<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社 ほほえみブレインズ

株式会社 ほほえみブレインズ ダイヤモンドのカット技術を学問に昇華。ジュエリーの新市場を創出する<br>緻密な計算が生み出した理論的に最も輝くダイヤモンド。独自の評価基準を築き、世界的ブランドからの注目も集める

株式会社 ほほえみブレインズ

ダイヤモンドのカット技術を学問に昇華。ジュエリーの新市場を創出する
緻密な計算が生み出した理論的に最も輝くダイヤモンド。独自の評価基準を築き、世界的ブランドからの注目も集める

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輝く技術 光る企業

株式会社 ほほえみブレインズ

ダイヤモンドのカット技術を学問に昇華。ジュエリーの新市場を創出する 緻密な計算が生み出した理論的に最も輝くダイヤモンド。独自の評価基準を築き、世界的ブランドからの注目も集める

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  • 社名:株式会社 ほほえみブレインズ
  • 設立年月:1976年7月1日
  • 資本金:4950万円
  • 従業員数:25名
  • 代表者:代表取締役 川渕 良範
  • 本社所在地:東京都中央区銀座7丁目17-8 銀座松良ビル3F
  • 電話番号:03-6264-7899
  • 公式HP:http://www.hohoemi.co.jp/
  • ・独自理論で作り上げたO.E.カット技術によりダイヤモンド本来の輝きを実現
  • ・特許権、著作権、商標権などの知的財産戦略により、他社の入り込めない独自市場を築く
  • ・自社の可能性を信じ、閉塞感のあるマーケットを切り拓
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業種

宝石・貴金属製品の製造・卸売・販売
宝石・貴金属の企画・制作・デザイン
宝石に関連した素材の輸入事業
異業種関係への宝石キャンペーン企画

事業紹介

ダイヤモンドの美しさは、輝きの「強さ」と「動的なきらめき感」そして「色づき」によって決まります。弊社では、従来の2倍の輝きを放つ「O.E.(Over Excellent)カット」技術を開発し、従来ダイヤモンドの価値を決める要素であった「4C(カラー、クラリティー、カット、カラット)」にとらわれることなく、ダイヤモンド本来の美しさである「輝き」を最大限に引き出すことに成功いたしました。

大手百貨店の宝飾品売場は大手数社で占められ新規参入の余地がほとんどないのですが、弊社のO.E.カットの価値を認めていただき、競争の激しい日本橋三越様をはじめ、最近ではうめだ阪急様および福田屋百貨店(FKD)様で販売拠点を確保させていただくことができました。これを皮切りに全国展開を進めております。

今後は、多くの方々との交流の機会も多くなると思われ、O.E.カットの魅力をより広めていくよう努めていきたいと考えております。

何を作ってる?

ほほえみブレインズは、ダイヤモンドなどの宝石を加工・販売する宝飾品メーカー。独自にダイヤモンドのカット技術を開発し、新市場を創出しようとしているところが同社の特徴だ。 一般的にダイヤモンドの品質は、カラー(Color)、クラリティ(Clarity)、カット(Cut)、カラット(Carat)という 四つの要素(4C)で評価される。しかし、代表取締役の川渕良範氏はそこに疑問を持った。「従来の評価基準の原型は、100年以上前に作られたもので、人によって誤差が出る。これだけ科学が発展しているのに変わらないのはおかしい」(川渕氏。以下、同) 4Cに加えて、同社は人が見た時の輝きの美しさを重視。3次元での光学解析と人間の視覚特性を研究し、ダイヤモンド本来の美しさである「輝き」を最大限に引き出すカット技術を開発した。そうして誕生したのが、同社独自のO.E.(オーバーエクセレント)カット。強い輝き、きらめき感、色付きが豊かなのが特徴だ。 「輝きの強さやキラキラ感が一目見て違いがありますし、同一カラットでは明らかに一周り大きいので、実物を見たお客様は皆驚かれますよ」

03.jpg 左が従来のカット方法、右がO.E.カットとなる。
04.jpg レーザー光をダイヤの正面からあて、
反射した点を撮影
(左:従来のカット方法、右:O.E.カット)。
点の数が多いほど輝き/きらめき感が高くなる

