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株式会社 壽屋

株式会社 壽屋 ニーズに応え続けることで向上していった技術力<br>お客様を第一に考えて進み続けてきたフィギュアメーカーとしての道のり

株式会社 壽屋

ニーズに応え続けることで向上していった技術力
お客様を第一に考えて進み続けてきたフィギュアメーカーとしての道のり

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輝く技術 光る企業

株式会社 壽屋

ニーズに応え続けることで向上していった技術力 お客様を第一に考えて進み続けてきたフィギュアメーカーとしての道のり

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  • 社名:株式会社 壽屋
  • 設立年月:1953年(昭和28年)1月
  • 資本金:89,000,000円
  • 従業員数:152名 (男116名、女36名)
  • 代表者:代表取締役社長 清水 一行
  • 本社所在地:東京都立川市曙町一丁目18番2号 一清ビル5F
  • その他所在地:東京/立川・秋葉原・八王子  
    大阪/日本橋
  • 電話番号:042-522-9810
  • 公式HP:http://main.kotobukiya.co.jp/
  • 以前はマニアックな趣味であったフィギュアやプラモデルであるが、今では食玩や携帯ストラップなどをはじめとして幅広い世代に親しまれるものとなった。株式会社 壽屋は小売店からスタートした、フィギュアやプラモデルをメインに取り扱っている玩具メーカーである。美少女アニメから映画のキャラクター、野球の球団グッズなど、誰もが楽しめる多様な製品のラインナップには見ていて心を奪われる。メーカーとしての成功への道のりや高い品質が要求されるフィギュア製造について、その裏側を探った。
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業種

玩具製造販売

事業紹介

模型の企画・開発・製造・卸売・販売
完成品フィギュアの企画・開発・製造・卸売・販売
書籍の企画・開発・製造・卸売・販売
キャラクターグッズ商品全般の店舗・通信販売
など

立川で小売店としてスタートし、幅広く支持されるフィギュアメーカーに

清水 一行さん 株式会社 壽屋 代表取締役 壽屋は1947年に立川で開業。創業当初は節句人形などを取り扱っていたが、時代の変化と共に玩具店になり、プラモデルの専門店になっていったという。現在ではフィギュアをはじめとする玩具メーカーとしても大きく成長を遂げた。これまでの会社の経緯を清水一行社長に伺った。 「小売店からスタートして、自社製品の製造を始めたのは今から27〜28年前の事です。立川には美大が多く、美大生のお客様が当時流行っていたガレージキットを作ってくれたのを売り出した事がきっかけです。それから徐々に外注に出すようになりまして、ある時、縁があって取引先の製造工場を任される事になり、店舗と工場(製造)を同時に展開する事になりました。工場経営は全くの素人でしたから、わからないことだらけで、最初の2年ぐらいはすごく大変でしたよ(笑)。」 当初はプラモデルがメインの商品だったというが、1995年頃からいわゆるフィギュアと呼ばれる、組み立てる必要のない商品が主流になっていった。今では従業員数146名、中国に工場を構え、販売では日本全国のみならず海外でも幅広く展開している。 「会社として急成長したのは今から5〜6年前ですね。商品の購買層が変化したことが大きな要因です。それまでは一部のマニア向けで一体数千円もしたフィギュアでしたが、500円程度で手軽に楽しめる食玩などが流行し、マーケットが拡大しました。今ではキャラクターもののフィギュアなど、若い女性の方からも受け入れられ、幅広い層にご支持いただいています。」

kotobukiya-08.jpg 代表取締役 清水 一行さん
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kotobukiya-26.jpg 店舗の風景

メーカーとして成長してこれたのはお客様のニーズに応えていった結果

清水社長が二代目代表取締役に就任されたのは1986年。ちょうど壽屋がメーカーとしてスタートした時期と重なる。ご自身の入社時からの事も振り返りながら現在までの軌跡をお話いただいた。 「正式に入社したのは25歳の時ですが、昔から強く家業を継ぐように言われてきた事もあって反抗心の方が強く、嫌々始めたんです(笑)。ですが、いつの間にか物を売るという商売の面白さに気がついて、それからは地域の一番店を目指して雑誌に広告を出したり、イベントを開催したり、当時は珍しかった輸入品の画集やプラモデルを扱ったりと、少しでも壽屋の知名度をあげるためにいろいろやりました。」 さらに、壽屋がメーカーとして成長していったのは、とりわけ清水社長が積極的に推進したからではなく、お客様のニーズに応えていった結果だったと清水社長は語る。 「もともと私はフィギュアやプラモデルにはあまり興味が無かったのです。でもだからこそ今までやってこれたと思っています。趣味と仕事を混同してのめりこんでしまうと商売として失敗してしまうことが多い。商品に深入りしなかったからお客様の事を第一に考えてこれたと思っています。大勢の人に提供していきたいという気持ちが根底にあるので、マニアックな店にならずに誰もが立ち寄れる店を心がける事が出来たのです。箸、野球のマスコット、本、など幅広い分野でやっていきたいんですよ。」

