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株式会社 五藤光学研究所

株式会社 五藤光学研究所 プラネタリウムを世界中に届けるトップメーカー<br>プラネタリウムは、光学・電気・機械・ソフトウェアなど、さまざまな技術の結晶

株式会社 五藤光学研究所

プラネタリウムを世界中に届けるトップメーカー
プラネタリウムは、光学・電気・機械・ソフトウェアなど、さまざまな技術の結晶

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輝く技術 光る企業

株式会社 五藤光学研究所

プラネタリウムを世界中に届けるトップメーカー プラネタリウムは、光学・電気・機械・ソフトウェアなど、さまざまな技術の結晶

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  • 社名:株式会社 五藤光学研究所
  • 設立年月:1926年9月
  • 資本金:5000万円
  • 従業員数:149名(男100名、女49名)
  • 代表者:取締役社長 五藤 信隆
  • 社員平均年齢:43歳
  • 初任給:207,480円
  • 主な勤務地:東京都府中市
  • 休日:土・日・祝・夏季休暇・年末年始
  • 本社所在地:東京都府中市矢崎町4丁目16番地
  • 電話番号:042-362-5311
  • 公式HP:http://www.goto.co.jp/
  • ・プラネタリウムを開発・製造。コンテンツ制作、施設運営にも事業を拡大
  • ・映す星の像がきれいな点になるよう、長年のノウハウを注ぎ込んだレンズ関連の技術
  • ・さまざまな専門性を持つ社員が集まり、議論をすることで新たな視点を育てる
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業種

プラネタリウム、全天周デジタル映像システムおよび大型望遠鏡などの開発・製造

事業紹介

プラネタリウムをはじめとするドーム空間構築の総合メーカー

【わが社の特徴】
常に最先端であり続けるために、技術要素を日々研究し、製品の開発を行っています。創意工夫をモットーにプラネタリウムの可能性を追求し、ドーム空間のトータルクリエイターとして、施設の企画・立案から機器製造、納入、番組制作、運営サポート、保守管理までの一連業務をすべて自社で行っています。

【わが社の得意とする製品・技術】
■ ハイブリッド・プラネタリウム
光学式プラネタリウムと全天周デジタル映像システムが渾然一体となって体系化されたシステムで、光学式投映機による精細な表現力と全天周デジタル映像システムによる迫力ある映像を融合した、五藤光学研究所の次世代プラネタリウムです。現在では、1億4000万個を超える恒星の投映を実現する「ケイロンⅡ・ハイブリッド」のほか、高輝度LED光源を採用した「パンドラ・ハイブリッド」「クロノスⅡ・ハイブリッド」を開発し、国内外に納入しています。
■ 大型望遠鏡
1923年、天体望遠鏡メーカーとして創業以来、より遥か遠くの宇宙を伝えるため、大型望遠鏡を開発・製造しています。光学設計、レンズ研磨は「ものづくり」で培った長年の技術力で優れた品質を生みだしています。
■ ドーム映像(展示・博覧会映像)
1970年の大阪万博で世界初の全天周映像を実現以降、ドーム映像にとどまらず、特殊な形状のスクリーンや高解像度が求められる特殊な映像空間を手がけています。ドームスクリーンに映像を継ぎ目なく投映する映像技術は40年以上にわたる展示・博覧会映像のノウハウの蓄積は、様々なプロジェクトにも対応が可能です。

何を作ってる?

1959年に日本初のプラネタリウムを開発して以来、プラネタリウムの開発・製造を続けてきたのが五藤光学研究所だ。これまでに国内にあるプラネタリウムなら約7割、海外に目を向けても約4割の納入実績(累計)がある。社員数約150人の規模だが、プラネタリウムの世界的なトップメーカーだ。 映像を映し出す装置だけでなく、映像や音などを制御する際に使う制御盤、3DCGなどの映像データを処理するコンピュータ機器など、プラネタリウムを楽しむために必要なもの一式をシステムとして提供。そればかりか、プラネタリウムで映す番組など、コンテンツも制作する。さらに最近では、仙台市天文台、盛岡市子ども科学館、北九州市立児童文化科学館といったプラネタリウム施設の運営・支援までを事業にしている。

