<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

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株式会社 深沢製作所

株式会社 深沢製作所 朝に注文した部品が夕方には届く。短納期でメーカーの試作を支援<br>社員全員が当事者意識を持って、生産体制をIT化。納期を最大8分の1にまで短縮した精密板金加工企業

株式会社 深沢製作所

朝に注文した部品が夕方には届く。短納期でメーカーの試作を支援
社員全員が当事者意識を持って、生産体制をIT化。納期を最大8分の1にまで短縮した精密板金加工企業

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輝く技術 光る企業

株式会社 深沢製作所

朝に注文した部品が夕方には届く。短納期でメーカーの試作を支援 社員全員が当事者意識を持って、生産体制をIT化。納期を最大8分の1にまで短縮した精密板金加工企業

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  • 社名:株式会社 深沢製作所
  • 設立年月:1968年5月
  • 資本金:2000万円
  • 従業員数:50人
  • 代表者:代表取締役 高須 充
  • 社員平均年齢:29歳
  • 初任給:148000円から
  • 主な勤務地:神奈川県足柄上郡
  • 休日:弊社カレンダーによる
  • 本社所在地:東京都世田谷区深沢4-19-7
  • 電話番号:03-3701-6492
  • 公式HP:http://fukasawa-ss.jp/
  • ・大手メーカーの製品試作を担い、生産設計・量産にまでかかわる
  • ・注文から納品までを劇的に短縮。朝に注文された品物の夕方出荷も可能
  • ・「社員には健康でいてほしい」。有機野菜・無添加にこだわりの社食を完備
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事業紹介

当社は、試作品加工や量産のための試作などを行なっています。まだ形になっていないモノを加工する技術とノウハウ、より良い条件で量産に移行するためのご提案など、お客様のご満足を第一に考えた生産設計を行います。

何を作ってる?

開発者の設計どおりに製品を作ると、どのような形になるのか。新製品が世に出る前、試しに作ってみる試作という過程がある。深沢製作所は大手家電メーカーの試作を担い、OA機器や薄型テレビ、家庭用ゲーム機器やパソコンなどの部品を加工してきた。 部品を試作してみると、「量産する時、ここに気を付けないといけない」というところが見えてくる。そうした情報についても顧客企業に伝え、適切な量産方法について提案する生産設計も深沢製作所の仕事。最近では量産自体を任されることも増えてきて、試作と量産の売上はほぼ同じくらいになっている。 試作時に求められるのは、第一に早さ。同じような製品を開発している競合会社がいるのなら、より早く製品を完成させて、1分1秒でも先に発表できるかどうかで世間の注目が大きく違ってくる。そのような環境で長年鍛えられたことで、朝に受け取った注文の品をその日の夕方に出荷することだって深沢製作所になら可能だ。

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04.jpg 試作部品の生産から事業を拡大してきた

会社の強み

注文が届いてから納品するまでに掛かる時間は、ここ10年で劇的に改善してきた。中には8分の1ほどにまで短縮できたものもあるほどだ。 それほどの大きな改善を生み出す原動力になったのは、社員の意識変化。「会社は一つの家族」と考える栗原正雄代表取締役(取材当時)の下、全社員が「納期に遅れるとどうなるか」と当事者意識を持ち、同じ方向を向いて仕事ができるようになった。 そればかりが要因ではなく、生産体制のIT化も貢献。「設計図の図面を展開して、実際に加工装置を動かすまでに、4~5時間ほど掛かるものもありました。IT化を進めることでも納期短縮しました。また、通常であれば金型を作らなければあらない製品でも、社内独自の技術で簡易金型を作成することで納期を劇的に短縮しています」(栗原氏。以下、同)

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職場としての魅力

「企業が若手社員を育てるのは、家族が子供を育てるのと同じ」と考え、職場環境には配慮している。生産拠点である神奈川工場が働きやすい環境となるように十二分な配慮をし、「社員には健康で長生きしてほしい」と有機野菜・無添加にこだわった社員食堂も作った。 教育制度については、社内で必要になる技術力を23項目に分類し、項目別に学習用資料を整備。技術力の達成具合を7段階で評価し、技術の習得に伴って給料も増えていく仕組みにしている。 技術力だけでなく、人間力も磨いてもらうため、ビジネスで必要なコミュニケーション能力やマナーを身に付けてもらうことも大切にしている。顧客である大手企業から「うちにもこんなにしっかりしたものはない」と驚かれるほどの充実振りなのだ。