会社の強み

O.E.カットは、決してまねできるものではない。それは、カット理論で特許権、4Cに代わる独自の評価基準で著作権、「O.E.カット」の名称で商標権を取得することで3重に防御しているためだ。しかも、特許権は日本だけでなく、中国やアメリカ、EUなど世界25カ国で取得している。 「方程式の解が一つしかないように、最もダイヤモンドを輝かせる方法は一つしかありません。当社はそれを特許で押さえているのです」 また「カット自体は、熟練工であればまねできるもの」(川渕氏)だが、“O.E.カット”という独自の市場を築こうとしているところも見逃せない。 というのも、たとえ他社がO.E.カットをまねしても、ダイヤモンドの価格は4Cに基づく従来の鑑定機関の評価で決められる。実は従来評価ではO.E.カットのダイヤは最低に近い評価。当然価格は下がり、50%前後下がってしまうことも珍しくない。 対して同社は、加工から販売までを一貫して手掛け、O.E.カットという独自のブランドと評価基準を創出。4Cによる評価が入り込まない別の評価基準で価格を付けられるようにすることで、O.E.カットの輝きに見合う価格で売り出せるようにしているのだ。

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職場としての魅力

O.E.ダイヤモンドが最高に輝くダイヤモンドであることは、理論的に証明されている。だからこそ今、世界の名立たるブランドがO.E.ダイヤモンドに注目していると川渕氏は言う。 ただ、「今は閉塞感のあるマーケットをこじあけている最中。まさに孤軍奮闘の状況で、大変骨の折れる仕事です」(川渕氏)。それでも古い価値観を変えていったその先には、同社しか持っていない技術が評価される時代が待っている。将来、パリやニューヨークの名店にO.E.ダイヤモンドを使った商品が並ぶ日が来るかもしれないのだ。 従業員25名の会社から世界へ。O.E.ダイヤモンドの可能性を信じ、業界を変えていく。夢に向かって一緒に汗を流す。そんな、変化を楽しみながら夢を追える職場は、そうそうないはずだ。

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社長メッセージ
“素材価値”ではなく“使用価値”を評価してもらいたいと独自の販売戦略を採用

代表取締役
川渕 良範さん
――貴社の戦略についてお聞かせください。 O.E.カットは、最先端の理論によってカットされたダイヤモンドです。だから売り方も、新しい時代に合う売り方を考えています。 従来のダイヤモンドは、素材としての希少性による4C(カラー、クラリティ、カット、カラット)の評価基準だけで相場が決まってしまいます。 それに対して、当社はお客様の“使用価値”を重視しています。お客様が身に付けた時に最も輝き、お客様を輝かせる。それが本来のジュエリーの在り方だと思うのです。 O.E.カットをすると、従来のカット方法よりも、たくさんダイヤを削ることになります。素材を捨てる量は増えますし、人件費もかさみ、安く生産することができません。でも、最高に輝き、虹色が美しく出て、同一カラットで比較すると従来のダイヤよりも一周り大きくなります。そこに価値を感じていただける方をお客様にしようと、従来の4Cのダイヤとはまったく異なるブランドであるという打ち出し方をしています。 普通なら、そんな売り方は通用しません。当社の商品が最高に輝くからこそできる戦略です。実際、ある展示会で急に停電になった時、当社のブースだけが輝いていて、会場の注目を集めたことがあります。ある世界的な宝石商は、当社のダイヤを手にとって、従来のダイヤとのあまりの輝きの違いに、しばらく言葉が出ないほどでした。 当社はビジネスの性質上、石の研磨から販売まで、すべて自社でやっているのでいろいろな職種があります。 しかし、どんな職種でも求める人材は共通しています。それは未来志向で仕事を拡大・発展させられる人。与えられた仕事だけをこなして1日終わり、という“サラリーマン”は当社には不要です。経営者と“パートナー”になれる社員、同じ土俵に立ってある分野の仕事を全面的に任せられる人材を求めています。 当社のダイヤモンドは、世界で一番美しく輝きます。この可能性を共有して、道を自分で切り拓いていける人。夢に向かって汗を流していただける人材を求めています。