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会社の強み

レンズなどの光学技術、プログラムどおりに装置を駆動させる電気・機械の技術、映し出す3DCGなどを処理するソフトウェアの技術など、プラネタリウムはさまざまな技術の結晶。五藤光学研究所で働く社員のおよそ10人に1人は、そうした技術について専門的に突き詰めていく研究者だ。 「特に優れているのはレンズの技術。普通のレンズを使って星を映すと、レンズの中央の星は鮮明だが周辺の星はきれいな点にならない。同社は周辺部のにじみを極力減らせるようにレンズを設計。レンズを磨いて仕上げる研磨の工程でも独自のノウハウを生かし、どこにもまねできないプラネタリウム専用のレンズを生み出している。 さらに、映し出す星の情報を蓄えるデータベースも独自に整備。一般に出回っている天文学者が作成したデータベースもあるが、記録されている星の情報は約250万個分。一方、同社のプラネタリウムは約1億4000万個の恒星を投映。できるだけ正確な星空を再現するため、データベースをより正確なものにしようと今も精査を進めている。

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06.jpg プラネタリウム用の映像が予定どおり映せるか確認中

職場としての魅力

同社は社員の8割が技術系。純粋に星空を見るのが好き、CGで天体を再現するのが好き――と興味の持ち方は多様だが、天文好きな社員が多い。中には気が遠くなるほど毎晩夜空を撮影し続けて、超新星を発見した社員もいる。 そうした社員は、光学や電気・機械、ソフトウェアといった研究職、設計、部品加工、組み立て、検査といった技術職と、さまざまな専門性を持っている。社内では、それぞれの専門知識に基づいた意見交換が活発。互いに刺激を受け合い、新しい視点・知識を育むきっかけになっている。 転職してきた技術系社員が驚くのは、担当できる業務範囲の広さ。「当社には、大企業から転職してきた社員もいます。彼らにとって魅力的なのは、業務の自由度の高さ。広い視野でさまざまなことを考えて、製品に反映していけるところにやりがいを感じているようです」と五藤信隆取締役社長は語る。 「当社の会社規模は大きくなってきましたが、今も五藤光学“研究所”です。創業以来のベンチャー精神や、新たな技術開発に挑戦する姿勢。それらを忘れまいという思いから“研究所”という名前を残していきたいと考えています」(五藤社長)

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社長・取締役メッセージ
世界中にプラネタリウムを広め、たくさんの子供の教育に役立ててもらいたい

取締役社長
五藤 信隆さん R&D主幹
笠原 誠さん
――今後の事業の見通しについて、お教えください。 (五藤さん)当社はこれまで、主に日本やアメリカなどに向けてプラネタリウムを作ってきました。当社のプラネタリウムは、既に約40カ国で利用されています。 今後はもっと多くの国・地域で、プラネタリウムが必要になるでしょう。東南アジア、インドを含めた南アジア、中東などの西アジア、アフリカ諸国や南アメリカの国々などからこれまで以上に求められるようになると見込んでいます。プラネタリウムは教育に役立つ大切な装置ですから、できるだけ多くの国に当社のプラネタリウムを広め、もっと多くの子供に天文のことを好きになってもらいたいと考えています。 そうした海外展開以外のところでは、プラネタリウムを活用した教育にもっと力を入れていきたいです。 国内に目を向けると、至るところにプラネタリウムがあります。新しい装置が必要になることは、これからますます少なくなっていくはずです。ただ、「プラネタリウムでどんな番組を流して子供たちの学習意欲を高めるか」「プラネタリウムのある施設をどうやって運営して子供たちに楽しんでもらうか」といったところには、まだまだ改善する余地があると感じています。 子供たちの教育に役立つよう、プラネタリウムで映す番組を創意工夫していくこと。当社としてコンテンツ制作を重視していくことで、プラネタリウムを使って天体について学習をする習慣を広めていきたいと思っています。 (五藤さん)まず、やる気があることです。 最近の学生や若手社員を見ていると、皆さんとても優秀です。語学に堪能ですし、コンピュータ機器を使いこなすこともできます。ベテラン社員が持っていない優れた面をたくさん持っていると思います。 ただ、一方で粘り強さについては、満足していません。私自身、「もっと粘り強く仕事に取り組める若者に入社してきてほしい」と感じていますから、とにかくやる気があって粘り強く仕事に向き合える人材へと成長していってほしいです。 (笠原さん)私から伝えておきたいことは、「自分の専門分野以外の事柄にも興味を持ってほしい」ということです。自分の専門分野だけを深めるのではなくて、幅広く興味を持ってほしい。そうすることで多様な考え方ができるようになりますし、仕事を進める上でも役に立つことが出てくるはずです。 (五藤さん)先ほど申し上げたように、当社は小さい会社ではありますが、これから日本を出て、さまざまな国にプラネタリウムを販売していきたいと考えています。 大企業であっても中小企業であっても、これから社会に出て働く若者には、世界で通用する人材であることが求められてきます。逆に世界のどこの国に行っても堂々と仕事ができる人材になることができれば、多くの企業から必要とされるようになるでしょう。 当社としても、世界で通用する人材に入社してきてほしいですし、これからの日本を支える若者には、もっと世界へ出ていって、世界で戦える人材になることを目指してほしいのです。

