<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社 オージ

株式会社 オージ 「次、とまります」ボタンなどで、バスをもっと便利に<br>バスの行先表示器、降車合図用ボタン、ステップライト、非常連絡システムなどを開発・製造。東京都内を走るバスの大半に、オージ製品が使われている

株式会社 オージ

「次、とまります」ボタンなどで、バスをもっと便利に
バスの行先表示器、降車合図用ボタン、ステップライト、非常連絡システムなどを開発・製造。東京都内を走るバスの大半に、オージ製品が使われている

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輝く技術 光る企業

株式会社 オージ

「次、とまります」ボタンなどで、バスをもっと便利に バスの行先表示器、降車合図用ボタン、ステップライト、非常連絡システムなどを開発・製造。東京都内を走るバスの大半に、オージ製品が使われている

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  • 社名:株式会社 オージ
  • 設立年月:1955年3月
  • 資本金:3,000万円
  • 従業員数:46名
  • 代表者:代表取締役 榎本 正悟
  • 社員平均年齢:45歳
  • 主な勤務地:東京都北区、茨城県常総市
  • 休日:土日祝日、有給休暇、夏期・冬期休暇
  • 本社所在地:東京都北区神谷1-1-1
  • 電話番号:03-3912-3111
  • 公式HP:http://www.kk-oji.co.jp/
  • ・バスの降車合図用ボタン、半数以上がオージ製
  • ・バス運行会社の要望を少しでも聞き出そうと足繁く訪問
  • ・バス用技術を災害対策に。町田市と共同プロジェクト
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業種

デジタル行先表示器、降車合図装置等のワンマンバス用機器の製造・販売

事業紹介

オージでは次のような製品を製造・販売しています。


【デジタル行先表示器】
高輝度LEDを採用した、高い視認性をもったバスの行先表示器です。バス停留所で待っている乗客の皆様に行先をわかり易く表示します。


【メモリーチャイム】
取付場所に合わせて、縦型、横型、パイプ取付型の押ボタンを開発しました。すべてのボタンは健常者にも身障者の方にも押し易い大型のボタンを採用。混雑時に間違って押されない工夫もしております。


【後方注意灯】
後続車、二輪車へ乗客の乗降中合図を行い、二輪車すり抜けによる事故防止に効果を発揮して安全を図ります。


【ステップライト】
階段の段差を目立たせます。滑り止め防止加工も施し、転倒事故を防止します。バス車内だけでなく店舗などでも安全対策も図ります。


【LED路肩灯】
バスの後輪付近を広い照射範囲で照らして巻き込み事故を防止します。


【非常連絡システム】
高速バス車内で体調不良などの緊急事態を運転手に知らせるための無線技術を応用した合図システムです。

【事業内容】 バスの降車合図用ボタン、半数以上がオージ製

街中を走るバスには、目的地を示す行先表示器、「次の停留所で降りたい」と運転手に伝える合図用ボタンなど、さまざまな機器が取り付けられている。 このようなバス用機器を開発・製造しているのがオージだ。数ある製品の中でも、降車合図用ボタン「メモリーチャイム」は、行先表示器と並ぶ看板商品。国内を走るバスのボタンのうち、半数以上が同社製品だ。 乗客の使い勝手をよりよくしようと、新製品の開発にも力を入れている。階段の段差を分かりやすく照らすステップライト、高速バスで体調が悪くなったらボタンを押して運転手へ知らせる非常連絡システムなど、乗客の役に立つ製品を次々と生み出している。

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04.jpg びっしりと詰めたLEDを光らせ、バスの行き先を表示する

【独自戦略】 バス運行会社の要望を少しでも聞き出そうと足繁く訪問

バス用機器を開発する上で、価格、寸法、取り付けやすさ、機能性など、さまざまな要素を考慮に入れて設計を決めていく必要がある。そうした要素を決める上で、オージは運行会社・乗客・バス製造会社のことを考えながら製品を開発。「バス側面の表示器に、経由地をもっと載せたい」と頼まれたら載せられる地名を増やし、その表示器を「ドアを収納する戸袋に取り付けられると窓を増やせる」と相談されれば、薄型にして戸袋に取り付け可能にしてみせた。 そのような要望を少しでも多く聞き出そうと、同社の営業担当者は足繁く運行会社に訪問。運行会社が求める機器はどんなものか、機会を見つけては担当者と会って話し、常に情報収集に努めている。

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【プロジェクト】 バス用技術を災害対策に。町田市と共同プロジェクト

