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晃成製作所 有限会社

晃成製作所 有限会社 あの有名ジュエリーブランドの腕時計も、作っているのはこの会社<br>「made in Japan」の高級腕時計作りにこだわり。自社/他社のブランドを通じて、多彩なデザインの腕時計を生み出す

晃成製作所 有限会社

あの有名ジュエリーブランドの腕時計も、作っているのはこの会社
「made in Japan」の高級腕時計作りにこだわり。自社/他社のブランドを通じて、多彩なデザインの腕時計を生み出す

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輝く技術 光る企業

晃成製作所 有限会社

あの有名ジュエリーブランドの腕時計も、作っているのはこの会社 「made in Japan」の高級腕時計作りにこだわり。自社/他社のブランドを通じて、多彩なデザインの腕時計を生み出す

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  • 社名:晃成製作所 有限会社
  • 設立年月:1978年6月
  • 資本金:300万円
  • 従業員数:10名
  • 代表者:代表取締役 石川 正光
  • 社員平均年齢:39歳
  • 初任給:180,000円
  • 主な勤務地:東京都国立市谷保4077-3
  • 休日:第1・第3土日休み、有給休暇、夏期・冬期休暇
  • 本社所在地:東京都国立市谷保4077-3
  • 電話番号:042-575-2732
  • 公式HP:http://www.kousei-watch.co.jp/
  • ・自社ブランド「Monoceros」を育てつつ、有名ブランドの腕時計をOEM製造
  • ・数十年かけて築いてきた取引先との信頼関係が最高の財産
  • ・社員10人ほどで年間8000点もの腕時計を作り出す
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業種

自社オリジナルウォッチ製造、販売。腕時計OEM受注、製造

事業紹介

[正統派ウォッチメーカーを目指して]
晃成製作所は正統派ウォッチメーカーたることを目指し、その体制づくりを行ってきました。正統とは伝統を重んじつつも常に新しい試みにチャレンジすること、持てる技術と投入可能なコストを余すことなく物作りそのものに注ぎ込むことと考えます。そして何より他メーカーの追随を許さない独自性を持つことにより、顧客の皆様に心から必要とされる製品とサービスを提供し続けることであると考えます。そしてそれは確固かつ機動的な生産システム【ハード】と戦略的な商品企画【ソフト】の融合の上にこそ成り立ちます。

何を作ってる?

1万円もしない低価格のものから、数十万円、時には数百万円もする高級品まである腕時計。晃成製作所が手掛けるのは、その中でも数万円以上もする高級腕時計だ。最新鋭の製造装置と職人の手によって、少量ずつ多彩なデザインの腕時計を生み出している。 腕時計は、「ムーブメント」と呼ばれる時を刻むための歯車などがつくる内部機構と、時針・分針・秒針、文字盤、ケース、リストバンドなど、非常に多くの部品で構成されている。晃成製作所はムーブメントをスイスや日本のメーカーから仕入れ、文字盤・ケースなどを自社で製造、足りない部品は国内のパートナー企業から仕入れ、腕時計として組み立てていく。 製造した腕時計は、自社の腕時計ブランド「Monoceros」として販売するものも増えてきたが、まだ発展途上。大半の製品は、モノづくりの力を持たないが「自社ブランドの高級腕時計を販売したい」と考えている有名ジュエリーブランドなどの企業にOEM(相手先ブランド名製造)品として納められた後、納品先のブランド名で販売されている。納品先は10社前後だが、どこも1度は耳にしたことがあるような有名企業ばかりだ。

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会社の強み

優れた腕時計に必要なのは、まず高精度に時を刻むムーブメント。それ以外にも、高級感を伝えられるように精緻に作り込まれた多種多様な部品が必要だ。 ムーブメントについては、あるスイスメーカーの製造するムーブメントを中心に使っている。高級腕時計で有名なスイスの時計メーカーが採用しているのも、ほとんどがそのメーカー製。同社のムーブメントは非常に人気がある一方、供給量が厳格に定められていて、アジアにはほとんど出荷されない。けれど、晃成製作所は同社と数十年以上前からの付き合いがあり、同社製のムーブメントを仕入れられる国内でほぼ唯一の企業だ。 そして数十年来の付き合いがあるのはそのスイスメーカーだけではない。めっきや研磨といった加工、いくつかの部品の製造を依頼する外部のパートナー企業とも、長年にわたって仕事を一緒にしてきた。腕は確かで多少の無理な頼みでも快く応じてくれるため、普通の腕時計メーカーなら通常3~4カ月はかかる試作の仕事を、わずか2カ月で済ませたこともある。

