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株式会社 マルコム

株式会社 マルコム マルコムとして新たな製品分野の柱「バイオテクノロジー」<br>メカトロニクスと生化学の融合が拓く次代のバイオテクノロジー

株式会社 マルコム

マルコムとして新たな製品分野の柱「バイオテクノロジー」
メカトロニクスと生化学の融合が拓く次代のバイオテクノロジー

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輝く技術 光る企業

株式会社 マルコム

マルコムとして新たな製品分野の柱「バイオテクノロジー」 メカトロニクスと生化学の融合が拓く次代のバイオテクノロジー

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  • 社名:株式会社 マルコム
  • 設立年月:1973年9月17日(昭和48年)
  • 資本金:3,500万円
  • 代表者:原田 学
  • 所在地:

    【本社】東京都渋谷区本町4-15-10
    TEL:03(3320)5611(代)
    FAX:03(3320)5615
    【ETセンター/ショールーム】東京都渋谷区本町4-11-2
    【湘南テクト(工場)】神奈川県秦野市平沢181-1
    TEL:0463(85)3411(代)
    FAX:0463(85)3255

  • 公式HP:http://www.malcom.co.jp/
  • 日本の生産技術を支えたメカトロニクス。それは、機械装置に電子工学的知見を融合させ、新たな価値を創造した。しかし近年、あらゆる製品の生産拠点が新興国へと移転され、国内の生産拠点は研究開発拠点へと姿を変えている。そんななか、試行錯誤の毎日から、株式会社マルコムがようやくたどり着いた解の1つは、メカトロニクスと生化学の融合によるバイオテクノロジー分野での画期的な検査システムだった。
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業種

画像処理システムを応用した製品の製造・販売、医用電子機器の研究・開発。
各種理科学センサーの開発とそれを応用した自動制御装置の製造・販売。

バイオテクノロジーの無限の可能性をマルコムの新たな成長の柱にしたい

「『バイオテクノロジー分野の検査は、試験管とスポイトで行うのが常識』ということを聞いた時、これはチャンスと思いました」と株式会社マルコムの原田社長が、バイオテクノロジー関連機器を前に、実装関連機器メーカーのマルコムがなぜバイオテクノロジー関連機器の開発をスタートさせたのか、その理由を話してくれた。 「なぜ、実装関連分野で成功しているマルコムがバイオなのか。それは、私たちが関わる実装関連分野が既に成熟した産業であり、新興国企業との競争激化にさらされているという現実があるから。ですから実装関連分野で企業が安定しているうちに、マルコムとして新たな製品分野の柱を立てておきたかったんです。そこで注目したのが、バイオでした」(原田社長)。 実装関連分野は、高度成長時代においては花形産業であり、マルコムもその恩恵を受けた企業の一つ。その利益で、現在の本社および工場用地を購入、研究開発分野でも潤沢に資金を投入できた。そしてその結果、独自固有の高度なメカトロニクスを駆使した製品を開発し、市場へ投入する好循環が実現できたのだ。 まさに順風満帆の状況ではあったが、やがて製造業各社は、安い労働力を求めて新興国へと生産拠点を移転、マルコムも取引先の要請を受けて海外へと進出していった。しかし、海外のメーカーが徐々に技術力を蓄積していく状況を目のあたりにして、次の新たなる成長分野を模索する必要性を原田社長はひしひしと感じていた。そこで原田社長が目に付けたのは、バイオテクノロジー分野だった。 「環境・クリーンエネルギー・新型インフルエンザ等に代表される医療分野等、これからの世の中が抱える課題の解の一つはバイオテクノロジーだと思うのです。ただし、残念ながら、この分野は未成熟な産業分野であり、さまざまな企業が優秀な人材と研究資金を投資しているにも関わらず、なかなか成果が出ていない状況が続いていた。それはなぜか・・・。この産業の常識がその成長を押しとどめていたのです」(原田社長)。

malcom_ph01.jpg 原田 学社長

メカトロニクスとバイオテクノロジーの出会い。それが、高精度全自動システムとして結実

原田社長をはじめ、マルコムが大学と共同研究をスタートさせた頃のバイオテクノロジー分野は、実装関連分野の初期段階と状況が似ていたという。 試験管とスポイト・試薬を使って、分析を進めていく。それは、組み立てからハンダ付けまで、すべて手作業していた40年以上前の実装分野を彷彿させる。分析の工程で手作業が中心となってしまうことは、分析結果は分析者のスキルや知見に頼るものであり、精度にも差が出てしまう。 その克服に、マルコムが実装関連分野で培ったメカトロニクスが活用できる。そのような確信を原田社長が得るのに、さほど時間はかからなかった。 「バイオテクノロジー分野のほとんどが手作業なので、その作業の自動化ができないのか、そのための試行錯誤の日々が続きました。しかしもともと我々には、実装関連分野で鍛えられたメカトロニクス技術がある。温度管理や粘度管理、画像処理等の基礎技術はバイオ分野であっても十分に応用できるのです。それは、大学との共同研究の結果、高精度な全自動核酸抽出器や全自動遺伝子判別装置へと結実させることができました」と話す原田社長。たゆまぬ技術の融合がもたらす新たな価値の追求は、もちろん今もなお、続いている。

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モノづくりはクリエイティブな仕事。だから、遊び心も大切にしたい

