<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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石川金網 株式会社

石川金網 株式会社 料理用ざるから、マイク、自動車部品まで。不要物を取り除く金網の可能性<br>日用品から家電、産業用部品に至るまで重宝される金網を製造。独自技術を使ったデザインパネルで建築分野にも進出

石川金網 株式会社

料理用ざるから、マイク、自動車部品まで。不要物を取り除く金網の可能性
日用品から家電、産業用部品に至るまで重宝される金網を製造。独自技術を使ったデザインパネルで建築分野にも進出

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輝く技術 光る企業

石川金網 株式会社

料理用ざるから、マイク、自動車部品まで。不要物を取り除く金網の可能性 日用品から家電、産業用部品に至るまで重宝される金網を製造。独自技術を使ったデザインパネルで建築分野にも進出

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  • 社名:石川金網 株式会社
  • 設立年月:1949年1月(創業:1922年)
  • 資本金:3000万円
  • 従業員数:44名
  • 代表者:代表取締役社長 石川 幸男
  • 主な勤務地:東京
  • 休日:変則週休2日、有給休暇、夏期休暇、冬期休暇
  • 本社所在地:東京都荒川区荒川5-2-6
  • 電話番号:03-3807-9761
  • 公式HP:http://www.ishikawa-kanaami.com/
  • ・幅広い用途に使われる金網製造を軸に、デザインパネルの新事業も立ち上げ
  • ・製造ノウハウを生かした独自の治工具・装置を開発し、生産効率を向上
  • ・不可欠な、喜ばれるものを作る喜び。目標管理制度で1人1人に明確な目標を

業種

フィルター最適化ソリューション
メタル&ワイヤー加工品の設計・開発・販売
産業機械及び周辺装置、部品の設計・開発・販売
金属工事一式、不動産賃貸業

事業紹介

石川金網株式会社は、大正11年の創業以来、一貫した金網の専業メーカーとして産業界の発展に寄与してまいりました。
大量生産はもちろんのこと、多様化したニーズに対応する「多品種・少量生産方式」への転換も行い、時代の要請にこたえつつ、常に最先端のテクノロジーを駆使した高品質・高精度の製品づくりに邁進してまいりました。
IKスクリーン、パーフォアートパネルなどの新製品開発で高い評価を頂いております。これからも更なる技術力の向上でお客様に納得していただける製品を作りつづけます。

何を作ってる?

茶こしに、ふるいに、ざるにと台所で大活躍している金網。「網目よりも大きなものを通さない」という特徴を生かし、実は台所以外のさまざまな場所で活躍している。 例えば、自動車、工作機械など。歯車や機構を滑らかに動かすために油を循環させるが、油にごくわずかでも不純物が含まれていると故障の原因になる。そこで金網を使ってフィルターを作り、不純物を取り除いている。 プラスチックの場合も、成形する前の溶かしたプラスチックの純度が大切。中に異物が混ざっていたら除去するように、金網を使ったフィルターが重宝されている。 石川金網はそうした産業機械用の金網、台所用品に使う金網、マイク用の金網なども手掛ける金網の専門メーカー。金網から発展して、近年はパンチングマシンを使ったデザインが施されたパネル「パーフォアート」にも注力。スケッチや写真をそのままパネルにできるパーフォアートを、マンションのバルコニーに設置する手すりなどに使い、建物のデザイン性を高める提案をしている。

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会社の強み

金網とパーフォアート、両者を通して見えてくる石川金網の強みは、独自の治工具や装置を開発する力だ。 金網の場合、目が細かくなればなるほど、加工したときに反りや歪みが生じやすくなってしまう。しかし、反りや歪みなどの癖を取り除き、金網を平らにしないと出荷できない。同業他社の多くは職人の技で癖を取って平らにしているが、石川金網は職人のノウハウを生かして簡易な専用装置を自社開発。装置を使って誰にでも短時間のうちに金網を修正できるようにした。 「そんなに難しい装置ではありません。ただ、そういう装置を自分たちで作って効率を上げられるのが中小企業の強みなのです。簡単な装置であっても、工夫して作っていくように心掛けています」(石川幸男代表取締役社長。以下、同) パーフォアートにしても、従来の設備では1.25メートル×1.25メートルの金属板にデザインを施すのに40分かかっていたが、大型高速プレス機の導入によって2分で済むように改善した。もちろん、ただ大型装置を導入したからそこまで短縮できるようになったわけでなく、金型やソフトウェアなどを独自に開発(特許も取得)するなど、工夫したからできたことだ。

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06.jpg 金網を型抜くため、多数の金型を
保有。金型の扱い方が大切になる

職場としての魅力

「フィルターの事業では、自動車など、世の中に不可欠な製品の一部として当社の製品が使われているわけです。品質については厳しい要求がされますが、それを満たせたとき、自信・喜びになると思いますね。 パーフォアートの事業では、これまでにない製品を作っています。完成して建築物に取り付けたとき、お客様から『とてもいいね』と心から喜んでいただけることが多いです。それがモノづくりの喜びにつながっているのではないでしょうか」 そうした働く喜びも、1人1人の社員が自分の目標を持っていないと十分に感じられないと、3年前から人事評価に目標管理制度を導入。達成すべき目標が具体的に示されたことで、各社員の意識が変わり、生産性が非常に上がったとその成果を実感している。

