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三益工業株式会社

三益工業株式会社 オンリーワン企業をめざすためには、 独自の技術が必要 それが世界へと開かれる!<br>

三益工業株式会社

オンリーワン企業をめざすためには、 独自の技術が必要 それが世界へと開かれる!

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輝く技術 光る企業

三益工業株式会社

オンリーワン企業をめざすためには、 独自の技術が必要 それが世界へと開かれる!

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  • 社名:三益工業株式会社
  • 設立年月:1966年5月27日
  • 資本金:1,000万円
  • 従業員数:50人
  • 代表者:代表取締役社長 中西 忠輔
  • 本社所在地:東京都大田区大森中1-17-23 〒143-0014
  • 公式HP:http://www.mmsk.co.jp/
  • 精密加工、真空熱処理のすぐれた技術が、航空宇宙産業・原子力発電産業・鉄道車輌ブレーキ・半導体設備産業などに活かされ、社会に貢献している三益工業株式会社。つねに新しい技術を取り入れながら、社員の多くが技能検定を持ち、ISO9001-2000はもちろんのこと、航空宇宙品質マネジメントシステムであるJIS-Q-9100を構築しています。この三益工業株式会社の栃木県那須工場を訪ねました。
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業種

精密機械加工

事業紹介

航空宇宙機器・電力発電施設・高速鉄道車両・産業設備部品などの精密機械加工、真空熱処理、ユニットの組立・設備作業

世界に通じる技術力について
航空機・新幹線・原子力発電など、 人の生命を預かる仕事をしています!

中西「私たちの会社は、航空機の全体構造部分ではなく、フライトコントロール部分、駆動系や足回り、ロケットブースーターの部品、それにレーダーなどの管制方向システムに関する製品などから、東海道新幹線のN700系の車輌ブレーキ部分、それに原子力発電の精密機器を製造している会社です。航空機や新幹線といった、人が利用する乗り物の部品を作るということは、大事な生命をあずかることなので、社会的使命があります。安全であることが当たり前、すこしのミスも許されない製品作りをめざしています」 人間の生命を守るための製品を「重要保安部品」といい、那須工場で働く若いスタッフたちもその重要性をつねに認識しながら働いています。そこにはすぐれた技術力、もの作りに掛ける冷静な情熱が感じられます。 中西「私たちの製品は、95%以上が人の生命を預かる仕事ですから、当然製品の品質が問われます。そのためには自分の仕事に責任を持つことが大事。そしてそれがプライドにつながるのです。自分の技術がなければ飛行機は飛ばない、新幹線は走らない、という思いを社員たちは持っています」 中西社長は、もの作りの理念こそがもっとも貴重で、大切なものだと語ります。

mimasu_ph01.jpg 東北新幹線「那須塩原」駅から クルマ
で10分。緑ゆたかな森のなか に建つ
工場で待ち受けて くれたのは 当社の
中西社長。 44歳の若くてハツラツと
した人物です。

もの作りには、男女の差などない!

入社4年目の大塩健次さん(28)は 大塩「航空や鉄道など、重要な部品を製造していますが、いま若い人たちはこうした製造業を敬遠する傾向があるようです。だけど若い人の発想力こそが必要だと思いますね。想像力を働かせ、実際にものが完成する達成感、四角い立方体が形になっていく楽しさ、しかも社会に役立つものを自分たちが作っているんだという実感があります。それに男性だけでなく、女性の視点も大事なので、興味のある人はぜひやってもらいたいですね」 機械製造工場というのは、イメージ的に油にまみれた印象がありますが、那須工場では周辺が緑にかこまれている環境。決して泥臭いイメージはありません。そして工場では多くの女性スタッフも働いています。入社7年目の大山幸子さんは、機械加工品の仕上げ作業を担当しています。彼女も最初は工場で働くことは男性だけの職場だと思っていましたが、工場長から「女性も頑張っているよ」と言われ、もの作りに興味があったことから働きはじめました。 大山「これまで経験はまったくありませんでした。でも、もの作りに興味があったし、航空や鉄道関係の仕事は将来性があると思ったんです。今はひとつの製造工程を任されていますが、充実感がありますね。何より仕事が楽しいです。これってとても大事なことだと思うんですよ」 大山さんはつい最近まで、産休で1年2ヶ月の休暇を取っていました。産休を取れば、何となく退職する雰囲気では?と質問したところ、こんな答えが返ってきました。 大山「休みを取るときに言われたことは、〈今後のことをいちばんに考えるのがいいよ〉ってことで、休んだあとに復職することを希望していましたから、うれしかったですね。長期休暇を取ると戻りづらい気持ちはあると思うんです。だけど会社はとても戻りやすい環境を作ってくれた。これは本当にうれしく思いましたね」

