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株式会社オージーエー

株式会社オージーエー  ロボット精密洗浄機メーカーの新たな挑戦<br>時代のニーズを先読みし、次なる市場を創造する。

株式会社オージーエー

ロボット精密洗浄機メーカーの新たな挑戦
時代のニーズを先読みし、次なる市場を創造する。

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輝く技術 光る企業

株式会社オージーエー

ロボット精密洗浄機メーカーの新たな挑戦 時代のニーズを先読みし、次なる市場を創造する。

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  • 社名:株式会社オージーエー
  • 設立年月:1962年(昭和37年)10月
  • 資本金:50,000,000円
  • 従業員数:28名 (平成23年3月現在)
  • 代表者:代表取締役 大賀隆之
  • 本社所在地:東京都大田区萩中三丁目22番14号
  • その他営業所:CS事業所(埼玉県児玉郡)
  • 電話番号:03-3745-1001
  • 公式HP:http://www.oga-robot.co.jp
  • 製品の小型高密度化によって人間の手に負えなくなった部品洗浄。ロボットアームによる自動精密洗浄を実現したのが、株式会社オージーエーだ。ロボット精密洗浄機の誕生は、ユーザーの声から時代のニーズを的確に掴みとる企業姿勢によってもたらされた。そしていま、健康機器事業という新たな分野で、またその成果が花開こうとしている。
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業種

産業用機械製造、健康機器製造

事業紹介

ロボットマシン・システムならびに健康機器の開発・製造・販売

時代のニーズを先取りし、ロボットエンジニアリングの道へ。

大賀隆之さん
株式会社オージーエー
代表取締役社長
株式会社オージーエーの大賀隆之社長に、まず創業の経緯をうかがった。 「勤めていた中小企業の倒産がきっかけでしたね。わたしはもともと自分でやりたい、という夢を持っていましたから。それで独立したんです。24の時でした。」 大賀社長は加工機械の販売などをおこなう大栄商会を1962年に設立する。なぜ当初は現在につながる製造業ではなく、販売の仕事だったのだろうか? 「会社名を『製作所』とか『鉄工所』とかにすると、他社を訪問すると決まって『仕事もらいにきたのか』と勘ぐられる。ところが『商会』にすると、なにかいいものでも紹介してくれるのかな、話を聞いてみようかな、という形になるんですよ。それで、機械を売りながら、時にご相談を受けて製造もする、というスタイルになったのです。工業系の知識はひととおり持っていましたから、お話をするうちに『それならこういうもの作れない?』というようなお仕事をいただく。それで、当時工場も何も持っていないのに、図面を書いて、それを鋳物屋にもっていき、その次加工屋に持って行き…というところで商売をしてたんですね。いま振り返ると、若いというのはたいしたものですよ。」 そうして製造の現場と関わるうちに、時代のニーズが「自動化」というキーワードを伴うようになっていく。製造業にロボット導入の時代が到来するといちはやく予見した大賀社長は、ロボットエンジニアリングという分野に主軸を移していくことを決断した。