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社長メッセージ
品質・価格・納期の追求も大切だが限界もある。新たな需要を掘り起こしていきたい

代表取締役社長
石川 幸男さん
――「パーフォアート」を開発した背景を伺えないでしょうか。 パーフォアートを開発したのは十数年前のことです。当時から、建物に使うパネルにデザインを施すには、タレットパンチプレスという技術がありました。ただ、金属板を動かしながら少しずつ加工していくので時間がかかり、完成品の値段が非常に高くなってしまいました。そう簡単には使えない技術だったのです。 「もっと自由に、デザイン面で挑戦したい」と考えていたデザイナーの方々は、もっと安く簡単にデザインパネルを作る技術を求めていらっしゃって、当社にも相談が寄せられました。そこで当社は300トンの大型プレス機を導入。幅広い面を1度に加工して短時間・低価格でデザインパネルを製作するため、独自の金型とソフトウェアを開発しました。そうして作り上げたのがパーフォアートなのです。 おかげさまで少しずつ導入実績は増えてきていまして、超高層マンションの手すりやフェンス、建物の内装や看板にも利用されるようになっています。 今の時代、お客様中心で事業を考えていかなくてはならないと思います。「お客様にいかに満足していただくか」と追求していくため、以前から品質・価格・納期には気を配ってきました。 中でもお客様からの要望が厳しいのは価格です。自動車部品のフィルターなどは、大量生産される上に消耗品です。非常に数が出ますから、1点当たりの価格をできるだけ抑えたいとお客様は考えています。「いかに材料を安く仕入れるか」「いかに不良を出さずに加工するか」といった小さな努力の積み重ねで価格競争力を維持していくことが大切だと考えています。 ただ、努力しても限界はあります。常に「こんなところで金網を使うと役に立つ」という新たな需要を掘り起こしていくことが大切です。当社にしても、以前はマイクなどの家電用の金網が主力だったのが、最近は自動車部品や工作機械用の部品といった産業用の金網が主力になっています。展示会に出展することでより多くのお客様と出会ったり、お客様から相談いただいた困りごとを解決できないかと技術的に検討を重ねていったりすることで、1つずつ新たな需要を掘り起こしていきたいと考えています。 最近では、ペットボトルのキャップをリサイクルする運動が広まっています。そのリサイクルをする装置に、当社の金網が使われるようになりました。 ペットボトルのキャップには2種類のプラスチックが混合して使われています。それぞれの種類ごとに分離しておかないと、リサイクルしても高く売れません。2種類のプラスチックを分離するための装置を大学の先生と協力して完成させました。 1番大切なのは前向きな姿勢ですね。前向きに考えられる人なら、何か壁にぶち当たっても「次はこうやってみよう」と次の一歩を歩み出せます。壁にぶち当たって「やはり自分にはできない」と思う人は、いつまで経っても成長できません。 人生、必ずつまずくときはあります。そうなったときに「次はどうしよう」と考えられる人は、どんな仕事をやっても上手くいきます。そういう姿勢を持つ人材を、私としては非常に高く評価しています。