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職場としての魅力

晃成製作所で働く社員は10人ほどだが、腕時計好きばかり。時計好きにとっては、多種多様な高級腕時計を自分自身の手で作り出せることが、働く上で何よりの魅力になる。それぞれの社員が複数工程の仕事を覚え、互いに支え合うことで年間8000点ほどの腕時計を生産している。 「私は現場に一切手を出さないで、社員みんなに任せる方針。そのおかげか、社員は自主性を持って仕事に取り組んでくれています。 加工に使うドリル1つを取っても、社員が選びます。以前は2700円のドリルを使っていましたが10点も腕時計を作ると使えなくなっていました。そこでたくさんのドリルを試してみて、1700円ほどで30~40点も作り出せるドリルを見つけ出してくれました。1点当たり200円ほど、年間で160万円ほど得することになります。 社長から『こうしろ』と命じなくても、社員みんなが自分で考えて、一生懸命働いてくれる職場です。それが私にとって、一番の自慢です」(石川正光代表取締役)

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社長メッセージ
本当の意味での「made in Japan」にこだわりたい

代表取締役
石川 正光さん
――自社ブランドの腕時計「Monoceros」について教えてください。 Monocerosをお買い求めいただいているのは、主に企業で幹部職として働く50歳以上の方々です。Monocerosは1個10万円以上、中には30万円するものもあります。それでも「他の人が持っていない腕時計が欲しい」とMonocerosの評判を聞いて買いに来てくださるのです。自分たちの工場で作っているわけですから、メンテナンス体制は完璧。修理が必要になっても、すぐに対応できます。そうした点も、評価いただいているのでしょう。 ありがたいのは、お得意様に恵まれていること。Monocerosを知ったきっかけを伺うと、「先に購入した知人からの口コミ」と仰る方は多いです。別事業のOEMの取引にしても、「晃成製作所に任せれば大丈夫だ」とお知り合いを紹介してくださり、そこから新しい企業との取引に発展することもあります。 最近は低価格帯の腕時計については、海外に製造装置を持っていき、安い人件費で部品を作り、部品を日本に持ち帰って日本で組み立てだけを行う企業が多く、それで「made in Japan」と称しています。スイスでは腕時計の60%以上を自国内で作らないと「SWISS MADE」と記載できないルールがありますが、日本では組み立てだけでも「made in Japan」と名乗れるのです。当社はできるだけ国内で製造することにこだわっています。そこも、当社のことを信頼いただけている理由だと思います。 腕時計の中でも高級腕時計になってくると、男性用でも女性用でも、「時計」ではなく「アクセサリー」として扱われます。高級腕時計を買う人は、人と会うときに自分の腕時計を見せて、「あ、この人は他の人とは違うな」と思わせたいわけです。作る側も「時計」ではなく「アクセサリー」と考えないと魅力的な腕時計を作れません。私の後継者となる専務には、「アクセサリー」としての腕時計を作るのに必要な基礎をしっかりと継承していきたいと考えています。

