ホットマン 株式会社
ホットマン 株式会社
わずか1秒で水を吸収して沈んでいく「1秒タオル」
独自技術・厳選素材で作る最高級の「1秒タオル」は、高密度で吸水性抜群。魅力を伝えただけで1年で売上1.5倍に
ホットマン 株式会社
わずか1秒で水を吸収して沈んでいく「1秒タオル」 独自技術・厳選素材で作る最高級の「1秒タオル」は、高密度で吸水性抜群。魅力を伝えただけで1年で売上1.5倍に
- 社名:ホットマン 株式会社
- 設立年月:1951年4月
- 資本金:8,000万円
- 従業員数:410名(2019年1月現在)
- 代表者:代表取締役社長 坂本 将之
- 主な勤務地:青梅市本社・工場、川越市工場、各地百貨店等の店舗
- 休日:土日祝日(ただし販売は変則勤務あり)、有給休暇、夏期・冬期休暇
- 本社所在地:東京都青梅市長淵5-251
- 電話番号:0428-24-6500
- 公式HP:https://hotman.co.jp
- ・都内の百貨店にも出店する高級タオルメーカー
- ・独自技術と厳選素材で作る高級タオル。販売方法にもこだわり
- ・多くの人に知ってもらうために打ち出した「1秒タオル」
業種
繊維製品の製造・加工および販売
事業紹介
ホットマンはこんなものを作っています!
【1秒タオル】
水面に落とすと1秒以内に沈み始める吸水性抜群のタオルです。髪やお顔のお手入れにも最適な、品質にとことんに拘った高機能商品で、様々なデザインやカラー、サイズを揃えております。
【ベビー】
マーシャシリーズは、コットンボールから生まれた妖精「マーシャ」をあしらった、1秒タオルでできたベビー用品です。かわいいオクルミなど、贈り物にも最適で、安心してお使いいただけます。
【バスローブ】
タオル地でできたバスローブはもちろん吸水性に優れ、快適で素敵なアフターバスを演出してくれます。1秒タオルで作ったシリーズは美しい18色のカラーバリエーションで心も癒してくれます。
以上の商品を中心にタオル地で作った多くの商品を、自ら開発、生産、そしてお客様に直接販売しているのがホットマンです。
【事業内容】都内の百貨店にも出店する高級タオルメーカー
都内にある大手百貨店などを訪れると、フロアの一角に“Hotman”というタオル売場を見掛けることがある。そこで販売されている高級タオルなどを開発・製造、さらには販売まで一貫して手掛けているのがホットマンだ。 創業は明治元年。絹織物やビロードなども作っていたが、「お客様の声を直接聞きたい」と、自分たちの手で製造から販売までできるタオル作りに特化した。 現在の主力製品は、さまざまな色・大きさから選べる「ホットマンカラー」という無地のタオル。それ以外にもブランケットやバスマット、ワンピース、小物入れなども展開している。シェニール織という特殊な多色柄の織物から作ったタオルやハンカチも人気製品だ。
シェニール織に使うモール糸。織物の柄から逆算して
縞模様の生地を織り、それを糸に直して
シェニール織に使用する。
【独自戦略】独自技術と厳選素材で作る高級タオル。販売方法にもこだわり
タオルメーカーとして、ホットマンよりも老舗の企業はある。けれど同社はタオル作りを始める際、先行企業の作り方を参考にするのではなく、独自に材料や工法を研究して、今までになかったタオルを作り出そうと努力した。 素材にもこだわり、最高級のものを選んだ。独自の織り方を開発して、密度の高いタオル生地を実現。さらに、地下100mから吸い上げた地下水で何時間も洗浄することで、非常に吸水性の高いタオルへと仕上げている。 このように、こだわり抜いて作ったタオル。他人任せではその魅力を十分に伝えきれず、正当な値段で売ってもらえるとも限らないため、基本的に自社直営店か通信販売で拡販する戦略を採っている。
いい生地が織れるかどうかが決まってくる
【プロジェクト】多くの人に知ってもらうために打ち出した「1秒タオル」
それだけこだわって作ったタオルの魅力をより多くの人に知ってもらおうと、ホットマンは2013年から「1秒タオル」という商標を用いている。 1cm四方に切った同社のタオルを水に落とすと、他社製品よりずっと速く、1秒以内に水を吸収して、水中に落ちていく。そんな品質の高さを伝えるため、「1秒タオル」という名称を打ち出したのだ。 それに伴い、都内の地下鉄で1週間、中吊り広告としてタオル生地そのものを並べて吊り出した。この試みはSNSなどで話題になり、吊り出されたタオルの20%は、無断で取り去られて返ってこなかったほどだ。 こうした活動の結果、デザインも色も変わらないのに、「1秒タオル」の売上は1年で約1.5倍に増加している。
社長メッセージ
嘘のないタオル作り。開発から販売まで自社でやるからこそ、100%責任を持てる
代表取締役社長
坂本 将之さん
――貴社のタオルは、どんな方々から支持されているのでしょうか。
ほとんどの方が毎日タオルを使っていることでしょう。しかし、本当に満足できるほど吸水性が高く、綿100%で安心・安全なタオルを使っている方は、そう多くはないと思います。
