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電子磁気工業 株式会社

電子磁気工業 株式会社 国内外のメーカー数千社に採用される磁気関連技術のトップ企業<br>安全を守り、モーターに不可欠な技術を提供する陰の立役者。顧客の「隠れた声」に耳を傾け、時代を先取りして製品を開発

電子磁気工業 株式会社

国内外のメーカー数千社に採用される磁気関連技術のトップ企業
安全を守り、モーターに不可欠な技術を提供する陰の立役者。顧客の「隠れた声」に耳を傾け、時代を先取りして製品を開発

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輝く技術 光る企業

電子磁気工業 株式会社

国内外のメーカー数千社に採用される磁気関連技術のトップ企業 安全を守り、モーターに不可欠な技術を提供する陰の立役者。顧客の「隠れた声」に耳を傾け、時代を先取りして製品を開発

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  • 社名:電子磁気工業 株式会社
  • 設立年月:1957年3月
  • 資本金:3600万円
  • 従業員数:82人
  • 代表者:名誉会長 及川芳朗 / 代表取締役社長 児島隆治
  • 社員平均年齢:38歳
  • 初任給:四大卒:205,000円、院卒:220,000円
  • 主な勤務地:本社(東京都北区)
  • 休日:土日祝日(年間休日125日)、有給休暇、夏期・年末年始、特別休暇
  • 本社所在地:東京都北区浮間5-6-20
  • 電話番号:03-5970-8681(代表)
  • 公式HP:http://www.emic-jp.com/
  • ・自動車故障等を未然に防ぐ非破壊検査、モーターの着磁装置などを手掛ける
  • ・顧客の「隠れた声」に耳を傾け、時代を先取りした製品を開発
  • ・一人一人が社長! 技術者が「1から10まで」製品を一貫して担当できる
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業種

磁気応用機器の開発・設計・製造・販売・サービス

事業紹介

電子磁気工業はこんなもの作っています!


【非破壊検査装置】
磁気や渦電流を応用して、車、鉄道、飛行機等の乗り物の部品に傷がないかどうか、物を壊さずに検査する装置です。日々、多くの人々が利用する乗り物が、事故を起こさない様にする為、必要不可欠な装置です。


【着磁装置】
磁石は材料の時点だと、磁気を帯びておらず、くっつきません。着磁装置は、材料の磁石に磁気を入れるための装置です。磁石が内蔵されている製品は、携帯、パソコン、洗濯機、冷蔵庫、スピーカー、エレベーター等たくさんあります。


【磁気計測装置】
磁気は目に見えないので、それを視覚化する為に計測、評価する装置です。磁気の方向や強さを計測するもの、磁気の分布や磁石の特性を評価するもの等があります。


以上の3つの装置を中心に、幅広く磁気関連装置の研究開発及び製造販売を行っている会社です。

何を作ってる?

磁気を用いたさまざまな装置を作っている電子磁気工業。数ある同社の製品群を大きく分けると、3種類に分類できる。 一つ目は、磁気や渦電流を応用した、自動車、鉄道、飛行機等に使われる金属に傷がないかを検査する非破壊検査装置。わずかな傷から故障が起きて、大規模な事故につながることだってある。安全のために必要不可欠な装置だ。 続いては、磁石の材料に磁気を帯びさせる着磁、逆に磁石から磁気を除く脱磁に使う装置だ。磁石は、携帯電話や家電、エレベーターなどの製品に内蔵されるモーターを駆動させるのに不可欠なものだ。 「最終製品に使われている部品を含めて考えると、当社の技術を使用している企業は、国内外で数千社に上るのではないでしょうか」と名誉会長の及川芳朗氏。非破壊検査と着磁・脱磁の二つに、磁気の計測装置を加えた3本柱で同社の事業は成り立っている。 ただ、それらの市場は既に飽和状態。成長の限界が見えてきている。そこで2年前に会社の方針として「脱磁気」を打ち出し、磁気の周辺技術を用いた新しい市場を開拓し始めた。 例えば、鋼材の焼入れ深さを測定する焼入れ判定器を開発。鋼材を破壊することなく金属の硬度・材質などを明確に分析することができると評判で、少しずつだが確かに注文を増やしている。

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04.jpg 非破壊検査で不良品を選り分ける

会社の強み

「磁気の領域で、非破壊検査装置、着磁・脱磁装置、計測装置と幅広くモノづくりをしているのは、当社しかありません」(及川氏。以下、同)。非破壊検査、着磁・脱磁に限ってみれば競合他社はいるが、その数は極めて少ない。電子磁気工業が圧倒的にシェアを握っている。 そして、1度つかんだ顧客を逃すまいと、顧客目線を忘れない。新製品の開発や既存機種の改良の判断は、すべて顧客の隠れた声に基づくものだ。「営業担当には、『お客様の愚痴を聞きなさい』と常に言っています。お客様から『こんな装置を作って』と頼まれるものは、他社でも簡単にまねできます。ですから当社はその手前、お客様の愚痴から先回りして新製品を企画します。お客様の隠れた声を大切にすることで、時代を先取りした製品を世に送り出すことができるのです」