07.jpg 厨房付きの社員食堂
08.jpg 大手企業にも劣らない教育制度を整備

社長メッセージ
お客様からの注文品を翌日には届けられる「板金のAmazon」を目指す

栗原 正雄さん(取材当時) ――今後、事業をどのような方向性で成長させたいと考えていらっしゃいますか? 小さな企業であっても、やり方次第ではグローバルな環境の中で仕事ができるはずです。海外とのコミュニケーションを増やしていきたいと考えています。 最近、ドイツのハノーファーで開かれた展示会に出展しました。外国企業に当社の魅力がどれくらい伝わるものか、外国企業からの依頼にどれだけ応えられるものかと調査を始めている段階です。 当社は以前、365日いつでも営業している「コンビニのような板金業」であろうとしてきました。今後はネット銀行ならぬ「ネット板金業」であることを目指しています。つまり、インターネットで設計図のデータを受け取って、お客様とのコミュニケーションもネットで完結させて、短期間のうちに納められるようにしたいのです。言うなれば「板金のAmazon」でしょうか。お客様から注文いただければ、翌日には製品を届けられる。そういう体制にしていきたいです。 取引を増やしたい業界としては、自動車や医療機器の業界が挙げられるでしょうか。これまでは家電メーカーの試作・量産を主にお手伝いしてきましたが、ほかの業界や新素材を扱う仕事も増やしていきたいですね。 身体的にも精神的にも、とにかくタフであってほしいです。 「会社の歯車」という言い方があります。悪い意味でのたとえとして使われますが、しっかりとした歯車がないと会社は動きません。歯車が良ければ全体が円滑に動きます。「この仕事は自分に向いているのか」と悩む若者には、悩む前にまず「この仕事で力を発揮するためにはどうすればいいのか」と努力し、自分の仕事に自信を持ってもらえるようになってほしいです。 もう一つ挙げるなら、本物を知ってほしいということでしょうか。世の中にはいろいろなものがあります。けれど、その中で本物は数えるほどしかありません。「本物でなくてもいいか」と妥協してほしくないです。本物を知ることで、初めて自分自身を上質に磨き上げていくことができます。どんな企業に勤めていようと、上質であろうと心掛けている人は光り輝くようになるものです。 若いうちは、タフになる努力をすることと、本物になる努力をすること。そういう人物になってほしいですし、そうあろうと努力することで、自分の人生も変わっていくはずです。

09.jpg 栗原 正雄さん(取材当時のもの)

先輩メッセージ
「どうやったの?」とお客様から興味を持たれる仕事ができた時には誇らしく感じる

製造1部 課長
陣田さん
――モノづくりに興味を持つようになったきっかけは何でしたか? 高校からバイクに乗り始めまして、エンジンを分解する機会がありました。「エンジンってこんな設計になっているのだな」と驚き、さまざまな部品が組み合わさってエンジンを形作っていることを初めて知りました。エンジンのような製品を形作る内側はどうなっているのか。もっと知りたいと思って製造業で働きたいと考えるようになったわけです。 当社に興味を持つようになったのは、会社説明会に参加し、社長から「同じ機械を使っていても、使う人の技術力によって差が生まれる」と伺ったからです。技術力次第で誤差の範囲内であったとしても製品としての出来・不出来があります。「厳しい世界だな」と感じましたが、自分としては「厳しいことに挑戦したい」とも考えていましたから、入社試験を受けたいと希望するようになりました。 部品の元になる金属の母材を扱っています。パンチプレスで打ち抜いたり、レーザー加工機で切断したりすることで、部品の原形を形作る最初の工程になります。 1枚の大きな板からたくさんの部品の原形を取り出しまして、残った部分は捨ててしまいます。捨てる量が多くなると製造原価が高くなってしまいます。お金を捨てているようなものです。捨てる量が少なくなるように「会社に利益をもたらすには、どのような組み合わせで加工すれば良いのか」と考えながら取り組んでいます。 最初の工程でつまずくと後の工程も遅くなってしまいますから、早さも重要です。加工に使える機械は4種類ありますから、どの機械を使うと一番早くきれいに加工できるのかと考えながら仕事をしています。 0.4ミリの銅板を加工したことがあります。レーザー加工機で対応していない薄さですから、パンチプレスして抜き出すしかありません。ですが、プレス機でも厚さが0.5ミリはないと上手くできません。そんな難しい仕事でしたが、これまでに蓄えてきたノウハウを使うことで、きれいに加工することができました。 お客様からも「深沢さんの製品はきれいですね。通常のやり方では加工できないはずなのにどうやったのですか?」と興味を持っていただけました。お客様の要望以上の仕事ができましたから、誇らしかったですね。 平等にチャンスをもらえるところです。今回の取材に答える社員も、立候補から選ばれました。 普通の会社なら、社長から「君が出なさい」と指名されるのでしょう。当社はそうではありません。成長できるチャンスがすごく多い会社だなと思います。そこが魅力ですね。 テレビCMをしているような大企業と比べて、中小企業は名前を聞いたことがありませんし、入社を希望するのには抵抗があると思います。でも、中小企業には技術力があります。世界一の技術を持っている企業もたくさんあります。中小企業だからこそできることだってあるわけです。 例えば、当社なら社長と直接話せる機会が多いです。そこも中小企業の魅力です。社長の話を伺うことで、人として成長できる機会が多くなるのではないでしょうか。 「大手だから」「中小だから」という壁を作らず、「私はこの技術を学びたい」という企業を探し出すことです。そうすれば、やりがいを感じながら働けるようになるのではないでしょうか。