目的地をLEDで表示するには電気関連の技術が求められ、バスの車外に露出する表示器には防水対策が欠かせない。降車合図/非常連絡用ボタンをどこにでも取り付けられるようにするために無線技術が必要になった。 オージは現在、バス用機器の開発・製造で培ってきたこれらの技術を、災害対策用機器に応用。町田市から相談を受け、豪雨や河川の氾濫時に道路などが冠水したとき、「冠水警報」「この先、通行止め」といった警告を表示できる機器を開発した。 町田市と共同の取り組みはまだ始まったばかりだが、バス用機器の技術はそれ以外の分野にも応用できるかもしれない。バス以外に活用できる分野はないか、新たな取り組みを始めているところだ。

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社長メッセージ
創造のためには想像が大切。設計だけでなく製造現場などでも心掛けてほしい

代表取締役
榎本 徹さん
――会社として、これからどんなことに挑戦していくつもりですか? 当社が直接取引するお客様はバス運行会社、バス製造会社が多いのですが、最終的なお客様はバスの乗客だと考えています。バスをもっと楽しく便利にすれば乗客が増え、そうなれば運行会社が走らせるバスの台数も増加し、最終的には当社製品の売上も伸びる。ですから、バスに乗ることがもっと楽しく便利になる機器・機能を新たに開発していきたいです。 例えば、降車合図用ボタンは誰かが1回押すと2回目以降はもう反応しません。ですが、子供など、自分でボタンを押すことを楽しみにしている人もいます。そうした人のことを考えると、2回目以降に押した場合も「次、とまります」と音が鳴るボタンがあってもいいのかもしれません。あるいは、地域ごとに縁のある人物・キャラクターの声で行先案内してくれるボタンがあっても、乗客に喜んでもらえるかもしれませんね。 また、一企業の力では難しいことだとは思いますが、バスという交通機関が生活を支えるインフラとなっている地方もあります。バスが便利になれば地方に住む人が増え、地域活性化につながるかもしれません。微力ではあっても、そのような形で社会に貢献していきたいとも考えています。 「想像と創造」です。新しい製品を創造するときに、「どのように使われるのか」と想像せずに設計を考えていては、使いづらい製品になってしまいます。 これは設計に限った話ではありません。製造の現場にしても、「この装置の場所をもっと右に移したら作業効率はどうなるのか」と想像しながら業務を改善していってほしいです。営業担当者にしても「このお客様にはどんな伝え方をすれば心に響くのか」と想像して、大事な情報が分かりやすくなるように資料を作り変える等の工夫を心掛けてもらえるとうれしいですね。 そのように、創造するためには想像することが大切です。社員にはそのことを、より深く理解してもらいたいですね。 普段、何気なく利用していると気付かないかもしれませんが、バスという交通機関は、社会の中で非常に重要な役割を担っています。 例えば、1人暮らしをしている人でも、バスや電車に乗ったときは1人ではありません。誰かと一緒に過ごすことになり、その空間がどれだけ居心地がよいかで、その日の気分が変わってくるかもしれません。 そんなバスで過ごす時間をより快適にするための機器を作る当社の仕事に、1人でも多くの人が興味を持ってくれるとうれしいですね。