oga-02.jpg 代表取締役社長 大賀 隆之さん

お客様の声に応える熱意が、業界唯一のダブルネームを実現した。

「自社製品を持ちたい」という大賀社長の夢を実現したロボットメーカーとしての第一歩は、ロボットハンドリングシステムの製造・販売だ。それまで人手によって作業がおこなわれていた加工機械への材料取り付けをロボットによって自動化し、加工機械とロボットをシステムとしてまとめて販売する。主に自動車関連企業に向けて販売され、大きな評価を得ることにつながった。 大きな転機が訪れたのは、ロボットメーカーとして事業が軌道に乗り始めた1980年代後半。ある中小企業の社長から持ち込まれた相談がきっかけだった。 「『部品の洗浄工程で、エアブローすると作業者に洗浄液が飛び散ってくるんだけどなんとかならないか』というご相談だったんです。それならば、とロボットによる洗浄機の開発に着手したのです。当社はファナック社というロボットメーカーの代理店として、ロボット本体はファナック社から購入していました。そこで、ファナック社の技術者に『このロボットを水の中に入れる』と話したところ、とんでもない、という返事が返ってきました。それでもこちらとしてはやらざるを得ませんから、実際にテスト機を作って実験してみたところ、これが半年から1年間は稼働することが分かった。発見でしたね。」 このエピソードから、オージーエーとファナック社による共同開発が発足することになった。水しぶきが飛散する洗浄機内という過酷な環境にロボットを入れるという一見無謀にも思えるこの挑戦には、膨大な時間が費やされることとなったが、やがてロボット精密洗浄機は完成の日の目をみることとなる。この洗浄機に使われるロボットのアームには、「OGA」と「FANUC」の文字が刻まれている。ファナック社のロボットに他社の名前が刻印されたのは、現在に至るもオージーエーのみとのことだ。大賀社長のニーズに応えんとする熱意が、世界首位のロボットメーカーとのダブルネームを実現したのだ。

oga2-07.jpg ロボット洗浄機 ROBOTUSCAL LRW-1

一歩先を行く製品開発。

「ただ、この製品が売れるようになるまではさらに時間がかかったんです。1996年に販売を開始して、しっかり売れるようになったのは2001年あたりです。ですから、5年くらいかかってるんですね。その理由は、『部品を精密に洗わなければならない』というニーズが育つまでに時間がかかったというのが大きいです。」 それまでは人手で作業していても問題のなかった工程に、突然ロボットを入れるというのには、よほどの理由が必要だったのだ。しかし、時代が「小型高密度高信頼性」の製品を求めるように推移し始めた。 「設計自体がどんどん緻密になって、ちょっとしたゴミが原因で製品に不具合が起きることが多くなってきたんですね。また、部品を一体成型にしてコスト削減するという考え方も出てきて、ますます洗浄対象が複雑になっていた。もはや洗浄工程が旧来のものでは成り立たなくなってきていたんです。」 お客様の声に耳を傾けることで潜在的なニーズを掘り起こし、そのニーズが表層化する時にはすでにソリューションが完成している。理想的な製品開発の形だが、オージーエーの場合は少しだけ先を行きすぎたようだ。とはいえ、大賀社長の先見性はこの後の製品開発にも大いに発揮されていく。

oga2-01.jpg ロボット精密洗浄機の洗浄イメージ

自身の体験から新たな分野への挑戦は始まった。

ロボットエンジニア事業を展開するオージーエー。健康機器事業であるステッキレス®の製造は、一見突拍子もない飛躍に見えるが、この製品の開発に至った経緯を社長に伺った。 「自分自身の体験がきっかけでした。30代のころからゴルフをするようになったのですが、40代になると身体にガタが来ているような感じがしはじめたんですね。元気な方は60代になってもきびきび動いてらっしゃいますから。どうなったのかなと思い自宅でスクワットなどを始めたんです。ところがその運動も、夜お酒を飲んだり、寝るのが遅くなったりすると、次の朝、起きたときにガクガクきちゃうんですよ。それで、これはなにか運動をサポートする器具が欲しいな、と思ったんです。」 ところが、いざ探してみるとそういったトレーニング器具は意外なほどに存在しなかった。トレーニングジムなどで使われているような、負荷をかけて筋肉を増強するような器具はいくらでも見つかったが、筋力が衰えたことを前提に作られているものがなかったのだ。 「ちょうど、ロボット製造とは別の新しい事業を作りたいと思っていたタイミングでしたので、それなら自分たちで作ってみてはどうか、と思い至ったんですね。当社が長年にわたり培ってきた技術ノウハウが存分に展開できるだろう分野でもありましたし。」 そうして完成したのがステッキレス®シリーズだ。スクワットトレーニングを補助するこの器具は、通常のスクワット運動を機械的にサポートし、関節や筋肉への負担を軽減するように設計されている。高齢者のような筋力が弱まった人でも、無理なくスクワットトレーニングを始められるうえ、その効果はサポートなしのスクワットやウォーキングと同等かそれ以上という優れものだ。 「ただ、ここで問題になったのは、この製品の有用性を証明する方法だったんです。そこで、作った製品を都立大学(現:首都大学東京)や東京都老人総合研究所(現:東京都健康長寿医療センター研究所)にご協力いただいて、様々な実験を行いました。結果、これが筋力トレーニングだけでなく介護予防という概念にとても有効だということが実証されました。このことは研究論文としてもまとめられています。こうした裏付けをひとつひとつやってきた結果、当社のステッキレス®は今日たくさんの施設で使っていただくに至ったのです。」

