<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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林総事 株式会社

林総事 株式会社 鉄道の信号機やレール等の保守・保安に必要な製品を企画・開発<br>踏切の遮断機や鉄道レールの変形を防ぐ座屈防止板など、「これがあると便利」な鉄道の保守・保安用品を作り出す

林総事 株式会社

鉄道の信号機やレール等の保守・保安に必要な製品を企画・開発
踏切の遮断機や鉄道レールの変形を防ぐ座屈防止板など、「これがあると便利」な鉄道の保守・保安用品を作り出す

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輝く技術 光る企業

林総事 株式会社

鉄道の信号機やレール等の保守・保安に必要な製品を企画・開発 踏切の遮断機や鉄道レールの変形を防ぐ座屈防止板など、「これがあると便利」な鉄道の保守・保安用品を作り出す

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  • 社名:林総事 株式会社
  • 設立年月:1981年5月
  • 資本金:2000万円
  • 従業員数:50人
  • 代表者:代表取締役 林 研之助、代表取締役専務 林 秀子
  • 社員平均年齢:36歳
  • 初任給:184,000円(大卒試用期間中)
  • 主な勤務地:本社工場
  • 休日:土曜日、日曜日(年間休日115日)
  • 本社所在地:東京都大田区大森東5丁目12番14号
  • 電話番号:03-3762-8451
  • 公式HP:http://www.hayashisoji.com/
  • ・ここ15年間で鉄道にかかわる保守・保安用品を約30種類も開発
  • ・「近いうちにこんな問題が起こるのでは」と先を読んで新製品を企画
  • ・「あの製品、すごく良かったよ」という顧客からの声が何よりの働きがい
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事業紹介

鉄道の安全にかかわるすべての領域で使命感と技術力を結集して装置・機器の開発を行っています。


「鉄道の安全を守ることは、人々の命を守ること」
鉄道信号保安装置が果たす役割の重要性を熟知し、日々新たな技術の開発に取り組んでいます。
また、独自の技術で開発したさまざまな装置・機器はその優れた性能で鉄道の安全に大きく貢献しています。

何を作ってる?

鉄道の保守・保安にかかわる多種多様な製品を手掛けている。分かりやすいところでは、踏切の遮断機。電車が踏切に近づいてくると黄色・黒色に塗られた棒が降りてくるあの装置も、林総事が作っている。 元々は、鉄道の信号関係の保安・メンテナンス用品を作るところから事業を開始。「現場に行って、鉄道会社の人と一緒に作業をして、その中から不便なところを見つけ出して『こういうものがあったら便利だろう』と自分で企画・提案してきた」(代表取締役 林源氏(取材当時))結果、取り扱う製品の種類が増えてきた。 鉄道レールの変形・歪曲を防ぐ座屈防止板や、橋まくらぎの移動防止金具、走行レールの分岐用に使う転てつ棒など、この15年間で30種類ほどの製品を追加。脱線対策・耐震性強化といったその時々の課題を解決する製品を作り出し、JRや私鉄などの鉄道会社にとって頼れる存在となってきている。

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会社の強み

鉄道の保守・保安にかかわる製品の中でも、信号機やレール関連の製品を作っている企業は、林総事を含めて日本に数社しかない。そして鉄道の安全を守るためには、使っている製品を定期的に新しいものに入れ替える必要があるため、不景気にも強い。極めて堅調な事業展開をしている会社だと言うことができるだろう。 競合企業と比べた時の林総事の強みは、企画力と柔軟な生産体制。「近いうちに、鉄道にはこんな問題が起きるのではないだろうか」と一歩先を読む林氏の先見性・企画力によって、鉄道会社から必要とされそうな新製品をいち早く開発してきた。 また、他企業が計画的な生産にしか対応できない中、林総事だけは柔軟に生産量を変更できる体制になっている。例えば、東日本大震災の直後にはわずか1カ月半で依頼された製品を納品。他企業に頼めば1年は掛かると見積もられていたため、「こんなに早くできるなんて」と鉄道会社を驚かせた。