マルコムの創業地は日本でも有数のクリエイターを輩出する下北沢。そして現在は、新宿の東京都庁にほど近い地にある。さぞかしモノづくり企業における重要な理由があるのかと尋ねると「単純に新宿歌舞伎町に近かったから(笑)」と原田社長は豪快に笑って言った。 モノづくりは、クリエイティブな考えがとても必要。だから、遊び心を持ち育むのも、大切な『能力』だという考えをお持ちだそうだ。そういう意味では、マルコム流モノづくり企業のあり方といえるのかもしれない。 さらに、現在、マルコムが重視していることを質問すると、「当社では、年齢や役職に関係なく、新たな研究に取り組んでみたり、試作品を創ってみたりすることを、比較的自由にやらせる企業文化があります。それは、技術は常に磨いていくべきものであり、さまざまな体験を通じてこそ新たな技術が生まれてくるからなのです」と答えてくれた。 「中学校の工場見学や教員の企業研修等も積極的に受け入れ、大学との共同研究等もしています。新たな人材・知見との交流は当社の技術力の向上を支えるものであり、大切な財産ですからね」(原田社長)。 これからモノづくり企業に入り開発をしていきたい!と考える若者にとっては、何とも心強い言葉だ。

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技術者の夢の多くはロボットに帰結される。社長の夢は次世代バイオロボット

「当社が求める人材は、常にチャレンジ精神旺盛な方。安定志向もいいけれど、そういう方は、おそらく当社に合いません」と話す原田社長。 ご自身も、実は、ロボットを将来は造ってみたいと構想を巡らせているそうだ。 「私たちの世代は『鉄腕アトム』をこの手で造ってみたい等という夢を持って、技術者として技術と経験の蓄積をしてきました。現在では、ES細胞という万能細胞が発見されるに至り、人工筋肉等の開発も見えてきています。夢の段階ではありますが、将来的には、技術の結晶としての『バイオロボット』というような製品が生まれるのではないか。その開発の現場に、私たちは、メカトロニクスと生化学を融合させた製品で携わることができると確信しています」(原田社長)。 モノづくりは、クリエイティブであるという原田社長が率いるマルコムは、バイオテクノロジー分野でのメカトロニクス革命を通じて、新たな夢へと邁進していくことは間違いないだろう。

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組織の歯車の安定よりもやりたい仕事ができる幸せを選びました

1993年入社
設計部 設計1課
課長 西島 光利さん
私とマルコムとの出会いは、「トランジスタ技術」という技術専門誌でした。求人広告を出していたのが、マルコムだったのです。その当時から、ロボットやメカトロニクスに対して興味があった私は、この雑誌に求人広告を出すマルコムに親しみを感じました。その頃の私は、大手企業に所属していましたが、漠然と感じていたのが、組織の歯車の1つでしかないことへの不満でした。このままでいいのだろうか?その不安が、マルコムの扉をたたくきっかけとなったのです。 入社後は、かねてからやりたかった設計部門へ志望、リフロチェッカーのプログラム開発を担当しました。そして、製品の改良を重ねる中で、回路設計や基板設計にも担当、試作品なども作成し、試行錯誤しながら製品改良に取り組むことができるのは、まさに歯車ではなく、その製品の技術を支えているというエンジニア冥利に尽きる経験でした。なかには不具合もあり、製品回収や場合によっては海外の得意先の工場での修理で訪問したことも、今となっては良き思い出であり、貴重な経験となっています。 当社のよさは、技術者として取り組みたい仕事をとことんまでやらせてくれる環境があることだと思います。回路がやりたいと言えば、知識・経験がなくても、試作品を造らせる度量の深さがあります。そのようなマルコムの企業文化は、大手企業では味わえないであろう技術者としての誇りと幸せをもたらしてくれる。就職活動では、そのような視点もぜひ加えて欲しいと私は考えています。

malcom_ph07.jpg 1993年入社
設計部 設計1課
課長 西島 光利さん

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やりたい研究を存分にできる風通しのよい環境

商品企画室 研究員
博士 鈴木 健之さん
大学で共同研究をしていたことが、私がマルコムへ入社するきっかけでした。大学で研究を進め、ドクターの資格も得ていた私は、大学に残るか、それとも企業に就職するかの選択を迫られていました。その時、先輩で大企業へ就職された方が、なぜか元気がないように見受けられたのが印象に残りました。 大企業の研究は、短期に結果が求められる傾向が強く、また、携わる研究課題も幅が狭い傾向が強いということが、どうやらその理由でした。 マルコムは、入社する前から既に、大学の研究室で共同研究をしていたことから、研究環境についての不安はありませんでした。また、マルコムでは、「やりたいことをとことんまでやらせる」という企業文化があります。その結果、様々な実装関連技術が開発され、その中では世界標準となったものもあります。自分が積み重ねた研究が実社会で役立つ製品や技術とするには、最適な環境であると考え入社いたしました。 バイオテクノロジーがなぜ産業化していかないのか、その理由の1つは、研究して満足してしまうということがあります。また、自動化やシステム化という概念がなかったこともごく一部の研究者のモノに留める要因となりました。しかし、マルコムでは、実装関連分野で培ってきたメカトロニクスやロボット技術と、私が研究してきた基礎生物学を融合させる製品を開発、産業化への道筋が見える数少ない企業の1つです。さらに、今後はそのラインナップも拡充していく予定です。 バイオテクノロジー分野の製品で私の担当している業務は、製品の改良と開発・その中で使用される試薬の開発等多岐にわたります。研究から産業化への全ての領域を経験できる。それは、中小企業ならではの魅力だと思います。 そして、モノづくりの醍醐味は、自分の研究したことが、世の中のニーズと合致して役立つ技術・製品として昇華してゆくわくわく感を体感できることです。そのような楽しさを分かち合う仲間にお会いできることを楽しみにしています。

malcom_ph09.jpg 商品企画室 研究員
博士 鈴木 健之さん

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