<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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日本ヒーター 株式会社

日本ヒーター 株式会社 小指大から、大型トレーラーに積み込む巨大なヒーターまで<br>1年間に約3000種類も。産業のさまざまな場面で使われる加熱・温度調整用の産業ヒーターを作り出す

日本ヒーター 株式会社

小指大から、大型トレーラーに積み込む巨大なヒーターまで
1年間に約3000種類も。産業のさまざまな場面で使われる加熱・温度調整用の産業ヒーターを作り出す

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輝く技術 光る企業

日本ヒーター 株式会社

小指大から、大型トレーラーに積み込む巨大なヒーターまで 1年間に約3000種類も。産業のさまざまな場面で使われる加熱・温度調整用の産業ヒーターを作り出す

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  • 社名:日本ヒーター 株式会社
  • 設立年月:1948年10月(創業:1924年12月)
  • 資本金:1億円
  • 従業員数:30名
  • 代表者:代表取締役 小柴智延
  • 社員平均年齢:42歳
  • 主な勤務地:東京都大田区京浜島2-13-15
  • 休日:原則週休2日制(土日)、祝日、夏季・冬季休暇(年間休日122日)
  • 本社所在地:東京都港区白金台2-4-12
  • 電話番号:03-3790-3111
  • 公式HP:http://www.nippon-heater.co.jp/
  • ・顧客の熱に関する課題を解決する多種多様な産業用ヒーターを開発・製造
  • ・技術者の持つ技術・経験が財産。多品種少量の生産体制を構築
  • ・「自分で考える力」を育てる。細かな指示はせず、社員の意見を積極採用
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業種

産業用(工業用)電気ヒーター、電気加熱装置の設計、製造、販売

事業紹介

ものづくりの様々な場面で加熱や温度管理は必要とされています。1924年の創業以来電気ヒーター製造一筋の専門・総合メーカーとしてありとあらゆる業種の加熱のお手伝いをしてきました。
大切な電気を熱に変えるヒーター。だからこそ、効果的な加熱で目的を果たすことが必要です。お客様の加熱の先にあるものを見据えて、省エネと環境を意識したヒーター作りをしております。日本ヒーターに相談してよかった、頼んでよかったと感じていただけるように、お客様の加熱のニーズに的確に、迅速に、お応えすべく頑張ってまいります。

【製品情報】
◆液体加熱用ヒーター
 薬液加熱用、蒸気発生用、純水加熱用、汚水処理用など
◆空気・気体加熱用ヒーター
 乾燥用、空調用、熱風発生用など
◆金属加熱用ヒーター
 プラスチック成形用、粉末付着防止用、配管温度保持用など
◆赤外線ヒーター
 プラスチック軟化用、食品加熱用、印刷乾燥用など

何を作ってる?

牛が冷たい水を飲んでお腹を壊さないようにするため、プラスチック容器の形をつくるため、潤滑油の粘度を下げるため、あるいは熱膨張を利用して発電所で使うネジの締まりをきつくするため――。そのような農業や工業のさまざまな場面で使われるのが産業用ヒーター。小指ほどの小さなものから、大型トレーラーの荷台でないと積み込めないほど巨大なものまで、ありとあらゆるヒーターを作っているのが日本ヒーターだ。 同社の年間取引社数は1000社近く。顧客の要望に応じて、ヒーターの大きさや温める力を調整し、1年間で約3000種類ものヒーターを出荷している。 「最近では、データセンターの稼働試験に使うヒーターを作ったこともあります。新しくデータセンターを建設した際、収納予定の多数のサーバから発生する熱を上手く逃がせる構造になっているか、高価なサーバの代わりに当社のヒーターを使って検証したのです。そういった本来の用途とは別の使い方で、ヒーターを使いたいというお客様からの相談にも応え、熱に関する課題を解決しています」(小柴智延代表取締役。以下、同)

03.jpg ヒーターの中身になる部分
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会社の強み

年間3000種類ものヒーターを作るのは、大規模な工場を持つ大企業にも難しいこと。日本ヒーターがそんな難問を克服して多品種少量の生産体制を築けているのは、技術者1人1人が持つ技術・経験があるからだ。 設計図が頻繁に変わっても、長年にわたって多種多様なヒーターを作り続けてきた技術者たちが過去の経験を踏まえて「この設計なら、どう加工すれば上手くいくか」と自分で考えて作業の進め方を判断する。複数の工程で腕を磨いた多能工が多く、その後の工程のことにも気を配りながら対応してくれるため、作業内容について最低限の指示だけ伝えれば設計どおりのヒーターができあがってくる。 営業部にしても、過去に製造したヒーターのデータを検索して調べられるように独自のシステムを構築。以前に同じようなヒーターを作っていないか、そのときはどんな設計だったかとすぐに調べられるように工夫した。 結果、注文から出荷までにかかる期間は2週間~1カ月となった。新しいヒーターの注文が入っても、他社の半分ほどの期間で出荷できる体制になっている。