04.jpg 特許等を多数保有

職場としての魅力

顧客である鉄道会社の困りごとを解決する製品を作る林総事。鉄道会社とは直接やり取りしているため、完成した製品を納品した際、「早く納品してくれてありがとう」「あの製品、すごく良かったよ」と顧客から意見・感想を直接聞けるのが社員にとっては何よりの働きがいになっている。 現在は東日本を中心に、日本全国の鉄道会社の大半と取引実績がある。だが、日本の鉄道網はこれ以上の拡大が見込みづらい。そこで若手社員が安心して働き続けられる会社になるよう、韓国・台湾・香港など、海外の鉄道会社にも売り込みを始めたところだ。 「これから安定的に仕事を取っていくには、海外にも目を向ける必要があります。鉄道を保守・保安していて出てくる課題というのは、日本の鉄道業界も、海外の鉄道業界もだいたい同じです。日本で培ったノウハウを活かして、仕事を取っていきたいと考えています」(林氏)

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社長メッセージ
カナダやスウェーデンから問い合わせが来ることも。海外情報を伝えて社員への刺激にしたい

代表取締役
林 源(はじめ)さん(取材当時)
――鉄道の保守・保安をめぐる事情には、国内と海外で違いがあるのでしょうか。 海外の鉄道会社も、鉄道の保守・保安には困っています。そんな時には飛んでいって「日本ではこうしている」と無償で助言していますね。 タイやインドネシア、ベトナム、カンボジアなどが成長し、鉄道インフラも整ってきています。これからどんどんアジアからの需要が増えてくると予想しています。 この前、香港へ営業に行った時には、いきなり「買います」と言ってくれてびっくりしました。「インターネットで見て知っている」と言うのです。日本人のことを全然疑っておらず、「日本人は信用できるから問題ない」と言ってくれました。 毎日の朝礼では、そうした海外の情報も話すようにしています。「カナダから『資料を送ってほしい』と問い合わせが来たよ」「スウェーデンからメールが来たよ」と。どうやら海外で働く日本人が、当社のことを紹介してくれているみたいなんですよね。そういう話を聞くと社員も「俺たち、がんばろう」という気持ちになるじゃないですか。そういう刺激を常に与えていきたいのです。 日本の展示会には率先して出展するようにしていますし、ここ最近はドイツの展示会にも出るようにしています。若手の希望者を参加させて、「外国語を話せなくてもいいから行ってこい」と送り出しています。 物を作る喜びを知ってほしいですね。 折り紙であっても、先生から教わって上手くできるとうれしいじゃないですか。そんな喜びを若い人に少しでもいいから知ってもらいたいと思っています。 パソコンやスマートフォンに夢中になっている人でも、何か作ってみてもらえれば「結構、面白いね」と気付いてもらえるのではないでしょうかね。

07.jpg 代表取締役 林 源(はじめ)さん(取材当時のもの)

先輩メッセージ
技術力を磨いて「自分にしかできない」仕事を手にすることが何よりの自信になる

製造部 主任
櫻井さん
――林総事への入社を決めた理由を教えてください。 机に向かうことは苦手でしたので、身体を動かすことを仕事にしたいと考えていました。 林総事で働こうと思ったのは、父親が働いていたからです。社長に紹介してもらい、入社が決まりました。 そうですね。正直に言うと、今はどちらかというと机に向かう仕事の方が多いですね(笑)。 入社から約6年間は現場で働いてきました。最近になって若手社員が増えてきましたから、現場は若手に任せて、工場のまとめ役を務めることが多くなっています。 いろいろな注文が入ってきますから、誰がどの業務を担当できるか、どんな性格だからどんな仕事が得意かと考えて、工場全体が上手く機能するように仕事を割り振っています。 私が現場に入ったのは、今から10年ほど前のことです。当時は職人気質な職場で「見て覚えろ」と言われてきました。 でも、若手社員全員をしっかりと育てようと思うのなら、「見て覚えろ」では通用しません。一から丁寧に教えていく必要があります。少しずつですが、一人前に育つ若手も出てきましたから、私なりの教え方が成果につながってきたのかなと感じています。 やはり、特殊な製品を作っているところではないでしょうか。当社とまったく同じことやっている会社は、日本全国を探してもほとんどありません。景気の影響を受けにくいですし、同じような製品を作っている会社が日本に数社しかないところは自慢になりますね。 それに特殊なものを作っていますから、技術力を磨いていけば「自分にしかできない」仕事を手にすることができます。それが、何よりの自信になるのではないでしょうか。 技術についてはかなり教わってきましたので、今後はもっと営業の経験を積んでいきたいです。関西あたりまでの鉄道会社とは活発に取引できているのですが、関西よりも西の会社とはまだ深い関係を築けていません。日本全国を歩き回って、鉄道会社との関係を深めていくことが目標ですね。 海外にはまだ行ったことはないですが、社長から声を掛けてもらったことも何度かあります。機会を見つけて、海外にも一緒に行ってみたいですね。 会社を選ぶ際、一番大切にするべきなのは環境だと思います。給料が多いかどうかも大切でしょうが、長く勤めるためには環境、その中でも人間関係が一番でしょう。 1日のうち、かなりの時間を一緒に過ごすことになるわけです。プライベートの時間も一緒に楽しく過ごせるような人たちと働くことができれば、仕事も楽しくなるはずです。ですから私は、人間関係を一番大切にしてほしいですね。