07.jpg 代表取締役 川渕 良範さん

先輩メッセージ
O.E.カットの開発を主にしながらブランド価値向上の取り組みにまで積極的に参加

研究室 室長
伊藤さん
――入社してからこれまで、どのようなお仕事を担当されてきたのでしょうか? 研究室で当社の主力製品であるO.E.カットダイヤモンドを開発してきました。 元々、大学で「光の刺激に対して目から脳に至るまでどのような信号処理をされているのか」という内容の研究をしていました。そんな折に、ダイヤをさらに輝かせたいという相談が当社から寄せられ、それが入社するきっかけになりました。 ダイヤを輝かせるには、カット技術だけ追求していても限界があります。そこで、目の特性を考慮に入れて、人間の目で見た時により印象の強い輝きを目指そうということになったのです。 私はそのために必要な光学解析をするソフトウェアの開発に従事しました。精密な3次元での計算が求められたため、困難な仕事になりました。 O.E.カットは、“デザイン”ではなく、“理論”です。ダイヤ以外の宝石にも使えますから、現在はダイヤ以外の宝石への適用方法を考えたり、世の中に出てくる新しいカットについてわれわれの理論が当てはまるのかと検証したりしている日々です。 最適なカット方法を見つけ出すために、コンピューターを使って1晩に1万回といった規模でシミュレーションを重ねました。ただそこは大変ではなく、何日か時間さえ掛ければ、理想的な解が計算から導き出されました。 困難だったのは、実際にものを作る過程です。技術的に非常に難しく、何度もくじけそうになりました。 乗り越えられたのは熟練の職人さんのおかげです。加工精度を上げる方法を一緒に検討しました。モノづくりには理論だけでは不十分で、昔からの職人さんの技術がいかに大切かということを痛感しましたね。 小さな会社なので、開発業務にしても社内ですべての知識をまかなえません。その道の専門家のお力を借りながら進める必要があります。私たちの会社の考え方に共感していただけて、共に開発していただける人を探すところから始まります。大変ですが、外部の識者の方と接する機会が多いのが逆に魅力になっていると思います。 また、私たちのダイヤモンドは輝きが強いという点を売りにしていますが、お客様にとって輝きがすべてかというと、実はそうではありません。お客様はダイヤの輝き以外にジュエリーとしてのデザインやブランドイメージ、接客の雰囲気など、総合的に評価されます。ですから私たちも、総合的にブランド価値を上げていく必要があります。そういった技術的な部分以外を向上させる取り組みにもここ数年積極的に参加していまして、開発以外の業務もとても興味深いと感じています。 これから就職される学生さんには、「今どうやって会社に貢献できるのか」「将来的に社会にどうやって貢献できるのか」ということを常に考えて就職活動に臨んでいただきたいです。 やる気があってがんばっていれば、周りも協力してくれるので、成果も上がるものです。そしてやる気を持って働くには、やはり自分に向いている会社を選ばないといけません。インターネットや雑誌などでしっかりと情報収集して、自分に合った会社を探してください。

08.jpg 研究室 室長 伊藤さん

先輩メッセージ
「世界で2人だけ」のO.E.カットのダイヤを磨く技術を習得


知花さん
――どのような経緯で入社されたのですか? 沖縄の芸術大学の出身で、就職活動前に東京でデザイン事務所などを見学する機会がありました。その時に当社と出会い、モノづくりも、ジュエリーやアクセサリーも大好きだったので、すごく興味を持ちました。中でもダイヤモンドを研磨するという特殊な仕事に非常に面白みを感じ、入社に至りました。 現在はダイヤモンドの研磨を主に担当しています。当社にはダイヤモンドの原石から作り上げる設備も整っているので最初から研磨する場合もありますし、O.E.カットの角度に近いグレードの石を仕入れてリカットして仕上げていく場合もあります。 O.E.カットは特許技術ですから、世界中を見渡してみてもO.E.カットのダイヤを磨ける人は、先輩と私の2人だけ。ですから、ダイヤの研磨を全工程にわたってできるようになったことには達成感を感じています。ダイヤを磨くということだけでも珍しい経験なのに、「世界で2人だけにしかできない」わけですから、喜びはひとしおでしたね。 変わったところでは、元々はデザインを専攻していたので、簡単な広告類の制作やネットショップの運用も担当しています。物流の仕組みが理解できて、非常に勉強になりました。 自分でもアクセサリーを作って、いずれ自分でブランドを立ち上げたいという夢を持っています。そのためにも、社内でジュエリー全体のデザインができるようなキャリアを築いていきたいです。 当社に入社したのは、一般的な就職活動がきっかけではありませんでした。自分で興味を持ったから足を運んで、疑問をぶつけて、親身になって話を聞いてくれる人に出会えたのが入社の決め手になりました。 ですので、個人的にはそういう出会いが大切だと思っています。単純な就職活動ではなくて、普段の人間関係を大事にしてください。普段の出会いからもチャンスは広がってくると思います。

09.jpg 知花さん
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