oga2-04.jpg ステッキレス® Deive III
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新しいステッキレス®シリーズに秘められたオージーエーの企業DNA

「今年、ステッキレス®シリーズの新製品を出します。高齢者になって椅子の生活が長い方がたくさんいらっしゃるというところに着眼し、今度は椅子の中に運動補助機能を入れました。立ち上がろうとするだけでその動きをサポートしてくれるというものです。トレーニングマシンには様々なものが存在していますが、ほとんどがリビングの片隅で埃まみれになっているような状態だったりするんです。新しい製品は通常の椅子としてお使いいただけるように設計されていますので、生活しながらトレーニングか可能なんです。これで徐々に筋肉をつけていけば、やがては表を元気に歩き回ることもできるようになるはずですよ。介護予防に非常に役に立つものです。」 この新しい製品には、オージーエーの次なる戦略が秘められている。 「報道番組でもよく取り上げられますように、介護施設の多くは非常に苦しい経営状態にたたされています。介護要員にもお金が十分に出ない過酷な実情ですから、どうしても設備投資ができない。となると、高齢化社会にオージーエーという会社がほんとにいいものを作っているのだ、ということをプロモーションするためには大型の器具だけでは不十分なんですね。そこで、家庭用の器具を考えたわけです。直に使っていただくことで、私たちの取り組みを直接評価していただきたいのです。願わくば、公的な評価基準が整備されて欲しいのですが…。」 ターゲットを明確にし、そこでニーズを提案して、新しい動きを起こしていくという企業活動。これは、大賀社長が創業当時から実践し、ロボット精密洗浄機を実現した手法そのものだ。

oga2-05.jpg これまでのステッキレス®シリーズ
(本社ショールーム)

ものづくりの素晴らしさを知り、技術立国日本を背負って欲しい。

最後に、大賀社長に若者に向けてのメッセージを語っていただいた。 「学生さんは、就職した後、一生同じ会社で勤めるというのは問題ですよ。わたしは、『一度は独立したい』という野心のある人に来て欲しい。そういう若者が来てくれるのなら、わたしはそれだけですごく嬉しい。意欲のある人が十年も勤めてくれれば、それで十分会社にお返ししたことになるはずですから。逆に言えば、安定志向のあるひとは中小企業に入っちゃだめなのかも知れないです。」 「ものづくりというのは、実際に手を動かして作ってみないことには発想ができないモノなんです。ただ本を読んでもダメです。ですから、ものづくりにまったく興味がないひとばかりだったら、日本は危ういですよね。たとえば、車を故障しないものとして乗ってる人が増えていたりする現状。構造が複雑になっているとはいえ、エンジンカバーを開けて中をのぞき込むことすらしない。そうなると、ものづくりの素晴らしさなんてどこで気付けるというのでしょうか。工場に入ってみれば、ものを作るというのがどれだけすごいことかがわかる。そうしてようやく、日本のものづくりの素晴らしさを体感できる。実際にものづくりに関わって、そこから自分のひらめきが出せるひとが、技術立国としての日本のこれからを背負っていくんじゃないでしょうかね。」

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