mimasu_ph02.jpg 入社4年目 大塩健次さん(28)
mimasu_ph03.jpg 入社7年目 大山幸子さん

大きな工場ではないところに魅力がある!

那須工場は決して大きな工場ではありません。建物が二棟あるだけのコンパクトサイズ。大企業の工場なら敷地面積も広く、それぞれの部署ごとに分割されていますが、ここではそうしたことがありません。入社4年目の星忍さん(27)は、このコンパクトさの利点がいいと感じているひとり。 星「大手企業の工場と違うところは、会社全体が見えるということですね。会社の流れがぼくにも分かります。それによって、自分がどういう仕事をしていて、どう必要とされているかが分かるんです。自分がいなければ進まない作業があると思うと、仕事に対する責任感が出てきます。しかも製造する部品が社会の役に立っている。これが魅力です」 中西社長は、那須工場の若いスタッフたちがプライドを持って仕事をしていることが三益工業の特長だと考えています。 中西「製品自体は泥臭い感じのするものですが、こうした製品がハイテクに使われる。航空宇宙技術や東海道新幹線の車輌となっている。原子力発電や半導体技術に使われている。それがいかにいまの社会に必要なものであるのか、その自覚がポイントなんですね」

mimasu_ph04.jpg 入社4年目 星忍さん(27)

ある中学生から学んだこと

そして中西社長はこんなエピソードを話してくれました。 中西「じつは先日、大田区にある工場に修学旅行で中学生が社会見学にやって来たんですよ」 三益工業の工場は、本社のある大田区にもあり、ここでは半導体部品などの精密機械を製造しています。那須工場と連携して、より汎用性のある、コンピュータ部品などを製造している工場です。 中西「中学生の女の子たちだったんですが、〈なぜ町工場なんかに見学に来たの?お菓子工場やファッションの工場には行かないの?〉って聞いたら、彼女たちは〈私たちはふだんパソコンを使っていて、とても便利だと感じているけど、パソコンの中身については全然知らないから、いったいどういうところでパソコンの部品が作られているんだろう?って見学に来ました〉と答えてくれたんです。感心しました。ふだん使っているパソコン、利用する飛行機や新幹線の背景にあるものを知りたいという気持ち。あまり考えないことですけど、そのベースになっている技術というものがどのように作られているのか見に来る、これはとてもうれしいことでしたね」

継承された技術が、新しい技術を生み出す!