当社のタオルは、そうしたタオルをめぐる不満・不安に応えるものです。実際、「1秒タオル」という名称を打ち出してからは、お手紙などで「こういう物を探していた!」という感想をお寄せいただくことが増えてきました。
最近では、「永遠色(とわいろ)タオル」というのを打ち出しています。当社のタオルは吸水性に優れているだけでなく、色落ちもしないと訴求したいためです。また、中には30年使ってくださっている方もいらっしゃいます。それくらい耐久性も高いのです。
そんな特徴があるタオルですから、「生活を豊かにしたい」「値段が多少高くても、いい製品を長く使いたい」という方々に、当社のタオルを愛用いただいています。
「嘘がない」ことを大切にしています。
まず当社の製品は、他社と比べて2倍の原価をかけて、本当にいい製品を作ろうとしています。
また、開発から製造、販売まですべて自社でやっていますから、製品に対して当社が100%責任を持てます。そこにはまったく嘘が混ざりません。販売部門の社員たちも、「自信を持って自社製品を売れるから幸せだ」と言ってくれています。
基本的には人柄重視です。人柄のいい社員ばかりだと自慢できます。
しかし、同じような感性の人ばかりですと、強い波風が来たときには弱い組織になってしまいます。当社の社員数は400人ほど。そこまで規模が大きくないので、本当の意味で多様化することは難しいでしょう。それでもある程度は、価値観の違う人が混ざって、少数意見でもはっきりと自分の意見を言ってくれることが必要だと考えています。
まず、「タオル屋である」という原点に戻りたいです。やはり定番製品であるタオルが一番大事なので、その魅力を伝える努力をしていきたいですね。そのために、「1秒タオル」で成功したような宣伝活動に、今後も力を入れていきます。
少し前から、途上国から適正価格で仕入れるフェアトレードも始めています。セネガルから糸を仕入れたら、当社の工場で1からすべて加工しています。全工程を自社で加工することで、以前よりも費用を抑えられるようになるはずです。
また当社がある青梅は、もともと機屋(はたや)がたくさんあった地域です。ですから、タオルを中心にした地域活性化を進めていきたいですね。
さらに、当社には数年前に取った「東京タオル」という商標があります。東京オリンピックに向けて、「東京で作っている品質のいいタオル」をもっと訴求していくつもりです。
そのためにも、地域の企業といろいろな企画を温めているところです。デザインや販促をしてみたい若者たちに協力してもらうなどして、新しいブランドがどんどん生まれたらいいなと期待しています。
当社にはモノづくりの精神を持った熱い社員が集まっています。誰もが、「自分たちで作って、自分たちで売る」という誇りを持っています。そんな誇りがあるからこそ、がんばって働けるのだと思います。
働く際には報酬も重要ですが、やはりそういった誇りが一番大事なのではないでしょうか。就職活動では、「このくらいでいい」と妥協することなく、本当にやりがいのある仕事に出会えるまで、がんばってみてください。
先輩メッセージ
マニュアルどおりにいかないが、がんばった分だけ、いい製品ができあがる
生産部生産課
髙瀬さん
――こちらの会社に、入社した経緯を伺えないでしょうか。
私は奥多摩生まれの青梅育ち。ですが、中学生のころまでは、自分の住んでいる地域を「田舎で格好悪い」と思っていました。それが大学で都市計画を勉強したのをきっかけに、「いいところがいっぱいある」と考えを改めるようになりました。
それで「地元のために働きたい」と思うようになり、もう1つ「モノづくりをしたい」という思いもありましたので、条件に当てはまる会社を探しました。すると、青梅でもともと盛んだった織物をやっているのは、ホットマンくらいしかなく、「ここで働くことに意義がある」と感じたのです。
糸からタオル生地を織る生産課という部署で働いています。最近は、生産管理も担当するようになりました。今後は生産工程などを見直して、製造原価の引き下げに取り組む予定です。
タオル生地を織る現場で働いていて、「マニュアルどおりにはいかない」とよく感じます。例えば、生地を織る前に糸にのりを付ける工程があり、のりの付き方次第でやり方をその都度変えていく必要があります。また、織機のギアやカムといった回転のための部品は、使うほどに磨耗していきます。摩耗の程度に合わせて調整しなければ、うまく生地を織れません。ちょっと調整がうまくいかないだけで、生地の表面に出るパイルと呼ばれるループの長さが十分に出なかったり、きれいにそろわなかったりすることもあります。そうなると、タオルの吸水性やふわふわした感触が損なわれてしまうのです。
同じメーカーの織り機を使っていても、癖が違います。「こうすれば必ずきれいに織れる」という法則がないので、実際に織ってみて、その都度やり方を考えなくてはいけません。経験が必要な仕事です。