10.jpg 製造1部 課長 陣田さん
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先輩メッセージ
良いサポートをすることで製品も良くなる。組織としての団結力があり働きやすい

管理部
久保寺さん
――高校時代、学校が運営するお店を任された経験があるそうですね。 はい。商業高校で学んでいまして、学校で勉強したことを活かせる仕事をしたいと考えていました。 始めはお店での経験を活かせる接客業を希望していましたが、品物を作るメーカーの活動をサポートする事務の仕事も良いなと思うようになりました。私が良いサポートをすれば、製品も良くなる。そんな仕事ができるとうれしいな、と感じたのです。 いくつかの企業の説明会に参加しましたが、当社の会社見学に来た時、一番元気でしっかりあいさつをしてくださいましたし、仕事にも前向きに取り組んでいると感じました。それで当社への入社を希望するようになりました。 学校では図面の見方を習っていませんでしたし、入社当時は分からないことが多く、すごく不安を感じていました。 でも、入社してすぐに図面の見方など、基本的なことを研修で教えていただきました。分からないことがあっても、先輩がしっかり答えてくれましたので、不安はすぐになくなりました。 最初の3カ月は製造現場で簡単な組み立て作業を担当しました。工場の流れを把握できてきたところで事務の仕事になりまして、出荷用のラベルを作ったり、納品書を作ったりするところから仕事を覚えました。 今は量産品の受注を受けて、各所に手配する仕事を主に担当しています。材料の在庫がシステムで管理されていますから、必要な数の部品を作るのに十分な在庫があるかと確認をして、めっき処理が必要な品物だったらその工程を外注する手配もします。 中には1年に1度しか依頼されないような注文もあります。まだまだ分からないことがたくさん出てきますが、分からないところは質問をすれば、しっかり教えてくださいます。質問しなくても、黙り込んで困っている様子を察して、先輩から声を掛けてくださることもあります。社員間の距離が近いですし、組織としての団結力を感じますね。どんな仕事でも必要なら必ず手を貸してくれますし、働きやすい職場です。 大切なことをしっかりと伝達することです。口頭で伝えるだけでは忘れられてしまうかもしれません。重要なことは加工内容を依頼するカードに赤で囲って書いてみたり、めっき処理を依頼する時には「傷に気を付けてください」といった注意書きをしたりしています。 あとは、できるだけ在庫を残さないことでしょうか。最小限の手配をして、無事に出荷が終わり、在庫がきれいに残らなかった時には、上手く手配できた気持ちよさを感じます。 今はまだ、任された仕事に対応するだけで精一杯です。もっと効率を良くして仕事の段取りを良くしていけば、余裕が出てくるはずです。余裕ができたら、不便に思うことや効率が悪いと感じたところを改善できるように、自分から提案していきたいと考えています。 就職先を考える時には、どうしても大企業に目が向いてしまいがちです。大企業に入社できれば、勤務先を紹介する時に「あの会社で働いている」と自慢できることでしょう。ですが私は、中小企業にも目を向けて、自分に合う会社を見つけてほしいのです。 自分に合う会社、やりがいのある仕事、「この人と一緒に働きたい」と思える人と出会えた方が幸せになれるのではないでしょうか。そんな会社が見つかるまで、粘って就活をしてほしいです。

12.jpg 管理部 久保寺さん