<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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睦化工 株式会社

睦化工 株式会社 1年間に2億個。食品・化粧品等のキャップを量産<br>ヒンジ付き、リングを引いて開封、ワンタッチ着脱、ねじり式などのさまざまなキャップを製造。量産技術を生かした形状提案で試作品開発の事業が急成長

睦化工 株式会社

1年間に2億個。食品・化粧品等のキャップを量産
ヒンジ付き、リングを引いて開封、ワンタッチ着脱、ねじり式などのさまざまなキャップを製造。量産技術を生かした形状提案で試作品開発の事業が急成長

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輝く技術 光る企業

睦化工 株式会社

1年間に2億個。食品・化粧品等のキャップを量産 ヒンジ付き、リングを引いて開封、ワンタッチ着脱、ねじり式などのさまざまなキャップを製造。量産技術を生かした形状提案で試作品開発の事業が急成長

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  • 社名:睦化工 株式会社
  • 設立年月:1965年6月
  • 資本金:1,600万円
  • 従業員数:50名
  • 代表者:代表取締役社長 古川 亮一
  • 社員平均年齢:50歳
  • 初任給:200,000円以上
  • 主な勤務地:東京都大田区矢口
  • 休日:土日、ゴールデンウィーク・夏期・冬期休暇
  • 本社所在地:東京都大田区矢口3-17-13
  • 電話番号:03-3758-2641
  • 公式HP:http://www.mutsumikako.co.jp/
  • ・食品・化粧品・医療関連の多種多様なキャップを製造
  • ・樹脂を溶かして固める射出成形。完成品を機械と人で全数検査
  • ・量産技術を土台にキャップの形を提案。試作の依頼が急増
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業種

食品・化粧品のキャップ製造、プラスチック射出成形、インジェクション成形金型製作

事業紹介

【お客様の満足を超えた感動を創造します】
医療品成形と食料品容器成形で培った衛生管理と、化粧品容器成形で培った色調管理、色替え、樹脂替え技術はプラスチック射出成形業界トップクラスと自負しております。


【創業半世紀の老舗】
一家に一睦…睦化工は半世紀以上に渡り、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングなどの調味料や、スプレー缶、医療品に至るまで沢山の種類のプラスチックキャップを作ってきた会社です。


【先端技術も睦化工】
2010年に3Dプリンター事業を開始。人の手に頼っていた製品開発にいち早く3Dデジタル技術を取り入れ、開発スピードの短縮に成功。3DCADデータの制作から3Dプリンターを使った試作、大量生産までをワンストップで対応、多くのお客様から信頼を得ています。


【清潔な職場】
クラス50000のクリーンルームは、食品や医療品の生産に最適。高性能な検査機械を配備して安心・安全・高品質な製品を作り出しています。

【事業内容】 食品・化粧品・医療関連の多種多様なキャップを製造

ケチャップやドレッシングなどの食品、ヘアムースや制汗スプレーなどの化粧品の容器には、中身を漏らさないように樹脂製のキャップが付いている。睦化工は、そうしたキャップ加工の専門企業だ。 一口にキャップと言っても、ケチャップのようにヒンジが付いて先端が取れないもの、ドレッシングのようにリングを引っ張って注ぎ口を開封するもの、ヘアスプレーのように簡単に着脱できるもの、ペットボトルのようにねじって開け閉めするものなど、さまざまな種類がある。 同社はそうした多種多様なキャップを手掛け、年間2億個ものキャップを製造。特に衛生面への配慮が必要な食品・化粧品・医療関連向けのキャップを得意としている。

11.jpg ヒンジ付キャップ

【加工技術】 樹脂を溶かして固める射出成形。完成品を機械と人で全数検査

睦化工は、液状に溶かした樹脂を金型に注いでキャップの形にする射出成形という加工技術を専門にしている。 年間2億個ものキャップを作るため、金型に樹脂を注ぎ込むところなど、かなりの工程は装置を使って自動化しているが、最終的に見極めるのは技術者の目。「今日使う樹脂は昨日と比べて溶け方はどうか」「外から中が見えない金型の中に、十分な量の樹脂が注ぎ込まれているか」「樹脂が冷えて固まるとどれくらい縮むか」といったことを日々判断し、装置の設定を微調整している。 そうして完成したキャップを、検査担当者の目と自動画像検査装置で全数検査。0.1mmの汚れが付着することすら許さず、高品質に作り上げたキャップを出荷している。

