<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

文字サイズ

株式会社 ダイワハイテックス

株式会社 ダイワハイテックス コミック包装という新しい常識が生み出された経緯<br>売るのではなく信用を得て買っていただく。お客様第一主義が培った書店との強いつながり。

株式会社 ダイワハイテックス

コミック包装という新しい常識が生み出された経緯
売るのではなく信用を得て買っていただく。お客様第一主義が培った書店との強いつながり。

main_daiwa_h
輝く技術 光る企業

株式会社 ダイワハイテックス

コミック包装という新しい常識が生み出された経緯 売るのではなく信用を得て買っていただく。お客様第一主義が培った書店との強いつながり。

main_daiwa_h
  • 社名:株式会社 ダイワハイテックス
  • 設立年月:1978年(昭和53年)3月
  • 資本金:6,000万円
  • 従業員数:63名(内女性従業員数20名)
  • 代表者:代表取締役 大石 智也
  • 本社所在地:〒174-0043 東京都板橋区坂下1-34-27
  • 大阪支店:〒564-0062 大阪府吹田市垂水町三丁目2番1号 ONKビル
  • 電話番号:03-3558-8131
  • 公式HP:http://www.daiwa-hi.co.jp/
  • 今では当たり前になった、コミックや雑誌などのビニールの包装。実は二十年ほど前にダイワハイテックスが初めて事業化したものだ。今までになかった新しい常識を作った、まさにコミック包装のパイオニアである。さらに、お客様を第一に考える企業活動により、書店との強力なコネクションを築き、業界でのシェアは90%を誇る。今後は書店の総合コンサルティング業務にも事業を拡大しようとしている。
intro_img

業種

包装機械製造

事業紹介

○BOOK事業
 1.書籍用包装機械(シュリンカー)、包装資材(シュリンクフィルム)、書店用関連備品の製造・販売
 2.省力化機械制御用品機械の販売
○ECO事業
 1.集塵装置トータルサポートの提案・販売
 2.多用途焼却炉システムの提案・販売
 3.食品残渣処理プラントおよび処理機械の販売

常識では考えられなかった書籍の包装を紆余曲折を経て一般化

大石 孝一さん
株式会社 ダイワハイテックス
代表取締役 社長(取材当時) 
書籍の包装機械であるコミックシュリンカーで業界シェア90%を誇るダイワハイテックス。創業者の大石社長にお話を伺った。 大石社長はもともとコピー機の販売営業のサラリーマンだったが、28歳の時に奥様と共に起業。ところが、順風満帆に事業を拡大していったわけではなかったという。 「起業当時は得意先も仕入先も無かったですし、社員も妻だけでしたので細かいことはあまり考えていませんでした。(笑) ある時、縁あって包装機の販売を始めることになりました。最初はホックを包装する機械として売っていましたが、包装機の展示会で、とある書店の方が書籍の包装の話を持ちかけてきたのです。当時は誰もやっていない事でしたが、新しい分野にビジネスチャンスを感じました。そこで包装機を書籍用に改造し、販売を始めました。しかし、当時は一般的なことではなかったため、すぐには売れませんでしたね。売れるようになってきたのは、お客様(書店)から日書連(日本書店組合連合会)のことや 東販や日販(二大大手の出版取次会社)のことなどを聞き、 書店のことが分かってきてからです。チラシに東販、日販の名前を入れるだけで全然売れ方が違ったのには驚きました。また、一週間のお試し期間として機械を無償で使っていただくサービスを行ないました。これは当時としては画期的でしたね。すると、戻ってこない機械が出てきて、さらに売れていきました。自分がやったことに反応があるというのがマーケティングの面白いところですよ。」 全く書店と関係のなかった小さな企業が、書籍の包装というそれまでになかった常識を生み出したということに驚かされる。 小さな企業が新しいことを始めるにあたって心がけていたことについて話していただいた。 「軌道に乗ってきたので、他の包装事業をやめて、シュリンク事業一本で行くことにしました。さらに包装の品質向上のために、自社で機械の開発を始めました。 その時、大手の企業などに事業を真似されるのを防ぐために、機械は包装機械の展示会には一切出さずに、書店の会合で紹介するようにしたのです。 そうして順調に売上を伸ばし、2000年には「板橋区経営品質賞 大賞」を受賞しました。その後は数多くの取材などが来るようになりましたので、今度は逆に情報を発信していったのです。すると書店に知名度が出てきて信用度が高まりました。当社は三十年間、前年対比の売上を落としたことがないんです。消耗品(フィルム)が7割で機械が3割の売上ですので、機械さえ動いていれば70%の売上は確保できているわけです。」