日本の中小企業の技術力の高さは、世界的に通用する高度な技術です。それは戦後の高度成長期に若者だった人たちが懸命に磨き上げてきたものですが、大田工場ではそうした高い技術を持つ技の職人ともいわれる人たちが高齢化してきています。いま、この技術を若いひとたちに伝え残していくことが大事なのです。 また那須工場では、若いスタッフたちがコンピュータを駆使し、CAD技術なども使った生産体制を取っています。しかしいくらコンピュータ技術が進んでも、最後は「人の持つ技術力」こそが決め手となります。目で見て、指先で感じ、耳で振動を知り、経験で判断する。こうした人間の持つ深い能力こそが、すぐれた技術力を作り上げているのです。 入社5年目の佐藤晃さん(36)は、これまで三益工業では取り組んでいなかった組立・分解工程を担当するスタッフ。入社してから他社で技術習得のために研修を受け、技能検定を積極的に受け、資格取得に頑張りました。 佐藤「この会社に転職してくるまでも技術系の会社にいたのですが、通信教育で資格を取ろうと思ったりしました。でも基礎ができていないとダメなので、三益工業に入って、他社に研修に行ったんです。やはり資格がないと相手先の会社に認めてもらえなかったんです。相手先の許可がもらえるレベルにまで自分の技術をブラッシュアップしなければいけない」 その結果、佐藤さんが取得した技術が、三益工業の新しい製造ラインである「組立工程」という部署を作り上げました。これまで手を出していなかった技術領域に進出したのです。それによって会社はさらにレベルアップしたのです。 佐藤「基本的には個人の技量で仕事をしているという感覚です。私でなければできない仕事だと思っています。そういう意味でとてもやりがいがありますね」 オンリーワン企業をめざすためには、こうしたスタッフ個人の発想とすぐれた技術力が必要であり、自分に何ができるのか?ということをつねに考える姿勢が重要です。そしてその発想を実現させてくれる会社のバックアップ体制もポイントなのです。

mimasu_ph05.jpg 入社5年目 佐藤晃さん(36)

18歳のきみたちへのメッセージ

中西社長は、18歳のあなたにこんなメッセージを送ってくれました。 中西「18歳で一生の仕事を決められるかどうか悩むかも知れない。でも、いまいちばん興味を持っていることは何か?そのためにはいろいろな社会を見ることが大事だと思います。たとえばパイロットになりたい、飛行機や新幹線の整備士になりたいという夢があるなら、その部品を製造している工程を知ることだって大事なことです。そこで学ぶ技術は将来かならず有意義なものとなるはずです。年配の職人さんから学ぶ技術もきっと役立ちます。働くということは給料をもらえるというだけではなく、そこに責任がついてくる。それを学ぶこと、それがわが社から18歳のみなさんへのメッセージです」 そして最後にこんなことを中西社長は語ってくれました。 中西「失敗することは当然あるんです。かならず壁にぶつかる。でもそれをどう乗り越えるか、失敗したことで会社には負担がかかるけど、その失敗したことが将来役立ちます。技術力が高まるんです。人間は失敗することによって、ググッと伸びていくんです。つねに前向き、それが三益工業の理念なんです」 厳しい世界経済のなかにあって、中小企業は景気変動にすぐ反応する傾向があります。しかしこの世界から〈もの作り〉が消えることはありません。社会が必要としている機械や製品、部品がなくなることはありません。それらを製造しながら、新しい発想力を持った人間が登場し、〈こういうことはできないんですか?〉と疑問を持ち、新技術を開発していく。ゆたかな可能性を伸ばし、育んでいく環境を三益工業はしっかりと整備してくれている……そんな雰囲気が満ちていました。 〈コラム〉 三益工業の大田工場は、平成14年に大田区の「優工場」として認定され、平成20年には東京都産業労働局より「東京都中小企業ものづくり 人材育成大賞知事賞」を受賞しています。 〈コラム2〉 三益工業の主取引企業は、川崎重工・富士重工で、両社の関連企業として多くの機械加工会社などがあり、日本の基幹産業である機械製造、さらに日本に5社しかない航空機製造会社の3社と取引しています。 〈コラム3〉 三益工業では、技術・技能の向上をはかるために、平成14年に「ISO9001-2000」を、平成19年には航空宇宙品質マネジメントシステム「JIS-Q-9100」を構築し、品質管理体制の強化をつとめています。 〈コラム4〉 本年6月「2009年元気なモノ作り中小企業300社」に認定されました。