09.jpg 取締役社長 五藤 信隆さん(左) / R&D主幹 笠原 誠さん(右)

先輩メッセージ
会社の規模は小さくても、望みどおりの仕事ができる会社で働きたい

R&D
山腰さん
――五藤光学研究所で働きたいと思うようになったのは、なぜでしょうか。 子供のころから天文が好きで、よく友達とプラネタリウムに通っていました。大学卒業が迫り、「どんな会社で働きたいのか」と自問自答してみて、「やはり自分の好きな天文にかかわる仕事をしたい」と思いました。それで当社をはじめ、プラネタリウム関連のメーカーを何社か受けてみたのです。 大手企業も就職先として考えていたのですが、大手に入社すると希望どおりの部署に配属されるとは限りません。「会社の規模は小さくても、望みどおりの仕事ができる会社で働きたい」と考え、当社を選びました。 学生時代は情報工学を専攻していましたので、「プラネタリウムの動きを制御するプログラムを開発することになるのかな」と考えていました。実際、入社後は動作制御のプログラムを任されました。最近では動作制御に加えて、プラネタリウムで映し出すコンピュータグラフィックスを作る業務にも携わるようになっています。 プラネタリウムの動作制御で大変な点は、決められた時間内に正確な動きをさせることです。「コンピュータや機械は正確に動く」と考えている人も多いと思いますが、プログラムで機械を動かす際、実際には不慮のエラーが起こり得るのです。エラーが起こっても想定どおりの動作をするよう、エラーが起こったときの対処方法まで指示して、制御のプログラムを書いています。 学生のころは、パソコンの中だけで完結するプログラムを開発していました。機械を制御するためのプログラムの方が、不慮のエラーが起こり得ますから、ずっと難しいです。深く考えてプログラムを設計しないといけません。大変ではありますが、ソフトウェア開発者としては、難しいからこそ仕事の面白さを感じています。 これまでで一番思い出深い仕事は、入社3年目で海外向けのプラネタリウムを作ったことです。利用者がプラネタリウムを操作する画面や、プラネタリウムを制御する部分のシステム開発を任されました。 非常に短い開発期間でしたが何とか完成させて、現地に納めるところまで立ち合うことになりました。私にとっては、初めての海外経験。現地の人と話をして、どんなプラネタリウムが求められているのかと話をする機会がありました。海外で求められるものと日本で求められるものの違いを知って驚くことになり、グローバルな視点を持つことの重要さを学びました。 先ほどの話と重なるところもありますが、海外の企業と一緒に仕事をする機会が多い職場です。場所的にも時間的にも離れている相手と、さまざまな手段を使ってコミュニケーションを取り、製品開発を進めています。仕事の中にさまざまな驚きがあり、「グローバルな仕事ができている」という充実感があります。そこが非常に魅力的ですね。 今後は、特にコンピュータグラフィックスについて学んでいきたいです。CGを表示するためのシミュレーションをする際、どうすれば複雑な計算を短時間で済ませることができるようになるのか。いろいろなアイデアがありますから、それを試していきたいです。 アンテナをしっかりと張り巡らせておいてください。自分の興味のある分野、国内の動向だけでなく、幅広い技術に興味を持ち、海外にも目を向けてください。技術者にとって、とても大切なことだと思います。 それから就職活動前には、「自分の学んできた技術が、企業の中で現状はどのように使われているのか。将来的にはどのように生かすことができそうなのか」と想像しておいてください。ただ会社から言われたままに仕事をするのではなくて、自分が学んできた技術を武器に仕事を選んでいくのだという意識が大切です。その意識があるかどうかで、就職活動の結果も違ってくると思います。