05.jpg 製造するヒーターの大きさ・形状に合わ
せて、さまざまな太さの金属管を使用する

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職場としての魅力

会社として大事にしているのは、社員1人1人の自分で考える力。その力を養うため、社長からは最終的に達成してほしい目標を示すが、「こうしなさい」と具体的には指示をしない。社員の考えを尊重し、社員が「こうしたい」と発言してきたのなら、できるだけその意見を受け入れる社風なのだ。 「小さな会社ですが、われわれは最終製品を作るメーカーです。お客様から『ここで困っている』と直接相談されたのなら、相談を受けた社員としては『何とかしてあげたい』と当然思うわけです。そうした社員1人1人の自発的な思いをかなえられる会社でありたいのです。 やる気があり、自分で考え、自分から積極的に行動できる人であれば、当社での仕事にやりがいを感じてもらえると思いますね」

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社長メッセージ
お客様にとって最適なヒーターを一緒になって考えていく

代表取締役
小柴 智延さん
――貴社の場合、カタログに掲載されている製品よりも特注品を作ることが多くなっているのでしょうか。 そうですね。カタログにさまざまなヒーターの情報を掲載していますが、カタログどおりの製品を出荷することはほとんどありません。カタログは「こういう製品が作れますよ」とお客様に知っていただくために利用しています。カタログを見てもらいながら打ち合わせを進めていき、お客様にとって最適なヒーターを一緒になって考えていくやり方で特注品を作り出しています。 実はヒーターを製造している会社は、当社の他にもたくさんあります。けれど、当社と同じように特注品中心で事業展開している企業はほとんどありません。 その理由は大きく2つあります。大企業の場合、カタログに載せている数種類の標準製品に絞って量産しています。特注品を多品種少量で作るのに適さない形で事業をしていますから、特注品を作っていると割に合わないのです。もう1つ、特定の業界向けに特定の技術を用いたヒーターだけを作っている企業もあります。どうしても得意な業界・技術に偏りがありますから、自分たちが得意な製品をお客様に提案してしまいがちです。当社なら業界・技術にとらわれませんから、お客様が加熱・温度管理するために最適なヒーターを提案できます。そこが当社の強みになっています。 仕事をする上で、何よりも大切なのは真剣さです。私自身も営業担当者として一線で日々働いているわけですが、本当に「このお客様の悩みを解消してあげたい」と思って働いていると、たとえ受注に至らなかったとしても、お客様から感謝していただけるものです。感謝されると、やはりうれしいものです。どれだけ真剣に働くかで、仕事の楽しさが変わってくると思います それからもう1つ、自分の頭で考えて行動することの大切さも覚えておいてほしいです。多くの企業や人は、「これはやったことがない」「やっても、どうせ上手くできない」と自分から可能性を閉ざしているように感じています。そんな姿勢では、何も始まりません。とにかく自分なりに考えて行動することで、新たに生まれる可能性もあるはず。そのことを忘れないでください。

