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五十嵐製箱株式会社

五十嵐製箱株式会社 店内を見渡せば、この会社が作ったPOP広告がきっと見つかる<br><br>ダンボール製造から、ギフトの箱詰め、ディスプレイ・POP広告の製作まで。製品の流通に必要な一連の事業を展開

五十嵐製箱株式会社

店内を見渡せば、この会社が作ったPOP広告がきっと見つかる
ダンボール製造から、ギフトの箱詰め、ディスプレイ・POP広告の製作まで。製品の流通に必要な一連の事業を展開

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輝く技術 光る企業

五十嵐製箱株式会社

店内を見渡せば、この会社が作ったPOP広告がきっと見つかる
ダンボール製造から、ギフトの箱詰め、ディスプレイ・POP広告の製作まで。製品の流通に必要な一連の事業を展開

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  • 社名:五十嵐製箱株式会社
  • 設立年月:1950年1月(創業:1926年10月)
  • 資本金:1,200万円
  • 従業員数:90名
  • 代表者:代表取締役 五十嵐 義和
  • 社員平均年齢:41歳
  • 主な勤務地:本社
  • 休日:土日祝日 夏季冬季休日 慶弔休暇 有給休暇
  • 本社所在地:東京都墨田区本所1-1-2
  • 電話番号:03-3624-2531
  • 公式HP:http://www.igarashi-seihako.co.jp/
  • ・ダンボールからPOP広告まで。流通に必要な一連の製品を扱う
  • ・既存事業の枠にとらわれない。顧客の声に応え、事業を多角化
  • ・わずか数秒で組み立てられるディスプレイ「DDPOP」
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業種

  • パッケージの包装設計
  • 物流コストの設計
  • パッケージデザイン
  • 流通加工及び包装資材に付帯する一切の販売
  • パッケージの製造販売
  • 保管業務
  • 納品・配送サービス
  • ダンボール製POPの製造販売

事業紹介

五十嵐製箱株式会社は80年以上の長い歴史で培われた経験をもとに、「企画・デザイン・設計」「自社工場による印刷・型抜き」「セットアップから発送までの流通加工」すべてのサイクルを社内一貫で完結できる体制を整えており、小ロット・多品種・短納期など、近年多様化しているお客様のさまざまなご要望にお応えしています。

五十嵐製箱株式会社のこだわり

【高機能紙製ディスプレイ】
数秒で組立可能かつ高耐荷重のディスプレイなど、これまで例を見なかった製品を開発し、生産しております。

【短納期の対応】
社内で設計・生産を行うことにより、量産までのリードタイムの短縮を実現しております。
また生産では、それぞれ自動給紙機能を備えた大型インクジェットプリンター&デジタルカット機を有しているため、短納期の量産も可能です。

【さまざまな生産方法】
小ロットから大ロットまで、社内にさまざまな生産方式を有しているので、あらゆるご要望に対して、常に適切な生産方法を提案、選択することが可能です。
特に、大型インクジェットプリンター&デジタルカット機で1個からの生産を実現しているのが、当社の強みです。

五十嵐製箱株式会社は、お客様の商品を魅力的に彩るディスプレイを、お届けできるように、社員一丸となって日々努力しております。

【事業内容】ダンボールからPOP広告まで。流通に必要な一連の製品を扱う

メーカーが製品を完成させた後のことを考えてみよう。製品は化粧箱などに箱詰めされ、ダンボールに入れられて小売店等まで運ばれる。そして、POP広告を使って見栄えよく並べられて私たちの手元まで届くことになる。 こうした製品完成後の一連の流れの中で必要な、ギフト等の“化粧箱への箱詰め”、“ダンボール”の製造・販売、 “POP広告”の企画・製作といった事業を展開しているのが五十嵐製箱だ。 一連の事業を展開する中でも、特に近年はPOP広告の事業が成長著しい。有名メーカーのPOP広告も数多く担当するようになった。ホームセンターやスーパー、コンビニなど、店内をよく見渡してみれば同社が関わったPOP広告を1つは見つけられるほどだ。