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お客様の要望に応えられる事こそが技術力だという厳しい世界

フィギュアやプラモデルはとにかく高い品質が求められる厳しい世界。壽屋の技術力が高まった事には理由があるという。 「昔は商品として世の中に出るだけでお客様に感謝されていたのですが、お客様からの品質に対するこだわりがどんどん高まってきました。ご要望に応えるためにイタチごっこで技術力が向上していったわけです。以前だったら問題無い品質でも今ではすぐに返品されてしまいますから大変ですよ。お客様の要望に対応できる許容量こそが技術力だという世界ですね。」 壽屋では原型という製品の最初の試作モデルを自社の原型師が作成し、製造は中国の工場で行っている。大量生産が行われる中での品質管理について伺った。 「今は専属の製造工場がありますので、クオリティには安心できていますが、それ以前は厳しい品質に応えられる所を探すのが大変でした。他の国でも展開したいのですが、彩色はほぼ手作業でやっていますので、今の品質レベルを他の場所で一からやるのには技術指導にかなりの時間がかかるのが問題ですね。フィギュアという製品には流行があり、何十年も売り続けるものではないので、オートメーション化することが出来ないのです。出来上がった製品は最終的には人間の目によるチェックをしています。」

kotobukiya-22.jpg 曜達工場(中国・東莞虎門地区)
kotobukiya-23.jpg 曜達工場での作業風景

自分達の仕事によってお客様が喜ぶ事で、喜びを感じられるようになって欲しい

壽屋としてこれから求める人材や、会社の方針、職場の雰囲気などについて清水社長にお話いただいた。 「採用についてはここ6〜7年は新卒で募集しています。求める人材は『普通の人』です。あまりマニアックな人でコミュニケーションが取れないようでは駄目ですね。会社の方針としては、お客様を大事にするということを一番に考え、自分達のやっていることがお客様に喜んでもらって、初めて喜びを感じられるような、そういうスタッフの集まりにしたいですね。もちろん大変な事もたくさんあると思いますが、社内のみんなの雰囲気は明るくて良いと思いますよ。社長と若手社員との距離感も近くて、みんなで飲みに行くっていう時なんかは3〜4年目の社員が私に気軽に声をかけてくれたりするんですよ。」 また、壽屋ではフィギュアメーカーとして成功した今も小売店舗を持ち、販売を行っている。店舗を持つことは自社の強みであるという。 「接客がお客様に与える印象は大きいし、お客様の生の声を吸い上げられますから。それと、新入社員には研修で一定期間、店舗で働いてもらっています。マニアックなお客さまの対応をしていもらうと、コミュニケーションの良いトレーニングになりますよ。大変だけども社内だけで研修するよりも成長します。ゆくゆくは自社ビルに店舗を構えて、お客様に原型の作り方を教える模型教室をやったり、ゲーム大会をしたり出来たらいいなあと思っています。発祥の地である立川で、そういう事をして盛り上げていきたいですね。」 最後に清水社長からこれからものづくりを志す若者にメッセージをいただいた。 「常に先にいるであろう、製品を使ってくれるお客様に応えられるように仕事をして欲しいと思います。自分がやりたいから仕事するのではなくて、お客様のためと思ってやる事に意味があり、そこで工夫や努力が生まれます。自分のためだけだったらいつでも辞められるし続かないですよ。当社もお客様のクオリティに応えてきたから今があるわけですから。無理だと言ったらそこまでで、相手にされなくなってしまいます。常に相手がいるからこそ自分がここに在るっていうことは大事にしてもらいたいなと思いますね。」

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先輩メッセージ
今までにない、大人も楽しめるキャラクター雑貨をつくってみたいです

