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株式会社 マテリアル

株式会社 マテリアル 今がチャンス!そう思う瞬間が必ずある!<br>東京から世界へ! アルミ加工技術で未来への架け橋を構築する

株式会社 マテリアル

今がチャンス!そう思う瞬間が必ずある!
東京から世界へ! アルミ加工技術で未来への架け橋を構築する

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輝く技術 光る企業

株式会社 マテリアル

今がチャンス!そう思う瞬間が必ずある! 東京から世界へ! アルミ加工技術で未来への架け橋を構築する

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  • 社名:株式会社 マテリアル
  • 設立年月:1992年7月14日
  • 資本金:2001万円
  • 従業員数:35名
  • 代表者:代表取締役社長 細貝 淳一
  • 本社所在地:東京都大田区南六郷3-22-11 〒144-0045
  • 公式HP:http://www.material-web.net/
  • 東京都大田区。4700社もの中小企業が軒を連ねるこの日本の製造業の街で今、既成概念を打ち破りながら果敢に「中小企業の形」を変えようとする会社があります。 創業者である細貝淳一さんは、26歳のときに同社を設立。アルミ加工技術によって、創立当時は夫婦2人だった会社を、現在35名のスタッフを抱えるまでの企業に成長させました。ここまで至る過程には、多くの苦労もあったようですが、細貝社長は過去を語るのではなく、いつもその視線は今現在へ、そして未来へと向いています。常に前向きに、ポジティブに考えることで、これまでの中小企業というイメージを大きく変えました。細貝社長に、ちょっと過去を振り返ってもらいながら、未来の中小企業のあり方、進むべき道を語っていただき、また二人三脚でやって来た取締役の恵美子夫人、若いスタッフにも取材しました。
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業種

非鉄金属材料販売、精密部品加工、設計製作

事業紹介

アルミ材料から製品完成まで社内で一貫生産しています。

経営者からのメッセージ
常に前向きであることが大事

細貝淳一さんは15歳で定時制高校に通いながら内装工事の会社に入社しました。 しかし、人間関係でギクシャクし、1年後に仕事を辞めてしまうことに。 「上からものを言われるんですよ。まだ若かったし、カチンと来て、辞めてしまったんです。その後、バイト生活を転々としました。でも、どこでも社長とか上司とぶつかるんです。」 ジェントルで、細やかな気遣いの現在の細貝社長からは想像できない時期があったようです。 「18歳の時に、今の仕事の原型となる仕事を始めたんです。営業の仕事でした。やりだすと面白くて、営業の方法に関して、“もっとこうすれば良くなる”ってことを社長に提案したんですね。しかしあまり乗り気じゃない。そこで独立を申し出ました。 8年間の会社員生活で分かったことは、自分は経営者の下では仕事ができない、ということでした。じゃ、どうするか。会社を持つしかない!(笑)。」 そう語る細貝社長ですが、22歳の時に結婚したことも会社を興す要因だったようです。 「実はね、嫁さんの方が給料が良かったんですよ。バイトなのに私よりたくさん稼いでいた。だから、嫁さんよりたくさん稼げるようになりたいと思ったんです。」 細貝恵美子さん 取締役 当時のことを、奥さんであり取締役の細貝恵美子さんに聞いてみました。 「仕事に対する熱意はすごくありましたね。若いし、やると決めたら絶対にやるタイプだったので、勤めていた会社を辞める時も、もうこれ以上自分はやっていけない、と思ったようです。私も『辞めれば』と言いましたね。それで一緒に会社を始めたんです。」 結婚4年目で会社を設立し、細貝社長は昼は会社の仕事、夜はアルバイトと、1日20時間働いたといいます。 恵美子さんも経理や事務の仕事をこなし、夫婦そろって平均睡眠時間3時間という生活でした。 細貝「30歳までに自分の家を持つ、という目標を掲げていたんです。約束ですね。それを実現させるためにはとにかく前向きに働く。従業員も少しずつ増え、売り上げも伸びました。しかし平成14年に景気が落ち込み、大田区でも多くの会社がつぶれたんです。ちょうど今の景気状況と似たところがありましたね。だけどうちはその時に今の工場の土地を購入したんです。当時、どこの会社もそんなことをするところはありませんでした。しかしこれが商売の起点になりましたね。」