08.jpg 製造部 主任 櫻井さん

先輩メッセージ
毎日の通勤途中で「ここ、前にやったところだな」と思えて、感慨深い

製造部
土田さん
――どのような就職活動を過ごされたのでしょうか。 私が就職活動を始めたのはリーマン・ショックの直後。採用人数が抑えられていて厳しい状況でした。実際、大学4年の夏まで就活をすることになりました。 ある時、新聞を見ていたら、就職イベントの情報を見つけました。参加しようと思って、興味の持てそうな会社を何社か事前に調べてみました。林総事はその中に入っていたのです。 子供のころ、「電車の運転士になりたい」と夢見ていました。漠然と「鉄道会社に就職したい」と考えていましたが、厳しい採用状況でしたから、一度はあきらめていました。それが最後の最後で鉄道関連の仕事ができる会社が見つかって、良かったと思っています。 面接を受けに会社に来てみたら、周りの先輩社員が次々に「よろしくね」と声を掛けてくれました。かなり親しみやすい雰囲気を感じましたね。 主に組み立て作業です。加工・塗装・検査された部品を受け取って、製品として組み立てています。 これまでの仕事の中でも印象に残っているのは、東日本大震災の後に依頼された仕事です。特殊な製品の注文が大量に届きました。みんなで夜遅くまで働くことで、納期の直前になりましたが、何とか間に合わせることができました。 組み立ての仕事は、部品が完成するまで待ち時間があります。その間、部品を加工している人の様子を見ると、夜遅くまですごくがんばっていました。そんな姿を見ているうちに「部品ができあがったら、次は組み立ての番だな」と強く思い、夜遅くまでがんばる力が湧いてきました。 その仕事は予測できないものでしたが、鉄道会社から来る仕事は、ある程度予測することができます。「毎年、この時期にこの会社から注文が来るな」と分かっていますから、事前に在庫の部品を作っておいてもらうなど、先読みすることでその後の仕事を上手く回すことができます。そんなところに気を配るようにしていますね。 当社は20代~30代の社員がとても多いです。先輩・後輩の関係はありますが、年齢が近いので気軽に相談することができます。人間関係がすごく良い会社だと感じますね。 あとは「自分の仕事が世の中に貢献している」と実感しやすいところでしょうか。特に通勤で毎日通るところに当社の製品が使われていると「ここ、前にやったところだな」と思えて、感慨深いものがありますね。 先輩から教えてもらったことを吸収して、工場の仕事をバリバリと動かせるようになっていきたいです。それと同時に、教えてもらったことを後輩に伝えていきたいとも思っています。 私は法学部の出身です。正直、モノづくり企業で働くことになるとは想像していませんでした。でも実際に働いてみて、「意外と楽しいな」と感じています。 これから就職先を探す時にも、「苦手だな」「興味がないな」と思っている業界・企業を最初から選択肢から外さずに、いろいろと興味を持って活動していってほしいですね。

09.jpg 製造部 土田さん