。 「現在は、やはり国内が主流となっていますが、海外からの引き合いも増えております。今後は海外にも力をいれていきたいですね。そのためには、海外の規格認証や販売ルートを確保をしていく必要があります。一方、国内においても、これからは企業の工場等にも展開していきたいですね。そうすると、コストの問題が出てきます。当社としては苦手な部分ではありますが、対応していかなくてはならないですね。」

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現場主義でコツコツと着実に研究を進めてくれる人に出会いたいと考えています。

最後に、分光計器で求められる人材像をうかがいました。 「基本的には、派手ではないがモノづくりが好きな方、少しでも理科系が好きな方であれば、どんな方でもいいのではないかと思います。もちろん、物事を途中で投げだされては困りますが、現場主義でコツコツと着実に仕事を進めてくれる人がいいなと思います。今までも、そしてこれからも太陽電池の研究開発では、日本が圧倒的に強いと思います。ちょっと昔の話ではありますが、人工衛星に日本製の太陽電池が採用され、これまでトラブルなく稼働しています。宇宙空間という極めて過酷な環境下で稼働する太陽電池の開発では日本がトップクラスの研究を行っていましたし、それらの優位性はこれからも変わらないのではないでしょうか。(他国の追い上げは厳しいですが、ぜひ優位性を保持して欲しいと思います。)それをサポートするという現場は、当社のような評価装置開発会社でそれをサポートすることで、きっとエキサイティングなモノづくりを体験できますよ。」 太陽電池評価装置のパイオニアとして確固たるポジションを築いた分光計器。日本のそして世界のモノづくりを支える次世代エネルギー開発の一翼を担うことは間違いありません。じっくりと腰を据えて、その現場を支えてくれる人。そのような人と拓く未来を栗原常務は見つめています。

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先輩メッセージ
全てを見通せるモノづくりができる。その魅力を存分に味わっています。

技術部 設計課
神山 慶太さん
私は、大学で光工学を学びました。それを活かせるようにと就職先を検索していたら、分光計器へとたどり着きました。その他にもカメラメーカー等もありましたが、よくよく調べてみると、大手では、レンズ設計とか製品全体のある部分しかできないようなことを感じました。ならば、設計から製品化まで全てができる企業規模である分光計器に就職する事にしました。 所属している部署は設計課ですが、お客様との最初の打ち合わせ段階から出席して、初期の設計や予算折衝の段階からそれが実現可能なのかアドバイスする業務も担当しています。これは、社内全体でよりスムーズに製作工程を進めることができるようになるとともに、私自身が設計だけをしていると、お客様の使い勝手とかメンテナンスのしやすさが把握できなくなってしまう危険性を除く意味でも大切なことだと考えています。 一番うれしかったのは、やはり一号機が出来上がった時ですね。光ファイバーの伝達率の損失を図る装置を造りました。設計・製造期間は1か月程度でした。当社の製品はほとんどがオーダーメイドですから、設計したらすぐに製作し、チェックして不具合がでれば直していくという形で一品一様モデルをつくっていきます。ですから、入社した時に想像した通り、徐々にではありますが全体が見通せることができるようになりました。特に私の場合担当した設計の注文が、当社のOJTにおける技術習得の階段を登るような順番でこなすこととなり、卓上型から架台に乗せるモノというようにして、設計や当社独自の製品・技術を身につける事ができました。 今後は、フルオーダーメイドからイージーオーダー程度にできるように、太陽電池を1つの評価装置で検査できるような設計をしています。試料台だけを変えるだけで対応できるようにしていきたいと考え、試行錯誤しています。できるだけ幅広いオーダーにも対応できるようなモジュール化を検討しています。 当社は、様々な光学技術の検査機器という点で幅が広い技術が必要になります。私も最初はついていけるかなという不安がありましたが、経験を積んでいけば必ずできるようになります。ですから、ゆっくりと技術を身につけていけばいいと思います。そして、当社のこれまでの蓄積した技術の固定観念を、時には揺るがすような斬新な意見を述べるようことにもぜひチャレンジして下さい。

bunkokeiki_ph08.jpg 神山 慶太さん
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先輩メッセージ
入社してわかったことはわからないことを解決するスピードでした。

システム課
井出 忠さん
私の学生時代に化学分野を専攻していたので、分光光度計を研究室で使用していました。就職活動を進めていく中で、製品のユーザーでもあったことから、当社には親しみもありました。元々モノをつくるのは、大学進学前から興味がありましたので、様々な事を考えた結果、分光計器に入社することにしました。分光光度計とは、調べたい物質に分光器を通じて分光した光を照射して反射するか・透過するかで物質を分析する装置のことです。ユーザーという立場でいたこともあり、比較的製品に対する知識等もあったことが幸いでした。 今、私がしている仕事は、製品の全体的な調整作業です。各々の製品が、お客様が要求しているスペックが出ているか確認したり、取扱説明書を書いたり、お客様のところに行って納品作業をすることが主な業務です。これに付随して、お客様に対して製品の説明や要望点を取り纏めるためのディスカッションをする等、お客様ニーズの情報収集を含めた営業的な仕事もやっています。 このような情報収集活動として、大学の研究者や先生とのディスカッションすることは、理論をきちんと押さえておかないと何をいっているのかがわからなくなってしまうので非常に難しいものです。逆に私たちが説明したら、すぐにわかってしまうこともあります。コミュニケーションに苦労することもありますが、そのことによって新たな発見もあり楽しい時間ということもできます。 世の中にない装置を造ることが大半ですから、全ての装置の要望やスペックを聞いて初めて仕様書として取り纏めていく事になります。しかし、お客様が必要とされたスペックが出せないことがありました。それで装置を造り直して、最終的には2台になったことがあります。その原因は、スペックを確保する為の実験をした後、理論値からシミュレーションするための経験や知識が十分でなかったことでした。くやしかったですね。それから、経験不足を埋めるべく猛勉強をしています。 私は冒頭でもいいましたが、入社当時は光についてあまり知識はありませんでした。いろんな先輩に質問することや雑誌や書物を読む等、まだまだ勉強中です。しかし、そのことを通じて、わからないことが徐々に解消されています。とかく入社当時はその場で解決しなくてはいけないと思いがちですが、一歩一歩しか進んでいくしかないなと思うし、そのように言い聞かせています。解決すべき期日とかスピードがわかるようになると、いろんなことに余裕をもって取り組んでいけると思います。そのようなあせりや経験不足が、スペック不足のものを製作するようなことになったのではないかと思い返しています。でも、それに気付かせていただいた会社に感謝しています。

bunkokeiki_ph10.jpg 井出 忠さん
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