07_02.jpg 代表取締役 榎本 徹さん

先輩メッセージ
組み立て方法を自分なりに工夫。自社製品を組み立てる速さなら、誰にも負けない

製造部 足立さん ――入社するまでの経緯を教えてください。 当社で働く前は、別の会社でプリント基板に電子部品を取り付ける基板実装という仕事を担当していました。 ですが私の作った製品は、自分たちの会社の名前で売り出されません。大手メーカーから基板実装などの一部の業務を受託していただけでしたから、販売時に表に出るのはその大手メーカーの名前だけ。何年か働くうちに、そのことに不満を感じるようになっていました。 そこから転職することも視野に入れ始めたとき、当社で働いている旧知の先輩から「今働いている会社で人材を募集しているから、一緒に働かないか?」と声を掛けてもらいました。詳しく話を聞いてみて、バスの降車合図用ボタンなど、私もよく見掛ける製品を手掛けていることに興味を持ちました。「この会社なら、きっと今のような不満を抱くことはないだろう」と感じ、転職を決意しました。 実際、転職してからバスに乗ったとき、当社の製品が使われている場面を見ると、「自分の作った製品がこんなところで使われている」と実感できて、気分がよかったですね。 ――現在の業務内容は? 現在はデジタル行先表示器の組み立てから検査、梱包、出荷の手配までをすべて担当しています。また、試作品を作るときには、前職の経験を買われて、基板実装の仕事を頼まれることもありますね。 組み立てる機器は、毎日変わります。同じ行先表示器であっても、搭載するバスを走らせる運行会社や路線によって、機器の大きさや部品を取り付ける位置などが少しずつ違うのです。毎日、担当する仕事の内容が少しずつ変わっていきますから、いつも新鮮な気持ちで業務に取り組めています。 私がこの会社に転職してきてから、できるだけ効率のいい組み立て方を模索してきました。ねじを締めていく順番、工具を置く場所など、日々工夫して自分なりにやりやすい方法を考え、作業時間を短縮できるように努めています。今は、私ともう1人の社員とで力を合わせて組み立てているのですが、行先表示器の組み立てなら、どこの誰にも負けない速さだという自信があります。 ――この会社のいいところは、どんなところでしょうか。 勤務時間内に予定どおりの業務を終えようとする意識が高いところですね。定時までにしっかりと1日の仕事を終えて帰る社員が多いです。私も帰宅時間が早くなり、子供と家で過ごせる時間が増えました。平日の夜に家族と外食する余裕もできましたね。 もちろん、決して仕事を残して無責任に帰宅するような社員はいません。1人では終業時間までに終わりそうにないほど仕事を抱えている社員がいたら「定時までには終わらせよう」と周りが手を差し伸べてくれます。 ――今後、どんな技術を磨いていきたいですか? 組み立て担当者としては、やはり作業時間を短縮することです。より効率を高めて、手際よく組み立てられるように改善を積み重ねていくつもりです。 ――読者が社会に出て働くようになったとき、どんなことを大切にしてもらいたいですか? よく言われる言葉だと思いますが、仕事をする上では「やる気」「元気」「根気」の3つが大切になります。 私としては、その3つに「息抜き」を加えたいですね。残業ばかりで仕事漬けの日々を過ごしていると、疲れがたまって次第に作業効率が落ちてきます。そうして遅れた分を取り戻そうと長時間働いていると、さらに疲れが溜まり、悪循環に陥っていきます。 一方、うまく息抜きできるようになると、疲れを翌日に持ち越さず、作業効率も上がり好循環が生まれます。「やる気」「元気」「根気」になるため、「息抜き」を大切にしてください。

08_02.jpg 製造部 足立さん
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先輩メッセージ
行先表示器に表示する文字データの作成がもっと簡単になるようプログラムを改修

技術開発部
柿崎さん
――どんな縁があって、この会社と出会ったのでしょうか。 前職を退職して就職先を探していたとき、ハローワークから当社を紹介されました。 自宅から通うのに便利な場所に工場があり、面接を受けたときにも「みんな、穏やかで優しそうな人だな」と感じました。私は「無理してがんばる必要がない職場がいい」と希望していましたから、自然体で働けそうなこの会社で働いてみようと思いました。 当社製品の制御などに使うプログラムを開発しています。 例えばこれまでに担当したものの中には、デジタル行先表示器に表示する文字のデータを作成するプログラムの改修があります。デジタル行先表示器には多数のLEDが埋め込まれていて、光らせるLEDの1つ1つに命令して文字を浮かび上がらせているのです。 そのプログラムは以前、浮かび上がらせる文字の形を修正したい場合、LEDの1つ1つについて「光らせていたが、光らせない」といったように設定を変更する必要がありました。けれどそのやり方では、1つ1つ作業することになり、とても手間が掛かっていました。 そこで私が改修を担当することになったとき、1つずつ修正していかなくても、キーボードの右ボタンを1回押すと文字全体がLED 1つ分ずつ右に移動するようにするなど、プログラムを改修しました。かなり操作しやすいものになったと思いますよ。 当社に転職してきて、書類作成などに時間を取られることが減り、自分の好きなプログラミングに没頭できる時間が増えました。 また「ここの部分のプログラムを、こう変えた方がいい」と提案したら、改善につながることだと判断してもらえれば、「やっていいよ」とすぐに認めてもらえます。 私にとっては、働いていてとても居心地がいい環境ですね。 やりたいことは、たくさんあります。 例えば、社内の売上や受注・在庫情報などを管理する基幹システムを、自分の手で刷新してみたいです。製造原価や在庫状況などをもっと簡単に把握できるようになれば、会社にとって役に立つと思います。 そしていつかは、会社経営の中でシステムをどのように活用していくか、全体を俯瞰して考える役割を任されるようになっていきたいですね。 誤解を恐れずに言うと、周囲の上司・先輩に迷惑を掛けてもいいので、できるだけ早く仕事を覚えることが若手の仕事だと私は考えています。 若いころに「こんなことをやったら、後で怒られるのではないか」「先輩は今、忙しそうにしているから、分からないことを質問しづらいな」と遠慮していてはいけません。 若手が上司・先輩に迷惑を掛けることは、企業側は計算に入れています。遠慮せずに周囲に迷惑を掛けて、1日でも早く一人前に成長していってください。 注)掲載している情報は、取材日(2014年12月)時点のものです。

10_02.jpg 技術開発部 柿崎さん