daiwahitechs-20.jpg 代表取締役 社長 大石 孝一さん(取材当時のもの)
daiwahitechs-29.jpg
daiwahitechs-10.jpg
daiwahitechs-07.jpg

社員全員に徹底している方針は「お客様第一主義」

大石社長の社員教育方針はとにかく「お客様第一主義」。この方針に共感できる人材が必要であると、特に新卒採用にこだわっているという。 「ずっと中途採用をしてきましたが、トップの方針と同じ意識の人を入れていくためには新卒採用しかないと思い、新卒採用を始めて7年目になります。今では新卒で入った社員が半分になりました。組織が新陳代謝して良くなっていっていますね。 社員にはとにかくお客様を第一に考えるように徹底した指導をしています。例えば、電話がかかってきてもコール二回以内には必ず出る。会議中でもお客様からの電話にはすぐに出る。お客様の電話よりも大事な会議などあるはずがないのですから。大型書店が新規オープンすると、機械を持ち込んで無償で包装の手伝いを行っています。そこで喜んでいただければ、チェーン店の場合は他の店舗にも呼んでもらえますからね。商品を売るのではなく、信用を得て買ってもらう仕組みをつくっているのです。お客様がこの会社と取引したいと思うかどうか、それには自分たちはどうしたらいいのかということを常に考えるように言っています。」

daiwahitechs-13.jpg
daiwahitechs-18.jpg

次に目指す展開は書店の総合コンサルティング的事業

激しく変化し続けている近年の書店業界の中で、ダイワハイテックスはどういった事業展開をしていくのだろうか。大石社長に今後の事業展開について伺った。 「出版物の売上は1997年が最高で下がり続けていますし、書店の数はすごい勢いで減っているのですが、実は日本全体の書籍の売り場面積は減っていないのです。また、コミックの売上は落ちていません。コミック以外にも包装する本が増えていますし、まだまだ事業の余地はあります。シュリンカー以外にもECO事業も行っていますし、今後は今までに培った書店のデータベースを活用して、防犯関連製品の提案などを含めた書店の総合コンサルティングを目指しています。商売のチャンスは急に来るので、どんどん新しい人材を入れていかないと新しい事業は出来ませんね。新規事業を出来る人っていうのは無から有を生み出すような、強いパッションを持ってる人じゃないとダメだと思います。」