03.jpg スポーツ祭東京2013でも五十嵐製箱の
製品が使われた

【独自戦略】既存事業の枠にとらわれない。顧客の声に応え、事業を多角化

90年近く前に創業した当時、五十嵐製箱はその社名どおり、木箱メーカーだった。その後、製品を流通させる際、木箱以外にダンボールもよく使われるようになると予見し、ダンボール製造にも着手した。 そして、顧客から「化粧箱への箱詰めで人手が足りない」と悩みを聞いたら、箱詰めのサービスを始めるように。さらに「流通させた先の小売店で、自社の製品を目立たせたい」という要望を受けて、POP広告も手掛けるようになった。 そのように、自社の既存事業の枠にとらわれることなく、「流通に関わる顧客の声に応える」のが大方針。その方針を貫いてきた結果、現在のように多角的な事業を展開するようになった。

04.jpg POP広告の形に合わせて、板を裁断。
企画・デザインから製造まで、自社で
一貫対応できるのも強みだ

【プロジェクト】わずか数秒で組み立てられるディスプレイ「DDPOP」

“顧客の声”に耳を傾けたおかげで着想し、これから人気が出そうな自社製品がある。瞬間組み立てディスプレイ「DDPOP」だ。 従来、POP広告用のディスプレイは、ねじやテープなどを使い、時には数十分もかけて1台を組み立てていた。しかし、それだけ手間がかかると店員や店舗を回るメーカーの社員は、組み立てたいとは思わない。それでは、どれだけ目立つディスプレイを作っても、倉庫で眠ったままだ。 五十嵐製箱はそんな悩みに着目。わずか数秒で組み立てられる構造のDDPOPを生み出した。 今夏に初めて展示会でお披露目したところ、「こんな製品を探していた!」という感想が多数寄せられ、これから売れ行きが伸びるのではないかと大いに期待されている。

05.jpg 短時間で組み立てられて、十分な重量に
耐えられる「DDPOP」

社長メッセージ
顧客の要望にぴったりな製品、社員1人1人にぴったりな仕事を見つけていきたい

代表取締役
五十嵐 義和さん
――ディスプレイやPOP広告の製作に関して、貴社の強みはどんなところにあるのでしょうか。 企画からデザイン、実物の設計、製造まで、すべて自社で一貫してできるところです。ディスプレイやPOP広告の場合、競合となるのは印刷会社や広告代理店。企画から製造まで、すべて自社でできる競合企業は、ほぼありません。 すべて自社で対応できれば、納期を短くできます。モノづくりまで自社でやっているので、製造するディスプレイの品質を高水準に保てるところも強みでしょう。 ――モットーとして掲げているのは「あなたのジャストを形にします」とのことですが、その意味を教えてください。 当社が開発した新製品「DDPOP」は、メーカーや小売店の要望に当てはまる製品です。こうした顧客の要望に当てはまる製品を、続々と世に送り出していきたいと考えています。 またどんな人にも、その人に合った仕事があるものです。社員1人1人が適性を発揮できて、輝ける仕事を見つけてあげたいとも思っています。 ――「社員1人1人が輝ける」ため、どんな取り組みをしていますか? 当社には、さまざまな仕事があります。小田原工場では、主にダンボール箱の製造をしています。そこで完成したダンボール箱は東京本社に運ばれ、ギフト品の箱詰めをすることもあります。また、POP広告のデザインを東京で企画設計した形状の上に印刷することもあります。 それだけ幅広い仕事がある中で、各社員にさまざまな仕事を経験させて自らの適性に気付かせるため、できるだけ部署間の異動を活発にするように心掛けています。 ――より会社を強くしていくため、今後はどんなところに注力していく計画でしょうか。 やはり、お客様の要望により早く気付き、それに応える製品を迅速に開発していける仕組みをつくることでしょう。 そのために必要な人材・制度・設備を、バランスよく整えていくつもりです。 ――これからのモノづくりを支える若者たちに、送りたいメッセージを伺えないでしょうか。 狭い視野でなく、広い視野で物事を考えられるようになってください。 日本のモノづくりは、「値段が高くなっても高機能で洗練されていれば素晴らしい」と画一的に考えていましたが、それでは新興国で受け入れてもらえる製品を作り出せません。先進国には先進国なりの要望があり、新興国には新興国なりの要望があるわけです。そのことを理解して、多様性を受け入れ、本質を見抜く力を養っていってほしいですね。