04.jpg 樹脂を溶かし込んだ金型が合わさったところ。
ここから左右に開き、成形されたキャップが出てくる

06.jpg 社員がキャップを1点ずつ目で検査

【プロジェクト】 量産技術を土台にキャップの形を提案。試作の依頼が急増

キャップの形はメーカーの商品開発担当者が試作専門会社と相談して考え、睦化工などの企業に量産を依頼する。 この流れを変えて、試作段階からメーカー担当者と一緒にキャップの開発ができないか。同社はこのように考え、試作品を作る3Dプリンタを5年前に導入。試作から任せてもらえないかとメーカーに働き掛けるようになった。 量産の技術が分かるからこそ、「キャップの形を少し変えると金型の製作費と材料代を抑えられる」「もう一回り小さくすると金型で1度に生産できる個数が増えて効率が上がる」といった改善案を出せる。「試作から頼んでみよう」と考えるメーカーが急増し、この取り組みからの売上は2014年に前年比で10倍と急成長中だ。

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社長メッセージ
「睦化工は働きやすい会社だ」と言われるように、従業員満足の向上に努めたい

代表取締役社長
古川 亮一さん
――顧客企業からの評価で、記憶に残っていることはありますか? お客様に以前、「なぜ睦化工と取引していただけるのでしょうか」と伺ったことがあります。そのときの答えは、「細かいところまで、逐一報告してくれるからだ」というものでした。 例えば、「新しい装置を導入して、こんなことができるようになった」「先日の注文は、今ここまで進んでいる」といったことを、当社は細かく報告しているのです。そこが評価されていたわけですね。 私の考えになりますが、空腹時にレストランに行って料理を注文して、何分待っても出てこないと「確かに、注文したよな」と心配になりますよね。そんなときに、「調理は終わっていて、皿に盛りつけているところです」といった進捗を細かく報告してくれると安心できるでしょう。 納期どおりに納品することは当たり前で、それ以上に途中経過を細かく報告する。そんなことも、お客様に対するサービスの1つなのではないでしょうか。 3Dプリンタを導入して試作品の開発支援を始めただけでなく、試作と量産の中間、シリコンの型を使って100~200個ほどのキャップを作ることも始めました。試作から量産まで、その中間の生産数量も含めてワンストップで対応できるようにしたわけです。 その他にも、3Dデジタルソリューションサービスという新規事業を始めています。3Dプリンタを使って何か作りたいものがあっても、CADなどで3Dデータを作れないと意味がありません。そんな人の代わりに、当社が3Dデータ作成を代行するサービスです。 現在はそうした取り組みを新たに始めているわけですが、今後は自社製品の開発にも力を入れていきたいです。医療・介護などの分野で必要とされるような自社製品を生み出していきたいと考えています。 従業員満足です。当社は1965年の設立で50周年を迎えたところです。次の50年も存続して老舗企業になるためには、どうしたらいいのか。私なりに研究してみたところ、老舗企業の多くは、従業員満足、顧客満足、社会・地域貢献といった点を重視していました。 当社はその3点に気を配れているかと考えてみたところ、従業員満足だけ不十分かもしれないと感じました。そこで次の50年は従業員満足を最重要視して、従業員が働きやすい環境づくりを進め、「睦化工は大田区で一番働きやすい会社だ」と言われるように努力していきたいと考えています。 私は面接のときに履歴書を見ますが、学歴や受賞歴などはほとんど確認しません。仮に留年していても気にしません。「留年していた期間、アルバイトを一生懸命やった」「ボランティアに専念した」など、勉強以外のことに時間を費やしていたのなら、そうした経験はいつかきっと糧になります。 ですから、自分はこんな経験をしてきたと素直に話してくれて、「自分の経験してきたことを生かして、この会社でこんなことをやりたい」と正直に今の気持ちを話してくれる人を採用したいですね。 「競争しない」「比べない」「こだわらない」という3つの気持ちを大切にしてください。 就職活動をしていて、悩み苦しむ学生は多いと思います。その原因を考えてみると、「みんな、もう内定が出ている」「友達よりも社会的な評価が劣る会社には入社したくない」と競争・比較し、「父親が『必ず大企業で働け』と言っていた」といったこだわりに縛られているから、強い不安を感じているように思えてなりません。 どんな会社で働くことになっても、心の持ちようによって、人生は豊かで幸せなものになります。そのことを忘れないでいてください。