高城 里佳さん
企画営業5課 主任
平成19年4月 入社
高城さんは美術系の大学に在学中に就職活動をしていて、ホームページで壽屋を知ったのが入社のきっかけ。大学では立体造形を専攻していたそうだが、自分で作ることよりも考えることで表現するという手法に興味があり、製造ではなく企画の道へと進んだという。 --今の仕事内容について教えてください。 「企画営業ということで、基本的には新商品の企画を立てたり、ライセンス商品を扱う場合はその窓口になったり、案件のスケジュール管理もしたりしています。企画の仕事は、コンセプトがしっかりしていなかったり面白いと思われなかったらそこから先に進めないので大変です。2009年の11月に、企画から私が関わったスターウォーズのライトセーバーチョップスティックという商品を発売しました。企画から発売までに2年間かかり、長い道のりでしたが、おかげさまで話題にしていただいています。箸のシリーズは他にも数種類販売しています。実際にお客様から商品を買ったという声を聞いたときは本当に嬉しかったです。当社の製品は海外でも販売をしていますので、自分の考えたものが世界中の人の手に渡ると考えるとすごくやりがいを感じます。ゆくゆくは海外市場も視野に入れた仕事がしてみたいですね。」 --ライトセーバーチョップスティックを思いついた経緯はどういったものだったんですか? 「もともとスターウォーズのフィギュアを販売していたのですが、新規事業としてフィギュア以外のものを作ろうと思ったのです。そこで、会社のノウハウが活かせる立体物で、日常的なものというところで考えていきました。スターウォーズは日本のものがモチーフになっている部分が多いので箸を思いついたんです。版権元の会社からも面白がっていただいて意外とすんなり進みました。」 --これからどういうものをつくっていきたいですか? 「大人も楽しめるキャラクター雑貨をつくっていきたいと思っています。いわゆるキャラクターグッズは低年齢を対象したものが多いのですが、フィギュアを購入する層、極端に言えば大人の男性でも興味を持てるものをつくってみたいです。そういうものがあったらいいなあと思うので。」 --仕事をする上で心がけていることはありますか? 「自分が面白いと思うことを企画としてどう出せるかというところですね。アイデアが重要な仕事なので、なんでも頭から否定しない事を常に心がけています。自分の好き嫌いではなく、どんなものでもどこが魅力なのかを伝えられるようにしたいと思っています。」 --会社の特徴を教えてください。 「自由で上下関係も厳しくなく、親しみやすい会社だと思います。社員同士も仲が良いですし、新入社員も入りやすい環境ですよ。取り扱っているものがエンターテイメントの分野ですから面白いところも当社の魅力ですね。」 --ありがとうございました。最後に、ものづくりを志す後輩へメッセージをお願いします。 「自分が就職する前にはそこまで考えていなかったことなのですが、思っている以上にものづくりの仕事というのはたくさんあるんだと知って欲しいですね。ものが出来るプロセスがわかるともっと面白くなるし、選択肢も増えると思います。もっと細かい部分まで視野に入れて仕事について考えてみてください。」

kotobukiya-14.jpg 高城 里佳さん
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先輩メッセージ
誰でも簡単に楽しく作れて遊びやすいプラモデルを提供したい

綱島 勇太さん
第1事業部 開発課
平成20年4月 入社
綱島さんは子供の頃からプラモデルをつくることが好きで、プラモデルのメーカーに就職するのが夢だったという。就職活動で壽屋と出会い、会社のロゴになっている「CRAFTMANSHIP(職人魂)」という精神に共感して就職を決意。まさに夢を実現した若手社員である。 --担当されている仕事について教えていただけますか? 「入社してから二年間は原型の作成を行っていました。今は開発を担当しています。扱っている製品は組み立て式のプラモデルがメインです。出来上がった原型からプラモデルにするためには分割してパーツにしなければいけないので、そういったところを考えることをやっています。製造や設計は中国の工場で行っていますが、そこに指示を与える事も仕事です。あとは組み立て説明書のレイアウトなども行っています。いろいろなかたちや材質がありますので、やはりプラモデルにするのがとても難しいものもあるんです。人形だと関節の部分などは難しいんですよ。仕組みが分かっていないと難しい作業ですから、原型を作った経験がないと厳しいですね。担当しているものがパッケージが出来て商品になってきたときは『出来たー!』っていう達成感で、すごくやりがいを感じます。」 --仕事をしていて気をつけていることは何ですか? 「お客様の手に渡った時にどう思ってもらえるかというところですね。誰もが簡単にプラモデルを作れるというわけではありませんので、簡単に楽しく作れて遊びやすいと思ってもらえるように気を付けています。」 --入社して大変だったことはありますか? 「お客様の要求が厳しい世界で、他社の製品と比較してご意見をくださる方もいますから、満足していただくのが大変なところです。入社した当初は当社の店舗で販売の研修をしていまして、ダイレクトにお客様と接するので、そういった意見を聞けることが出来たのがよかったですね。玩具業界で企画から販売まで行っているところはあまりないですからね。」 --会社の特徴を教えてください。 「チャレンジ精神と団結力のあるところが当社の良いところです。また、フロアに仕切りなども無く、新人も先輩も別け隔てなくコミュニケーションが取りやすいので、新人が成長しやすい職場です。面倒見が良い人も多いですね。」 --ありがとうございました。最後にものづくりを志す後輩へのメッセージをお願いします。 「誰もが一度は何かをつくってみた経験があると思うのですが、ものが出来上がった時に達成感を感じられた人なら是非ものづくりの仕事にチャレンジしてもらいたいですね。ものを作る快感を味わって欲しいです。」

kotobukiya-10.jpg 綱島 勇太さん
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