10.jpg R&D 山腰さん

先輩メッセージ
幅広い経験をすることが、技術者としての自分の成長にもつながった

R&D
大元さん
――転職されてきたそうですね。経緯を教えてください。 私は以前、大手の光学機器メーカーに勤務していました。ただ、大企業で働いていると「光学の担当者は光学だけ。機械の担当者は機械だけ」と、とても細かく役割が決まっています。最終的にどんな製品になるのか、よく分からない環境だったのです。それで「もっと製品ができるまでの流れがしっかり見える職場で働きたい」と思うようになり、転職を考えました。 当社に興味を持ったのは、もともと天文が好きだったからです。五藤光学研究所という名前は、前から聞いたことがありました。それで「人材募集中だったらうれしいな」とホームページを調べてみたら、ちょうど私の職種で募集中でした。 応募して面接に進むと「光学設計だけでなく、機械設計も担当してもらう」と告げられました。望むところでしたが、図面を描いた経験がありません。率直に不安を伝えたところ、「入社してから覚えてもらえればいいよ」と言っていただけたので、安心して転職してくることができましたね。 そうですね。機械といっても、簡単な台やレンズを固定する枠といった部分を設計することがほとんど。 機械設計の仕事は予想どおりでしたが、予想していなかったのは、自分の手を動かしてものを作る仕事が増えたことです。設計の部署に所属しているのですが、製造の部署が忙しいときには手伝いにいきます。電気配線のやり方とか、製造に必要な技術も徐々に身に付いてきていますね。 製造の仕事を手伝うようになって驚いたのは、設計の先輩たちの引き出しの多さです。本業の設計だけでなく、電気配線ですとか、簡単な加工ですとか、専門外のことも簡単にやってのけます。広い意味での技術力を持っている社員が多いです。 そうした幅広い経験をすることが、技術者としての自分の成長にもつながっていると感じます。前はコンピュータ上で設計をして「求められている性能が出ればいい」と考えていました。それが、実際に自分で組み立てなどを経験することで「組み立てやすくて、調整もしやすい設計にしよう」と製造のことまで考えられるようになりました。視野が広がって、自分にとっては大きな変化ですね。 たくさんの社員が働いているわけではありませんから、近くの別部署の人とも気軽に話ができるところでしょうか。 例えば、別部署の人と昼食をご一緒する機会がよくあります。世間話の合間に、レンズの研磨担当の人から「こんなレンズは磨きやすい。あんなレンズは加工が難しい」といった私とは別の立場からの考え方を伺えると、レンズ設計をするとき、非常に参考になります。そういった機会がある環境はすごくありがたいなと思っています。 私の専門は光学ですが、できる仕事の幅をもっと広げていきたいです。もっと複雑で難しい機械の図面を描けるようにもなりたいです。そのために、今以上にいろいろな仕事に挑戦していくつもりです。 新卒で就職先を探すときは、大手企業を希望しがちだと思います。私自身もそうでした。 ただ、大企業には大企業なりの利点・欠点、中小企業には中小企業なりの利点・欠点があります。中小企業のいいところは、1人の社員がさまざまな仕事を担当できるところ。私は中小企業のそんなところが気に入っています。 そういった大企業と中小企業の違いを理解して、本当に自分に合った会社を探し出してほしいですね。 注)掲載している情報は、取材日(2013年7月)時点のものです。

11.jpg R&D 大元さん