<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社 不二製作所

株式会社 不二製作所 サンドブラスト装置で国内シェア3割。エアー式の独自技術で特許を多数保有<br>太陽光発電の製造技術、飛行機の性能強化、金属の鏡面仕上げ――サンドブラストの可能性を追求し、顧客満足を目指す

株式会社 不二製作所

サンドブラスト装置で国内シェア3割。エアー式の独自技術で特許を多数保有
太陽光発電の製造技術、飛行機の性能強化、金属の鏡面仕上げ――サンドブラストの可能性を追求し、顧客満足を目指す

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輝く技術 光る企業

株式会社 不二製作所

サンドブラスト装置で国内シェア3割。エアー式の独自技術で特許を多数保有 太陽光発電の製造技術、飛行機の性能強化、金属の鏡面仕上げ――サンドブラストの可能性を追求し、顧客満足を目指す

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  • 社名:株式会社 不二製作所
  • 設立年月:1959年(創業:1950年)
  • 資本金:1億円
  • 従業員数:244名(2016年3月末)
  • 代表者:代表取締役 間瀬 恵二 代表取締役 杉山 博己
  • 社員平均年齢:39歳
  • 休日:完全週休2日制(土・日)、祝日
    年末年始休暇(7日)、夏期休暇(9日)、有給休暇、慶弔休暇、育児・介護休暇※年間休日124日(2012年実績)
  • 本社所在地:東京都江戸川区松江5-2-24
  • 電話番号:03-3686-2291
  • 公式HP:http://www.fujimfg.co.jp/
  • ・加工装置を開発・製造するだけではない。サンドブラスト加工の可能性を追求
  • ・社員の3分の1は開発部・技術部。独自のエアー式技術を伸ばし特許を取得
  • ・一人一人が考えて動ける組織に。会議を減らし、仕事の進め方は社員に任せる
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業種

サンドブラスト装置の設計製作
(サンドブラスト装置の専業メーカー)
各種研磨材の販売

事業紹介

◆不二製作所はサンドブラスト装置のメーカです
サンドブラスト加工法は、小さな粒子を高速で衝突させる加工法です。サンドブラスト加工そのものは130年前に発明された加工法です。 ガラス工芸や鋳物の砂落しなどでは戦前から利用されており、多くの人に知られていましたが、あまり顧みられる加工法ではありませんでした。原始的で非常に汚い作業として嫌われていたのです。 当社は、このサンドブラスト加工法の潜在的な可能性に着目し、産業界の中で役に立つための研究を続けてきました。 当社は、サンドブラスト装置メーカーのパイオニアとして50数年間サンドブラストの可能性を拡大してきました。 サンドブラスト技術を核として、多くの工場や研究所で役に立つサンドブラスト装置および加工法を提供していくことが当社の主業務です。
現在はメカトロニクスの時代に相応しい装置を提供していきます。 サンドブラストの可能性を追及しサンドブラストの可能性を広げていくことでより多くの顧客の満足度を向上させることで、 当社と社員の可能性を広げていくことにつながると考えています。

何を作ってる?

セラミックやガラス、鉄などの素材でできた微小な研磨材を、金属・プラスチックなどに吹き付けるサンドブラストという加工方法がある。梨の果皮のような無数の凹凸を付ける梨地加工や、金属・プラスチックの加工後に残る出っ張り(バリ)の除去などに使われる方法だ。 不二製作所はサンドブラストの装置メーカー。国内でのシェアは3割ほどになる。そんな同社が目指すのは、「装置を作ること」ではなく「ブラストの可能性を追求し、ブラストの利点で顧客を満足させること」。太陽電池の表面テクスチャをブラストで形成する技術を共同開発し、飛行機部品をブラストして金属疲労への耐性を増す応用方法を見つけ出すなど、ブラストの新たな価値を探し求めてきた。 最近では東京大学発のベンチャー企業と協業。「シリウスZ」という弾力性のある微細研磨材を使ってブラストすることで、金属の鏡面仕上げができる加工方法を確立している。

03.jpg ブラスト処理する前後の比較
04.jpg ブラストで使用する各種研磨材

会社の強み

ブラスト装置には、研磨材をエアガンのように圧縮空気で吹き付けるエアー式と、水車のような羽根車に乗せて回転させて打ち出す投射式、主に2つの仕組みがある。 エアー式の装置を開発・製造できるのは不二製作所くらい。1000分の1ミリほどの大きさしかない極小の研磨材を、狙った場所を外さず、決められた量だけ正確にブラストすることは、エアー式でないと困難。研磨材の大きさだけを比べてみても、他社の装置では10分の1ミリ~2ミリほどの大きさの研磨材しか扱えないが、不二製作所の装置なら1000分の1ミリ~6ミリまでの研磨材を吹き付けることができる。 そうした研磨材の噴射・コントロール、さらには噴射後の研磨材回収、研磨材を粒子の大小によって分離させていく分級といった技術がブラスト装置の核となる部分。同社は正社員205人中、約3分の1が技術部・開発部に配属し、それらの技術を伸ばしてきた。現在までに取得した特許件数は国内43件、海外31件。現在も国内・海外のそれぞれで20件超の特許を申請中だ。 そうしたブラストの技術が認められ、国内外のさまざまな有名企業・研究機関から相談が寄せられている。「ブラストの可能性」を追求しようと、今も試行錯誤を続けているところだ。