06.jpg 代表取締役 五十嵐 義和さん

先輩メッセージ
店舗で自分の設計したPOP広告・ディスプレイをよく見掛け、友人に自慢したくなる

DDPOP課
久我さん
――この会社に入社した経緯を教えてください。 兄がPOP広告を勉強する学校に通っていまして、そこから私もPOP広告に興味を持つようになりました。小さなころからモノづくりが好きでしたから、「それならPOP広告やディスプレイのデザインなどを学べる学校に進もう」と進学先を決めたわけです。 その学校に通ううちに、五十嵐製箱の名前を聞くようになりました。それで興味を持つようになり、選考を受けてみたのです。 すると、出会った社員の方の対応が素晴らしく、いい印象を持ちました。もともと「大企業で働くと私は緊張してしまうだろう」と思っていたこともあり、伸び伸びと働けそうな当社の雰囲気は気に入りましたね。 ――担当業務はどんな内容なのでしょうか。 POP広告やディスプレイの設計をしています。 基本的な仕事の進め方としては、まずお客様から「こんなものが欲しい」と大枠の要望を伺います。続いて、それを踏まえて完成イメージ図や試作品などを作り、お客様に評価してもらいます。1回で満足してもらえることもあれば、10回前後もやり直してようやく合格が出ることもありますね。お客様に納得していただけたら、あとは製造に移ります。 自分で担当したPOP広告やディスプレイの中には、数千台~1万台も生産されたものがあります。スーパーやコンビニを訪れるとよく見掛けますから、店員さんに「これ、写真を撮ってもいいですか?」と聞いたこともありますし、同行していた友人に「私が作ったんだよ」と自慢したこともあります。そんな喜びがある仕事ですね。 時にはコンペに参加して、大企業を相手にPOP広告やディスプレイの企画・デザインを競い合うこともあります。大企業の案と比較されるわけですが、私の案が採用されたこともあるのです。そんなときはみんなで思わず「本当か?」と疑ってしまうほど驚きますし、うれしい気持ちになりますね。 コンペに勝った一例を挙げると、ディスプレイの形状の案を競ったものがあります。ある製品を棚に陳列するときに、背景を飾るディスプレイの形状を考えたわけです。他社は店舗でよく見掛ける直方体の形状を土台にして、飾り付けに工夫をこらした提案をしてきました。一方、私は「棚に陳列するなら直方体のディスプレイだろう」という常識を無視して、半円柱状の形状にすれば目立つと考えました。その考えを企画としてまとめてみたところ、当社の見積もりは大企業の提示した金額よりも高かったにもかかわらず、「この形状が素晴らしい」と当社の案を採用していただけたのです。 ――会社について、職場として好きなところは? 私は人見知りで、入社当時は「人間関係はうまくやっていけるか」と不安に感じていました。けれど女性の先輩社員が気遣って声を掛けてくれて、いつの間にか親しく話せる関係を築けました。 社長も上司も優しい人です。いい意味で社長や上司らしくなく、気軽に話し掛けられるような雰囲気で、親しみが持てます。 ――今後の目標を伺えないでしょうか。 もっとお客様が「欲しい」と思ってくれるデザインを考えられるようになりたいです。 特にDDPOPのデザインをもっといいものに改善していって、当社の営業担当者がDDPOPを売りやすくするお手伝いをしたいですね。 ――働くようになって気付いた教訓を、読者にも教えてもらえないでしょうか。 学生のころは、自分で設計したものを、自分で作ることが多いでしょう。けれど会社に入ると、自分の設計がたくさんの人の手を経て、製品として完成していくことになります。 「自分の設計は、作りやすいものになっているか」「売れるものになっているか」と多角的に考えられる視点が必要だと思います。現場で作ってくれる仲間、買ってくれるお客様のことまで考えて、製品を設計できるようになっていってほしいですね。