08.jpg 代表取締役社長 古川 亮一さん

先輩メッセージ
自分なりに工夫して納期に間に合わせる。無事に納められたら、うれしい気持ちに

企画物流部
松尾さん
――どんなきっかけがあって、こちらの会社に入社したのでしょうか? 当社で働いている知人から「一緒に働かないか」と誘われて入社しました。 入社してからしばらくは、完成したキャップをお客様のところに届ける仕事を担当していました。配送や倉庫管理といった業務に日々取り組んでいましたね。 そこから異動になり、1年ほど前から工場全体の進捗管理を任されるようになりました。工場内を1日中歩き回り、各工程で問題は起きていないか、お客様から注文されたキャップを予定どおり製造できているかと確認しています。 工場を見て回っていて「このままでは間に合わない恐れがある」と感じたら、製造する装置の割り当てを増やしたり、人員配置を変えたり、自分自身が手伝ったりすることで、とにかく納期に間に合わせるように対応しています。「これはもう間に合わないかもしれない」と誰かが言い出しても、何とか自分なりに工夫して納期までに納められたときには、うれしい気持ちになりますね。 共に働く仲間に恵まれている職場だと思います。面倒見のいい先輩がいて、励ますべきときには励まし、叱るべきときには叱ってくれます。 叱られることがあったとしても、叱られる内容はしっかり筋が通っています。自分でも「叱られて当たり前だ。この先輩は自分のことを思って叱ってくれている」と感じています。とてもありがたいです。 当たり前のことではありますが、これまで通り、納期順守を徹底し、お客様に喜ばれることが一番の目標です。 その他、いつか先輩のように人望があり社内に於いて潤滑油的な存在になれるようがんばります。 給料をもらうようになると、その給料分の働きを会社に返す責任が生まれてきます。「自分は給料分の働きができているか」としっかり考えながら働いてほしいです。 自分自身、物流の仕事をしていたときには、会社から言われるまま働くだけで、給料を受け取っていました。それが今の仕事に移り、納期に間に合わせるため、自分なりに考えて工夫する必要が出てきました。 言われるまま働いていれば、ある程度は会社に貢献できていたのが、具体的な指示がなくなり役割だけが与えられ、自分なりに考えて働く必要が出てきたわけです。それ以来、「自分の働きは会社に貢献できているか」と考えることが増えてきました。 これから社会に出る学生の皆さんには、働き始めたころから、そのような意識を持って働くように心掛けてほしいと願っています。

09.jpg 企画物流部 松尾さん

先輩メッセージ
装置の稼働データ、製品検査から、不良原因を早期に見つけ出せるようになりたい

品質管理課
河原木さん
――こちらの会社に入社するまでの経緯を聞かせてください。 以前は金属加工の会社で働いていましたが、業績不振で転職先を探さなくてはならなくなりました。私は品質管理を専門にしていましたので、品質管理の職種で人材募集している会社を探し、当社を見つけました。 同じ品質管理の仕事ではありますが、扱うものが金属と樹脂という違いがありました。未経験で不安に思う気持ちはあったものの、それ以上に自分にとっては未知の樹脂という素材を扱うことへの好奇心が勝り、「この会社で働いてみたい」と思うようになりました。 多摩川のすぐ近くに工場があり、静かで働きやすい環境だというところも魅力でしたね。 樹脂でキャップを作るとき、問題になるのが樹脂の焦げなどで発生する黒点です。当社では画像検査装置と人の目を使って全数検査していますが、まだ検査装置の信頼性がそれほど高くありません。いずれは検査装置だけで確認すれば問題ないように、装置の信頼性を高めていく取り組みをしています。 また品質管理には、不良品が発生してしまう原因を突き止め、生産方法を改善して不良率を引き下げることも役割として求められます。 その役割を果たすため、私は製造日報に記載されている装置の稼働データに目を通し、完成した製品を2時間ごとに確認することで異常が発生していないかと調べるようにしています。まだ勉強途中ではありますが、いずれはそうした日々のデータ確認や製品の確認作業によって問題点を早期に見つけ出せるようになり、不良品の発生を食い止められるようになっていきたいです。 樹脂加工について、まだ知らないことがたくさんありますが、上司・先輩が親身になっていろいろと教えてくれます。非常に勉強になっていますね。 それに加えて、私が前職の経験を踏まえて、「この業務をこのように変えたい」と改善提案をすると真剣に検討してくれます。自分の経験を生かせる職場だと感じています。 自動的に不良品をはじく画像検査装置 自動的に不良品をはじく画像検査装置 品質管理を今以上に強化して、不良率を引き下げていきたいです。 作る製品の品質が安定してくれば、お客様の満足度はさらに上がります。会社にも好影響があり、社員全員に喜んでもらえると思います。 社会に出て働くことになると、何らかの専門性を身に付けていく必要があります。自分が仕事にしたいことを若いうちに見定めて、知識を身に付ける、必要な資格を取るといった努力を積み重ねていってもらいたいですね。 また、人には仕事について向き/不向きがあり、さらに会社とも合う/合わないといった相性があります。「自分は職場で円満な人間関係を築くために、どんなことに気を付けないといけないか」「職場で起きるどんなことを不満に思うか」といったことを早めに把握することが大切です。 少しでも多くの人と出会い、いい人間関係を作り、好きな仕事に集中できる、そんな就職を目指して欲しいと思います。 注)掲載している情報は、取材日(2014年12月)時点のものです。

10.jpg 品質管理課 河原木さん
05.jpg 自動的に不良品をはじく画像検査装置