09.jpg 代表取締役社長 石川 幸男さん

先輩メッセージ
金網を型抜くのに使う金型を調整する加減が絶妙。先輩方の技術力の高さを感じる

製造課
吉沢さん
――石川金網で働く前は、別の会社で働いていらっしゃったと伺いました。 金属加工の仕事をしていました。それで転職することになったとき、「同じ金属加工の仕事がいいな」と思って求人情報を探してみたところ、石川金網の情報を見つけました。 実際に会社を訪れてみて、「歴史ある会社だ」と思いましたね。立派な自社ビルがあって、「長い間、堅実に事業を続けてきた証なのだろう。安心して働けそうな会社だ」と感じられました。 プレス機を使って金網をせん断し、お客様から指定された形に型抜いています。 原理としてはハサミと同じですね。金型でプレスすることで金網を抜き取ります。お客様の指定する形の分だけ金型がありますから、金型を数百点は保有しています。 プレスに使っているうちに、金型は摩耗してきます。金型は非常に高価ですから、少し型抜きしにくくなったからといって、すぐに金型を買い替えるわけにはいきません。そこで摩耗しているところを叩いて出して、切れ味を取り戻せるように調整する必要があります。先輩方はその力加減が絶妙で、短時間で調整できます。そこに先輩方の技術力の高さを感じますね。 型抜きする金網は機械の中に組み込まれ、油の中のゴミを取るなど、フィルターとして使われるものです。非常に目が細かいので、プレス機で加工すると、中には網目が乱れて目が粗くなる金網が出てきてしまいます。そうした金網を出荷するわけにはいきませんから、注意深く確認して、必ず取り除くように心掛けています。 製造現場で働く社員を「職人として」だけではなく、「社会人として」も育てようとしてくれる会社です。 当社の朝礼には、簡単な内容で構わないので、社員が何か話をする時間があります。その当番は持ち回りで、製造課の社員も含めて、毎日1人ずつ担当することになります。他にも毎日、業務内容を報告する作業日報を書いているのですが、今まで手書きで書いていたものをパソコンで入力するように変わりました。 どちらも、「大勢の人の前で話すことが苦手」「パソコンの操作に慣れていない」といった製造課の社員が苦手なことを克服するために考えて始めてくれたことです。少しずつですが、大勢の人の前でも気後れせずに話せて、パソコンも使える社員が増えてきました。社会人として深みのある人間へと成長させようという会社の方針がありがたいですね。 本社で出荷する製品は、金網を型抜いただけのものが中心で、「金網に枠を付ける」「フィルターに加工する」などのこの先の工程は当社の別事業所が担当しています。 金網を型抜く先の工程まで本社製造課で対応できるようになれば、生産性が向上します。そこまで対応できる生産体制を構築する役目が私に任されていますので、何とかその役目を果たしていきたいです。 まだ仕事にしたいことが決まっていなくて、悩んでいる人も多いと思います。悩んでいるのなら1度、自分のできることと自分の好きなことを棚卸ししてみたらどうでしょうか。 私の場合は棚卸ししてみたら、自分が手を使って何かを作ることが好きだということに気が付き、この仕事を選びました。 みなさんも棚卸ししてみることで、何か見えてくることがあると思いますよ。

10.jpg 製造課 吉沢さん
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先輩メッセージ
怒られてもあきらめずに勉強して食い下がったことで、大口の注文を受注できた

スクリーン事業部 営業課
竹沢さん
――就職活動はどのように過ごされましたか? 理系でモノづくりに興味を持っていましたので、製造業を希望していました。いろいろな会社を調べましたが、石川金網のことを初めて知ったとき、パーフォアートに惹かれました。ステンレスの板にパンチングで穴を開けて、遠くから見ると写真のようなデザインも再現できる。金網やパンチングの世界の奥深さに魅力を感じ、就職先として石川金網を選びました。 お客様ごとに最適な金網を提案することです。 例えば、当社の得意とする分野として、プラスチック業界が挙げられます。プラスチックを成形する前、液状のプラスチックを金網に通して中にあるゴミやゲル状になっている塊などの異物を取り除く工程で、当社の金網を愛用いただいています。 プラスチックを扱うお客様の中でも、どんな異物を取り除きたいかによって、提案する金網は変わってきます。リサイクルに出されたプラスチックを再利用して製品を作るお客様の場合、1度はゴミになったプラスチックを粉砕して、溶かした後に当社の金網に通すことになります。その時点では十分に溶けきっていないプラスチックやゴミなどが多く含まれていますから、まずは強度のある粗い目の網を使わないと、すぐに金網を取り換えないといけなくなってしまいます。 逆にフィルムを作るお客様でしたら、少しでも異物が混ざると製品として売り出せなくなってしまいます。ですから、とても小さい異物でも除去できるように、非常に細かい目の網を薦めています。 まだ営業経験が浅かったころ、製品知識が足らず、お客様の質問に対して的確に回答することができなかったために、お客様を怒らせてしまったことがありました。 けれどそこであきらめず、足らない知識を勉強して身に付けて食い下がっていったら、最終的には提案内容に満足いただき、普段受注する金額の数十倍の量を発注してくださいました。 そのときの成功があって、「自分にも営業ができる。営業の仕事はこんなに面白いのか」と感じるようになりました。 大手企業と違って、自由に働ける環境だというところです。 私の場合、営業活動をしていて「どの製品を販売すると原価がいくらかかり、利益がどれだけ出るか」という情報がすぐに分かる資料がなく、不便に感じていました。そこで私が得意なExcelを使って、条件を入力していくと提案金額と原価が計算できるツールを作ってみました。 今まで電卓で計算して「間違っていないか」と確かめていたのが、一瞬で答えが出るようになったわけです。その後の打ち合わせで、Excelをもっと活用しようということになり、全員が活用できるツールにさらに改善しました。結果、営業課の皆さんが私の作ったツールを使ってくれています。 新規の取引企業を増やしていきたいです。当社のホームページの閲覧実績をみると、驚くほど多くの方に閲覧いただいています。それだけ潜在的なお客様がいると思いますから、金網を必要とするお客様を見つけていって、新規のお客様を増やしていくのが私の目標です。 「この仕事は自分にできるかな」「自分の専門性と合っていない」などと考え、仕事を選んでしまってはいないでしょうか。 実際に働いてみると、入社時に足らなかった技術も次第に身に付き、できなかったことがどんどんできるようになります。技術力は、入社した後からついてきます。やる気さえあれば、どんな仕事でもできるということを覚えておいてください。 注)掲載している情報は、取材日(2013年12月)時点のものです。

12.jpg スクリーン事業部 営業課 竹沢さん
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