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職場としての魅力

一般的なモノづくりの現場では、業務ごとに担当者が分かれている。しかし電子磁気工業では、若手であっても1人の社員に、すべての業務が任せられる。具体的には、最初の市場調査から部品の調達、設計や組み立てはもちろん、製品を発売した後の販売促進・広告宣伝まで。1人の社員が予算と目標を持って、一貫して担当するのだ。 「極端なことを言えば、独立できるだけの技術が身に付きます。『そんなことしたら、本当に独立してしまいますよ』と他社の方に言われたこともありますけど、不思議とみんな定年まで辞めないですね」と及川氏は笑う。 近年、大手企業で働いていても狭い範囲の仕事しかできず、企業が倒産すると次の仕事がなかなか決まらない技術者も多い。モノづくりを一貫して担当できる電子磁気工業のような企業でこそ、社会で本当に通用する技術者としての能力・知識が身に付くのかもしれない。

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会長メッセージ
商品だけでなく安心・安全も売る。そのために磁気のコンサルティング企業を目指す

名誉会長
及川 芳朗さん
――貴社は既に磁気を使った非破壊検査や、着磁・脱磁に関してはほぼオンリーワンの企業です。今後はどこを目指して事業展開されるのでしょうか。 「磁気のことなら電子磁気工業に聞けば何でも分かる」という磁気のコンサルティング企業を目指しています。そのために社員には、知識を身に付けてもらい、資格も取ってもらっています。 今、技術者の海外流出などが原因で、国内の大手メーカーにも磁気に詳しくない担当者が増えてきました。また、担当者が頻繁に変更になることで、「引き継ぎ不足で検査方法や機器の使い方が分からない」といった現場も増えています。 そうすると、問題が起こらないはずのところで問題が起こったり、これまで問い合わせがなかったことでも「これはどういうこと?」とお問い合わせいただいたりすることが増えてきました。 実際、非破壊検査装置の使い方を間違っていたため、傷があっても装置が反応しなかったこともありました。これでは検査の意味がなく、事故につながる可能性もあります。私たちが知識を身に付けて、お客様にきちんとご説明することで、そのような事態を未然に防いでいきたいです。 私たちの知識と技術で、世界の安全を守りたい。商品だけでなく安心と安全を売るところまでが当社に求められるサービスであって、そのために“磁気のコンサルティング企業”を目指しているのです。 当社は例年、人間性を重視して採用しています。中小企業だからこそ、「会社に合う」と思える人しか採用しません。学校の成績は関係ありませんよ。知識や技術は、入社してから覚えていけば良いのですから。一般常識をしっかり身に付けて来ていただければ十分です。 ただし、入社いただくからには当社で長期的に成長してもらいたいです。当社で働くことを腰掛け的に考えている人や、「入社=ゴール」で安泰だと考えている人は当社には向きません。 当社で働きたいと思っていただけるのなら、自分が5~10年後にどうなりたいのか、目標を持ってください。「親に薦められて」ではなく、自分の意思で入社試験を受けてほしいですね。