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職場としての魅力

「ブラストの可能性」に気付くには、社員一人一人が自由に考えて動ける組織であるべきだと間瀬恵二代表取締役は考えている。そこで各社員の業務範囲を広げ、会議時間などを減らして自由に使える時間を増やし、組織も可能な限り上下関係を廃して、自主性・責任感・やりがいを感じられる職場にした。 それを象徴するのが100人以上の社員が同じ階で一緒に働くオフィス。壁などの仕切りがほとんどなく、風通しのいいフロアになっている。 「社員の個性を伸ばす組織づくりを心掛けています。仕事の進め方にしても、期日だけ守ってくれれば、あとのことはすべて社員が考えて自由に進めています。こういった組織は、製造業では珍しいのではないでしょうか。『自由な職場で働きやすい』と思ってくれているのか、離職率は限りなくゼロに近いです」(間瀬代表取締役)

07.jpg 100人以上の社員が同じフロアで働く
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社長メッセージ
ブラストの可能性を発見できれば、そこに新しい需要が生まれる

代表取締役
間瀬 恵二さん
――「ブラストの可能性を追求」されているとのことですが、立ち上がったプロジェクトのうち、うまく軌道に乗るものはどれくらいなのでしょうか。 確率で言えば、10件のうち3件くらいでしょうか。途中まではいつもワクワクしながら研究・開発を進めるのですが、最終的にはどうしてもうまく行かないプロジェクトも出てきてしまいます。 しかし、そうしたプロジェクトは当社からお客様のところへ売り込みに行くことは基本的にありません。お客様から相談があって、「試しにやってみよう」という形で立ち上がるプロジェクトがほとんどです。 以前は家電などのメーカーからの問い合わせがほとんどでしたが、最近は自動車メーカーからの相談が中心になっています。航空機のメーカーからも、引き合いが入るようになってきていますね。 ブラスト装置を導入していただけるのは、設備投資が盛んな業界です。あるいは当社がブラストの可能性を発見できて、新しい使い方を実用化できた業界にも需要が生まれます。新たな需要を生むためにも、ブラストの可能性を追い求めていこうと考えています。 元気で、明るく、素直で、積極的なことです。元気でないと活躍できませんし、明るくないと周囲の雰囲気まで暗くしてしまいます。そして長い目で見ると、一番成長するのは素直な人間です。先輩たちから何か教えられたら、「教えられたとおりに改善してみよう」と素直に思えないと、いくら本人が努力家でもなかなか成長できません。最後に、積極性を求めるのは、社員にさまざまな業務を経験してもらいたいからです。どんなことが起こるか分かりませんから、社員には積極的にどんな仕事にも挑戦する姿勢でいてほしいのです。 実際、当社はここ数年、海外進出を進めています。昨年の11月にはタイに会社を設立しました。日本からも社員が1人、現地に赴任しています。長期的に考えると、これから新興国の市場が大きくなるのは間違いありません。ブラスト装置の需要も、製造業が伸びるところで増えるわけですから、当社にとっても海外進出は重要な経営課題になっています。 そうなってきますと、英語が話せなくても海外に出張する機会は自然と増えてきます。そんなときでも海外出張を嫌がらず、積極的に「行ってきます!」と前向きに考えられることが、これからの時代では大切になってくるのではないでしょうか。 世の中はどんどん変わっていきます。例えば、この数年でスマートフォンが急速に普及しました。世の中の流れに遅れないためには、いつまでも従来型の携帯電話を使い続けるのではなく、新しいものを取り入れ、積極的に学ぼうとする姿勢が大切です。 学校を卒業しても勉強が終わるわけではありません。社会に出てからも勉強が続くということを肝に銘じて来てください。