material_ph01.jpg 細貝淳一社長
material_ph02.jpg 細貝恵美子さん
取締役

スピーディーな対応こそ、会社の哲学

株式会社マテリアルには、『材料』『加工』『検査』『CAD』の4つの部門があり、それぞれ充実した設備・機器を整え、お客様のニーズに応えています。『加工』部門では、さまざまなマシニング加工によって、スピーディーに受注から加工、納品まで対応しています。細貝社長が特にこだわっているのが『時間=スピード』です。 「ひとつのことを4年かけてやると、80年の人生だとすれば20回。それじゃ少ないというのなら、スピードをアップさせるしかないわけです。私が時間にこだわるのは、限りある人生、どうやって有効活用していこうかという点なんですね。」 朝8時から夕方の5時までかかる仕事を、午後3時に終えてというフレックスが認められている時代、できるだけ時間を短縮して、残った時間を活用したい」 スピーディーに作業を進めるためには、加工技術の高さはもちろんのこと、『材料』に関して自社所有をおこなっているのが特長です。株式会社マテリアルには、常に材料がストックされています。そうすることで、材料会社から購入する時間が省け、その分、お客様に迅速に納品することができます。常に材料がストックされているということは、材料会社から購入する時間が省け、その分、お客様に迅速に納品することができます。現在、会社にはアルミ材料をはじめステンレス・銅・真鍮など常時120tの在庫があり、他社を圧倒しています。

ものづくりに必要なもの…それは誇り

世界的な景気の低迷で、日本の中小企業、とりわけ製造業にもその波は押し寄せて来ています。しかし社会の基盤産業である製造業が衰退することはないと、細貝社長は言います。 「日本の産業、特に防衛関係や新幹線、鉄道の製造技術は非常にすぐれています。これが“ものづくりの国・ニッポン”の姿。しかしこのまま行くと、日本国内にすぐれたエンジニア、技術者が育って行かない状況に追い込まれます。若い人の力は絶対に必要なんです。斬新な発想、イメージ力、そしてパワーと、どれもこれからの日本に必要な能力です。そのためには、若者が活躍できる場を用意しなければならない。そして、やりがいというのは、自分がどんなパーツを作り、それが世の中でいかに貢献しているか。それを自分が作ることに誇りを持つことの大切さ。ものづくりは、作られたその商品が生活に密着しているという点で、最大の社会貢献だと思う。デジタルカメラひとつにしても、手触りを確かめた多くの人が〈これ、いいね〉と言ってくれる。私たちは最先端のものを作っているという自負があります。インターネットの接続機器を作ったり、プラズマディスプレイの試作機なども手がけて来ました。時代を先取りする商品ですよね。デザイン面でもすぐれていなければダメです。使う人が〈いいな〉と思ってくれること。それが作り手の誇りになり、自信になるのです」 もちろんそこには高い製造技術と、創意工夫、努力の結集があります。そしてその商品が社会に受け入れられた時、技術者は〈作ってよかった〉という喜びと、作り上げたプライド、さらにこれからさらにすぐれた製品を作って行こうとする向上心が生まれます。 また、細貝恵美子取締役は、こうした若いスタッフの思いをいつも聞いている母親のような存在です。彼らが仕事をするなかで考えていること、思い描いていることを実現させてやりたいと思っています。 細貝恵美子「若いスタッフたちに、ものづくりの必要性だったり、楽しみだったり、夢だったりを描いてもらいたいですね。与えられた仕事だけをこなすんじゃなく、自分たちの新しい発想や創造力を仕事に活かす。機械で作るのだけじゃなく、ものづくりってこんなに楽しい!って方向性を広げたいですね」