daiwahitechs-14.jpg

先輩メッセージ
子供の頃にプラモデルを作っていたように熱中して仕事しています

大久保 憲さん
開発・設計マネージャー
入社7年目
大久保さんは珍しい文系学部出身の技術者。新卒で入社後、会社のバックアップもあって技術を身に付け、今では自分にしか出来ない仕事もたくさんあるという。 --入社のきっかけを教えてください。 「製造業で開発をしたかったのですが、私は文系の学部出身でしたから、なかなか募集している会社が無かったんです。当社は文系理系に関係なく技術者の募集をしていたので入社を決めました。ちょうど新卒採用を開始した時で、新卒第一期生にあたります。」 --今の仕事内容について教えてください。 「シュリンカーの装置開発、設計がメインです。基本的に発注から組み立てまで、最初から最後まで全部自分でやっています。入社当初はメンテナンスの担当でしたが、開発に異動しました。」 --今までで特に印象に残っている仕事はありますか? 「同人誌用の包装機の設計、開発ですね。本来は横型の方が安定するのですが、設置面積が狭くても使えるように縦型の設計にしたものです。作業者の背の高さや使いやすさも考慮して、お客様と何回も打ち合わせを重ねて設計しました。同人誌に特化した機械なのですが、秋葉原など、一部ではよく使われています。自分の設計した製品が実際に使われていると思うと嬉しいですし、責任感も感じますね。」 --会社の特徴を教えてください。 「仕事が好きで会社が好きな人が集まっていると思います。社員は皆、顧客満足度を高めることを第一に考えるという社長の理念に共感し、社長を尊敬しています。社長は社員に対してあまり細かい指示を出さずに、社員自身の考えで行動させてくれます。私は文系出身なので技術を身に付けるようにと、入社後二年間、夜間の専門学校に通わせてくれました。それは本当にありがたいと思いました。今以上にもっと貢献して会社に還元したいと思っています。」 --ありがとうございました。最後に、ものづくりを志す後輩へメッセージをお願いします。 「ものづくりは基本的には情熱さえあればできる事だと思っています。自分は文系出身で知識が無かったのですが、技術が身について開発や設計ができるようになりました。ものづくりの仕事は、楽しいと熱中してしまって、子供の頃にプラモデルを作っていたような感覚で仕事できます。遅くまで残って仕事することもありますし、休日に作業することもありますが、全く不満にはならないですよ。」

daiwahitechs-23.jpg 大久保 憲さん
daiwahitechs-04.jpg
daiwahitechs-28.jpg 同人誌用の縦型包装機

先輩メッセージ
予想もしていなかった仕事ができて、新しい自分を発見できました

池田 理恵子さん
経営戦略室
入社4年目
池田さんは現在は採用、人事の担当。「即実践」を目標に業務に励んでいる。当初は営業として入社されたそうだが、異動して予想もしていなかった仕事を担当することになり、とても刺激的で楽しいと語っていただいた。 --入社のきっかけを教えてください。 「就職活動をしていて、製造業の社員の方が自社製品に対して誇りを持っているところや、製品を通してお客様に新しい価値を提供していくところがすごく魅力的でかっこよく思えて憧れたんです。当社を選んだのは、大きな企業で誰にでもできるような仕事よりも中小企業で他の人が出来ない仕事に就きたいと思ったからです。誰にでもできる仕事は面白くないと思いました。」 --担当されている仕事について教えていただけますか? 「採用の仕事は、説明会の企画、学生への告知、司会などですね。説明会での打ち出し方によって学生の方の集まり方も違ってくるのが面白いところです。個人的には会社を好きになってきてくれる方に来ていただきたいと思っています。人事では、研修の計画や、外部のセミナーの告知などを行っています。他にも販促の企画などを担当することもあります。販促の仕事では、透明ブックカバーのキャンペーン企画に携わりました。一定量のご注文をいただくと陳列用の什器をサービスするという内容で、二ヶ月で約120店に導入していただきました。実際に店頭に什器が設置されているのを見ると本当に嬉しかったですし、実家の近所の書店にも導入されたと家族から聞いて感激しました。採用や企画の担当になるとは思っていなかったので、新しい自分を発見できましたね。」 --会社の特徴を教えてください。 「若い社員が多いのですが、雰囲気は落ち着いた感じです。自分の仕事を限定してしまう人よりも、頑張って自分からどんどんやっていく人が当社には向いていると思います。新しいことに対しては柔軟に取り組んでくれる会社ですね。」 --ありがとうございました。最後にものづくりを志す後輩へのメッセージをお願いします。 「アイディアが形になる事はとても面白くて、新しい企画や、新製品を生み出すことの魅力を入社して改めて感じました。中小企業の場合、若手でも一からそういう仕事に携われるところが良いところです。自分が関わった製品が世の中に出るのは本当にやりがいを感じられますよ。」

daiwahitechs-25.jpg 池田 理恵子さん
daiwahitechs-16.jpg