09.jpg 代表取締役 小柴 智延さん

先輩メッセージ
自分が考えた新製品、仲間の協力を得て完成度を高めるところに充実感がある

技術部
本多さん ――以前は別の企業に勤めていたそうですね。
前職では、機械加工の技術者としてモノづくりに携わっていました。物を温める装置を作っていたのですが、その仕事を通じて装置の中核になるヒーターに興味を持つようになりました。 日常生活でヒーターを直接使う機会は多くないかもしれませんが、内部にヒーターを組み込んでいる製品・装置は意外と多いのです。そうした製品・装置の心臓部になるヒーターを作る仕事をしたいと思うようになり、当社に転職してきました。 そうですね、毎月20種類以上は新しい製品を設計しています。1週間かけて設計するような特殊なヒーターもあれば、標準品から少し寸法を変えるだけで1~2時間もあれば完了する設計もあります。 設計業務の他に、新製品の開発も担当しています。年間3000種類のヒーターを作っているとはいえ、まずは土台になる標準品があって、標準品から寸法などを調整して製造するものがほとんどです。最近のお客様からの相談内容を整理して、「どのような新製品が求められているのか」と考え、今後も注文が入ってきそうな製品を開発しています。 新製品開発のアイデアは、会社で働いているとき以外にも湧いてくるものです。普段生活する中でも、ふとした瞬間に「この発想は新製品に使えるな」と思い浮かびますから、できるだけ会社の外にいるときでも新製品のことを考えるように心掛けています。当社は社員の意見を取り入れてくれようとする会社ですから、いいアイデアを考えようというやる気も湧いてきますね。 そして自分が考えた新製品の試作品を、同じ建物にある工場で作っていきます。どんなところで不具合が出ることが多いのか、何度も試行錯誤を重ねて製品としての完成度を高めていきます。仲間の協力を得ながら製品を完成させていくことが楽しく、働いていて充実感があります。 何よりも、お客様の要望に応えられる環境があるところです。自社で設計から製造までをしていますから、お客様から「こうしてほしい」と頼まれれば、できる限り応えられます。 「要望に応える」というのは当たり前のことですが、当たり前のことを当たり前にできるというのは、働いていてうれしいことなのです。 当社はヒーターメーカーですから、基本的にはヒーターを作ることが仕事です。それが最近になって、取引先と一緒に、ヒーターを組み込んだシステムを作る機会が増えてきました。 ヒーターを使ったシステムに携わる仕事には、ヒーターだけの仕事とはまた別の面白さがあります。そうした仕事も含めて、今後ますます多くの相談が当社に寄せられるように、まずは目の前の仕事に向き合って、お客様から信頼いただけるだけの成果を積み重ねていきたいです。 製品開発にしても、現場でのモノづくりにしても、日々の生活のいろいろなところにヒントが隠されています。そうしたヒントがどれだけ身近にあっても、自分が興味を持っていないと気付けません。 モノづくりを仕事にしたいと思ってくれるのなら、機械や電気などの技術分野に興味を持ち、機会があれば何らかの行動を起こしてみることで、ヒントを逃さないように心掛けてください。

10.jpg 技術部 本多さん

先輩メッセージ
消極派を振り切って受注した仕事、無事に納品して顧客から喜ばれ、うれしかった

営業部 主任
橋本さん ――どのような縁から、日本ヒーターに入社したのですか?
私は大学卒業後、オーストラリアに1年間留学しました。帰国後に留学して学んだ英語を生かせる仕事に就きたいと就職先を探していたところ、ある人から日本ヒーターを紹介していただいたのです。 初めて当社を訪れたときには「アットホームな会社だ」と感じましたね。社員数は30人ほどで、誰がどんな仕事をしているかがよく分かりました。働きやすそうな職場だと思いました。 当社は自社製品の他に、輸入製品も販売しています。ヨーロッパ各国の企業と連絡をとり、必要に応じて製品を輸入する手配をしています。 ただ、主な業務は営業です。お客様からご相談が寄せられたら、「要望に応えるには、どのようなヒーターがあればいいのか」と考えて、技術部に新しく設計を頼めばいいのか、それとも以前の設計を使ってそのまま製造部に依頼すべきかと判断しています。 過去には、「寒い地域の家庭向けにヒーターを作れないか」と相談をいただいたことがあります。「ヒーターで水を温めて、床下などに温水を流すことで家全体を温めたい」というご要望でした。 家庭用と産業用とで勝手が違うところが多いものですから、社内には「引き受けない方がいい」という消極的な意見も多かったです。けれど私としては、何とかしてお客様の依頼に応えたかったのです。どんな製品ならご要望を満たせるかと考えて、技術部に設計を頼み、工場で製造してもらったところ、何とか期待どおりのヒーターを作ることができました。お客様には非常に喜んでいただけましたね。不安があった分、とてもうれしく感じまして、記憶に鮮明に残っています。 最近は営業の業務から少し離れて、自社のホームページやカタログを充実させるマーケティング関連の仕事を担当しています。経験したことのない仕事ですから、手探りで進めているところですね。 大企業と比べて、ずっと多くのことを自由にできるところです。会社全体を見渡しながら働けますし、社員間の交流も活発で、働きがいを感じやすいところが気に入っています。 日本ヒーターを必要としてくださるはずなのに、取引に至っていないどころか、「日本ヒーター」という社名自体もご存じないお客様が、まだまだ国内にたくさんあるように感じています。自社ホームページを充実させて、展示会に出展するなどして、日本ヒーターの知名度を上げていくことで、もっと営業しやすい環境を整えていきたいです。 「仕事をする」とはどういうことか、具体的なイメージを持てていない学生さんがほとんどなのではないでしょうか。残された時間は限られていると思いますが、実際に働いている人から直接話を聞いてみることで、働くことのイメージを少しでも持ってから就職活動に臨んでいただきたいです。 自分なりに「仕事をする」とはどういうことかと考えられるようになれば、就職活動は上手くいくはずです。 注)掲載している情報は、取材日(2013年11月)時点のものです。

11.jpg 営業部 主任 橋本さん