会社は清潔でなければならない

株式会社マテリアルの本社社屋は、1階に加工工場を備えた、メタリックなイメージの外観です。エントランスを入るとアルミとガラスを使ったモダンなデザインで、ミーティングルームなど、とても美しく、清潔なイメージがあります。中小企業の町工場というイメージからはほど遠い、まるでどこかのショールームのような雰囲気です。 細貝「エントランスというのはおもてなしをするところです。だから気配りをしています」 また、社内に掲示されたポスターには、すっきりとデザインされた企業理念が書かれ、会社のロゴマークが輝いています。 細貝「会社のロゴマークって大事だと思いますね。ブランドです。マテリアルという名前を知らなくても、このロゴマークを見たら安心だね、と言われるようになりたいし、ポスターだって、ふつうの会社ならデザイン性なんてまったく無視したような、いかにもって感じのものが多いじゃないですか。そういうのはやめておこう、という思い入れがあって、その結果こういうスタイルになったんです。デザインなどは全部うちのスタッフがデザイナーの先生に相談しながら作成したんです」 さらに社員が持つ名刺も、なかなかユニークなデザイン。 細貝「毎月たくさんの名刺をもらうけど、誰ひとりとして顔を覚えられないんです。じゃ、自分もそう覚えてもらえていない。じゃ、写真入りの名刺を作ろうと。だけど一般的な写真付きの名刺ってありきたりだし、ちょっと引いてしまうところってあるでしょう?だからこういうふうに、カメラ目線じゃないデザインにしたんです」 これまでの中小企業のイメージを覆す、オシャレでポップな感覚…細貝社長は、まさに大田区製造業のニューウェーブと呼ばれるのも当然のことかも知れません。

いずれは、会社のブランド商品を販売したい

細貝恵美子取締役には、将来への夢があるそうです。 「アルミで、たとえば文房具だったり、電気スタンドだったり、写真立て、本立てや楽器、料理用品なども作ることができると思うんです。そういうアイディアがスタッフにはいっぱいあるんですね。そうしたマテリアルブランドの商品を、どこかに店舗を構えて販売したいんです。それで、それぞれの商品には、野菜の直売所みたいに、作った人の顔写真が貼りつけられているような、そんなことが将来できないかな、と思っているんです。これまでうちが培ってきた加工の技術があるから、今まで見たことのないような素敵な商品が完成するんじゃないかなと思います。これを読んでいる女の子なんかはそういうことに興味を持っている人もいるでしょうね」 若いスタッフから母親のように慕われているという細貝恵美子さん。普段はスタッフのマナーや、言葉遣いなどを注意したり、体調の様子を見たり、スケジュール管理をしたりしていますが、スタッフの夢を実現させようと今、着々と計画を進めているようです。

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人生には踊り場が必要だ

細貝社長は、「人生には踊り場が必要だ」と言います。踊り場とは、流れるまま、流されるままに生きていくのではなく、時々自分の置かれた場所に立ち止まり、自分を振り返るための場所だと言います。止まらずに動き続けることも重要だけど、たまには自分と対話する時間が必要だと。 細貝「18歳の時、私には踊り場がなかったんです。車の免許がほしいと思ったけど、それはデートしたいだけのことで、本当なら車に乗ることで自分の行動範囲は大きく広がって、さまざまなことにチャレンジできたはずなんですね。きっと何かが変わって行ったでしょう。でも未来は見えなかった。気づかなかったんです。だから、若い人たちには、時々踊り場で自分の姿を見るようにしてほしいなと思います」 15歳から働き続けてきた細貝社長。今、若いスタッフと共に仕事をすることで、もう一度自分の青春の時間を取り戻そうとしているようです。 株式会社マテリアルは、社長以下、若いスタッフが日々みずからの技術を磨き、正確で迅速、しかも美しい仕上がりの製品を世界に送り出しています。

若手社員からのメッセージ
若いスタッフがやりがいを感じ、がんばっています

菅田康介さんは、高い技術が必要とされる加工の仕事をしています。 「仕事はとても楽しいです。でも、まだまだ覚えなければいけないことがたくさんあります。先輩に聞いたり、自分で考えて工夫したりしています。やりがいを感じるのは、会社はどんどん難しいものに挑戦させてくれる点と、それを完成させた時の喜びですね。技術の世界は、ここまで!ということがないので、これからも勉強して行きたいと思っています。」

material_ph04.jpg 菅田康介さん
精密製品加工部 加工課

コラム1

株式会社マテリアルが他の製造業社と違うポイントとして、技術職のスタッフは7年間勤めたらフリーエージェント宣言ができる、というのがあります。これは独立開業を会社が支援するというもので、莫大な資金がかかる機械は会社のものを使い、自分の出来高で仕事をするというシステム。これまでの中小製造業の会社では考えられなかった、まったく新しい試みです。

コラム2

中小企業は同族経営の会社が多い。しかし株式会社マテリアルはその考えを持ち合わせていません。次の社長になるのはスタッフの中から選んで行こうとしています。社長になりたい!という希望を持つ人は、がんばれば社長になれる。これもこれまでの中小企業にはなかったケースですね。