09.jpg DDPOP課 久我さん 10.jpg

先輩メッセージ
改善を積み重ねることで、生産能力が20%も向上。

生産管理部
清藤さん
――「モノづくりの仕事がしたい」と、いつごろから考えるようになったのでしょうか。 小学生のころからですね。夏休みの自由研究で、靴下にボールを入れて怪獣に仕立ててみたら、周りの人から褒められて、うれしかったのです。 それで就職先を探すときも、ハローワークでモノづくり企業を紹介してもらいました。紹介された企業の中に当社がありまして、まずは会社のことについて説明を聞いてみることに。そうしたら、ダンボールやディスプレイ、POP広告など、さまざまな製品を作っていることが分かり、「とても魅力的な会社だな」と感じました。自分としては「ここしかない」と意思が固まりまして、縁あって入社に至ったわけです。 ――入社後は、どのような仕事を担当してきたのでしょうか。 最初の3年半は、化粧箱を組み立てて、ギフト用品を箱詰めしていく作業を監督していました。 当社でギフトを詰める化粧箱のデザイン・製作をしていまして、まずは化粧箱を組み立てることになります。それからギフト用品を詰めて梱包し、トラックに積んで発送していきます。 私の役割は、その流れの中で必要な作業を1つ1つ細かく分けて、パートタイムの従業員に担当してもらう作業をそれぞれ割り振り、梱包・発送できた数量を管理していくことでした。 その仕事を任されていたとき、心掛けていたのは、より効率的な作業方法を常に考えることです。化粧箱を組み立てる際、最初にダンボールをベルトコンベアに乗せてもらう人に、折り目を付けるところまでやってもらうのはどうかといったように、いろいろと工夫してみました。改善を積み重ねていった結果、約20%も多く梱包できるようになりましたね。 そうした改善によって成果を得られたこともうれしかったのですが、もっとうれしかったのは、みんなで一丸となって働いている実感を得られたことですね。1人1人が別の作業を担当して効率化を図り、短時間のうちに目標の数量を梱包することを目指していくわけです。みんなで同じ目標を持ってがんばっていけるところに、やりがいを感じていました。 ――職場の雰囲気について、教えてください。 かなり年齢の離れた先輩社員も多い会社ですが、みんな親しく私に話し掛けてきてくれます。 私は引っ込み思案な方ですが、自然と打ち解けていましたね。今ではまるでそれほど年齢が違わない学校の先輩であるかのように、敬意を払いつつも、気軽に話せるようになっています。 ――これから、どんな仕事をしていきたいですか? 1カ月ほど前から今の部署に配属され、ダンボールやディスプレイにのりを付ける装置の操作・管理を任されるようになりました。 まずは任された装置をしっかり管理できるようになって、ゆくゆくはダンボールに印刷する装置や、指定の形に裁断していく装置など、もっと多くの装置を扱えるようになっていきたいですね。 そこから以前の仕事での経験を生かして、製造現場全体を見渡し、生産効率を上げるための方法を自分なりに改善提案していけるような仕事をしていきたいと考えています。 ――就職活動や仕事選びなど、後輩たちに向けて何か助言いただけないでしょうか。 まずは自分のやりたいことを見つけてください。やりたいことがない人は、ボランティアに参加するなど、とにかく行動に移すことです。さまざまな経験を積みながら、自分のやりたいことを探してみてください。 そしてやりたいことが見つかったのなら、ゴール地点から逆算で考えましょう。そこに至るには何をしなくてはいけないのか、小さな目標に細分化して、1つずつ達成していけば、次第にゴールへ近づけます。そうすれば自分の将来に漠然とした不安を抱えていても、いつの間にか消え去っているはずです。 注)掲載している情報は、取材日(2014年8月)時点のものです。

07.jpg 生産管理部 技術課 清藤さん
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