09.jpg 名誉会長 及川 芳朗さん

先輩メッセージ
1から10まで一貫して製品を担当できる面白さ。自分の担当製品をヒットさせたい

開発部 開発課
井家さん
――入社された経緯を教えてください。 就職活動の際、「入社した会社と合わなかったらどうしよう」という不安がどうしても拭えませんでした。ですから正社員の仕事を探さず、最初は派遣社員として開発の仕事ができる企業を探しました。当社とはそうして出会いました。 当社で働くうちに、大学では学ばなかったことをどんどん知ることができました。建物にはどのような金属が使われていて、磁気で検査すると金属ごとにどのような反応があるか、ご存知ですか? そうした知識を学んでいけることが、すごく面白いと感じたのです。 原理原則を調べ、実務で使えるように応用する方法を考える。「自分自身の求めていたスタイルで働ける会社だ」と思いました。そして正社員として働きたい旨をお伝えして、すぐに社員として採用いただけたのです。 入社して6年目なのですが、最初の4年間は鋼材の焼き入れの深さを測定する装置を開発していました。「磁気以外の分野で事業の柱になる製品を開発する」という会社の方針が新しく打ち出されたので、その方針に基づく製品開発を担当しました。社内の期待が大きかった分、プレッシャーも大きい仕事になりました。 その製品が2年前に完成したので、今は完成した製品のPRをしています。PRはこれまでに経験してきた開発業務とは畑違いの仕事です。当然、大変なこともあります。でも作った人でないと、その製品がどれほどすごいか、分からない面もあります。まったく苦にはなりませんね。 当社は大手と違って、1人が担当する業務範囲が幅広いです。1から10まで一貫して仕事を任せてもらえます。責任は伴いますが、「やりたい」と言ったことには制限が掛けられず、自由にできます。 もちろん、上司と相談して決めていく必要はあります。ですが、例えば開発する製品の方向性について、「市場調査の結果、こういうデータが取れている」としっかりした裏付けを基に主張すれば、自分の意見を採用してもらえるのです。 確かに大変ですが、そこを「面白い」と思える人であれば、満足できる職場だと思います。市場調査をして、製品を開発して、検査をして、PRまで担当する。こんな面白いことはないですよ。 PRと並行して、モーターの電力を効率的に使えるように、磁気特性を確認する検査装置の開発にも新たに着手しています。日本の電力の約55%、世界の電力の約40%がモーターに使用されていると言われています。それだけの電力を省エネルギー化できれば、環境に好影響を与えられます。やりがいを感じながら開発を進めていますね。 世の中にないものを作っていることです。世界で当社製品にしか使われていない技術もありますから、本当に必要とされているお客様には、ほかの選択肢がありません。実際、困っていたお客様が、インターネット経由で高額な当社の製品を見つけ出して、その場ですぐに購入したこともあるほどです。 自分が作ったものをヒット商品にしたいです。そのために改良・改善を続けていきます。 新しい磁気特性を確認する検査装置についても、日本で当社だけの技術を採用しています。開発を進めて、モーター技術の省エネルギー化に少しでも貢献できればと思います。

10.jpg 開発部 開発課 井家さん

先輩メッセージ
設計・部品調達・価格交渉までをすべて1人が担当。一人一人が社長みたいなもの

製造部ME課
段本さん
――電子磁気工業に興味を持った理由は? 小さい時からモノづくりが好きで、高校も大学も機械科を卒業しました。「就職は機械分野」と決めて何社か面接を受けるうちに、及川会長とお会いしたのです。お話の内容からも、自分の話を聞いてくれる会長の姿勢からも、“学生に対して”ではなく“1人の大人”として見てくれているのだとすごく感じられました。自然と「この人の下でがんばりたい」と思えましたね。 非破壊検査で利用する磁粉探傷装置を作っています。当社では、検査物の形状やお客様の製造ラインに合わせた設計をするところから、装置に使う部品の調達・価格交渉まで、すべて1人の社員が担当します。お客様に装置の使い方を説明して、工場に設置するところまでやります。一人一人が社長みたいなものです。 一般の会社では、設計は設計、部品の調達は部品の調達と業務が分かれているものだと入社前は思い込んでいました。それに「自分には機械の設計しかできない」と思っていたので、最初にこの仕事のやり方を聞いた時にはびっくりしました。特に、電気関係のことは学生時代にまったく習っていなかったので、どこをどうすれば良いのか見当もつきません。大変苦労しましたし、今も苦労しています。 でも、1から10までできる会社なんて、ほかにありません。苦労もしますが、それ以上に楽しんでいます。 一番印象に残っているのは1人で行った海外出張です。お客様の海外工場を訪れたのですが、競合他社はどこも複数人で来ていました。機械は機械、電気は電気と担当者が分かれていたのです。 滞在期間中に、他社の方と食事をする機会がありました。「電子磁気工業では1から10まで1人の社員に仕事を任されている」と伝えると、ものすごく驚かれていましたね。 それまでは会社の先輩たちと比べて、「自分はまだまだだ」と落ち込んでしまうこともありました。ですが他社と比べてみると、自分がずっと幅広い経験を積めていることが分かりました。自分が成長できていることを実感できましたね。 社会人として技術者としても、1人前になることです。 会社の中で“当たり前”になっていることも、社会に出たら“当たり前”ではないかもしれません。社会人として恥ずかしくない1人前の人物になりたいと思っています。 また技術者としては、機械も電気もすべてできるようになりたいです。大変なことだとは思いますが、できるようになればお客様にも頼りにしていただけます。会社への貢献も大きくなるはずですから。 「会社に貢献する」ことは重視しています。「会社からお給料をもらえるからがんばる」のは順序が逆です。「会社に貢献できなければお給料はもらえない」ものなのです。 若手であっても、「会社に貢献する」意識があれば、何らかの貢献はできるはずです。失敗を恐れず、「会社に貢献する」ことを意識して、自分から能動的に仕事をしていきたいです。 就職活動は大変だと思いますが、参考書などを読んで答えを暗記するのではなく、自分の思っていることを素直に話すようにしてください。 経営者の方は多くの学生と接しているので、体裁をいくら取り繕っても見抜かれてしまいます。むしろ取り繕わずに素の自分を見せた方が相手に響きます。そして、素の自分でぶつかっていくことで、初めて自分に合った会社に出会えるのだとも思います。

11.jpg 製造部ME課 段本さん