08.jpg 代表取締役 石川 正光さん

先輩メッセージ
春・秋の新作腕時計が出るたび、新しい加工に挑戦できて面白い

生産開発
渡瀬さん ――晃成製作所に入社することになったのは、どのような縁からだったのでしょうか。
工業高校に通ううちに、本格的に「モノづくりを仕事にしたい」と思うようになりました。特に部品に精密さが求められる時計作りに興味を持ち、時計の専門学校に進みました。 そこで時計修理と金属加工を学び、就職先を探したとき、晃成製作所の求人情報を見つけたのです。 ワイヤ加工とNC旋盤を担当しています。時計にはとにかく精密さが求められ、1000分の1~3ミリほどの精度で加工します。 ワイヤ加工で金属を切断するにしても、少しでも歪みなく切り出せるように気を配っています。同じ条件で加工していても、加工するうちに金属を削る歯が熱を持ってしまい切断力が変わりますから、朝と夕方とで加工方法を変えないといけません。 加工後は金属を磨く研磨の工程に移るわけですが、研磨するにしてもワイヤ加工時の仕上がり次第で磨きやすさが違ってきます。よりきれいに研磨できるよう、ワイヤ加工の段階でも仕上げには細心の注意を払っています。 製造する時計の種類によって差はありますが、1日にだいたい70~80個ほどの時計に必要な部品を加工しています。当社で加工する腕時計は、ジュエリー会社が販売するものが中心。春・秋には新作が出ますから、そのたびに新しい時計・部品を加工できて「面白いな」と感じます。人気の腕時計には追加注文が入り、増産することになります。どんな腕時計が人気なのかよく分かるので、そんなところも楽しいですね。 社員数が少ない会社ではありますが、その分、社員同士の仲がいいです。会話も多く、休憩中には自分の子供の話をするなど、誰からともなく会話が生まれます。雰囲気のいい職場です。 入社して9年目になり、加工についてはすべて1人でできるようになりました。ですが、時計ができあがるまでには、加工後にいくつかの工程があります。加工以外の工程も覚えていき、1人ですべての工程をできるようになりたいです。 「自分が何をやりたいのか」「将来何になりたいのか」という目標をしっかり持つことが一番大切だと思います。自分が「やりたい」と思えることが見つかったのなら、失敗することを恐れずに努力していってください。

09.jpg 生産開発 渡瀬さん
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先輩メッセージ
「自分が作った腕時計」と実感しながら働けるのは、技術者として幸せなこと

修理
羽住さん
――どのような思いがあって、晃成製作所に入社したのでしょうか。 晃成製作所で働く以前は、モノづくり関係の別の会社で働いていました。ですが、実際に機械を触って直接モノづくりに携われる仕事ではありませんでした。それが物足りなくなり、「やはり、自分が好きな時計を作りたい!」という思いが強くなり、以前に勤めていた会社を辞めて、時計の専門学校に入り直しました。 専門学校で3年間勉強した後、最初から最後までモノづくりに関われる仕事はないかと探してみたところ、当社の求人情報が見つかりました。ちょうど修理担当の社員を募集中でしたから、縁あって入社することができたのです。 小規模な会社ではあるものの、デザインから製造まで、当社には時計関連のすべての仕事があります。自分の希望どおりの会社だと思いましたね。 修理を担当しています。時計の針が動かなくなった故障品が送られてくるのですが、故障原因はさまざまです。主なものを挙げていくと、ただ電池が切れているだけ、パソコンやバッグの留め具などが帯びている磁気によって時計の機構が狂ってしまった、防水加工が劣化して水が入り込んでさびてしまった、といった原因があります。 修理の仕事で大切なのは、きめ細かく確認することです。ゴミが内部に入り込んでいないか、電池は切れていないか、歯車は滑らかに回るかと見ていきます。小さなさびがあるだけでも、さびから出た粉が歯車に引っ掛かって動きを止めてしまうことも起こり得ます。将来の故障を防ぐためにも、入念に確認していかないといけません。 腕時計を作っている近くで修理しているわけですから、「この部分は壊れやすくて、修理を依頼されることが多いですよ」と自分が感じたことを伝えることで、より優れた腕時計を作れるようになります。自分の意見がモノづくりに反映されるのは、すごくうれしいことです。 それに加えて、腕時計メーカーとして、モノづくりのすべての仕事に携われます。デザインから部品加工、組み立てまで行い、実際に動くことを確認した上で、お客様の手元まで品物を届ける。モノづくりに携わる者としては、すべての仕事に携われるというのは何よりも魅力的なことだと思います。 修理以外に商品企画や設計も学んでいきたいです。自分が商品企画・設計から関わった製品ができあがったら、今以上に「自分が作った腕時計だ!」という思いを持てるようになると思います。 やはり技術者としては、最初から最後まで、モノづくりのすべてに関わりたいという夢があります。モノづくりの花形は技術職だと思いますし、技術職として「自分が作った」という実感を持ちながら働けるのは幸せなことなのではないでしょうか。 好きなことを一生懸命やってください。「好きなこと」が見つかるまでは時間がかかるかもしれません。私の友人・知人にしても、高校のときに気付けた人もいれば、大学を出るまで「好きなこと」が分からなかった人もいます。「好きなこと」に気付く時期は人それぞれだと思いますが、できるだけ早く気付けるように努力してほしいですし、「好きなこと」が見つかったら一生懸命に実現しようと努力してください。そんな生き方こそが、年を重ねてから一番後悔しない生き方だと思います。 注)掲載している情報は、取材日(2013年11月)時点のものです。

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