最初のころは全部同じに見えて「きれいに織れているか」さえ判断できませんでした。それが近ごろは、きれいに織れているかどうかが分かるようになってきました。少しずつ覚えてきたことが積み重なって、やっと自分自身の力になってきたと感じています。がんばった分だけ自分が成長できて、いい製品もできるわけですから、とてもやりがいのある仕事だと思いますね。
社員みんなの人柄がいいところです。休みの日には会社の人たちと釣りに行くなど、仲のいい職場です。部署単位での飲み会も活発に開かれています。
また、小学生の社会科見学を毎年受け入れていたり、庭の芝生がとてもきれいで町の景観に貢献していたりと、地域に密着して貢献できているところも、魅力的なところではないでしょうか。
会社のマスコット「マーシャ」と一緒に
会社のマスコット「マーシャ」と一緒に
若手も経験豊富な社員も、やりたいことを主体的にやりながら生き生きと働ける会社が理想だと思っています。自分も会社の一員として、そんな職場が実現できるように、がんばっていきたいです。
具体的な目標としては、デザイナーや協力会社から依頼があったときに備えて、もっと新しい技術を開発していきたいです。彼らの構想を実現するために、より多くの選択肢を提示できるようになっていたいですね。
私は、「地元の会社で、全国の人に使ってもらえる物を作る」ことに価値を感じて、この会社に入りました。
ですが、こういった価値観は、人それぞれ違うものです。1人1人がやりたいこと、興味のあることに、素直に向き合ってください。きっと本心から「やりたい」と言える仕事が見つかるはずです。そんな仕事こそ、その人にとって最適な仕事なのだと思います。
会社のマスコット「マーシャ」と一緒に
先輩メッセージ
デザインに携われること自体、とても素敵なこと。製品として形になるとただただ感動
デザイン課
白井さん
――こちらの会社に応募したきっかけを教えてください。
子供のころから図画工作が好きで、大学ではプロダクトデザインの勉強をしていました。そのため、デザインや商品企画の仕事ができるメーカーを就職情報サイトで探していたのです。
就職説明会に参加してみたら、とても家庭的な雰囲気で、社員みんなが「ホットマンのタオルはすごく質が良くて丈夫で、こんなにいいものです!」と自信を持っていることが伝わってきました。そのときの印象がすごくよくて、「入社したい」と思うようになりました。
会社から提示された課題を踏まえて、まずはデザインコンセプトを提出します。それを叩き台にして、関係者で話し合い、デザインの方向性を固めます。その後、どの大きさの製品を何種類くらい作るかと詳細まで決まったら、それぞれの担当者がデザインを煮詰めていく工程に移ります。
デザイン課の中で、私はキッズやベビー向けのタオルを担当することが多いです。当社の製品は、春夏物と秋冬物で年に2回、新製品を企画します。私は毎回、3点前後のデザインを担当しています。ちょっとした巾着や雑貨をデザインすることもありますね。
私にとっては、デザインという仕事に携われること自体、とても素敵なことです。自分が考えたデザインが、思い描いたとおりの形で製品として目の前に現れると、ただただ感動します。
また、直営店舗を持っているので、担当製品が棚に陳列されているのを見るだけでもうれしいですね。自分が「このデザインはよくできた」と思えた出来映えの製品がよく売れたときも、達成感があります。
デザイン課の同僚たちの人間性が素晴らしいので、とてもいい環境だと思っています。
特に課長はコミュニケーション能力が高く、尊敬できる人です。他の部署との調整などをしっかりやってくれるので、私たちが他部署と円滑に仕事を進められます。部下を守ってくれる課長だと日々実感していまして、働きやすい職場です。
白井さんがデザインした製品
白井さんがデザインした製品
タオルメーカーとしてのホットマンが、もっと認知されてほしいです。私も就職活動をするまでは、まったく当社のことを知らなかったので、「こんなにいいものを作っている会社だ」と多くの人に知ってもらいたいです。
私個人にできることは少ないですが、少しでも当社のことを多くの人に知ってもらえるように、商品企画をしていたり、インテリアのお店で働いていたりする大学時代の友人たちに「当社でタオルを作ってみない?」と勧めることもありますね(笑)。
学生のうちにしかできないことは、たくさんあります。
私がやりきれずに後悔しているのは、旅行です。デザイナーとして「世界のテキスタイルをもっと見ておけばよかった」と思います。社会人になってからは時間が取りにくいですし、取れても旅行費用が一番高くなってしまう時期に旅することになります。
デザイナーでなくても、旅に出れば見聞を広められます。ぜひ学生時代にたくさん旅行をしてみてください。
他にも、学生という利点を生かせる活動を、悔いなくしておいてほしいと思います。
注)掲載している情報は、取材日(2014年7月)時点のものです。
白井さんがデザインした製品