09.jpg 代表取締役 間瀬 恵二さん

先輩メッセージ
図面描きから電気配線まですべて1人で設計。完成時には自分の作品だと実感できる

技術部
竹之内さん
――入社までの経緯を教えてください。 大学では表面処理について研究していました。サンドブラストのことは当時から知っていまして、表面処理(溶射)の前処理で使っていました。 「サンドブラストにかかわる仕事をしたい」と意識するようになったのは、不二製作所の開発担当の方が大学へ講演に来ていただいたことがきっかけです。ブラストという加工方法は、表面の機能性を高めたり、見た目を変えたりと実はさまざまな用途で利用できます。「これは面白いな」と感じ、不二製作所で働くことに興味を持ちました。 最初は設計課へ配属され、簡単なブラスト装置を設計しながら、仕事を覚えていきました。 当社は1人の設計者がブラスト装置1台を丸ごと設計します。図面を描くところから電気の配線まで、すべて1人に任されます。 自分がすべて設計した装置を持てるわけですから、完成したときには「自分のものだ」という思いが湧いてきます。「自分が1人で作ったのだ」という自信も持てますし、やりがいのある仕事です。 私は設計のことをある程度分かるようになった段階で、今度は図面を描くのに使うCADのシステム管理を担当するようになりました。当社で使っているCADは、かなりの部分を独自にカスタマイズしています。私も独自にプログラムを開発し、いくつかの項目を選んでいくだけで、ある程度のところまで設計を済ませたデータを作成できるようにしました。その結果、設計時間を短縮でき、経験の浅い社員でも簡単に図面が描けるようになりました。 私は、学生時代に表面処理(溶射)装置用粉体供給機の開発などをやりました。 粉体はその大きさや材料によって性質が異なり、正確に供給するには、新しい考えによる技術と過去積み重ねられた社内技術のノウハウが大切になってきます。 以前は表面処理について研究していましたから、そういった新たな用途を模索する今の仕事は、大学時代を思い出して面白いです。 私は講演会でお目に掛かった開発担当の先輩や、面接官の方々と話をしてみることで、入社前から会社の雰囲気をつかもうと試みました。そうして感じたのが、「堅苦しくなく、親しみやすい雰囲気の職場だな」ということです。実際に入社してみると、思ったとおりで、すごく仕事がしやすい環境です。 まだベテランの先輩方ほどには、ブラストのことも設計のことも、深いところまで理解できていません。さらに勉強が必要です。 もっと難しい装置を任せていただけるように成長して、大きなプロジェクトを完遂し、自分の仕事を誇れるようになりたいです。 私は模型制作が好きで、学生時代に映画『亡国のイージス』の特殊小道具を担当したことがあります。ですから、就職活動に臨む際、「会社に就職するか」「模型制作の道に進むか」と悩みました。 模型制作を仕事にしている方々から聞いて思ったのは、「趣味を仕事にすることのつらさ」もあるということ。私は趣味を趣味のままにして、趣味として好きなままでいたいと思いました。今振り返ってみて、その判断は間違っていなかったと思います。 「趣味を仕事にしたい」と思う人は多いでしょうが、つらい道が待っているかもしれません。本当に趣味を仕事にしてしまっていいのか、1度じっくりと考えてみるのも必要かも知れません。

10.jpg 技術部 竹之内さん

先輩メッセージ
日数・年数を重ねないと身に付かない技術ばかり。難しいが、やりがいも感じる

板金
河上さん
――不二製作所への入社を考えたきっかけは? 不二製作所の選考を受けてみようと思ったのは、高校時代の先輩がたまたま当社で働いていたからですね。「面白いから受けてみれば?」と誘われて、工場見学に参加しました。そうして会社の中を見てみたら、想像していたよりも働いている社員が若かったのです。元気もありますし、「こういった職場で一緒に働ければいいな」と思いました。 はい、装置1台を形作るのに必要な部品を作っていきます。届いた図面を見ながら、金属板から必要なサイズを切り抜いて、板を曲げて、溶接してくっつけて、組み立て用の穴を空けて――といった工程を経て、形にしていきます。サイズが大きかったり、部品点数が多かったりしたときは、先輩・同僚の力を借りながら加工していきますが、基本的には1人で1台分の部品を作っていきます。「こういう製品になるのか」というのがよく分かり、働いていてすごく面白いですね。 板金の仕事は6年ほど担当しています。うまく加工できるときもあれば、そうでないときもあります。「うまく溶接できた」と思ったら先輩に見てもらうのですが、先輩の仕事を見ると「やはり自分はまだまだ力不足だ」と思い知らされます。もっと努力して技術を磨いていこうと日々感じています。 加工する技術というものは、次の日から突然うまくできるようになる類のものではありません。日数・年数を重ねていかないと身に付かない技術が多いと思います。そこが難しいところでもあり、やりがいを感じるところでもあります。 板金に配属になる前には、「こわもての年配の職人さんが多いから、話し掛けづらいかもしれないな」と考えていました。でも、実際に話し掛けてみると、すごく優しく教えてくださいます。 別の部署の社員同士の仲もいい会社です。会社全体の平均年齢が若いので、別の部署の社員であっても年齢が近い社員が何人かいて、話し掛けやすいです。 最近は趣味が同じ社員で集まって、週末に野球やフットサルをやったり、バイクに乗ってツーリングに出掛けたりしています。ちょっと声を掛ければ、同じ趣味を持っている仲間が集まりますから、仕事以外の面でも楽しめる職場だと思いますよ。 板金の技術を高めていくことです。当社の中で、「どんなに難しい仕事でも、あいつに任せておけば問題は起こらない」と信頼してもらえるようになりたいですね。そういう存在に成長していきたいです。 将来のことについて、見通しが立たない人や、自信を持てない人、何をやりたいのか分からない人も多いと思います。 ですが、何らかの縁を得られたのなら、まずはどこかの会社に入社して、働いてみることです。働いているうちに、いつか好機はやってくるはずです。それを逃さず食い付いて必死に努力していけば、見通しが立たない中でも、進むべき方向性は見えてくると思います。 注)掲載している情報は、取材日(2013年7月)時点のものです。

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